志位和夫 日本共産党

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インタビュー・対談

2025年10月14日(火)

志位議長、鈴木編集長と「赤本」対談

77分の『資本論』集中講義 党派超え反響と共感

選挙ドットコム番組


 日本共産党の志位和夫議長が出演する「選挙ドットコム」のユーチューブ番組が11日に公開されました。番組は「【77分で『資本論』がよくわかる】日本共産党・志位和夫議長が集中講義!」と題し、志位氏が新著『Q&A いま「資本論」がおもしろい』をもとに、「資本主義の限界」と「希望」について縦横に語りました。聞き手は「選挙ドットコム」編集長の鈴木邦和氏です。

「資本論」を現代に読み解く意義を「『赤本』を読んですごく感じた」

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(写真)『資本論』について語る志位和夫議長(右)と聞き手の鈴木邦和「選挙ドットコム」編集長(YouTubeから)

 冒頭で、鈴木氏は『資本論』について「刊行から150年たっているが、全然古びていない」と述べ、「今の資本主義の本質や課題をズバリ言い当てているところがある」「現代にもう一度読み解いていくことの意義をこの本(赤本)を読んですごく感じました」と述べ、77分におよぶ対談がスタートしました。

「自由な時間」の拡大―「わくわくします。自由を得て何でもできる気がします」

 番組ではまず、『資本論』の現代的意義が取り上げられました。鈴木氏は「現役世代に関心の強い問題から入りたい」として、まず「労働時間」の問題を質問しました。

 志位氏は、マルクスが「自由な時間」を人間の発展・発達のカギと位置づけていると紹介。研究者の試算では、日本では8時間労働に換算した場合、平均で、必要労働時間=労働者の生活費を賄うために必要な労働時間は3時間42分、剰余労働時間=それを超えた労働時間は4時間18分となっている実態を示し、「資本主義のもとでは、お金とともに『自由な時間』が搾取されているんです」と述べました。

 鈴木氏が「8時間のうち4時間以上も資本家や企業側の利益のために貢献している認識はありませんでした」と驚くと、志位氏は「資本主義ではひどい搾取があるのに、それが目に見えません。それを科学の力で解明したのがマルクスでした」と語りました。

 一方で、街頭での宣伝対話行動で「日本に搾取はあると思いますか」と尋ねると「ある」と答える人が多数だったと紹介し、「多くの人は『搾取の感覚』を持っています」と強調。鈴木氏も「(日本に)搾取がないとは言えないですよね」と応じました。

 志位氏は、搾取をなくせば「労働時間の短縮」「自由な時間の拡大」が可能になると力説。鈴木氏が「1日5時間労働でいいと言われたらわくわくします。自由を得て何でもできる気がします」と語ると、志位氏は「それを目指しているのが社会主義・共産主義なんです」と強調しました。

 志位氏が続いて、マルクスが解明した「搾取の仕組み」を『資本論』にそって丁寧に説明すると、鈴木氏は、志位氏の説明を一つひとつ自身の言葉で反すうしながら、「おもしろい。よくわかりました。資本主義の限界ということですね」と応じました。

現代に響く提起―「未来の教育」から「ジェンダー平等」まで

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(写真)『資本論』について語る志位和夫議長(右)と聞き手の鈴木邦和「選挙ドットコム」編集長(YouTubeから)

 志位氏はさらに、マルクスが「機械と大工業」(第13章)で、資本主義のもとでの生産力の発展が、現代に響くさまざまな問題や魅力ある展望を示していると語りました。

 志位氏は、機械制大工業が「労働密度」の強化をはじめ労働者にさまざまな害悪を与えるが、同時に、新しい社会を形成するさまざまな要素を生み出すと指摘。「労働者の集団が力をあわせて生産するようになる」ことや「未来の教育」「古い家族制度の解体」などをあげました。

 志位氏は、子どもの労働の広がりを背景に初等教育が社会的課題となり、工場法で「教育条項」として義務化された歴史を説明。マルクスがこれを「未来の教育の萌芽が芽生えた」と高く評価していることを紹介しました。

 もう一つが「ジェンダー平等」です。志位氏は「機械制大工業になると、多くの女性が労働の担い手になります。それは男性を中心とした『古い家族制度』を解体することにつながります」と説明。さらにマルクスが「労働者の集団が男女によって構成されていることは、資本主義のもとでは退廃と奴隷状態の源泉だが、適切な諸関係(未来社会)のもとでは、逆に、人間的発展の源泉に急変するに違いない」と述べていると紹介しました。

 鈴木氏は「『資本論』の話からジェンダーの話につながるとは思いませんでした。びっくりしました」「資本主義のもとでは機械化は『労働密度』を強化する仕組みだけれども、実は(次の社会を形成する)プラスの要素も持っているということなんですね」と応じました。

気候危機の解決につながる解明―「物質代謝の攪乱」、未来社会での「再建」

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(写真)『資本論』のおもしろさをテーマに学生らと対話する人たち=7日、東京都新宿区

 志位氏はさらに、資本主義が「社会的理性」が「祭り」のあとに働く―「あとの祭りの経済」であるとともに、たいへんな浪費的な社会であると指摘し、その深刻なあらわれとして気候危機の問題をあげました。

 志位氏は、マルクスが『資本論』で、資本主義的農業による農地の破壊を「物質代謝の攪乱(かくらん)」として告発していることを紹介。地球的規模の環境破壊が問題になっていない時代に、早くも資本主義の矛盾のあらわれとしてこの問題を分析し、いまの気候危機の問題につながる解明を行っていると強調しました。

