2024年9月19日(木)
豊かな交流 希望を日本・世界へ
欧州歴訪報告会 志位議長語る
日本共産党の志位和夫議長による「欧州歴訪報告会」が18日、党本部で開かれました。8月29日~9月10日に欧州3カ国―ドイツ、ベルギー、フランスを訪問した志位氏は、ベルリンでの国際平和会議への参加、理論交流、欧州の左翼・進歩諸党との会談、労働組合との懇談の成果や意義を報告。平和のための国際連帯をはじめ豊かな交流の内容を、多くのエピソードもまじえて生き生きと語りました。
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志位氏は冒頭、「政治情勢は、早期の解散・総選挙の可能性が強まる激動のなかにあります。この報告の内容が、中長期の視野での党の発展とともに、直面する政治戦にも生きることを願って話をすすめます」と述べ、報告に入りました。
まず志位氏は、訪問の成果と意義について報告。「欧州歴訪は全体として重要な成果をあげることができたと思いますが、それは訪問団全体の緊密な協力によるものでした」と深い感謝を表明しました。
党議長、あるいは委員長による欧州訪問は35年ぶりです。志位氏は、この期間に欧州の左翼勢力は旧ソ連・東欧の体制の崩壊に直面したが、一連の左翼・進歩諸党はそれぞれなりに困難を乗り越えて、新しい道を探求し開拓する途上にあると指摘。「これは私たちと欧州の左翼・進歩諸党との新しい連帯の強化を可能にする条件となりました」と語りました。
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この間の客観的情勢としては、ユーラシア大陸の東と西での軍事同盟強化と大軍拡という「共通した危険」が起こり、この逆流に立ち向かう国際的連帯が急務となっていると指摘。「共通した危険」の根本には米国の世界戦略があるとして、「ならば、日本と欧州の平和勢力もこれに立ち向かう国際的連帯を強めなければならない。このことを今回の欧州訪問の目的に据えました」と強調しました。
党綱領、大会決定との関係では、今回の訪問は2020年の綱領一部改定で「発達した資本主義国での社会変革は、社会主義・共産主義への大道である」と位置付けたこと、1月の党大会で「欧米の左翼・進歩諸党・諸勢力との交流と連帯をさらに発展させる」と確認したことの実践であり、「今回の訪問によって野党外交の視野が欧州へと大きく広がった」と報告しました。
歴訪の具体的な中身に話を進めた志位氏は、8月31日にベルリン市内で開催されたドイツの進歩的シンクタンク、ローザ・ルクセンブルク財団主催の国際平和会議「今こそ外交を!」に参加し、発言したことを報告。ウクライナの流血と破壊を終わらせるために、国際社会に「和平協議に道を開くあらゆる努力」を呼びかける会議の主題と、自身の発言がかみ合い、響き合ったと報告しました。
会議で採択された「呼びかけ文」には、戦争終結のための和平交渉の呼びかけとともに「私たちはいま行動し、新たなブロック対立を防がなければならない」との一文が修正・補強する形で新たに明記されたと報告。「それは、ブロック対立に反対し、包摂的な平和の枠組みをつくるという日本共産党の『東アジア平和提言』の立場が世界に広く通用する生命力を持つことを示すものともなりました」と強調しました。
また国際会議を通じて、英国労働党前党首のジェレミー・コービン氏と出会い、会談を行い、「英国にも平和な世界をつくるうえでの力強い友人をえた」ことを報告しました。
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次に志位氏は、「共産主義と自由」「自由な時間」を巡る理論交流について報告。ローザ・ルクセンブルク財団の本部で同財団のビアバウム理事長の司会のもと、財団の理論・労働・社会分野の専門家らと懇談を行ったことを紹介しました。
志位氏はドイツ側の専門家が、事前に渡していた二つの英文テキスト『Q&A 共産主義と自由』、『前衛』9月号に発表した論文「『自由な時間』と未来社会論」―を熟読しており、何人かはコメントを文書で用意し、発言するという真剣で率直なやりとりになったと強調。ビアバウム氏からは理論交流の継続が表明されたことを報告しました。
