志位和夫 日本共産党

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TV発言

2023年1月9日(月)

2023年 日本共産党 くらし・平和の提案

NHK「日曜討論」 志位委員長の発言


 日本共産党の志位和夫委員長が8日のNHK「日曜討論」の「党首に問う」で行った発言は次の通りです。司会は伊藤雅之解説委員と星麻琴アナウンサー。


  続いて、日本共産党の志位委員長です。よろしくお願いします。

 志位 おはようございます。

賃上げ

財界まかせでなく、大企業の内部留保課税で賃上げの促進を

  まず、賃上げについて聞きます。どう実現を目指していきますか。

 志位 岸田総理の年頭の会見を聞いておりますと、「賃金が毎年伸びていく構造をつくる」とおっしゃった。しかし、その方法は“財界にお願いする”と。財界まかせで賃上げが進むかと(いうことが問われます)。私は、政治の責任で賃金を上げていく、この具体策が必要だと思うんです。

 日本共産党は、アベノミクスで大企業の内部留保が500兆円まで積み上がった、この膨れ上がった部分について、時限的な課税をおこなって、10兆円の税収を確保する。これを、中小企業の賃上げ支援にドンとあてて、最低賃金を時給1500円に引き上げる。そして、大企業が賃上げに使った場合は、課税から控除して、大企業で働く人の賃上げも促進する、こういう具体策を提示しております。

 ヨーロッパでは、ドイツでも、フランスでも、昨年3回も最賃を上げて、最賃は(時給)1600円から1700円ですよ。そういう政治のイニシアチブが必要だと思います。

エネルギー

原発回帰方針の撤回を 原発ゼロこそ脱炭素を進める道

 伊藤 原発、エネルギー政策についてうかがいます。政府は、原発の運転期間の実質的な延長、あるいは廃炉を前提にした建て替えなど、最大限活用する方針を打ち出したんですが、これをどう評価しますか。

 志位 私は、まず「勝手に決めるな」ということを言いたいと思います。福島第1原発の大事故以来、政府は「新規建設はしない」、「老朽原発は廃炉にする」とずーっと言ってきたわけです。昨年の参議院選挙でもそう言ってきた。それを一夜にして百八十度ひっくり返して原発回帰を決める。原発事故の教訓も、被災地の苦しみも忘れた原発回帰の方針の撤回を求めます。

 (首相は)「グリーン」ということをおっしゃるんですけれど、原発こそ、ひとたび事故を起こしたら、最悪の環境破壊を引き起こす。そして核のゴミの処分方法も決まっていないわけです。

 そして原発頼みを続けてきたことが、私は、再生可能エネルギー、省エネルギーの普及の障害になっていると思うんですよ。原発によって、再エネが圧迫されるという事態になっています。原発ゼロを決断することが、脱炭素を進める道でもあるということを強く言いたいと思います。

子育て

「教育費軽減」が視野にない首相 学費半減・学校給食費無償化を

  子ども政策については、いま何が必要で、その財源をどう考えますか。

 志位 総理は、「異次元」の子育て支援ということをおっしゃるんですけれども、大きな問題が抜けている。政府が、2020年におこなった意識調査では、「子育て支援で何が重要か」と(聞きますと)、ダントツは「教育費の軽減」なんですよ。7割の方がそう答えた。ところが(岸田首相には)その「教育費の軽減」が全く視野に入っていない。一言もない。

 私は、高すぎる大学の学費は、ヨーロッパでやっているように無償を目指して、まずは半分にする。入学金は廃止する。

 それから全国の自治体でいま小中学校の給食費の無償化の流れが広がっています。憲法26条では、「義務教育はこれを無償とする」と明記しているわけですから、憲法どおりに、国の制度として小中学校の給食費は無償にする。

 財源ですが、(少子化対策のために)消費税増税という議論が出ていますが、とんでもないことです。消費税増税こそ、私は、少子化を加速させた元凶の一つだと思うんですね。消費税は5%に減税する。財源は富裕層や大企業に応分の負担を求める、あるいは大軍拡を中止する、こういうことでつくっていくべきだと思います。

大軍拡

「専守防衛」をかなぐり捨て、日本を廃虚にする閣議決定の撤回を

 伊藤 安全保障、外交についてうかがいますが、政府は「反撃能力」の保有を考えるということです。そして防衛費の増額、あるいはそのための財源としての増税を検討しているということですが、これをどう評価しますか。

 志位 私は、政府の「安保3文書」を読みまして、大きな二つのウソがあるということを指摘したいんですね。

 第一のウソは、「専守防衛に徹し、他国に脅威を与える軍事大国にならない」と書いてある。しかし、いまやろうとしていることは、GDP(国内総生産)比2%への軍拡でしょう。そうなりますと、日本は、アメリカ、中国に次ぐ世界第3の軍事大国になる。トマホーク・ミサイルのような長射程のミサイルを500発も買い込む。まさに「他国に脅威を与える軍事大国」そのものじゃないですか。

