志位和夫 日本共産党

力をあわせて一緒に政治を変えましょう

党の会議での報告

2025年3月20日(木)

全都党と後援会の決起集会

志位議長の訴え


 日本共産党の志位和夫議長が東京都委員会主催の「全都党と後援会の決起集会」(17日)で行った訴えは次の通りです。

首都・東京でこそ勝利に向けた「活動の一大飛躍」を

写真

(写真)発言する志位和夫議長=17日、党本部

 みなさん、こんにちは。(「こんにちは」の声)

 東京の党と後援会員のみなさんの連日のご奮闘、ご協力に、心からの敬意と感謝を申し上げます。都議選と参議院選挙が目前に迫りました。私は、昨年の党大会以降、新しい任務につきまして、いろいろとやってまいりましたが、さいわい体は元気で、心の方は青年のつもりでおりますので、東京のみなさんと心一つに、この歴史的な政治戦をたたかいぬく決意をまず申し上げたいと思います。(拍手)

 日本共産党は3月11日に幹部会、12日に全国都道府県委員長会議を開きました。4月末までの「500万要求対話・党勢拡大・世代的継承の大運動」の折り返し地点に立って、目標達成のための深い意思統一を行いました。

 「大運動」の目標達成のためには、ここで「活動の一大飛躍」がどうしても必要です。目標をやりきれば「勝利への大きな展望」が開かれてきます。同時に、これまでの延長線上にとどまれば、「厳しい結果となる危険もある」ということを率直に訴えました。

 どうやって「活動の一大飛躍」をつくるか。勝利に向けて燃えるような熱気と活力を党と後援会にみなぎらせていく指導と活動をやりぬくことが必要です。そのために何が大切かを、幹部会決議は、政治論、要求対話、党勢拡大――の三つの角度から明らかにしております。

 今年の政治戦は、12年に1度の都議選と参院選の連続選挙となります。ですから首都・東京のたたかいは、文字通り、日本共産党全体の命運がかかったたたかいになります。東京の勝利なくして全国の勝利なし。これが今年の政治戦です。

 幹部会の方針を、ぜひとも首都・東京でこそ生かしていただき、勝利に向けた一大飛躍を力をあわせてつくりだしたい。そうした思いからいくつかの要になる問題についてお話しさせていただきたいと思います。

情勢を攻勢的につかむ(1)――国政の問題

 私は、いま何よりも大切なことは、いまの情勢の「おもしろさ」を攻勢的につかんで、元気いっぱい、攻めに攻めて勝利をつかむという姿勢をみんなのものにするということにあると思います。そのことを今日は、国政の問題、世界の問題、そして都政の問題――三つの角度からお話しいたします。

 まず国政の問題についてです。総選挙がつくりだした「新しい政治プロセス」の現状をどうつかむか。一部に、「『新しい政治プロセス』と言ってきたが、どうも『プロセス』が前に進んでいないのではないか。共産党がのけものにされている感じで悔しい」という声もあります。大局的にいまの情勢をどうつかむか。ここがたいへんに大事になってきます。

 幹部会決議では、「自民党政治の“延命戦略”は早くも破綻があらわになりつつある」とズバリのべました。総選挙の国民の審判によって危機に追い込まれた自公政権は、ごく一部の部分的改良――「103万円の壁」などの問題を「のむかどうか」が政治の焦点であるかのような「偽りの対決構図」をつくって、一部野党を抱き込んで延命をはかる策略をめぐらせてきました。しかしこの“延命戦略”は早くも破綻しつつあります。

高額療養費問題、商品券配布――自民党の“延命戦略”はいまや吹っ飛んだ

 この間、この“延命戦略”の破綻の象徴的な出来事が二つ、立て続けに起こりました。

 一つは、高額療養費の上限引き上げが、ついに「凍結」に追い込まれたということです。「病気で苦しんでいる人の給付を削減するなど鬼のような所業だ」。患者団体のみなさんの命がけの訴え、その声を代弁した日本共産党をはじめ野党の論戦が政権を追い詰めました。この教訓は何でしょうか。声を上げれば政治は動く、「密室の取引」ではなくて、国民の運動でこそ政治を前に動かせる――これが教訓ではないでしょうか。患者の声に「聞く耳」を持たず、方針を二転三転させた石破首相の姿勢に批判が集中しています。そして「高額療養費の見直し」を掲げてきたという点では、維新の会も国民民主党も一緒なのです。この両党の立場も破綻したということが今回の出来事ではないでしょうか。ここに確信を持って、手を緩めずに白紙撤回をかちとり、さらに引き下げをかちとろうではありませんか(拍手)。あらゆる分野で、国民の切実な願いを掲げて、国民運動の高揚をつくりだそうではありませんか。

