志位和夫 日本共産党

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2023年12月22日(金)

“対話の習慣”を東アジアに

インドネシア政府と志位委員長が意見交換


 【ジャカルタ=井上歩】日本共産党の志位和夫委員長は20日、インドネシア政府のアダム・トゥギオ外相特別補佐官とインドネシア外務省で会談し、東南アジア諸国連合(ASEAN)の平和の地域協力の取り組み、ASEANインド太平洋構想(AOIP)、焦眉の国際問題について意見交換しました。


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(写真)インドネシアのアダム・トゥギオ外相特別補佐官(右)と会談する志位委員長=20日、ジャカルタのインドネシア外務省(井上歩撮影)

政府と市民社会が協力して

 志位氏は、ASEANが徹底した対話で東南アジアを「分断と敵対」から「平和と協力」の地域に変えるとともに、この流れを域外に広げ、東アジアサミット(EAS)での協力などを通じて戦争の心配のない平和の地域協力を推進していることに言及し、「日本で活動する私たちにとって大変心強い」と表明。その最新の到達点であり、インドネシアがイニシアチブをとったAOIPについて、「対抗でなく対話と協力」の推進、排除でなく包摂の追求、ASEANの中心性(自主独立と団結)を貫くなどの点で、「たいへん理にかなっており、現実に多くの国に賛同を広げています」と、この構想に強く賛同する立場をのべました。

 志位氏はそのうえで、日本共産党がこの間、東アジアに平和をつくる「外交ビジョン」を発表し、日本の国会、アジア政党国際会議(ICAPP)、日中両国関係の前向きの打開をめざす提言などでAOIPの推進を訴えてきた活動を紹介。この点で「AOIPの成功のためには、政府間のとりくみとともに、政党を含む市民社会の協力が不可欠だと思います。可能な協力を強く願っています」とのべました。

年1500回もの会合

 アダム氏は、AOIPへの支持に謝意を表明し、日本・インドネシア関係の発展に触れるとともに、ASEANとインドネシアがAOIPを提案したのは、「安定と繁栄がとても重要」だと考えているからだとのべ、安定によりASEAN諸国は社会・経済的な発展の恩恵を得られるということを強調しました。さらに、ASEANが東南アジアを超えてEASなどで域外の国ぐにとの連携を包摂的に進めているのは、「紛争の危険、火種があるもとで、“対話の習慣”を推進したいからです。対話により誤解や誤算を回避できます」と強調しました。

 志位氏が、「“対話の習慣”が前進の秘訣(ひけつ)ですか」と尋ねると、アダム氏は「少なくとも誤解や誤算を防止するうえで重要です」とのべるとともに、EASなど東アジアの平和の地域協力について、“対話の習慣”を推進するものであり、ASEANだけでなく域外諸国にとっても意義があるものとの考えを示しました。

 志位氏が、徹底した対話という点にかかわって、10年前、ASEAN事務局を訪問したさいに「ASEANでは域内で年1000回の会合を行っていると聞いて驚きました」とのべると、アダム氏は、「今では1500回以上です」と応じました。

 アダム氏はまた、AOIPを推進するうえでの政府と市民社会の連携について、地域の平和と発展にはすべてのステークホルダー(利害関係者)が貢献すべきであり、市民社会は“対話の習慣”のプロセスに貢献できるとの考えをのべました。

ガザ危機と核兵器禁止条約でも意見交換

 志位氏はガザ地区の人道危機について、インドネシアも提案国である即時の人道的停戦を求める国連総会決議(12日)を実施することが重要だと強調。アダム氏は「パレスチナ問題では私たちは国際社会が持続的な停戦を実現するために声を一つにすることを促しています」とのべ、ダブルスタンダード(二重基準)に反対するインドネシア政府の立場を表明しました。

 双方は核兵器禁止条約をめぐっても意見交換。「核兵器なき世界」へ各国やさまざまなステークホルダーが連携していくべきとの考えを共に表明しました。

 ASEANインド太平洋構想(AOIP) ASEANが2019年、インド太平洋を「対抗でなく、対話と協力の地域」にしようと提唱した外交指針。紛争の平和的解決を義務づけた東南アジア友好協力条約(TAC)を基盤にして、対立する米中を含め地域の各国が参加するインクルーシブ(包摂的)な多国間枠組みの中心となってきたASEANが、広域協力を主導するとしています。