志位和夫 日本共産党

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演説・あいさつ

2023年10月21日(土)

日本共産党国会議員団総会

志位委員長のあいさつ


 日本共産党の志位和夫委員長が20日の党国会議員団総会で行った臨時国会開会にあたってのあいさつは次の通りです。


写真

(写真)党議員団総会であいさつする志位和夫委員長=20日、衆院第1議員会館

 みなさん、おはようございます。衆参の国会議員団、事務局のみなさんの連日の奮闘に、心からの敬意を表します。臨時国会の開会にあたって、ごあいさつを申し上げます。

イスラエル・ガザ紛争に対する日本共産党の立場

 まず、冒頭に、イスラエル・ガザ紛争に対する日本共産党の立場をまとまって表明しておきたいと思います。

 人道的危機が極めて深刻です。ガザの病院爆発によって500人もの犠牲者が出ました。病院という場所でたくさんの命が損なわれ、その多くは子どもと女性であります。深い憤りをもって非難します。

双方に対して、暴力の連鎖をやめ、即時の停戦を求める

 ハマスによる無差別攻撃と民間人の連行は、明白な国際法違反であり、わが党は、これを強く非難するとともに、人質の即時・無条件解放を求めます。

 同時に、イスラエルによる大規模な空爆、完全封鎖、住民の移動の強制、おびただしい犠牲をもたらす大規模侵攻の宣言は、どれも国際法を乱暴に蹂躙(じゅうりん)するものです。わが党は、イスラエルに対して、ガザに人道的危機をもたらしているすべての行動を中止し、大規模侵攻を中止することを強く求めるものです。

 日本共産党は、双方に対して、暴力の連鎖をやめ、即時の停戦を強く求めます。人道支援を阻むあらゆる障害を取り除くことは急務であります。国際社会はそのためにあらゆる努力を傾けるべきであります。

日本政府に対する要求――イスラエルの無法にも批判を、停戦にむけた交渉を促せ

 日本政府に二つの点を求めます。

 第一に、ハマスに対する非難だけではなく、イスラエルによる国際法違反の行動を厳しく批判し、その中止を求めるべきであります。

 第二に、イスラエル、パレスチナ双方との関係を最大限に生かし、停戦にむけた交渉を促すべきであります。

 この二つの点を日本政府に強く求めたいと思います。(拍手)

中東問題の公正な解決を一貫して求めてきた党として、理性と道理にたった論陣を

 今日の事態の歴史的な根底には、イスラエルがこの間、住民の強制排除を行いながら国際法違反の入植、封鎖、空爆、侵攻を繰り返してきたという問題があります。

 暴力と紛争の連鎖は、イスラエルの占領地からの撤退、パレスチナ国家の実現、イスラエルとの平和共存につながる交渉をつうじてのみ終わらせることができます。そのために関係各国と国際機関が、あらゆる外交努力を行うことを強く呼びかけるものです。

 日本共産党は、中東問題の公正な解決の方向を一貫して提唱し、行動してきた党であります。そういう党として、臨時国会で、この問題でも、理性と道理にたった平和の論陣をはっていこうではありませんか。(拍手)

岸田政権に正面から対決するとともに、暮らしでも平和でも希望を届ける論戦を

 岸田政権の行き詰まりは目を覆うばかりであります。それは各社の世論調査でも、内閣支持率が軒並み最低を記録していることにも示されています。

 岸田首相は最大のキャッチフレーズとして、「聞く力」を言ってきましたけれども、その正体が、マイナカードやインボイスの強行に示されるように、国民の切実な声を「聞き流す力」だということが、すっかり明らかになりました。

 国民不在の政治に対して、国民の不信と怒りが深く広がっています。同時に、「なかなか希望が見えない」という声も多く聞きます。

 こうしたもとで、わが党は、臨時国会で、岸田政権に正面から対決するとともに、暮らしでも平和でも、「こうすれば日本は良くなる」という提案を太く示し、国民に明るい希望を届ける論戦にとりくみたいと思います。もちろん、統一協会の問題、「政治とカネ」の問題など、ただすべき問題点も山積みであり、追及の手を緩めることはありません。

 こういう姿勢を堅持して、衆参国会議員団と事務局のみなさん、みんなで力をあわせて、日本共産党の真価が輝く国会にしていくために頑張り抜こうではありませんか。(拍手)

「経済再生プラン」を縦横に活用し、暮らしに希望を

 暮らしと経済では、9月末に発表した「日本共産党の経済再生プラン」を、縦横に活用した論戦にとりくみたいと思います。

「失われた30年」という大きな切り口で告発し、パッケージで根本的打開の道を示す

 わが党の「経済再生プラン」の最大の特徴は、いまの物価高騰のもとでなぜこんなに暮らしが苦しいか、その根本に、「失われた30年」というべき長年にわたる経済停滞と暮らしの困難がある、それを打開してこそ暮らしに希望がもてる日本をつくれる――という大きな切り口で、自民党政治を告発し、「三つの改革」――働き方の改革、税・財政の改革、食料とエネルギーを自給できる国への改革――というパッケージで打開の道を示したことにあります。

「コストカット型経済」にしたのは誰か――責任を問い、大もとから切り替えを求める

 わが党の「経済再生プラン」は「経済無策」の岸田政権と対照をなす、また、かみあった政策となっています。

 この30年間の経済停滞と暮らしの困難は、誰もが認めざるを得ない、そして岸田首相も認めざるを得ない事実です。首相は9月末の会見で、「長年続いてきたコストカット型経済」が、消費と投資の停滞を招いた、「30年ぶりに歴史的転換を図る」と大見えを切りました。それならばわれわれは問うていかなければなりません。「コストカット型経済」にしてしまったのはいったい誰か。