 いま一つは、幹部会決議が「“延命戦略”は破綻しつつある」といった2日後、石破首相の商品券配布問題が明るみに出たということです。私たちの「予言」がただちに現実のものになったという劇的な展開であります。これは典型的な裏金そのものです。石破首相は、自民党ぐるみの裏金問題に、口では「反省」を繰り返してきましたが、実際は一かけらの反省もなかったことが白日のもとにさらけ出されました。政治資金収支報告書に記載せず、領収書もない、これで、「違法性はない」などという言い訳はおよそ通用するものではありません。10万円もの大金を「お土産」という、「国民の暮らしとかけ離れた金銭感覚」が強く批判されていますがまったく当然です。内閣総理大臣の資格なしと言いたいと思います。徹底究明と責任追及の声を広げ、内閣総辞職へと追い詰めていこうではありませんか。(拍手)

 こうして高額療養費問題、商品券配布――この二つの問題が立て続けに起こって、自民党の“延命戦略”はいまや吹っ飛んだということを言いたいと思います。

大軍拡でも、消費税でも本質をつく論戦――広く伝え切れば、必ず勝機をつかめる

 それでは、日本共産党のたたかいはどうでしょうか。

 4中総決定にもとづいて、わが党は、「二つの基本姿勢」――国民の要求実現のためにがんばる、自民党政治の「アメリカいいなり」「財界中心」という「二つのゆがみ」に正面から切り込むという姿勢を堅持して奮闘してきました。私たちの国会論戦は日本共産党ならではの「鮮烈な先駆性」を発揮しているということが言えると思います。今日は、国会で使った、いま評判の二つのパネルを持ってきました。ぜひ広げていただきたいパネルであります。

 ――まず軍事費突出パネルです。来年度予算の主要経費の前年度比のグラフですが、軍事費だけが、前年度比で9・5%増と突出しています。社会保障、文教・科学、公共事業、中小企業は、すべて物価上昇率以下で実質マイナスになっています。食料安定供給費にいたっては、米、これだけお米の値段が高騰しているというのに実額でマイナスです。大軍拡が暮らしを押しつぶしている姿が一目瞭然です。

 私は、先日の予算委員会の質疑で、このパネルを出しまして、石破首相に、「この軍事費の突出を異常だと思いませんか」と聞きました。そうしましたら驚くべき答弁が返ってきました。石破首相は「これを軍拡だと思ったことは、私は一度もございません」と言うのです。私は、「こんな異常な大軍拡予算を異常と思わないあなたが異常だ」と批判をいたしました。こういう大軍拡をやりながら「軍拡」をやっているという自覚がない。これがいちばん危ないことではないですか。

 しかも大軍拡は、2027年度で終わりではありません。石破首相は、2月の日米首脳会談で、「27年度より後も抜本的に防衛力を強化する」ということをトランプ大統領に約束してきました。その後、コルビー米国防次官候補は「軍事費GDP3%以上」を公然と要求しました。「3%」と言いましたら18兆円ですよ。暮らしも平和も壊す大軍拡は中止せよ。この大運動を起こそうではありませんか。(拍手)

 ――もう1枚は、消費税による税金のゆがみのパネルです。田村委員長が予算委員会で明らかにしたものです。この赤い部分が消費税ですが、中間所得層も含めて税負担のなかで消費税が一番重くなっています。とくに重大なのは、年収800万円以下の層で、税金の累進性が失われてしまっているという問題です。

 この点を田村委員長が追及しましたら、石破首相は「(所得の少ない人には)社会保障の給付をしております」と弁明した。しかし、税金というのは、税金そのものとして累進性を持って、所得の再分配の機能を果たすことが当たり前です。それが損なわれていることをただしますと、政府は答弁ができなくなりまして、「計算の根拠がわかりません」と言い出した。田村委員長が「そんなことをいうならあなた方が試算をして出しなさい」と言ったら黙ってしまいましたが、答弁できないのです。税金の根本にかかわる問題で、政府は説明ができない。そこまで消費税は破壊的作用をおよぼしているのであります。