9月2日から9日までの期間は日程をフルに使って、欧州左翼党、一連の左翼・進歩諸党とそれぞれ首脳会談を実施。志位氏は、どの党とも(1)軍事同盟強化に反対して平和を擁護する(2)排外主義の台頭に反対して人権と自由を擁護する―という二つの大きな柱で連帯と協力が確認されたと強調し、会談を行った順番に中心点を報告しました。
ドイツでは2日にドイツ左翼党(リンケ)のマルティン・シルデワン共同議長と会談し、連帯を確認。ベルギーでは4日にベルギー労働党のペテル・メルテンス書記長から躍進の最中にある同党の取り組みを学び、同日午後には、欧州左翼党本部を訪問し、ワルター・バイアー議長と軍事同盟強化と排外主義を許さない連帯を確認したことを語りました。5日には欧州連合(EU)の欧州議会を訪問し、欧州左翼党会派議員と会談し、平和の問題で一致したことを報告しました。
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フランスでは、同日にフランス共産党のバンサン・ブレ全国執行委員・国際担当責任者と夕食会で会談し、大激動のフランスの政治情勢の説明を受け、6日には新人民戦線の第1党「服従しないフランス」の党本部で、ジャンリュック・メランション代表と会談し、連帯と共同を確認したことを語りました。
7日のフランス共産党本部でのファビアン・ルセル全国書記との会談は、両党の友好関係を一段と引き上げるものになり、その後のブレ氏との会談では、フランス共産党がフランス革命の伝統に立脚し、さまざまな困難を乗り越えて奮闘している姿に感動を覚えたと強調。9日にはフランスの環境政党・緑の党の党本部でマリナ・ベロノー国際責任者と会談し、原発、環境、平和の問題で意気投合したことを報告しました。
欧州の「社会的ルール」の現状をつかみ、教訓を学び、日本の運動に生かすことも今回の訪問の目的の一つです。雇用でも、社会保障でも、教育でも、ジェンダーでも欧州の到達点と日本の到達点には大きな開きがあるのはなぜか。志位氏は、この素朴な質問を労働団体や政党との会談でぶつける中で、たたかいこそ「社会的ルール」をつくるという単純な事実にこそ真実があることを確信することができたと報告しました。
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最後に志位氏は、訪問の全体を通じて実感したことを3点にわたって報告しました。
第一は、日本と欧州は距離は1万数千キロも離れているが、それぞれの社会進歩の運動には、共通する条件、共通する課題、共通する困難、共通する教訓がたくさん存在しているということです。志位氏は「一言で言えば、欧州は距離こそ離れているが、とても身近な存在だということです。双方の連帯を強めるとともに、実践でも、理論でも、互いの努力を敬意を持って学び合うことが大きな意義を持つことになると思います」と述べました。
第二は、旧ソ連・東欧の崩壊によって欧州の左翼・進歩諸党・諸勢力は大きな困難に直面したが、それから30年余たったいま、欧州のさまざまな国で困難を乗り越えて、新しい道を探求し開拓する運動が起こり、発展しつつあるということです。志位氏は「資本主義体制の矛盾があるかぎり、社会進歩の運動は必ず起こり、発展する。この大局的確信を持って、未来にのぞもう」と訴えました。
第三は、なぜ欧州の同志たちが久方ぶりの日本共産党の訪問を温かい歓迎を持って迎えてくれたのかという問題です。志位氏はその理由として、(1)日本共産党が一貫した歴史と路線を持った党だということを少なくない欧州の同志たちが知っているということ(2)日本共産党が草の根で国民と結びつき、国民の願いにこたえて奮闘する党であることを少なくない欧州の同志たちが知っているということ―の2点を強調しました。
志位氏は「私たちは、一連の会談を通じて、欧州の同志たちの成功と躍進を心から願わずにはいられませんでした。おそらくは欧州の同志たちも、日本共産党の成功と躍進を願ってくれていると強く確信しています」「この期待にこたえて、総選挙では日本共産党の躍進を必ず勝ち取り、日本国民のみならず世界に希望を届けようではありませんか」と訴えました。