志位和夫 日本共産党

力をあわせて一緒に政治を変えましょう

談話・記者会見

2023年7月28日(金)

『日本共産党の百年』発表記者会見

志位委員長の一問一答から


 『日本共産党の百年』発表の記者会見(25日)での志位和夫委員長と記者団との一問一答から、党史にかかわるやりとりについて紹介します。


世代継承どうする?

前進を開始した民青同盟――「5カ年計画」をつくり 飛躍的前進に挑戦する

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(写真)記者会見する志位和夫委員長=25日、党本部

 記者 『百年』史をまとめられたということで、若い世代の継承にも力を入れるという表明をしています。世代継承のため、また、強く大きな党にするという目標に向かって、『百年』史を踏まえて、委員長としてどのように取り組んでいきますか。

 志位 いま党としては、来年1月の第29回党大会に向けて、前回大会比で1・3倍の党をつくろうという運動に取り組んでおりますが、その中で、とりわけ若い世代で党勢を倍加する、民青同盟と力を合わせて民青を倍加するという取り組みをやっております。

 さらに、より戦略的な視野にたって、青年・学生のなかでの党と民青の抜本的前進をはかるために、先日の8中総では、「特別決議」を採択しました。これからの5年間で「数万の民青」をつくり、「1万の青年・学生党員」をつくることを目標にすえ、すべての都道府県、地区委員会が「5カ年計画」を策定し、総力をあげた実践に踏み出すことを呼びかけました。この「特別決議」には熱い歓迎と決意の声が返ってきています。

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(写真)『日本共産党の百年』発表記者会見で質疑応答を行う志位和夫委員長=25日、党本部

 この分野では、この間、顕著な前進が始まっていまして、民青同盟のみなさんの奮闘によって、新しい民青同盟員を迎える運動が、年々広がってきています。若者の切実な要求にこたえ、結びつきを広げ、学習に取り組み、楽しい活動をつくりながら、仲間を増やしていく。たいへんに法則的な前進が始まっています。

 この根本には、若いみなさんのなかに起こっている変化があると思います。

 民青を増やす運動の様子を聞いてみても、民青同盟が日本共産党を相談相手にしていることが加盟のさいの安心となっている、つまり若者は共産党をいろいろな“色眼鏡”で見ていない。

 そして、「アメリカ言いなり」「財界のもうけ最優先」という日本の政治の二つのゆがみを変えようと訴えると、これがストレートに受け止められ、希望として伝わる。

 それから、資本主義を乗り越えて、先の社会――社会主義に進もうということも、気候危機の問題、ジェンダーの問題、さまざまな問題との関係で、すっと受け止められてくるという状況が広がっています。

 そういう前進が始まっていますので、ぜひ「5カ年計画」をやりぬいて、「数万の民青」、「1万の青年・学生党員」をつくっていくというところに力をいれたいと思います。

『百年』史への思いは?

党の歴史にこそ真実の党の姿が表れる――それを広く伝えたい

 記者 『百年』史を取りまとめた委員長の率直な感想、どのような思いで、この発表に至ったのですか。

 志位 党の歴史というのは、何年ということで、特別の区切りがあるわけではありません。政治の生きた攻防のサイクルと、党史のうえでの何年という区切りは、そううまく一致するものではありません。

 きょう、お話ししたように、『百年』史の第5章では、2000年代から今日におよぶ攻防の生きた歴史――「政治対決の弁証法」を描いていますが、この攻防は、『百年』史で述べたとおり、「現在進行形」であり決着はついていません。ただその決着がつくまで新たな党史を出さないというわけにはいきません。

 100年余の歴史を持っている党は、日本では日本共産党だけです。そして、この100年をずっと支えてきてくれたたくさんの先輩たちがいます。この党とともに頑張ってこられた素晴らしい先輩たちを、私もたくさん知っております。100年の節目に党指導部を担っている者として、そうした先輩たちの開拓と苦闘をまとめ、未来に伝えていく責任があると考えました。

 同時に、いま若い世代に党への注目と期待が広がる状況があります。そういう若い方々、新しく党に関心を寄せてくださっている方々に、党の本当の姿を伝えるには、歴史がとても大事だと思います。どういう歴史をその党が歩んできたのか。ここにこそその党の真実の姿が表れます。それを伝えることによって、次の100年に向けて新しい前進を切り開いていきたい。