 だいたい所得の多い人から税金を取って、所得の少ない人に給付したら、これは再分配になります。しかし、所得の少ない人から消費税で税金を巻き上げておいて、所得の少ない人に給付したとしても、再分配にはなりません。これは再分配と言わないで「自己責任」というのではないでしょうか。

 この税金のゆがみをただす道は、富裕層と大企業に応分の税金を払ってもらって、消費税は廃止を目指して緊急に5%に減税する。これしかないことは、このグラフを見ても明々白々ではないでしょうか。(拍手)

 この2枚のパネルは、自民党政治のゆがみが詰まっているパネルだと思いますので、どうか広げていただきたい。よろしくお願いいたします。

 大軍拡でも、消費税でも、いまお話ししたような「二つのゆがみ」に切り込んで問題の本質をつく論戦をやっているのは、日本共産党しかありません。とくに私が、国会にいて異常だと思うのは、8・7兆円もの大軍拡予算案がかかっているときに、この問題を取り上げているのが日本共産党しかないということです。

 国民の要求実現のためにがんばる、「二つのゆがみ」にメスを入れる――この「二つの基本姿勢」を堅持した奮闘を貫いて、その内容を広く国民のみなさんに伝えきれば、私は、必ず都議選・参院選の勝機をつかむことができると考えます。ここに確信をもってがんばりぬこうではありませんか。(拍手)

情勢を攻勢的につかむ(2)――世界の問題

 つぎに世界の問題に視野を広げたいと思います。

 この間、アメリカでは、トランプ政権が登場しました。トランプ氏が、ガザ問題でも、ウクライナ問題でも、国連憲章と国際法を公然と投げ捨てる言動を行うもとで、「世界はこれからどうなってしまうのか」という不安も広がっていると思います。

「アメリカ帝国主義の“落日”が始まった」という規定について

 ここでも大局的なとらえ方が大切です。幹部会決議では、「アメリカ帝国主義の“落日”が始まった」とズバリ踏み込んだ規定を行いました。これがいま衝撃的に全国で受け止められています。「この規定にはしびれた」という反応も返ってまいりました。

 この規定は「景気づけ」で言ったものではありません。トランプ氏の言動を分析し、たしかな根拠をもってのべたものです。ひとつ申しましょう。トランプ大統領の30分間の就任演説、1時間40分間の議会での施政方針演説の、二つの演説のテキストを手に入れまして、検索をかけてみました。そうしましたら、この二つの演説のなかに「国連」という言葉も、「国連憲章」という言葉も、「国際法」という言葉も一言も出てこないのです。これだけ「国際法」が蹂躙(じゅうりん)されているときに一言も出てこない。驚くべきことではありませんか。よく読んでいますと「法の支配」という言葉はありました。しかし、それは「不法移民」が米国の法律を守っていないから強制送還をする、という排外主義での文脈のものであり、国際関係の原則としては「法の支配」という原則は影も形もないのです。トランプ大統領の辞書には「法の支配」という言葉がない。「国際法などに縛られない。オレ様が法だ」。そういう世界にトランプ氏は住んでいるのであります。

 私が強調したいのは、こんなことは、アメリカの歴史で、戦後(第2次世界大戦後)かつてなかったということなのです。米国は、1960年代から70年代のベトナム侵略戦争、2003年に始まるイラク侵略戦争など、戦後、数限りない侵略戦争をやってきました。米国は、これらの侵略戦争を「ウソ」の口実で始めました。ベトナム戦争では「トンキン湾事件」というのをでっちあげて、自衛権の発動だと言って介入しました。イラク戦争では「フセインが大量破壊兵器を持っている」とでっちあげて、国連安保理決議にもとづく行動だと言って侵略を始めました。どちらも「ウソ」の口実だったのですけれども、それでも、ともかく国連憲章と国際法を「建前」に自らの行動を合理化したのであります。

 ところがトランプ政権は、そういう「建前」自体をかなぐり捨ててしまっています。トランプ氏の原則はただ一つです。「米国第一」で「取引(ディール)」をする、これだけです。これは、一見、「強そう」に見えますが、世界から孤立し、信頼を根底から失う道です。いかに帝国主義であっても、世界を支配するには、それなりの「道義的」な力が必要です。道義的な力を失った帝国は没落する。これらを踏まえて、幹部会決議では「アメリカ帝国主義の“落日”が始まった」と規定づけました。