 第二のウソは、「自分の国は自分で守る」と繰り返している。しかし、一番の現実的な危険は、集団的自衛権の行使として敵基地攻撃を行う、このことが明記されていることです。つまり、日本に対する武力攻撃がないのに、アメリカが海外で戦争を始めたら、自衛隊が参戦して、敵基地攻撃能力を使って、相手国に攻め込むということですよ。その結果は、日本に対する報復攻撃で、国土は廃虚になる。ですから「日本を守る」のではなくて、日本を廃虚にする危険をもたらすということになると思うんですね。

 私たちは、閣議決定の撤回を求めます。「専守防衛」をかなぐり捨てたこういうやり方には断固反対です。

 そして、そのための増税とか、社会保障削減など、「軍事栄えて民滅ぶ」と、とんでもないことです。これは撤回を求めていきます。

外交

中国敵視と軍事力による対抗でなく、包摂的な平和外交の構想こそ

  では、外交については、日本の果たすべき役割をどう考えますか。

 志位 いま米中対立のもとで日本がどういう対応をすべきなのかということが問われていると思います。

 私たちはまず、中国が、東シナ海や南シナ海でやっているような、力ずくで現状を変えていく、こうした覇権主義に対しては、国連憲章と国際法に基づく冷静な外交的な批判、外交的な解決が必要だと思います。

 同時に、「日米同盟の抑止力・対処力の強化」といって、中国を敵視する、排除する、そして軍事力で対抗していく、これは反対なんです。この道をいきますと、「軍事対軍事」の悪循環がつくられてしまって、戦争のリスクを高めることになります。

 ではどうするかなんですが、日本共産党は、日本も、アメリカも、中国も包み込む、包摂する、平和の枠組みをつくろうという「外交ビジョン」を提唱しております。

 具体的には、東南アジア諸国連合=ASEANと協力して、ASEAN10カ国プラス日米中など8カ国でつくる東アジアサミットという枠組みを強化して、戦争の心配のない東アジアをつくろうということを提唱しております。

 そういう方向が実るように、先日、アジア政党国際会議がトルコのイスタンブールでありまして、それ(「外交ビジョン」)を提唱しましたところ、その方向が全体の総意になりました。そういう平和外交の構想こそ必要だと思います。

通常国会

「岸田大軍拡許さず」の一点で国民的共同を 衆院解散で審判仰げ

 伊藤 国内の通常国会に臨む姿勢をうかがいたいんですが、4人の閣僚が問題で交代するというような事態になりました。政治への信頼をどう回復するか、そのため国会で野党の連携をどう進めていくか、この点、まとめていかがでしょう。

 志位 国会での野党連携、さまざまな形で追求していきたいと思うんですが、やはり「岸田政権の大軍拡を許さない」と、この一点で、国民的な共同をつくっていく。市民と野党の共闘も再構築をはかっていく。この努力をしていきたいと思っております。

 そのさいに、いま、「日米同盟には賛成」だという方、あるいは「軍事費を多少増やすのは仕方ないかな」という方のなかでも、“岸田さんの今度のやり方はいくらなんでも賛成できない”という方はたくさんいらっしゃいますよね。そういう方も含めて、広く手をつないで、国民の多数をつくっていきたい。

 そして、岸田政権については、「専守防衛」をかなぐり捨てた大軍拡、物価高騰への無為無策、もう政権担当の資格はないと考えておりまして、私たちは、衆議院を解散して、審判を仰げと、とりわけ「専守防衛」をかなぐり捨てる大軍拡をやるっていうんだったら、国民の意見を聞けということを求めていきたいと思っております。

統一地方選

強く大きな党をつくって、勝利をかちとりたい

 伊藤 さて、4月の統一地方選挙、これにどう臨むか、目標はいかがでしょう。

 志位 今度の統一地方選挙というのは、全国的選挙ですから、岸田政権の大軍拡に対する最初の審判の場にしていきたい。

 同時に、自治体としては、「福祉と暮らしを良くする」というのが仕事ですから、それを前進させる選挙にしていきたい。そして、いま自治体では、国から、たとえば「急性期のベッドを削れ」、あるいは「国保料を上げろ」、こういう圧力がかかっています。その「防波堤」になって頑張る自治体にしていく選挙にもしていきたい。

 目標は、現有議席を絶対確保して前進するということです。それから道府県議選では、一つ(議席)空白県があるんですが、それを克服して、新たな空白をつくらずに、全部の都道府県で議員団を確立するようにしたい。

 強く大きな党をつくって、選挙に勝ちたい。(前党大会時比)130%に、党員も、「しんぶん赤旗」読者も増やすということを、第7回中央委員会総会を開きまして、決意したところです。

 伊藤、星 ありがとうございました。

 志位 ありがとうございました。