志位和夫 日本共産党

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演説・あいさつ

2023年10月29日(日)

日本婦人団体連合会創立70周年記念のつどい

志位委員長のあいさつ


 日本共産党の志位和夫委員長が28日、日本婦人団体連合会・創立70周年記念のつどいでおこなったあいさつは次の通りです。


写真

(写真)来賓あいさつをする志位和夫委員長=28日、東京都文京区

 みなさん、こんにちは。婦団連の創立70周年にあたり、日本共産党を代表して心からのお祝いを申し上げます。おめでとうございます。(拍手)

 私は、この会にご招待いただいた機会に、婦団連のみなさんが2009年に編さんされた『婦団連のあゆみ』を拝読させていただきました。

平和と平等を一体的に追求して

 全体を読みまして、結成当初から婦団連が一貫して貫いてこられた立場が、「平和と平等を一体的に追求する」ということにあることを強く感じました。

 婦団連は、先ほど柴田(真佐子)会長がのべられたように、1953年4月5日、朝鮮戦争のさなかに、平塚らいてうさんを初代会長に結成されておりますが、「結成趣意書」には次の決意が高らかにうたわれています。

 「人間の住むところ、誠意をもって、愛情をかたむけて話し合うならば、戦争は必ず防ぐことは出来ると、私たち婦人は信じて居ります」「平和憲法を守り、軍国主義の復活と反民主主義の逆コースをくいとめましょう」「婦人に対する封建制を打ち破り、家庭で、職場で、学校で婦人の権利を守りましょう」

 何とみずみずしく響く言葉かと思います。

 平和がなければ女性の権利、ジェンダー平等もありえません。同時に、ジェンダー平等を貫くことは、平和をつくるうえでも大きな力になると思います。平和とジェンダーは一体だと思います。

 私自身、「核兵器のない世界」の実現を求めて、2010年のNPT(核不拡散条約)再検討会議、2017年の核兵器禁止条約の国連会議に参加する機会がありましたが、いつでも日本から、婦団連とそれに参加する女性諸団体のみなさんが参加され、国際舞台でも大きな役割を果たしていたことは、同じ被爆国から参加したものとして、本当に心強い思いでした。

 婦団連のみなさんが、70年前の「結成趣意書」の精神を一貫して貫き、女性に対する差別をなくすとりくみと、憲法9条の擁護、核兵器の廃絶、日米安保条約の廃棄など、平和の課題をしっかりと結びつけてとりくんでこられたことに対して、心からの敬意を表するとともに、大軍拡を許さず平和のためにともにたたかう連帯の決意を申し上げるものであります。(拍手)

ジェンダー平等を国際的視野からとらえて

 『婦団連のあゆみ』を読んで、もう一点強く感じるのは、婦団連のみなさんが、つねに女性の権利、ジェンダー平等の問題を、広く国際的視野からとらえて促進する活動を行ってこられたということです。これも今日に生きる婦団連の輝かしい歴史だと思います。

 1979年、国連で女性差別撤廃条約が採択されますが、この条約を日本政府に批准させるための婦団連の奮闘は本当に特筆すべきものだと思います。

 『婦団連のあゆみ』を読みますと、婦団連が、条約が採択されるといち早く翻訳して普及に努めるとともに、早期批准を要求する運動に力をそそいだ姿がのべられています。そこにはこう書かれています。

 「政府の翻訳作業が遅れるなかで、婦団連は翻訳作業グループをつくり、その内容の崇高さにときに涙しながら、議論を重ねて独自に翻訳をすすめた」

 外務省は日本の女性にこの素晴らしい条約の中身をできるだけ知らせたくなかったのか、政府の翻訳が遅れるなかで婦団連が先に翻訳をつくったとうかがいました。

 「婦団連加盟団体はこぞって『条約』を学習し、それぞれの要求の実現に向けて立ち上がり、日本政府に『条約』の早期批准と男女平等法の制定を求める運動が全国に広がっていきました」

 条約の批准のためには、雇用における女性差別を禁止する法律が必要とされましたが、この時、政府と財界は、「保護か平等か」の二者択一をせまって、平等を求めるのだったら母性保護を縮小する「保護抜き平等」を進めるという姿勢を示しました。その時に、婦団連のみなさんが、母性保護を前提とした男女平等法の制定を求めるたたかいを、労働組合の女性部、女性労働者、女性団体と一体となって繰り広げたことは、今日に生きる重要なたたかいだったと思います。

 日本政府が、1985年にこの条約を批准しながら、その具体化・実施にまともにとりくもうとしないなか、女性差別撤廃条約を本気で具体化するのか、それとも一応、口では大事だと言いながら実態的にはそれに背を向けるのかは、ジェンダー平等をめぐる熱い焦点となっています。とりわけ選択議定書を速やかに批准することは最大の焦点の一つとなっており、私たちも婦団連のみなさんと力を合わせてその実現のために力をつくすことをお約束したいと思います。(拍手)

「女性の世界史的復権」の時代が到来している

 今日の現状ですが、婦団連が一貫して掲げ、推進してきたジェンダー平等をめぐって、とくにこの数年、大激動ともいうべき大きな歴史的変化が起こっていることを、私は強く実感しています。

 生涯賃金で、1億円にもなる男女の賃金格差の解消に向けて、格差を企業に公開させる制度が実現し、一歩が踏み出されました。性暴力根絶に向けて刑法が改正され「不同意性交等罪」が創設されました。同性婚や性別変更の手術要件をめぐり画期的な司法判決が続いています。選択的夫婦別姓を求める運動、LGBTQ+など多様な性を認め合う社会にむけた動きが、大きな流れとなっています。婦団連が先駆的にとりくみ、掲げてきた課題の多くが、すでに実現し、また大きな世論となって前進していることはうれしいことではないでしょうか。

 それだけにバックラッシュも強いものがありますが、それを打ち破っていくうえでも婦団連の役割は本当に大きなものがあると考えるものです。

 世界でも、ジェンダー平等と女性の権利をめぐる大きな進歩を私たちは目にしています。「イコール・ペイ」(同等の報酬)を求める声が大きな波となって広がり、昨年は女子サッカーのアメリカ代表チームが、裁判闘争を経て男子代表と同額の報酬支払いを勝ち取ったことが、世界の女性たちに希望を広げました。10月26日付「しんぶん赤旗」が1面で大きく出しましたが、アイスランドで行われた「女性のストライキ」、すごいですね、本当に素晴らしい。「ジェンダー平等世界一」といわれるアイスランドでもまだ格差があるとストライキに立ちあがり、ヤコブスドッティル首相も参加し、その日は閣議がお休みになったと報道されています。これも衝撃と感動を広げています。

 私は、今日、世界では、「女性の世界史的復権」の時代とも呼ぶべき時代が到来していると言っても過言ではないと思います。これは女性にとってのみならず人類すべてにとっての偉大な進歩の時代が到来しつつあると言ってよいのではないでしょうか。

 婦団連のみなさんが、70年の誇りある歴史のうえに、さらに女性の共同を広げ、男性との共同も広げていただいて、大きく発展することを強く願って、お祝いのごあいさつといたします。(拍手)