 これは科学の力で世界をとらえる綱領を持つ日本共産党でなくては言えない批判ではないでしょうか。

トランプ氏の「米国第一」の矛先は同盟国にも――日本の進路が問われている

 そういうもとで日本の進路が問われています。トランプ氏の「米国第一」は、その同盟国にも容赦なく矛先が向けられています。それぞれなりにいや応なしに対応が迫られることになります。たとえばトランプ大統領は、「カナダはアメリカの51番目の州になるべきだ」と繰り返しています。これに対して、カーニー新首相は会見で「クレージーな主張だ」と一蹴しました。本当に「クレージー」な話です。

 それでは日本はどうするのか。トランプ政権は、日本に対しても「軍事費GDP3%以上」だけではなくて、在日米軍の「思いやり」予算についても「もっと増やせ」と言いたい放題を始めているではないですか。「法の支配」をかなぐり捨てて“落日”の道を進むトランプ氏の米国と、「日米同盟絶対」で、運命共同体の道を進んで心中するつもりなのか。日本の進路が厳しく問われているのであります。

 異常な対米従属という日本の政治の最大のゆがみを根本から改革する綱領を持つ、日本共産党のがんばりどころの情勢ではないでしょうか。(拍手)

情勢を攻勢的につかむ(3)――都政の問題

激しく厳しい選挙だが、こんなにたたかいやすい選挙はない

 都政の問題はどうでしょうか。

 今度の都議選は、自民・公明・都民ファーストとの対決にくわえ、これまで都政に足場を持たなかった政治勢力も乱立するなか、激しいたたかいになっています。「共産党都議団はとてもよくやっていると思うが、厳しいたたかいではないか」という声もあると思います。

 たしかに激しさと厳しさはリアルに直視しなければなりませんし、勝利は容易ではありません。同時に、私は、「こんなにたたかいやすい、たたかいがいのある選挙はかつてない」と強く実感しております。

 自身の実感を申しますと、私は、32年前の1993年の都議選以来、書記局長、委員長として、都議選を東京のみなさんとともに、これまで8回たたかってまいりました。今回は9回目です。これまでの8回を数えてみますと、8回のうち勝利・躍進したのが4回、後退したのは4回。“4勝4敗”です。今度勝てば“勝ち越し”になる。みなさんと一緒にがんばりたいと思うのですが、この三十数年来のたたかいの全体を振り返ってみまして、今回の都議選ほどたたかいやすい選挙はない。これが私の強い実感なのです。

党都議団の実績が、これほど豊かに語れる選挙はかつてない

 この点で、まずみなさんに強調したいのは、日本共産党都議団の実績が、これほど豊かに語れる選挙は、かつてないということです。

 学校給食無償化では、とうとう24年度から東京都が自治体への支援を開始し、都内全ての自治体で学校給食無償化が実現しました。シルバーパスについても、とうとう来年度予算案にシルバーパス4割値下げが盛り込まれました。補聴器購入については、24年度から都の補助制度の充実が実現しました。党都議団が「痴漢ゼロの東京」を打ち出し、都政の重要課題におしあげ、国会議員団とも協力して国政の課題にもおしあげてきました。理不尽な校則をなくそうと提起し、都でも国でも見直しが進められてきました。認可保育所を大きく増やし、保育料無償化をかちとったこともこの間の大きな成果です。これらの実績をかちとるうえで、吉良よし子参議院議員、山添拓参議院議員をはじめ、国会議員団が重要な役割を果たしました。

 いまあげた実績は、どれ一つとっても素晴らしい実績です。それをこれだけ豊かに語れる。こういう選挙はかつてありません。

 この点でわが党は、他の党と比較しても、圧倒的な優位に立っているということを、私は言いたいと思います。いま私があげた実績の多くは、自民・公明・都民ファーストの妨害を、都民との共同ではねのけてかちとったものです。ですから自民・公明・都民ファーストには、都民の願いを妨害したという、「負の実績」しかないのです。新しく都政参入を狙う政治勢力は、いろいろな政策を掲げるでしょうけれども、「実績はゼロ」です。都政でやってきたことが何かあるわけじゃない。今度の都議選で、これだけの豊かな実績を背景に、政策を語れる党は、日本共産党をおいてほかにないのであります。

