2024年11月24日(日)
軍事でなく外交を 排除でなく包摂を
――アジア政党国際会議(ICAPP)第12回総会での発言
日本共産党中央委員会議長・衆院議員 志位和夫
【プノンペン=面川誠】日本共産党の志位和夫議長が22日のアジア政党国際会議(ICAPP)第12回総会で発言した内容を紹介します。以下は、ICAPP事務局に提出した発言原稿の正文です。
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尊敬する議長。
親愛な友人のみなさん。
私は、日本共産党を代表し、「軍事でなく外交を、排除でなく包摂を」と題して発言いたします。
ブロック対立を強く憂慮、包摂的な平和の枠組みを目指す流れにこそ未来がある
友人のみなさん。
今日、私たちの住む東アジアで、排他的なブロック対立が強まっていることを、私は強く憂慮しています。この動きは、軍事対軍事の悪循環を引き起こしています。その先に平和は決して訪れません。
他方で、東アジアのすべての国を包み込む包摂的な平和の枠組みをつくろうという希望ある流れが発展しています。ASEANが提唱しているASEANインド太平洋構想(AOIP)です。
こうした情勢のもと、日本共産党は今年4月、「東アジアの平和構築への提言」を発表し、ASEAN諸国と手を携え、AOIPの実現を共通の目標にすえ、東アジアを戦争の心配のない地域にしていくことを国内外で訴えてきました。私は、この方向にこそ平和、協力、繁栄の東アジアの未来があると確信するものです。
そして私が強調したいのは、ICAPPが「アジア共同体の構築」をビジョンに掲げ、イデオロギーの違いを超えてアジアのすべての政党に開かれた包摂的なプラットフォームとして、AOIPとまったく同じ方向を目指しているということです。東南アジアで開かれるこの総会において、AOIPへの支持が合意になることを私は強く願ってやみません。
「ブロック政治を回避し、競争よりも協力を強調」―この内容の継承・発展を
友人のみなさん。
さらに強調したいのは、前回のICAPP総会で採択された「イスタンブール宣言」に明記された「ブロック政治を回避し、競争よりも協力を強調した」との内容が、今日の情勢のもとでいよいよ重要になっているということです。
私は、この夏に欧州各国を訪問する機会がありましたが、戦争を契機にブロック対立が激化している欧州でも、「ブロック政治の回避」を強調する「イスタンブール宣言」への強い共感の声が寄せられたことをお伝えするものです。この総会の最終文書でも、この内容が継承され、発展させられることを私は強く望むものです。
ウクライナとガザ―「ダブルスタンダード」を退け、国連憲章と国際法で団結を
友人のみなさん。
ウクライナ侵略とガザへのジェノサイド(集団殺害)は、恐るべき犠牲をもたらし、国連憲章にもとづく世界の平和秩序を根底から脅かしています。
どちらの問題も解決策は軍事ではありません。国連憲章と国際法にもとづく対話と交渉が解決の唯一の道です。その際、ロシアを非難するが、イスラエルを事実上擁護する「ダブルスタンダード(二重基準)」を厳しく退けることが重要です。誰に対してであれ、国連憲章と国際法は平等に、また普遍的に適用されなければなりません。
国連憲章と国際法を守れの一点で、国際社会が団結することを、この総会の意思として世界に呼び掛けようではありませんか。
来年は広島・長崎の被爆80年―「核兵器のない世界」への決意を世界に発信しよう
友人のみなさん。
最後に訴えたいのは核兵器の問題です。
この間、日本の被爆者の団体―日本被団協がノーベル平和賞を受賞しました。これは私たち日本国民にとっての大きな喜びです。同時に、この受賞は、被爆者のみなさんが切望し、訴え続けてきた「核兵器のない世界」の実現が、いよいよ待ったなしの課題であることを示しています。
これまでICAPPは、アスタナ、プノンペン、コロンボなど一連の総会で、「核兵器のない世界」の実現を世界に呼び掛けてきました。
来年は、広島・長崎の被爆80年の節目の年となります。総会の総意として、核兵器禁止条約への歓迎と、「核兵器のない世界」に向けた決意を、世界に発信しようではありませんか。
ご清聴ありがとうございました。