志位和夫 日本共産党

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主な活動

2023年3月10日(金)

大軍拡の危険と平和の希望

全国青年・学生学習会 志位委員長 大いに語る


 日本民主青年同盟(民青)が8日に開催した「この国を『戦争国家』にしていいのか!?全国青年・学生学習会」では、日本共産党の志位和夫委員長が青年・学生から寄せられた質問に丁寧に回答し、岸田政権が進める大軍拡の危険な実態と、希望ある平和の対案の両面を語りました。司会は民青副委員長の中山歩美さん。


「日本を守る」でなく、国土を焦土に

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(写真)全国青年・学生学習会に講師として登壇する志位和夫委員長(右)=8日、党本部

 志位さんはまず、「敵基地攻撃能力とは具体的には何なのか」「何のために持とうとしているのか」「日本が攻撃されるリスクがあるのか」との問いに回答。敵基地攻撃能力の正体は「スタンド・オフ・ミサイル」(長射程ミサイル)を中心としたシステムであり、保有の目的は米国が同盟国を動員して地球的規模で構築している「統合防空ミサイル防衛」(IAMD)に参加することだと指摘。自衛隊が米軍と「融合」するように一体化して先制攻撃の戦争に乗り出す危険を告発し、「『日本を守る』どころか日本に戦争を呼び込み、国土を焦土と化す。これが大軍拡の正体です」と話しました。

 「日本国憲法があるもとで、なぜ敵基地攻撃能力を持つことができるのか」との疑問が投げかけられ、志位さんは法理の問題を詳しく説明しました。

憲法解釈を変えていないというウソ

 志位さんは、敵基地攻撃能力の保有は憲法違反であり、「専守防衛」とも両立しないとしてきた過去の政府答弁との矛盾を国会でただしたが、岸田文雄首相は整合性を一切説明できなかったと指摘。「憲法解釈の大きな変更をしているのに『従来の憲法解釈を変えていない』とウソをついている。立憲主義を根本から破壊する暴挙です」と批判しました。

 志位さんはさらに、集団的自衛権の行使として敵基地攻撃を行った場合に、自衛隊の武力行使が際限なく拡大してしまう問題を指摘。集団的自衛権のもとでは、武力行使の要件の「必要最小限度の実力行使」という歯止めはなくなり、米軍を勝たせるまで戦争をどこまでも続けることになるとして、「憲法違反がいよいよ明瞭になっています」と述べました。

「抑止力」で平和を守るは虚構

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 「敵基地攻撃能力を持つことが抑止力になって日本が守られるのでは」という質問に対して志位さんは、「抑止」の本質は「恐怖」であり、「脅威」対「脅威」の悪循環に陥り、戦争のリスクを高めることになること、そもそも「専守防衛」、憲法9条と「抑止」とは両立しないことを解き明かし、「『抑止力』で平和がつくられるというのは虚構です。ぜひ見抜いてほしい」と語りかけました。

 中山さんは、「政府が明言しない間にこんなことが進んでいたんですね。本当に恐怖を覚えました」と語りました。

 「軍事費を増やすことで暮らしの予算が圧迫されないか」との質問に志位さんは、年間5兆円増の大軍拡になれば、暮らしの予算の削減は避けられず、消費税大増税、社会保障大削減、国家財政破綻につながると指摘。他方で、5兆円あれば大学の授業料・入学金ゼロ、本格的な給付奨学金も実現できることなどを示し、「『軍拡より生活に税金使え』と訴えていきましょう」と呼びかけました。

平和の希望――アジアとヨーロッパで

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東アジアサミット18カ国とASEAN10カ国

 志位さんは、「軍事ではなく外交で平和的な秩序をつくる方法は」との質問に、東南アジア諸国連合(ASEAN)の平和構築の取り組みを紹介しながら、憲法9条を生かして東アジアに平和をつくる日本共産党の「外交ビジョン」を力説。その実践として昨年トルコ・イスタンブールで開催されたアジア政党国際会議(ICAPP)第11回総会に参加した意義と成果を語りました。

 つづけて、第2次世界大戦後に起こったアジア大陸の大きな変化―「敵対と分断」から「平和と協調」への世界史的な変動を強調。欧州とアジアを比較しながら、アジアで生まれている「平和の条件」について語りました。

 「ウクライナは軍事同盟に入らなかったから攻められたのか」との問いも。志位さんは、「軍事同盟では平和はつくれない―これこそ欧州の教訓です」と回答。戦争という結果となった背景には、欧州安全保障協力機構(OSCE)などの平和の枠組みを生かしきれなかった外交の失敗があると語りました。

 一方で、この間の日本共産党と欧州左翼・進歩政党との交流の中では、大軍拡と軍事ブロックの強化に共に反対し、連帯を強化していく合意が得られたことを紹介。「欧州の北大西洋条約機構(NATO)化」という難しい事態のもとでも、欧州の左翼政党や平和勢力が意気軒高で頑張っていると報告しました。

 学習会では、参加者から「中国との関係をどうしていったらいいのか」「メディアの現状、野党共闘の展望をどうみるか」などの質問が寄せられ、志位さんは丁寧に答えました。

戦争の準備でなく平和の準備を

 最後に、「『新しい戦前』ともいわれるいまの情勢をどう見ているか」「私たちにできることは何か」との質問が出されました。

 志位さんは、危険な状況であるのと同時に、戦前との違いは、憲法9条がいまなお巨大な力を発揮し、日本共産党が公然と活動する中で、平和を願う国民の運動が草の根で広がっていることだと強調。その上で、いまできることは、「大軍拡の危険と平和の希望の両方をしっかりつかんで語ることです」として、加藤周一さんの言葉を引きながら、「戦争の準備ではなく、平和の準備を―この言葉を合言葉に頑張りましょう」と呼びかけました。


全国から寄せられた感想

 全国青年・学生学習会で、全国から寄せられた感想を紹介します。

 ◇

 「岸田政権が憲法解釈を変えながらそれを認めようとせず、法解釈をなし崩しにしているという指摘に驚いた」(北海道)

 「軍拡の危険性や平和の展望を語り、草の根から全国青年憲法運動を盛り上げて、『戦争国家づくり』を止めていきたい」(岩手)

 「戦争で真っ先に動員されるのは青年。青年の力で戦争する国づくりをストップさせたい」(茨城)

 「『軍拡より生活に』―“希望”を広げていきたい」(東京)

 「抑止の本質は『恐怖と威嚇』というところがハラに落ちた。今日の配信を何度も学びたい」(千葉)

 「若憲集会に向け、学園の中で憲法9条を守る運動を広げるために奮闘したい」(愛知)

 「希望の面と危険な面、両面をつかみながら、周囲の青年と対話し広げたい」(徳島)

 「ASEANがつくる枠組みに北朝鮮や中国が入っていることに希望を感じた」(沖縄)