野党第1党の力――何としてもこれを守り、さらに前進を

 それではなぜこれほど豊かな成果があげられたか。それは日本共産党が、2013年、17年、21年と、3回連続で都議選で勝利し、野党第1党の力を持ってきたからです。全都の党と後援会のみなさんのがんばりで、そういう力を持ってきたからです。国会でいえば100議席以上に匹敵する力を、12年間にわたって維持、拡大してきた。その力と都民の運動との共同で都政を動かしてきたのです。

 それにかかわって、私は、さきほどご紹介したどの実績も、一朝一夕に実現したものではないということを強調したいと思います。たとえば党都議団は、給食費無償化については、2017年以来4回もの条例提案を行っています。シルバーパスの値下げは、2017年以降だけでも5回の条例提案を行っています。補聴器補助を打ち出したのは2012年ですが、十数年にわたるねばり強いとりくみで補助充実をかちとってきました。「痴漢ゼロ」の問題も、理不尽な校則の問題も、4年から5年越しの取り組みが実ったものであります。つまり2013年以来、野党第1党の力をもち、この力を生かしての奮闘を続けてきたことが豊かに花開いたのが、この4年間ではないでしょうか。

 もう一つ、野党第1党の力として素晴らしいと思うのは、都民要求の実現のために他の野党を結集する要の役割を果たしてきたということです。給食費無償化は4会派共同で条例提案したことが実現への決め手になりました。シルバーパスの値下げは5会派共同で条例提案したことが、実現への決め手になりました。いま都議会自民党の裏金問題が大争点になっていますが、この問題でも真相解明を求める政治倫理審査会の設置で、6会派共同で要綱案を提出したことが自民党を追い詰めています。野党第1党というのは自分ががんばるだけじゃなくて、他の野党を結集する仕事を果たしてこそ、野党第1党の仕事を果たしたと言えます。そういう仕事をやってきた。

 そして、都議会といえば、長い間、日本共産党以外の「オール与党」体制が続いてきましたけれども、ついにこれを打ち破った。これは快挙だと思います。4年前は、知事提出の予算案に対して、共産党以外は1人を除いて全員が賛成でした。「オール与党」でした。ところが今年度予算は賛成したのは自民・公明・都民ファーストだけで、都議の3分の1が反対したのです。野党第1党としての共産党議員団の奮闘が都議会の様相を大きく変え、「オール与党体制」を打ち破ったことも、都民のみなさんに大いに広げていっていただきたいことであります。

 こう考えますと、野党第1党というポジションがどんなに重要なのか、明瞭だと思うのです。何としても4回連続の勝利をかちとって、野党第1党の議席を守り、さらに増やすために、全力をあげようではありませんか。(拍手)

「四つの改革提案」について――日本共産党の光らせどころを握って

 いま一つ、都議選の問題で、私が強調したいのは、政策の問題です。

 今回の都議選で、日本共産党は、2月6日に都委員会が発表した「政策アピール」と2月8日の田村委員長の演説で「四つの改革提案」という形で、政策的訴えの基本をすでに確立しています。過去を振り返ってみましても、こんなに早い段階で政策的訴えの基本が定まった選挙もこれまでにないと思います。私自身の体験でも、4月から5月の時期にようやく論戦が定まったという選挙も少なくありませんでした。今回それが早い段階から可能になった力は、どこにあるかを考えてみますと、やはり日本共産党都議団の奮闘が素晴らしい。だから、政策的な発展方向も、自然に、豊かな形で示すことができるのだと思います。

 「四つの改革提案」は、どれも都民の切実な要求にねざし、わが党ならではの先駆性が発揮された内容になっています。この内容を、選挙本番に向けて、都民との対話をつうじて、さらに都民要求にマッチしたものにブラッシュアップしていく努力をやっていきたいと思います。

 たとえば第一の提案――「物価高の今こそ『暮らし第一』の都政に変えよう」についてです。このパーツについては、いま都の常任委員会として「政策アピール」を土台にして、「物価高騰から都民生活を守る緊急要求」という形で、パッケージで切実な緊急要求を整理して提起し、さらに語りやすくする努力を進めていると聞きました。都常任委員会として検討している「緊急要求」は、現在のところ次の5項目と聞きました。

