志位和夫 日本共産党

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主な活動

2024年6月7日(金)

経済危機・暮らしの困難

打開の道 共産党が提案

横浜で志位議長


 30年におよぶ経済停滞・暮らしの困難を打開し、日本経済を健全な発展の軌道に乗せる道はどこにあるか―。日本共産党神奈川県委員会は5日の夜、志位和夫議長を招いた「神奈川経済懇談会」を横浜市内で開きました。党の「経済再生プラン」を紹介し各界と意見交換する同懇談会に中小企業、医療、農業、建設など各分野から、個人では輸送業者、飲食店や電器店の店主まで38団体・150人が参加しました。参加者は志位氏と活発な議論を交わし、「共産党の本気を感じる政策だ」と期待と共感を寄せました。


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(写真)神奈川経済懇談会で講演する志位和夫議長=5日、横浜市中区

 冒頭、発言にたった志位氏は、現在の経済情勢の特徴として三つの点を語りました。

戦後最悪の水準に

 第一は「国民の暮らしの困難が戦後最悪の水準にまで深刻なものになっている」ことです。

 内閣府が3月に発表した「国民生活に関する世論調査」では、2023年秋時点で「1年前に比べて暮らしが悪くなった」との回答が35・9%と、戦後最悪の数字となっています。志位氏は「その原因は『失われた30年』と呼ばれる長期の経済停滞によって、暮らしがへとへとになっているところに急激な物価高騰が襲ったことにあります」と指摘。実質賃金は25カ月連続マイナス、物価高騰に賃金や年金が追い付かず、個人消費はリーマン・ショック以来の4期連続マイナスとなり、「インフレと消費の冷え込みによる不況が同時に進行する『インフレ不況』が起きています」と警鐘を鳴らしました。

 その上で、「暮らしと経済の困難を打開しようとすれば、賃金を上げ、年金を上げ、国民の所得を増やす政策をとらなければなりません」と強調しました。

物価高騰の原因は

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(写真)講演する志位和夫議長=5日、横浜市中区

 第二は「現在の物価高騰の原因は何か」です。

 志位氏は「ロシアによるウクライナ侵略の直後は国際的な原油価格が急騰しましたが、その後、下落し、一時のような高値ではありません」「本当の原因は異常円安にあります」と指摘。21年には1ドル=103円だった為替レートが今では150円を超え、輸入品や食料の値段、電気・ガス料金を一挙に引き上げていると強調しました。

 その上で、「異常円安の主因は日米の金利差にあります」と指摘。米国がこの3年で金利を0・25%から5・5%まで引き上げたのに対し、日本はアベノミクスの「異次元の金融緩和」でゼロかマイナスの超低金利を続け、「投資家はより大きな利益を得るために、手持ちの円をドルに交換した結果、『ドル高・円安』の構造が進みました」と述べ、「アベノミクスの破綻は明らかであり、金融政策の『正常化』が必要ですが、金融頼みでこの苦境を打開することはできません。実体経済を良くすることが唯一の活路です」と強調しました。

「経済再生プラン」に共感の声次々

各界から活発な発言

最優先に「株主へ」

 第三は「国民生活の危機の中で、大企業と大富豪は空前のもうけをあげている」ことです。

 志位氏は、コロナ危機後に、史上最高益を更新する大企業の利益は「株主への配当」に最優先で回されていると指摘。上場企業の2023年度の最終利益は58兆円程度だが、そのうち20兆円は株主配当、10兆円以上は自社株買いに充てられ、「株価はバブル期の最高時を突破しましたが、賃上げや下請けへの還元は二の次にされ、働く人や中小・小規模事業者はいよいよ苦しくなりました」と述べました。

 志位氏は「『これでいいのか』という声が経済界からも上がっています」と述べ、日本商工会議所の小林健会頭が、名指しこそ避けつつもトヨタ自動車が5兆円もの利益を上げながら、下請けの賃上げコストを考慮に入れてないことを強く批判し、下請け支払いは「1兆円ぐらいあってしかるべき」だと述べていることを「まったく正論です」と紹介。大企業の内部留保と富裕層の資産が膨らみ続けていることを指摘し、「経済の異常なゆがみ―富の異常な偏在にメスを入れる改革が必要です」と訴えました。

 志位氏は、党の「経済再生プラン」はこれらの日本経済の問題点に対する緊急かつ根本的な打開策を示すものだとして、プランで掲げる「三つの改革」(1)「政治の責任で賃上げと待遇改善を進める―人間を大切にする働き方改革」(2)「消費税減税、社会保障充実、教育費負担軽減―暮らしを支え格差をただす税・財政改革」(3)「気候危機の打開、エネルギーと食料の自給率向上―持続可能な経済社会への改革」―のそれぞれについて、政策提起の根本にある経済論に焦点をあてて詳しく説明。積極的かつ健全な財政運営で、恒久的な施策に22兆円、緊急策に18兆円の積極予算を進める道筋も示しました。

