志位和夫 日本共産党

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インタビュー・対談

2023年10月18日(水)

「最悪の国民生活破壊政権」

志位委員長『サンデー毎日』で打開の展望を語る


 17日発売の『サンデー毎日』(10月29日号)は、「岸田政権2年」について日本共産党・志位和夫委員長のインタビュー記事を掲載しました。このなかで志位氏は、岸田政権のもとで進む物価高、国民生活窮乏打開のための経済対策、敵基地攻撃能力保有の問題点と安全保障政策、野党共闘などについて縦横に語りました。聞き手は毎日新聞の倉重篤郎専門編集委員。


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(写真)志位和夫委員長のインタビューを掲載している『サンデー毎日』10月29日号

 倉重氏は冒頭、腹が立つのは異常な物価高に政治が「無策なことだ」と指摘。「国民は日々の消費生活で鬱積(うっせき)をため込んでいる。真っ当な対策を打てない政権の非力も薄々感じている」などとして、岸田政権2年の総括者として、「20年余、16人の首相と渡り合ってきたキャリアの持ち主」である志位氏の目に「岸田氏はどう映る?」と質問しました。

ただ延命と保身

 志位氏は、「こういう国がつくりたいなどのグランドビジョンがあるわけではない。ただ自らの延命と保身で権力を握り続けたい。そのためなら何でもやるというのがこの政権の本質ではないか」とばっさり。安倍晋三元首相の場合は、「強権国家、戦争国家をつくるという彼なりの信念が明確だった」が、「岸田氏からはそういう信念のようなものを感じたことがない」と断じました。

 その上で、「延命と保身となると、結局大きく強い声に従うことになる」と述べ、敵基地攻撃能力保有と大軍拡の推進、マイナンバーカードの押し付け、インボイスの強行など政権の強権姿勢を批判。「『聞く力』というが、右の耳で米国の声を聞き、左の耳で財界の声を聞く。国民の声を聞く耳は残されていない」と批判しました。

 志位氏はさらに、安倍氏は集団的自衛権行使を容認する際、憲法解釈の変更を行ったが、岸田氏は「専守防衛」という国是を「変えない」と言いながら根本的な変更に乗り出していると指摘。「長射程ミサイルを多数導入し、軍事費を2倍にする。誰が見ても『専守防衛』の放棄だ。国民に明々白々な『ウソ』をつき事を進めているのは安倍氏と比べてもより悪質だ」と厳しく批判しました。

経済再生プラン

 「物価高に無策?」との倉重氏の問いかけに志位氏は、「『失われた30年』がベースにある」と主張。労働者の実質賃金がピーク時の1996年に比べ年収ベースで64万円減、アベノミクス以降の10年でも24万円減り、消費税を税率で5%、14兆円も増税してきた数字をあげ、「実質賃金下落と大増税で暮らしがへとへとになっているところに物価高が襲ってきた」と指摘しました。さらに、奨学金の借金残高が10兆円と、この30年間で7倍になったと告発しました。

 志位氏は、岸田首相が記者会見で「長年続いてきたコストカット型経済が賃金、設備投資までその対象としたことで消費と投資の低迷を招いた」と語ったことに「ひとごとのように言っていることに驚く」と批判。「この間の経済運営をやったのは誰か。自公政権に責任がある。その反省もないし、打開策もない」と断じました。

 その上で、▽賃金コストカット▽企業の社会保険料のコストカット▽企業の税のコストカットのための法人税減税・消費税増税―大企業本位の三つのコストカットをあげ、「その結果が失われた30年になった。財界の要請に従ったわけだが、皮肉なことにこれが全体のパイを縮め、大企業の活力も奪った」と指摘しました。

 倉重氏から「どうすればいい?」と聞かれた志位氏は、日本共産党の「経済再生プラン」―「三つの改革で暮らしに希望を」を紹介。(1)政治の責任で賃上げ、待遇改善を図る。中小企業を直接支援し最賃を1500円にする(2)消費税廃止を目指し5%に減税、インボイスを中止、学費ゼロを目指し、まずは半額にし、奨学金の返済も半分に(3)気候危機打開、エネルギー・食料の自給率向上を図る。40兆円規模の積極予算を組み財源は富裕層と大企業の応分負担―などの内容を語りました。

 外交安全保障政策について志位氏は、来年度の軍事費は概算要求ベースで7・7兆円、これに米軍再編費が乗って8兆円にのぼり、2年前の5・5兆円から2・5兆円の大幅増になったと指摘。うち2兆円が米国主導の統合防空ミサイル防衛(IAMD)強化予算で敵基地攻撃のための長射程ミサイルの大量導入、開発費用に充てられると告発しました。

共闘再構築図る

 「野党共闘」について問われた志位氏は、「今の政権がこの体たらくだし、維新の会や国民民主党といった政権の補完勢力が議席を伸ばそうと動いているから野党が共闘しなければならない大事な局面だと思う。共闘を願っている声が広くある」と答え、「大軍拡と暮らしについてしっかりとした旗を立て共闘の再構築を図りたい。私はあきらめないで努力したい」と決意を語りました。

 志位氏は、2021年の前回衆院選では59の小選挙区で勝っているなどとして「『野党共闘は失敗した』というのは事実と違う」「共闘しか今の流れを転換する道はない」と説きました。

 志位氏は最後に「来年1月の党大会」について、「4年前の党大会で、党綱領を一部改定し、中国に対する位置付けを見直し、新しい世界論、未来社会論を展開した。改定綱領の生命力がどう発揮されたかを明らかにしていきたい」「この間の野党共闘路線の中間総括もしながら共産党の躍進をどう勝ちとるか、という議論をしたい」「何といっても党建設、いかに強く大きな党を作るかが最大課題になる」と述べました。人事について問われ、「人事のことはノーコメント。私が勝手に言えません。大会で民主的に決めていきます」と答えました。