 「1、中小企業への1人当たり12万円の賃上げ支援と公契約条例の実現」「2、上下水道料金の10%値下げ」「3、国保料(税)を1人3万円引き下げ、18歳までは無料に」「4、シルバーパスを無料にするとともに、公共交通の子ども料金を18歳まで拡大」「5、3年間の緊急支援として100万世帯への月1万円の家賃補助」

 この5項目を「緊急要求」としてボーンと掲げて訴えていこうということを検討していると聞きました。こうした方向は、私は大賛成ですがいかがでしょうか。(拍手)

 ここでのわが党の光らせどころは、私たちの提案というのは無責任なバラマキではない、たしかな財源の裏付けを持った提案だということです。党都議団は、毎年の予算議会に、予算案全体の歳入と歳出の両面にわたる組み替えを提案しています。こういう予算組み替えを毎年提案している党は、日本共産党だけであります。

 いま一つは、第二の提案――「『財界ファースト』の大型開発ではなく、都民の声が生き、住み続けられる東京に変えよう」についてです。これは新しい提起ですが、住宅問題という東京の抱えている大問題、都民の切実な願いにズバリかみ合ったものになっていることが、論戦を通じても明らかになってきました。

 いま開会中の都議会の第1回定例会では、どの党も住宅費の高騰問題を取り上げました。自民・公明・都民ファーストは知事が予算に計上している「アフォーダブル住宅」の推進を主張しました。また横文字が出てきたのですが、中身を見ますと民間まかせにすぎない。そして供給の規模は極めて微々たるものです。たとえば「空き家活用」の場合、供給戸数は報道ではたったの80戸程度との想定だそうです。まさに焼け石に水です。ただ、ここで大事なことは、ともかくも共産党が提起した住宅問題が都議選の熱い争点になりつつある。ここが大事なところだと思います。

 住宅問題でのわが党の提案の光らせどころは、私は、いま起こっている住宅費の高騰は、国と東京都、デベロッパー(開発業者)が一緒に進めている規制緩和で、超高層ビル、タワーマンションが隣立し、投機の対象になっていること――つまり「財界ファースト」の「稼ぐ東京」の路線こそ住宅費の高騰の原因であり、ここに規制のメスを入れてこそ、問題の根本的解決がはかられるということにあります。こうした根本的な解決の道筋を示せるのは、日本共産党をおいてほかにない。ここでも大いに自信を持って訴えようではありませんか。

 こうやってみますと、今度の都議選は、ほんとうに面白いじゃないですか。抜群の実績を持っている。それに裏付けられた抜群の政策を持っている。そして個性にあふれ、実力も魅力も抜群の候補者を持っている。ですから、こんなにたたかいやすい、たたかいがいのある選挙はないと私は思います。

 みなさん。ここにみんなで深い確信を持って、選挙戦を楽しく、元気いっぱいにたたかいぬき、必ず勝利をかちとろうではありませんか。(拍手)

要求対話――新しい人々と結びつき、選挙でも党づくりでも新たな前進を

 具体的活動については、田辺都委員長が、この後、報告をされると思うので、私は、幹部会決議を前提にして、二つの点を訴えたいと思います。

この運動の「おもしろさ」をみんなのものに

 その一つは、4中総決定が打ち出した要求対話・要求アンケートの取り組みについてです。私たちはこの取り組みを、新しい方々に党の声を届ける、選挙勝利と党づくりを一体的にすすめる、そういう「戦略的大方針」に位置づけて取り組んでいますが、首都・東京でこそ、全国の先陣を切ってこの取り組みを大飛躍させてほしいということを訴えたいと思います。

 この運動を大飛躍させるカギは二つあります。第一は、この運動の「おもしろさ」をみんなのものにすることです。第二には、一般的によびかけるだけでなく、さまざまな作戦を具体化し、実践を励ますことです。

 この運動の「おもしろさ」という点では、東京でも、すでにたくさんの経験が生まれていると思います。先日の幹部会の会議では、次の日曜日(3月23日)に投票となる小金井市議選の取り組みが、東京の同志から報告されました。それを聞きまして、新しい開拓的な取り組みをやっていることに注目いたしました。