一人ひとり丁寧に

 会場からは各界の出席者13人が発言。業界の現状や要望が「経済再生プラン」と響き合い活発な議論となりました。志位氏は「出された発言は全て党として受け止め、生かしていきます」と述べ、一人ひとりの発言に対し、丁寧に感想と受け止めを語りました。

 神奈川県中小企業家同友会の田中勉代表理事は、中小企業が賃上げをするためには消費者に価格転嫁しなければならないが、「一方で消費者の現状を見ると年金は減り、国民負担率や貧困率はどんどん上がっている。そういう中での価格転嫁は非常に難しい」と指摘。「国民、消費者の暮らしが良くなっていかないと企業の存在意義もない」と語りました。

 志位氏は「働く人の多くが中小企業の労働者であり、中小企業の賃上げは多くの消費者のふところを豊かにし、地域経済も豊かにする好循環を生み出します」と強調。そのためには、大企業の内部留保への時限的課税を行い、賃上げのための中小企業の直接支援にあてることが一番の解決方法だと語りました。

 神奈川県建設労働組合連合会の天野武書記次長は、12年で設計労務単価が75%上がっている一方で賃金が全く追い付いていないと指摘。そうした中、労働者の賃金引き上げ、処遇改善を後押しする建設業法など「担い手3法」の改正に向け、全国で120万人分の署名を集め提出した取り組みを紹介しました。

 志位氏は「建設のみなさんに学びたいのは“闘ってこそ暮らしをよくできる”ということです」と発言。全米自動車労組が無期限ストを打って25%の賃上げを勝ち取った例などもあげながら「『経済再生プラン』の実現のためにも闘いによって一つひとつ道を開いていきましょう」と力強く呼びかけました。

 港湾の輸送業を営む有限会社アキヨコ輸送の横山房男代表取締役は、コロナ禍で実施された「ゼロゼロ融資」を利用し、車両を3台買い替えたが「返済が始まり、いま、買い替えた車を売れるものから売却し、融資の返済に充てている状況だ」「いつどのタイミングで廃業するかを考えざるを得ない」と痛切な思いを語りました。

 志位氏は「90年代に行われたさまざまな規制緩和によって過度な競争が持ち込まれたことが問題の根幹にあります。働き方のルールを確立し、規制緩和路線を転換することを求めていきます」と表明。「経済再生プラン」では、ゼロゼロ融資は「別枠債務」にして事業継続に必要な新規融資が受けられるようにすること、それと一体で「地域経済再生給付金」を創設し、困難に直面している中小企業・小規模事業者への直接支援を提案していると紹介しました。

 愛川町で農業を営む農民組合の高野芙由男さんは「『経済再生プラン』の3本柱の一つに、持続可能な経済社会への改革として農業・食料を位置付けているのは重要です」と感想を寄せながら、「国内の米作りを減らし、米国のミニマムアクセス米を輸入し続けている。『依存』というより『従属』だ」と、米国への食料依存が深刻化する現状を指摘。共産党には大きな改革の構想と一体で実利を実現する政策を示してほしいと求めました。

従属ゆがみただす

 志位氏は「米国は、言いなりになる国の意見は聞こうとしません。逆に独立した立場を持っていれば米国も敬意を払わざるを得ない」と述べ、農業・食料問題でも対米従属のゆがみをただすことが必要だと強調。「経済再生プラン」では、飼料、肥料、資材、燃油などの高騰を補填(ほてん)する緊急対策などの具体的な内容を盛り込んでいることを紹介しました。

 フランス料理店オーナーシェフの山田裕子さんは「大手外食産業の店が立ち並び、個人営業のレストランはいまや『絶滅危惧種』だ」「働く人がせめて年2回くらいはレストランで食事をしようという気になるくらいの賃金が保障されることを願っている」と思いを発言。電器店で働く武井勇起雄さんは「大手メーカーは売ることばかりで、修繕のための技術のことは教えようとしない。技術者がいなくなっている」「商店が元気にならないと良い日本にならない」と語りました。

 志位氏は「弱肉強食の競争を強制してきた規制緩和路線からの転換が共通した課題です」と指摘。「街の商店街はただ物を売るだけでなく、地域住民の共同のよりどころであり、公共的価値があります。そうした価値を守っていく社会に変えていきたい」と答えました。

 日本共産党の畑野君枝前衆院議員が司会を務め、斉藤和子元衆院議員(いずれも比例南関東ブロック予定候補)が参加。厚木市の山口貴裕市長、海老名市の内野優市長からメッセージが寄せられました。