2025年10月23日(木)
高市首相 早くも危険あらわ
戦後最悪の反動政権となる危険をはらんだ高市内閣が本格始動しました。高市早苗首相は21日夜の記者会見で、「戦争国家」の指針となる安保3文書改定の意向を表明。全閣僚向けの指示書では、労働時間規制の緩和検討を明記するなど、早くも危険な姿を現しました。
大軍拡 安保3文書の改定
高市首相は21日の記者会見で、違憲とされてきた敵基地攻撃能力の保有や軍事費の2倍化=国内総生産(GDP)比2%への増額などの大軍拡の方向を示した安保3文書の改定を指示すると表明しました。
高市首相は、「日本にとって、まだまだ(安全保障上の)取り組みが足らない。もっともっと強くしていかなければならない分野もある」と述べた上で、2022年12月に決定された安保3文書について「もう見直しの作業に取りかかる。そういった指示を出したい」と表明しました。
安保3文書は、「戦争国家」づくりを法制面で整備した安保法制を受けて、実践的な方向を固めたもの。このうち、「国家安全保障戦略」は、32年度までのおおむね10年、「防衛整備計画」は、27年度までのおおむね5年を目安としています。自民と日本維新の会の連立政権合意書は、安保3文書の「前倒し」改定を明記しており、政府は近く作業に着手するとみられます。
トランプ米政権は日本に対し軍事費のGDP比3・5%=21兆円以上への大幅増額を要求しており、28年度以降の軍事費の規模などが重大争点になります。
労働時間規制の緩和 検討
高市首相は、上野賢一郎厚生労働相に対しては「労働時間規制の緩和の検討を行う」よう指示しました。過労死が大問題の日本で、政府自身が決めた残業時間上限規制などの「働き方改革」にも逆行します。
高市氏は自民党総裁当選後の4日にも「ワーク・ライフ・バランスという言葉を捨てる。働いて、働いて、働いて、働いて、働いていく」と発言し、波紋を広げていました。
今回の高市氏の発言に、Xでは「結局、自分の考えを国民にも押し付けようとしてる」「時代錯誤。サービス残業させる職場が後ろ指さされる時代にやっとなったのに」などの意見があがりました。全国労働組合総連合(全労連)も「労働組合として、これは絶対に認められない」と投稿しています。
日本のフルタイム労働者の労働時間は欧州諸国に比べ年間300時間程度も長いといわれています。日本共産党の志位和夫議長は22日、Xに「フランスは週35時間から32時間への時短運動がおき、ドイツでは28~32時間(産業別協約で)というときに、過労死が大問題の日本で、『労働時間の規制緩和』という最悪の時代逆行を指示するとは」と批判しています。
非常に危険で強く反対する
過労死弁護団全国連絡会議の玉木一成弁護士の話 非常に危険な中身です。高市氏は「より少ない労働時間でより多くの賃金を得ることができる」として労働生産性の向上を強調していますが、労働時間規制の緩和が提案されており、主張に整合性がありません。
指示文書には「心身の健康維持と従業員の選択を前提に」とありますが、現実には多くの労働者が自由に働き方を選べる状況にはありません。法的な労働時間規制が必要です。私たち過労死弁護団は、過労死や過労自死の予防・根絶を目指しており、労働時間の規制緩和には強く反対します。