 こうした意味で、歴史への貢献、自己改革を貫いてきた100年を歴史にまとめることは、非常に大きな意義を持つと考え、大仕事ですが、力を合わせて作業をすすめ、きょうの発表に至りました。ちょっとホッとしているところです。

女性たちの不屈の青春

戦前論のなかで叙述をあつくするよう補強した

 記者 「日本共産党に参加した女性たちの不屈の青春」の節についてうかがいます。4人の(女性)党員は有名です。全員24歳で亡くなっています。これまでの党史にも記載があったのですか。『百年』史の中でここが一番(印象的)で、2度読んだのはここです。

 志位 『八十年』史でも24歳で亡くなった女性の同志たちのたたかいについて述べています。ただ、今回は、かなり踏み込んでそれぞれの同志について叙述しました。

 たとえば、それぞれの同志が、どういう思いでこの厳しい時代をたたかい抜いたのか、その生きた声が伝わるように叙述を補強しました。また、この4人の同志は、党(共産青年同盟)の中央に属し、責任ある部署につきながら、たたかいぬいた。そういうことも明確に述べるようにいたしました。

 さらに、この時代にわが党に参加した女性たちのたたかいに対して、戦前から始まり、戦後も繰り返されてきたことですが、そのたたかいをおとしめるいろいろな攻撃がやられてきました。「日本共産党は女性を踏み台にして恥じない党」といった攻撃であります。それに対してはきっぱりと事実を示して反論を行うということもいたしました。

 日本共産党は、2020年の第28回党大会で行った綱領一部改定で、「ジェンダー平等社会をつくる」ことを綱領に書き込みました。そういう党として、戦前の女性の分野のたたかいをさらに重視して光をあて、そこには誇るべきものがあった、もちろんこの時代の歴史的制約もあると思いますが、全体として、きわめて先駆的なたたかいをやった先輩たちがいた。また、そうしたたたかいをやった党があった。それは私たちの誇りですので、力をいれて叙述しました。

 戦前論のなかで叙述をあつくするよう補強した部分となりました。

沖縄の位置づけは?

沖縄人民党の歴史を日本共産党の歴史と不可分のものとして叙述

 記者 沖縄は、瀬長亀次郎さんなど共産党の活動でも、反戦平和の文脈で重要だと思いますが、党史にどう位置づけられているのですか。

 志位 『百年』史の節々で、沖縄県民のたたかいについて、非常に重視して叙述しています。

 その歴史的意義をまとめて叙述したのは、30ページ「沖縄人民党の日本共産党への合流」という節であります。これは『八十年』史にはなかった節で、『百年』史で新しく叙述したものです。

 ここでは1947年に創立された沖縄人民党が、どのような先駆的たたかいを行い、73年に日本共産党に合流していったのかについて、端的ですが歴史的叙述があります。

 沖縄人民党のたたかいについて、「県民が島ぐるみで団結するならば、アメリカの植民地的な支配の現状を必ず変えられるという強い信念と、たたかいの前途を科学の力で見通してゆく先駆性がありました」と述べたうえで、沖縄人民党が果たした先駆的役割を3点にわたって強調しています。

 第一に、「祖国復帰」というスローガンは沖縄人民党が言いはじめたものです。ほかの党がなかなか言えなかった時代に人民党が堂々と主張し、「カメさん(瀬長亀次郎)の背中に乗って祖国の岸へ渡ろう」というキャッチフレーズとともに、全県民の要求になっていきました。

 第二に、人民党は、沖縄を日本から分離することを取り決めた1952年のサンフランシスコ平和条約の第3条の撤廃を要求し、この要求も統一戦線組織の合意になっていきました。

 第三に、人民党は、日米安保条約をめぐっても廃棄を掲げ、学習運動に取り組み、やがてこの要求も統一戦線組織の闘争目標にすえられました。

 こういう沖縄人民党の先駆的歴史が書かれています。そういう流れの中で、人民党と日本共産党との合流が達成されました。

 沖縄人民党の歴史を日本共産党の歴史と不可分のものとして叙述しているということをぜひ注目していただければと思います。

攻防の決着は?

