志位和夫 日本共産党

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国会質問

2025年2月14日(金)

志位議長の代表質問 衆院本会議


 日本共産党の志位和夫議長が13日の衆院本会議で行った、石破茂首相の訪米報告に対する代表質問は次の通りです。


トランプ大統領の「ガザ住民の強制移住、米国の所有」宣言を黙認するのか

写真

(写真)衆院本会議で質問する志位和夫議長=13日

 私は、日本共産党を代表して、日米首脳会談について、総理に質問します。

 まず問いたいのは、パレスチナ・ガザ地区の住民を強制移住させ、米国が土地を「長期的に所有」するという、トランプ大統領の発言に対する態度です。国連事務総長、ドイツ、フランスなど米国の同盟国も批判の声をあげるなかで、総理が、日米首脳会談で、なぜ批判的言及を一切しなかったのか。お答えください。

 イスラエルのジェノサイドによって深く傷ついたガザの人々への人道支援を強化し、停戦を恒久化するために国際社会が力をつくすべき時に、住み慣れた土地から追放し、観光地にするというのは、あまりにおぞましい構想です。総理は、首脳会談後の会見で、トランプ氏について、「世界に対する強い使命感をもつ方」と持ち上げましたが、あまりに卑屈なおもねりというほかないではありませんか。

 戦時の文民保護を定めたジュネーブ条約は、占領地域から住民を強制移送することを固く禁止しています。国連憲章は力ずくで領土を取得することを禁止しています。トランプ氏の主張が、国連憲章と国際法を深刻に蹂躙(じゅうりん)するものであることは、あまりにも明瞭ではありませんか。総理にはその認識がありますか。

 日米共同声明では、中国などを念頭に、「力による現状変更の試みへの強い反対」を明記しましたが、最悪の「力による現状変更の試み」であるトランプ氏の発言を黙認するならば、「ダブルスタンダード」そのものになるではありませんか。

 日本政府を含む国際社会の大半は、パレスチナ国家の樹立を支持し、イスラエルとの「2国家共存」を求めています。トランプ氏の主張は、「2国家共存」を根本から否定するものであり、日本政府の方針にてらしても許容できないものではありませんか。

 ことは法の支配にもとづく国際秩序を根底から揺るがす大問題です。いまからでもトランプ氏に撤回を求めるべきです。答弁を求めます。

「パリ協定」から離脱し、気候危機打開に逆行するトランプ氏の暴走に加担するのか

 総理は、日米首脳会談で、トランプ大統領が気候変動対策の「パリ協定」から離脱したことに対しても、一切言及をしませんでした。なぜですか。世界各地で洪水や山火事などが相次ぎ、日本でも猛暑、豪雨、豪雪、農漁業の被害が起こり、気候危機対策は文字通り待ったなしです。「地球温暖化はでっちあげだ」と語り、「掘って掘って掘りまくれ」と石油や天然ガスの増産に突き進むトランプ氏の暴走に対して、国際協調の重要性をとき、翻意を促すことが必要だと考えませんか。

 ところが総理は、米国の貿易赤字の穴埋めのために、液化天然ガスを新たに購入する約束までしてきました。これでは、気候危機打開に逆行するトランプ大統領の暴走に、あからさまに加担することになるではありませんか。お答えください。

27年度以降、さらに軍事費を増やすつもりか

 総理が、日米共同声明で、「日米同盟の抑止力・対処力」のさらなる強化を宣言したうえで、「2027年度より後も抜本的に防衛力を強化していく」ことを約束したことは、きわめて重大です。

 政府が、22年12月に閣議決定した「安保3文書」の「防衛力整備計画」では、23年度から27年度までの5年間で軍事費を43兆円に増額したうえで、27年度以降は「防衛力を安定的に維持する」とされています。ところが共同声明では、27年度以降も「抜本的に防衛力を強化していく」と明記されています。

 総理、「維持」から「抜本的強化」に変わったのはなぜですか。その理由を明確にお答えください。これは軍事費をGDP(国内総生産)比2%よりさらに増やすという誓約ではありませんか。こんな重大な事を、国会にはかることもなく、閣議決定すら行わずに、米国に約束してきたのですか。

 総理は、大軍拡の理由として、「日本をとりまく安全保障環境が戦後最も厳しい」とくりかえしています。それではうかがいます。政府が今進めている空前の大軍拡計画を実行すれば、日本をとりまく安全保障環境が改善するというのですか。

 日本が大軍拡を進めれば、相手も軍拡を加速させ、軍事対軍事の悪循環に陥り、かえって戦争のリスクを高める――いわゆる「安全保障のジレンマ」に陥ってしまう。総理は、その危険をどう考えますか。

 大軍拡によって暮らしの予算が圧迫されています。来年度政府予算案は、軍事費だけが前年度比9・5%増と異常突出し、社会保障予算、文教・科学予算、中小企業予算など、暮らしの予算は、どれも物価上昇に追いつかない実質マイナスの予算となっています。高額療養費の上限引き上げ、大学学費の値上げラッシュなど、暮らしの予算を削りに削りながら、軍事費だけは異常突出を続ける。総理、「戦後最も厳しい」レベルにあるのは国民の暮らしです。それを無視した予算案ではありませんか。

 平和も暮らしも壊す大軍拡を中止し、現にASEAN(東南アジア諸国連合)が実践しているように、対話の徹底した積み重ねで東アジアに平和をつくる外交にこそ心血を注ぐことを強く求めて質問を終わります。