 また、マルクスが未来社会では「物質代謝」の「体系的な再建」が進むと展望していたことにも触れ、その条件として「社会的生産の規制的法則」=社会的な生産の管理・規制を挙げていたと説明しました。「資本主義社会では『利潤第一主義』に支配されて『社会的理性』が“祭りが終わってから”はじめて働く、『あとの祭りの経済』です。計画的な生産は行われず、無政府的な競争が強制されます。そこから恐慌や気候危機が生まれます」と述べ、生産手段を社会化し、社会的浪費を一掃し、社会主義・共産主義に進むことは「物質代謝」の「体系的な再建」の道が開かれると語りました。

 鈴木氏は「『社会的な生産の管理・規制』というキーワード、これがまさに未来社会のヒントになっているわけですね」と述べました。

未来社会の魅力―「労働者と人民のたたかい」でこそ社会変革は進む

 資本主義をのりこえた未来社会とはどのような社会かにも話題が及びました。

 志位氏は「個人の完全で自由な発展を基本原理とするより高度な社会」だとする『資本論』の文章を紹介。マルクスの「どんな人間も自分の中にすばらしい潜在的能力を持っている」という人間観を語りながら、「私たちの目指す社会主義・共産主義とは、すべての人が自由に全面的にその潜在的な可能性を発展させられる社会です」と強調。そのカギは労働時間を抜本的に短縮し、すべての人が十分な「自由な時間」を持てるようにすることだと語りました。

 鈴木氏は「すごく魅力的です」「労働者が自分の人生においての真の意味での『自由』を取り戻すということですね」と共感を語りました。

 志位氏は「マルクスはこういう社会を実現するのに、労働者のたたかいが必要だといいます。労働者がたたかいのなかで、自分を成長させ、発展させていく。同時に、資本主義の発展自体の中で、未来社会の要素がつくられる。両方が合わさって、歴史が進んでいくという社会変革論を、資本論の最後のところで書いています」と述べると、鈴木氏は「いやー、すごい話ですね」と驚きの声を上げました。

「日本共産党の目指す社会や根底になっている理論がすごくわかった」

 番組の最後に鈴木氏は「日本共産党が目指す社会や課題意識の根底となっている理論がすごくわかった気がします」と発言。志位氏は「そこをわかっていただいたら非常にうれしい」と笑顔を見せました。

 鈴木氏は「しかも、それは一部の人の利益ではなく、(日本のほとんどを占める)労働者が自由を獲得し、より豊かに生きるためのあるべき社会の姿を追求されている。100年、200年先を見据えている」と述べました。

 志位氏は最後に、「資本主義は人類が到達した最後の社会ではありません。人類はその先に進む力を持っています。同時に、自然に社会変革は起こりません。労働者階級と人民がたたかい、たたかいの中で自分を成長・発展させてこそ次の社会はつくれます」と強調。鈴木氏が「たたかうためには、労働者が資本主義のなかで自分がどういう状況に置かれているのかを理解しないといけないですよね」と述べると、志位氏は「その通りです。そこがわかっただけでも世の中の見え方が違ってきます」と応じ、鈴木氏は「今日のお話はその根幹のところがわかった気がする。資本論を全部わかろうとすると大変ですが、一番の根幹を話していただいた。それがわかったらだいぶちがう」。

 志位氏は「社会は変わるし、変えられる。みんなでたたかって社会を変えましょう」と締めくくりました。

共産党支持では無いが見る価値ある 未来に希望がもてる話だ

ネット上で高評価広がる

 「大学の講義より面白い!! 支持政党は違うけど、有意義な時間でした」―「選挙ドットコム」のユーチューブ番組「【77分で『資本論』がよくわかる】日本共産党・志位和夫議長が集中講義!」への高評価のコメントがインターネット上で広がっています。

 支持政党の違いを超えて、高評価のコメントが多いのが特徴です。

 「共産党支持では無いですが、支持政党関係無しに見る価値あると思います。シリーズ化してほしいですね」

 「議長自ら解説の贅沢(ぜいたく)な講義で面白かったです! (主義主張&支持は置いといて)資本主義とは? 労働とは?を考えさせられるとともに、共産主義の成り立ちの原点に触れる貴重な内容でした」

 「支持する党は違えど、贅沢な講義だった。教養になる」

 「シリーズほしいな! 支持政党を別として、社会や経済への理解を深めるために国民は全員読んだほうが良いと思います!」

 わかりやすさへの高評価もたくさん寄せられています。

 「すごいわかりやすい解説で助かる 実際にこの本を買って一通り読んでまたこの動画を振り返ってみようと思う」

 「資本論がとってもわかりやすく解説されていて、本当に興味深いです! 搾取の仕組みなるほどな~」

 「大変わかりやすく、勉強になりました。志位さんご苦労様でした。番組スタッフの皆さんまた宜(よろ)しく御願い致します!」

 未来への希望や展望を確認したコメントも多数です。

 「未来に希望がもてる話ですね。暗くしか見えていない未来に光が見えたようです」

 「様々な社会問題の解決の糸口になりますよねー。何度か繰り返して見ようと思います。面白かったです 次も期待!」

 「おもしろかったです。本当に、生活できる賃金と、自由に使える時間が欲しい。配信ありがとうございます」

 「自由な時間、たくさんあれば、したいことたくさんあります!!」

議員団向け志位議長講義 全文掲載

『月刊学習』11月増大号

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 『月刊学習』の次号11月号(10月24日発売予定)は、志位和夫議長が国会議員団と事務局を対象に行った学習会の全文を掲載し、増大号として発売(420円)されます。

 タイトルは、「労働者階級の成長・発展を主軸にして、社会変革の展望をとらえる―『Q&A 「資本論」』(赤本)の理論的背景について」。講義に志位議長が加筆した内容です。お申し込みは、最寄りの日本共産党県・地区委員会まで。一般書店でも注文できます。