 賃金のコストカットのために非正規ワーカーを2000万人以上にまで増やした。企業の社会保険料のコストカットのために医療・年金・介護の連続改悪を進めてきた。企業の税のコストカットのために法人税を大幅に減税し、その穴埋めに消費税の連続大増税を進めてきた。どれもこれも財界の旗振りにしたがって自民党政治がやってきたことではありませんか。この責任を厳しく問い、大もとからの切り替えを求める日本共産党ならではの論戦をやっていこうではありませんか。(拍手)

 三つの改革のそれぞれで、国民の「生の声」を代弁し、明るい希望を届ける論戦にとりくんでいきたいと思います。

敵基地攻撃能力保有と大軍拡を告発し、外交で平和をつくる希望を語る論戦を

 安保と外交をめぐっては、憲法違反の敵基地攻撃能力保有と大軍拡の危険性を告発し、外交によって平和をつくる希望を語る論戦に力をそそぎたいと思います。

米軍の指揮下に自衛隊が組み入れられる危険な道が具体化されようとしている

 来年度予算は、大軍拡予算の2年目の予算となります。夏に発表された来年度予算の防衛省の概算要求を見ますと、軍事費は7・7兆円、米軍再編費を含めますと8兆円へと、わずか2年間で2・5兆円もの異常膨張をしようとしています。

 その中身を見ますと、長射程ミサイルの大量導入が目白押しです。防衛相は、長射程ミサイルの前倒しでの導入を進めることを公言しています。

 ここで重大なことは、概算要求で、自衛隊の「常設統合司令部」の設置のための予算がつけられ、「米インド太平洋軍司令部と調整する機能」を強化することが初めて明記されたことであります。すなわち、米軍の指揮下に自衛隊が組み入れられる――「米インド太平洋軍司令部」の指揮下に自衛隊の「常設統合司令部」が組み入れられる、この仕組みが概算要求の中の一文に明記されているのです。

 これまでわが党が米軍主導の「統合防空ミサイル防衛(IAMD)」への自衛隊の参加の問題点を追及しますと、政府は、「米軍のシステムと日本のシステムは別物だ、指揮権が別だ」、こういう言い抜けをしてきたわけですが、そういうごまかしがいよいよ成り立たないことが今度の概算要求で明瞭になってきました。米国の先制攻撃の戦争を起こした際に、米軍の指揮下で自衛隊が敵基地攻撃能力を使って参戦する危険な道が具体化されようとしています。この危険な道の結果は、報復攻撃による国土の焦土化であります。このような危険な道を断じて許してはなりません。(拍手)

相手国に「恐怖」を与えるのでなく、「安心」を与える平和外交こそ

 9月に開催された「東アジアサミット」の首脳宣言には、「ASEANインド太平洋構想(AOIP)」を一致して支持することが明記されました。日本共産党が主張してきた東アジアに平和をつくる「外交ビジョン」の方向が、構想から実践の課題になりつつあります。「抑止力」の名で相手国に「恐怖」を与え、「軍事対軍事」の悪循環をつくる道でなく、憲法9条にそくして周辺国と世界に「安心」を与える平和外交にこそ、平和をつくる希望があることを大いに訴えていこうではありませんか。

「著しく公益に反して」きたのは誰か――沖縄への連帯を論戦の太い柱に

 沖縄県名護市辺野古の新基地建設について、政府は県に代わって関連工事の設計変更を承認する「代執行」にむけ提訴を行いました。

 沖縄県の上告を退けた最高裁判決は、憲法がさだめる地方自治の本旨をないがしろにする不当なものであり、それを背景にした「代執行」もまったく不当なものですが、「代執行」は「放置することによって著しく公益に反することが明らかであるとき」に限定されています。それでは「著しく公益に反して」きたのはいったい誰か。

 1996年の日米合意で普天間基地の返還を決めましたが、「県内移設」を条件にしたため、普天間基地は27年間、1ミリも動いていないではありませんか。「世界一危険」とされた基地がそのままではありませんか。「県内移設」に固執し続けてきた日本政府こそ「著しく公益に反して」いることは明らかではないでしょうか。沖縄への連帯、玉城デニー知事への連帯を国会論戦の太い柱にすえて奮闘しようではありませんか。(拍手)

日本共産党の真価を発揮した論戦で「大運動」の成功に貢献しよう

 最後に、いま全党の同志のみなさんは、来年1月の党大会成功に向けて、「党勢拡大・世代的継承の大運動」を飛躍させようと奮闘しています。

 けさ、小池晃推進本部長が緊急の訴えで述べたように、支部・グループへの9中総の「第二の手紙」を生かしきり、全支部運動に発展させることに徹すること、そして党機関のイニシアチブ――とくに前大会現勢の回復・突破という「第一のハードル」を突破する本気のイニシアチブを発揮することが強く求められています。

 「大運動」を成功させ、来年の1月の党大会を大成功に導くために、国会議員団も全党のみなさんと心一つに奮闘しましょう。日本共産党の真価を発揮した論戦で、「大運動」の成功に貢献することを誓い合って、開会にあたってのごあいさつといたします。ともに頑張りましょう。(拍手)