 いま、小金井市の党と後援会は、1000人規模で取り組んだ市民アンケートをもとに、「物価高騰から暮らし守る 日本共産党の緊急提案」を掲げて、選挙戦をたたかっています。この「緊急提案」というのは、「電気・ガス・ガソリン代補助、お米券を全世帯に配布、国保税1世帯あたり年1万円の減税、家賃補助を低所得者に実施」の4項目ですが、これを掲げて、駅前や公園などで、シール投票をつかった要求対話にどんどん取り組んでいるということでした。その対話の詳細なメモを拝見しました。「食料品と電気・ガス・水道が高くなって困る」という声が圧倒的に多く、みんな言いたいことがあるという雰囲気でどこでも対話になります。この対話のメモを拝見してたいへんに印象深かったのは、相手から、「こういうことをちゃんとやってくれるのはうれしい」「ありがとうございます」「シールアンケートの結果はいつ発表されるんですか」といった反応も多いということです。そして、この運動をつうじて、新鮮な活力と確信が広がっている、その力で選挙をたたかっているとのことでありました。

 こういう取り組みがいま、東京で広がっていると思いますが、小金井市の仲間のみなさんには、激しく厳しい選挙戦だと思いますが、ぜひ全員当選という結果に結びつくように連帯のエールをこの場から送りたいと思います。(拍手)

要求対話100万をやりぬいたら、新しい大展望が開かれる

 4月末までの「大運動」での東京の目標――は、要求対話では100万です。100万をやりぬいたら、新しい方々に党の声を届け、結びつきを広げ、選挙でも、党づくりでも、新しい大展望が開かれることは間違いありません。私たちの活動を刷新・改革するこの「戦略的大方針」を東京でこそ大成功させることを心から訴えたいと思います。

党勢拡大――「党をつくって、その力で選挙に勝つ」という鉄則を実践して勝利を

 いま一つは、党勢拡大についてです。「党をつくって、その力で選挙に勝つ」というのは、選挙の鉄則です。今度こそ、この鉄則をやりぬいて勝利をつかみたい。

「実践で突破」し、「やればできる」ことをみんなの確信に

 この問題では、「そうはいっても増やすことに自信がない」「高齢化の現状はたいへんだ」などの気持ちもあると思います。どう突破するか。三つのポイントを訴えたい。一つは、今日お話しした政治情勢の「おもしろさ」をみんなでしっかりつかむことです。二つ目は、要求対話で実際に足をふみだし、ここでも「おもしろさ」をつかんで、新しい方々との結びつきを広げていくことです。そして、三つ目として、党勢拡大で実際に前進をつくりだす――「実践で突破」し、「やればできる」ことをみんなの確信にしていく。このことを訴えたいと思います。

 東京の「大運動」の党員拡大の目標は800人、若い世代・真ん中世代の目標は500人です。これを、力をあわせて必ずやりぬきたいと思います。それと一体に「しんぶん赤旗」読者拡大を、目標達成をめざしてたしかな前進の軌道にのせていきたいと思います。そうすれば、選挙勝利にむけた新しい熱気と活力が党内にみなぎり、勝利への大展望がここでも見えてくることは間違いないのではないでしょうか。

 「党をつくって、その力で選挙に勝つ」――この選挙戦の鉄則を、掛け値なしに実践して、勝利をつかもうではありませんか。後援会のみなさんにもご協力を心からお願いしたいと思います。(拍手)

世代的継承を、党と後援会あげての取り組みにしていこう

 私が、とくに訴えたいのは、党員拡大を党づくりの「根幹」にすえて推進するとともに、世代的継承――若い世代・労働者・真ん中世代のなかでの党づくりを前進させるために、党と後援会のあらゆる可能性をくみつくそうということです。

 私は、先日、大阪で行われた若い世代・真ん中世代を対象にした「ミーティング」に参加する機会がありました。50代以下で500人、全体で750人を集める画期的な取り組みとして成功し、若い方々の中で党員が増え、今でも党員拡大が続いていると聞きました。いろいろな教訓があると思いますが、私が最大の教訓だと思っているのは、大阪府委員会が「世代的継承なくして党の未来はない」と思いを定め、毎週、数十人の府の中枢幹部が推進会議をもって、「ミーティング」の内容をどうするか、から参加組織まで、知恵と力をつくし、党をあげて取り組んだことにあります。

 ぜひ、世代的継承を、党と後援会あげての取り組みにしていく。これを東京でこそダイナミックにすすめることを心から呼びかけたいと思います。そのために「タテ」――分野ごとに、「ヨコ」――すべての地域で、「集い」を網の目のように開き、新しい党員を迎える活動を発展させていきたいと思います。

