2025年4月30日(水)
「互いに脅威とならない」両国関係の原則重視を
日中議連の訪中で志位議長が発言
【北京=小林拓也】日本共産党の志位和夫議長は27~29日、日中友好議員連盟(会長・森山裕自民党幹事長)訪中団の一員として、1998年以来27年ぶりに北京を訪問しました。志位氏は訪中団と共に、中国共産党最高指導部メンバーの趙楽際・中国全国人民代表大会常務委員長らと会談し、日中関係や東アジアの平和創出などについて日本共産党の立場を伝え、意見を交わしました。
![]() (写真)趙楽際氏(右)と握手する志位議長=29日、北京 |
28日には中国人民対外友好協会の楊万明会長、中国共産党中央対外連絡部の劉建超(りゅう・けんちょう)部長と相次いで会談しました。会談の中で志位氏は、日本共産党が提言「日中両国関係の前向きの打開のために」や「東アジア平和構築への提言」で提起した内容を紹介。「トランプ米政権の誕生など、日中両国を取り巻く情勢が複雑になるもとで、両国関係をさらに前に動かすために大切だと考えていること」として3点を挙げました。
第1は、2008年の「日中共同声明」で確認された「双方は、互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならない」との合意を尊重し、双方がふさわしい行動を取ることです。
第2は、尖閣諸島など東シナ海の問題について、2014年の日中合意で確認された「対話と協議」を通じて問題の解決をめざすという立場を双方が順守することです。
第3は、東アジアの多国間の平和の枠組みとしては、特定の国を排除する枠組みではなく、東南アジア諸国連合(ASEAN)が提唱している「ASEANインド太平洋構想(AOIP)」という日中双方が賛成している包摂的な枠組みを前進させることを追求することです。
志位氏は「『排除ではなく包摂を』が私たちの基本的な立場です。以上の諸点を重視して、両国関係を前に動かすために私たちも努力していきたい」と述べました。
東シナ海・台湾問題で、党の立場をつたえる
その上で志位氏は「率直に申し上げたいことがあります」と2点を指摘しました。
一つは、「東シナ海などでの力を背景にした現状変更の動きを自制してほしい」ということです。
もう一つは、「台湾問題の平和的解決を強く願っている」ということです。志位氏は「日本共産党は(中国の)武力による威嚇や行使に反対します。同時に第三国による軍事的関与・介入にも反対します。台湾海峡の平和と安定を強く願っています」と強調。「これは、地域と世界の平和と安定にとっても極めて重要な問題です」と提起しました。
志位氏の発言を受け、楊会長は「27年ぶりの訪中を歓迎します。これからはたびたび訪問してください。ASEANと共同して繁栄をつくっていくことは重要です」と表明。台湾問題については中国政府の立場を述べました。
日本共産党の提起を「重視している」と中国側
劉部長は、志位氏が「互いに脅威とならない」の原則の重視を強調したことに対して、「志位議長の提起を重視しています。また、私たちは日本共産党との関係を重視しています」と応じ、両党関係の発展を願っていると述べました。
29日午前の趙楽際委員長との会談で、志位氏は「訪中は27年ぶりになりますが、今回こうした形で訪中したのは、日中が決して戦火を交えることがあってはならない、そのためにやれることは何でもやるという立場からです。日中両国で確認した『互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならない』というのは、いま一番重視すべき原則であり、方向です。これにのっとって双方がふさわしい行動を取ることが両国関係を前に進める最大のポイントです」と強調。「日中両党関係を前進させることが両国関係をより豊かにするという方向で尽力していきたい。今後も対話を続けていきたい」と語りました。
志位氏の発言を受け、趙委員長は「両国間の政党協力を強化していきたい。交流を進めていきたい」と応じました。
会談の中で趙委員長は「異なる考えや食い違いは避けられないが、長期的大局的な視点として、中日間の四つの基本文書、『互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならない』という原則が重要です」と表明。東シナ海をめぐる問題については「対話と協議でコントロールしていく」ことが重要と述べました。