2025年10月9日(木)
戦争国家、排外主義から『資本論』まで
志位議長『サンデー毎日』で大いに語る
![]() (写真)『サンデー毎日』10月19日・26日号 |
7日発売の『サンデー毎日』(10月19・26日号)は、「『戦争国家』の暴走を許さない」と題して日本共産党の志位和夫議長のインタビュー記事を掲載しました。
「政治家望楼」と呼ぶべき見晴らし台から
聞き手の毎日新聞の倉重篤郎専門編集委員は、「永田町には『政治家望楼』と呼ぶべき見晴らし台がある。望楼は高いほど展望が利くし、遠目が届く」とし、「左側では圧倒的に聳(そび)え立つのが共産党・志位和夫氏の望楼である」「『共産主義と自由』『いま資本論がおもしろい』の2部作を完成したばかりという、その志位氏に過去、現在、未来にわたる三つの問いを発したい」としてインタビューを行っています。
質問に答えて志位氏は、安保法制の強行後10年の政治、市民と野党の共闘の到達点、極右・排外主義とどうたたかうか、世界的にマルクスが注目される中で『資本論』から何を学ぶか、自民党の矛盾と危機が臨界点を超えていることなどについて縦横に語っています。
安保法制強行で深刻な政治のモラルハザード
志位氏は、安保法制10年について「戦争国家作り暴走の10年だった」と強調。安保法制が戦争国家づくりを法制面で整備し、22年12月の安保3文書改定が実践的推進の「青写真」を示し、日米共同の戦争体制づくりや敵基地攻撃ミサイルの全国配備、軍事費2%、さらに3・5%に増額。日米の指揮統制機能一体化など空前の大軍拡がすすめられていると指摘。「軍事対軍事の悪循環が加速、非常に深刻な事態を作り出している」と批判しました。
志位氏は、外交の力で平和をつくることこそ必要だと述べ、ASEAN(東南アジア諸国連合)と協力した平和の枠組み=日本共産党の東アジア平和構想を紹介しました。
さらに、安保法制強行のため、安全保障の根幹で憲法解釈を変えたことで、「あらゆる法的秩序の解体を招き、深刻な政治のモラルハザードを起こしている」と指摘。安倍晋三政権時代の「森友・加計・桜を見る会」スキャンダルや、裏金事件での無反省につながっていると批判しました。「日本の政治に健全なモラルを取り戻すためにも安保法制廃止は緊急課題だ」と強調しました。
志位氏は、安保法制強行後に、安保法制廃止の国民連合政府をつくろうと選挙協力を呼びかけ、できた共闘は攻撃や妨害に遭遇したが、「何よりも強調したいのは、確かな成果をあげ、今も生きていることだ」と述べ、今年の参院選でも、野党共闘は17選挙区で一本化し、12選挙区で勝利し、過去最高となったと指摘。「今回は党首会談できちんと政策合意した上での共闘だった。自公過半数割れにつながる原動力になった」と強調しました。
排外主義、深刻な逆流の危険とどうたたかうか
参院選で排外主義を主張する参政党が伸長したことについて質問された志位氏は、欧州の経験から、ネオリベラリズム(新自由主義)とグローバリゼーションが、一握りの超富裕層と大企業に巨額の富を集中させながら、99%の人を貧しくし、極端な格差を広げ、破綻に直面していることに対する反動的あらわれが極右反動勢力の台頭だと指摘。「極右は、新自由主義の行き過ぎに対する不安、批判を掬(すく)いあげる形で勢力を広げてきた。でも彼らもまた新自由主義だという実態を見落とすべきではない」と警告しました。
志位氏は「日本でも自公と補完勢力や排外主義的勢力がブロックを作り、社会保障など国民生活の破壊、大軍拡の暴走、憲法と民主主義の蹂躙(じゅうりん)、ジェンダー平等への逆流など日本の政治に深刻な逆流をもたらす危険が生まれている。この逆流に正面から対決し、この10年培ってきた市民と野党の共闘をさらに発展させる形で、暮らし、平和、民主主義を擁護発展させる『新しい国民的、民主的共同』を作りたい。かつての反ファシズム統一戦線のようなものだ。各党と話を始めている。あくまでも草の根から要求を掲げていくことが大事だ」と強調しました。
『資本論』には、問題を根底から解くカギがある
志位氏は、32時間労働制を目指している仏労組が『資本論』を学習していることや、米国で半世紀ぶりに資本論第一部の新英訳版が出て、バーニー・サンダース氏支持の民主的社会主義者グループや大学で読書運動が起きていることを紹介。世界の資本主義は、貧富の格差が空前の拡大を見せていることや、深刻化している気候危機をあげ、「格差拡大も気候危機も、資本のもうけを増やすことへの限りなき衝動、つまり資本主義の利潤第一主義が起こしたものだ。やはりマルクス読んでみようとなる」と語りました。
志位氏は「多くの人がその答えを求めている問題を根底から解くカギが資本論の中にある。それは人間にとって本当の自由とは何か、それはどうしたら得られるかを明らかにした書であり、そのための闘いを呼びかけた書だ。資本論を読むムーブメントを日本でも起こし、社会への深い閉塞(へいそく)感を感じている人々に『社会は変わるし、変えられる』という希望を広げたい」と述べました。
倉重氏は結びに「志位望楼からの大局観、頷(うなず)けるもの多し」などとインタビューの感想を語っています。