2025年7月31日(木)
『資本論』を読むムーブメントを日本でも
『Q&Aいま「資本論」がおもしろい』
志位議長が出版発表会見
日本共産党の志位和夫議長は30日、国会内で、『Q&Aいま「資本論」がおもしろい――マルクスとともに現代と未来を科学する』(8月6日発売、新日本出版社)の出版発表記者会見を行い、「『資本論』を読むムーブメント(運動)を日本でも起こしたい」「『社会は変わるし、変えられる』という希望を広げたい」と語りました。
![]() (写真)『Q&A いま「資本論」がおもしろい』の出版記者会見する志位和夫議長=30日、衆院第1議員会館 |
本書は、5月10日に日本民主青年同盟主催の「学生オンラインゼミ・第4弾」で志位氏が行った講演に加筆・修正し、収録したものです。
志位氏は、この本の出版に込めた思いは、“『資本論』を読むムーブメントを日本でも起こしたい”ということですと強調。「いまヨーロッパでも、アメリカでも、マルクスの『資本論』への新しい注目が広がり、この大著を読んでみようという動きが起こっています」と力説しました。
その一例として、昨年の欧州訪問でフランス労働総同盟(CGT)と懇談した際に、労組幹部から「労働組合として学校をつくり、『資本論草稿』の学習を行い、労働時間の短縮、『自由な時間』の拡大の意義を学んでいます」との話を聞いたことを紹介。アメリカでは昨年9月に、約50年ぶりに『資本論』第1部の新たな英訳が刊行され、バーニー・サンダース米上院議員を支持する人々の間で『資本論』の読書会を組織する運動が全国に広がっていると強調しました。
また、イリノイ大学教授のアンドリュー・ハートマン氏が著書『アメリカにおけるカール・マルクス』(2025年5月刊行)の中で、「私たちは第4次マルクス・ブームを生きている」と述べ、米国の歴史のなかでも特筆すべき「マルクス・ブーム」が起こっていることを強調していると指摘。ハートマン氏が「生命、自由、幸福の追求を建国理念とする国家において、なぜこれほど多くのアメリカ人が見捨てられているのか? マルクスは、深く感じられる搾取の感覚を言葉にすることで、こうした不可解な疑問に対する説得力のある答えを長い間提示してきた。…マルクスがアメリカ人の生活に浸透したのは、彼が力強い自由論を提示したからだ」と述べていることを紹介しました。
「日本ではどうか」と問いかけた志位氏は、貧富の格差の拡大、人間らしい働き方が壊されていること、年々深刻になる気候危機など、「多くの人々がその答えを求めている問題を根底から解くカギが、『資本論』の中にあります。それは人間にとっての本当の自由とは何か、それはどうしたら得られるかを明らかにした書であり、そのためのたたかいを呼び掛けた書―『変革と希望の書』です」と力説。「『資本論』を読むムーブメントを日本でも起こしたい。社会への深い閉塞(へいそく)感を感じている多くの人々に、『社会は変わるし、変えられる』という希望を広げたい。そうした思いでこの本をまとめました」と語りました。
その上で、本書の特徴、第1章から第8章までの中身と力点を丁寧に解説。昨年出版した『Q&A共産主義と自由――「資本論」を導きに』(24年7月、新日本出版社)の理論的土台を提供するものでもあるとして、「ぜひセットでお読みいただければと思います」と述べました。
会見は、志位氏の発言を受けて、熱心な質疑が続き、1時間30分にも及びました。質疑の最後に志位氏は、極右・排外主義の問題に触れ、次のように語りました。
「いま欧米と日本で起きているこの逆流は、資本主義の末期的な行き詰まり、新自由主義とそれにもとづくグローバリゼーションの失敗の反動的な表現です。ですから、この逆流を克服するためにも、新自由主義に代わる希望ある民主的対案、さらに言えば資本主義そのものを根底から変える希望ある未来を示すことが必要です。『資本論』はこの点でも大きな力を発揮すると確信しています」