攻防はずっと続く――党を強く大きくし、国民との共同を広げ次の決着を

 記者 次の100年に向けて、党を継承して発展させていくということが書かれています。反共勢力との攻防のプロセスの渦中にあるということですが、次の100年に向けてこのプロセスをどうやって決着させようと考えていますか。

 志位 この攻防のプロセスは、今後も続くと思います。

 現在の日本の政党のなかで、国民多数の合意で日米安保条約をなくして、本当の独立国といえる日本をつくり、対等・平等・友好の日米関係を築こうという主張をしているのは日本共産党しかありません。財界・大企業中心の政治に根本からメスを入れようと言っている政党も日本共産党です。

 さらに資本主義という体制を乗り越えて、社会主義・共産主義にすすむ大展望を示している唯一の党が日本共産党です。

 日本共産党は、矛盾に満ちた現状に決して甘んじないで、「もとから変えよう」と言っている党です。この志を変えることはありません。そうである以上、古い政治にしがみつく勢力からすれば、やはり脅威ですから、この攻防はずっと続くと思います。

 どう決着をつけるかということでは、日本共産党が力をつけていく。国民としっかり結びついた、強く大きな党をつくっていく。その力で国政でも地方政治でも躍進をかちとっていく。情勢にそくして国民との共同――統一戦線を発展させ、政治を変える多数派をつくっていく、ということによって、次の決着がつけられるんだろうと思っています。

次の100年は?

この100年で日本も世界も変わった――長いスパンで将来を展望して頑張っていく

 記者 次の100年に向けて、委員長の口からお考えを述べていただきたい。

 志位 100年前と今との違いを考えてみていただきたいと思います。

 100年前は、日本は天皇絶対の専制国家でした。国民の基本的人権は事実上ありません。国民は絶えず弾圧と迫害の対象にされていました。「戦争反対」と言っただけで、つかまり監獄に入れられる時代です。この時代に生きていた人たちからすれば、当時は、天皇中心の国家体制が変わるとは、夢にも思わなかったかもしれません。しかし、変わるときには変わったんです。日本軍国主義の敗北によって、天皇絶対の専制国家から、国民主権の民主主義の国に変わった。100年という単位で見ると、日本は大きな変化を遂げているのです。

 世界もそうです。『百年』史でも論じていますが、この1世紀の世界の大きな流れというのは、かつて地球を覆っていた植民地体制が崩壊して、世界の多くの国が、自主的・自立的な国として国際政治の主人公となる新しい時代が生まれています。その力が核兵器禁止条約にも表れました。

 さらに、世界史的な視野で見ると、自由と民主主義の流れ、人権擁護の流れの圧倒的な広がりがあります。

 平和の問題でも、戦争の違法化、そして核兵器の違法化、そういう平和のルールがつくられてきました。

 100年という単位で見ると、世界にも巨大な変化が起こっています。

 ですから100年後のことを予想するわけにはいかないですが、長い単位で見るならば、必ず変化が起こる。わが党の戦前のたたかいが日本国憲法に実ったように、わが党がいま綱領で掲げている方向が現実のものになると確信しています。

 ただ、それは自然には起こりません。たたかいがあってこそ現実のものになる。社会進歩を自覚的に進める政党の役割は大きいということを肝に銘じて頑張る必要があります。

 そういう長いスパンで将来を展望して頑張っていくということも、大事だろうと思っています。

旧「優生保護法」

過去にさかのぼって、党の誤りを明確にした

 志位 1点だけ、この機会にご報告しておきたいことがあります。私は冒頭に、『百年』史について、過去の欠陥や歴史的制約についてメスを入れているということを強調しました。そうした自己分析の記述は、『百年』史の全体にわたっているわけですが、この間、国政で非常に重大な問題となっていることについても、新しい記述があります。18ページ、旧「優生保護法」に対する態度の問題です。

 この法律は、1948年から96年にわたって存在したもので、強制不妊手術など憲法上の権利を違法に侵害する許しがたい立法でありました。これに日本共産党がどうかかわったか、今回検証の作業を突っ込んで行いました。

 実を言いますと、48年の立法当初について、当時の国会議事録をだいぶ精査したんですが、党議員団の態度が明瞭には判定がつかないのです。ただ、その後、1952年に旧「優生保護法」が改定されて、「優生手術」の範囲が拡大された。精神疾患をお持ちの方にも拡大された。重大な改悪です。その時、党議員団は賛成し、全会一致で成立させたという重大な誤りが明瞭になりました。この誤りについて、『百年』史には明記しております。

 これまでこの問題に対して、党は、2018年に、誤りを是正することへの「不作為の責任」があったということを表明していますが、『百年』史では、党の責任は「不作為」にとどまらず、旧「優生保護法」改定に賛成したという重大な誤りがあったことを明記しています。

 こうした国政上の非常に重要な問題について、過去にさかのぼって誤りを明らかにし、反省を明確にしたことも報告しておきたいと思います。