志位和夫 日本共産党

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談話・記者会見

2022年12月17日(土)

「戦争国家づくり」許さない

志位委員長が声明


(全文)

 日本共産党の志位和夫委員長は16日、国会内で記者会見し、岸田政権が「安全保障3文書」を閣議決定したことを受け声明を発表しました。志位氏は、3文書の内容について「専守防衛」をかなぐり捨て、「戦争国家づくり」の暴走をさらに進める危険極まりないものになっていると指摘。「日本共産党として危険な暴走に断固反対を貫き、閣議決定の即時撤回を強く求める」と表明しました。

 志位氏は、3文書について、安保法制で行った集団的自衛権行使=「戦争国家づくり」の法制面の整備に続き、今度は実践面でそれを担う自衛隊の能力を抜本的に強化し、それを支える国家総動員体制をつくりあげていくものだと指摘。「こうした大転換を選挙で信を問うことも、国会での審議もなしに強行するのは、民主主義を根底から破壊する暴挙だ」と批判しました。

 その上で3文書がもたらす危険として3点を指摘しました。

 第1は、憲法と立憲主義の破壊です。最大の新たな踏み込みである「反撃能力」=敵基地攻撃能力の保有は、歴代政府の憲法解釈に照らして憲法違反だと強調。3文書が「専守防衛に徹し、他国に脅威を与える軍事大国にならない」としながら、「抑止力」を高めるとして他国に脅威を与える敵基地攻撃能力保有に踏み出すのは「完全な自己矛盾であり、卑劣な二枚舌だ」と批判しました。

 第2は平和の破壊です。敵基地攻撃能力保有は、「日本を守る」ためのものではなく、世界のどこかで米国が行う戦争に、集団的自衛権を発動して、自衛隊が肩を並べてたたかうというのが正体だと告発。「日本を守る」どころか日本を全面戦争に巻き込むものだと訴えました。

 第3に、大軍拡が暮らしと経済を破壊すると指摘。政府・自民党の軍拡財源論が、庶民増税や暮らしの予算の流用・削減などの中身になっていることを痛烈に告発。さらに「財源確保策」が順調に進む保証はまったくなく、この道では消費税増税を含む大増税、暮らしの予算の大削減の泥沼に落ち込んでいくとして「軍栄えて民滅ぶ。こんな日本にしてはならない」と強調しました。

 志位氏は、戦争の心配のないアジアをつくるために憲法9条を生かした平和外交、地域のすべての国を包摂する平和的な枠組みをつくっていくことが必要だと強調。3文書にある日米豪印(クアッド)やFOIP(自由で開かれたインド太平洋)は、事実上中国包囲網の構想であり「あれこれの国を排除するブロック的対応では平和はつくれない」と批判。東南アジア諸国連合(ASEAN)がめざすASEANインド太平洋構想(AOIP)をあげ「こうした方向こそが戦争の心配のないアジアをつくる大道だ」と語りました。

 志位氏は「日本は今、『戦争か、平和か』という戦後最大の歴史的岐路にたっている」として、敵基地攻撃能力保有と大軍拡に反対する一点での国民的共同を呼びかけました。また、この問題での国民的運動を発展させるなかで、市民と野党の共闘の再構築をはかっていきたいとの決意をのべました。