 私自身も、東京で開催され、全国にオンラインで配信される、3月22日の建設労働者のつどいに参加いたします。5月10日に開催予定の学生オンラインゼミ第4弾「『資本論』で読み解く21世紀」でもお話しする機会があります。みなさんと力を合わせてこの取り組みを成功させたいと思います。

「若い世代が若い世代を自らの力で増やす」運動への発展を

 もう一つ、ここで訴えたいことがあります。世代的継承の取り組みで本格的な前進をつくるためには、二つの点を重視した取り組みが大事だと思います。

 第一は、われわれベテラン世代が、ベテラン世代の責任で、若い世代・労働者・真ん中世代を党に迎え入れるということです。まずはベテランががんばらなくちゃいけない。

 第二は、それを「若い世代が若い世代を自らの力で増やす」「真ん中世代が真ん中世代を自らの力で増やす」「労働者は労働者を自らの力で増やす」、それぞれの世代がそれぞれの世代を自らの力で増やす運動へと発展させていくということです。

 この二つが大切だと思うのです。

 この点で民青同盟のみなさんは、「自らの力で新しい同盟員を迎える」――こういう運動に取り組み、年々運動を発展させています。この取り組みに私たちも大いに学びたいと思います。

 東京でもある大学の学生支部では、社研サークル、学費値上げ反対運動などに取り組むなかで、自立した学生支部に成長し、最近も「入党のよびかけ」を使って、新しい党員を専従者の力を借りずに自力で拡大し、昨日もまた入党者を迎えたと聞きました。新しい同志を、次々と自分の力で迎えている。こういう運動が定着し、広がったら、飛躍が必ず起こると思います。若い人の願い、若い人の気持ちを一番よく知っているのは、ほかでもない若い人自身だと思います。党勢拡大運動・党員拡大運動を、「若い世代が若い世代を自らの力で増やす」「真ん中世代が真ん中世代を自らの力で増やす」「労働者が労働者を自らの力で増やす」――そういう運動へと発展していくために、力をつくそうではありませんか。それをすすめるうえで、中央が作成した二つの「入党のよびかけ」をぜひ大規模に活用していただきたいと思います。

 党と後援会が力をあわせて、「やればできる」経験をつぎつぎとつくりだし、若い世代・労働者・真ん中世代をはじめ新しい党員を増やし、読者を増やし、「党をつくって、その力で選挙に勝つ」という選挙の鉄則をやりぬいて、勝利をつかもうではありませんか。(拍手)

都議選と参院選を、「比例を軸」に、一体的・相乗的に取り組もう

 最後に、都議選と参議院選挙との関係についてのべます。

 私は、都議選と参議院選挙を、「比例を軸」に、つまり日本共産党自身の支持を広げることを共通の「軸」にして、一体的・相乗的に取り組むことを訴えたいと思います。

 都議選で勝利をかちとることは、直後に行われる参院選勝利の決定的な力になります。同時に、「比例を軸」にした参院選の取り組みを、都議選の取り組みと一体に、相乗的に取り組んでこそ、都議選も参院選も勝利できることを訴えたいのです。

 「まず都議選、次に参院選」と絶対になってはなりません。「比例を軸」に、「東京は一つ」「全国は一つ」で「5人全員必勝」に向けて全東京が燃えに燃える状況をつくりだし、吉良よし子さん3選に向けて全東京が燃えに燃える状況をつくりだし、そのことと一体に、都議選必勝にとりくんでこそ、連続勝利は現実のものになるということを訴えたいのであります。

 12年前、2013年の都議選・参院選の連続選挙では、都議選・参議院選挙を一体にたたかいました。まず都議選で8議席から17議席への躍進の扉を開いた。そのことが、直後に行われた参院選での全国での躍進、吉良よし子さん初勝利につながりました。

 13年に行われた都議選で躍進をかちとった直後のことは忘れられません。新宿駅西口で都議選勝利を報告しますと、集まった方々の大歓声がやまなかった。この熱気が一気に全国に広がって、比例5議席への躍進をかちとり、吉良よし子さん、辰巳孝太郎さん、倉林明子さん――選挙区での3議席への躍進につながったわけであります。

 ふたたび、連続躍進を首都・東京から必ず実現することを心から呼びかけ、ともにたたかう決意をのべて発言とします。ともにがんばりましょう。(拍手)