志位和夫 日本共産党

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談話・記者会見

2022年12月9日(金)

暮らし・憲法・平和破壊の大軍拡に断固反対する

志位委員長が表明


 日本共産党の志位和夫委員長は8日、記者会見で岸田政権の暮らし、憲法、平和を破壊する危険な大軍拡の動きを厳しく批判し、断固反対する立場で逆流に立ち向かうと表明しました。


戦後最悪の戦争への危険な逆流  

 この1週間、岸田自公政権の「戦争国家づくり」にむけた危険な暴走をあらわにする動きが相次いでいる。三つの問題が起こっている。

 一つは、自民党と公明党が「反撃能力」の名で「敵基地攻撃能力」を保有していく方針を合意した。

 二つ目は、岸田首相が、軍事費を「5年間で総額43兆円」にするよう指示した。

 三つ目は、首相が、その財源として「足らない部分は増税」などの指示を出すと報じられている。

 こうして「敵基地攻撃能力」の保有、「軍事費43兆円」、「増税」という3点がセットであらわれてきた。

 いま起こっている動きは、日本国憲法の恒久平和主義に基づく戦後の国のあり方を根底から覆し、「戦争国家づくり」に突き進む非常に危険な動きだ。戦後最悪の戦争への危険な逆流だ。絶対にこれを許さないという決意で対峙(たいじ)したい。

「暮らしの破壊」――大増税と社会保障削減    

 この道を進んでしまったらどうなるか。三点を強調したい。

 第一は、「暮らしの破壊」が起こるということだ。

 大軍拡の財源をどうするのかについて、政府の有識者会議の報告書では「国民が広く負担する」ということが明記された。「企業努力に水を差してはならない」ということものべられた。大企業から取らずに「国民が広く負担する」となれば、消費税の大増税の重大な危険があるということをきびしく指摘しなければならない。

 同時に、いま政府が示そうとしている財源案では「歳出の改革」も柱の一つとされている。一体どの歳出を削るというのか。結局、社会保障費の大幅削減が加速するということになることは火を見るよりも明らかだ。

 すでに年金削減、高齢者の医療費の窓口負担2倍化に続き、介護の利用料の原則2割負担への引き上げが狙われている。医療体制の問題でも「地域医療構想」の名で急性期病床の削減を進めている。こうした社会保障削減が大きく加速していく危険が迫っている。

 さらに首相は、「5年間で総額43兆円」の軍事費を指示しているが、それにくわえて、6年目以降は毎年11兆円以上の軍事費になる。それら全体の財源をどう賄うのか。

 この道を許せば恐るべき暮らしと経済の破壊の泥沼に落ち込むことになる。

「憲法の破壊」――政府の憲法解釈を百八十度覆す  

 第二は、「憲法の破壊」という問題だ。

 「相手国に攻撃的な脅威を与えるような兵器を保有することは憲法上できない」―この憲法解釈は、戦後自民党政府が一貫し主張してきたものだ。これは「専守防衛」という考え方の根本をなすものだ。

 ところが、この政府見解を百八十度覆すというのが、「敵地攻撃能力」の保有だ。

 日本国憲法の下では保有できないとしてきた能力を持つというのだから憲法違反であることは明瞭だ。

 そして、戦後一貫した政府の憲法解釈を百八十度覆すという点では、立憲主義の重大な破壊になる。

 憲法違反であり、立憲主義の破壊であるこの暴挙は絶対に許すわけにいかない。

「平和の破壊」――「日本を守る」のでなく、日本に戦火を呼び込む   

 第三は「平和の破壊」だ。自民党などは「自分の国は自分で守る」と繰り返しているが、このレトリックにだまされてはならない。「敵地攻撃能力」で守ろうとしている本命は米軍にほかならない。

 安保法制にもとづいて集団的自衛権を行使する際にも「敵基地攻撃」ができるということを政府は答弁でのべている。自民党と公明党の合意でも「反撃能力」=「敵基地攻撃能力」は、集団的自衛権行使で使う可能性を排除していない。

 そうなれば、日本がどこからも武力攻撃されていないのに、米国が海外で戦争を始めた時に、自衛隊が「敵基地攻撃能力」を使って 相手国の本土に攻め込む。その結果、日本に対する甚大な報復攻撃を招くことになる。まさに、「日本を守る」とは正反対に、日本に戦火を呼び込むことになる。

 さらに地域の安全保障環境にどういう影響を与えるか。日本が軍事強化で構えれば、相手側も軍事の強化をさらに加速する。「軍事対軍事の悪循環」「安全保障のジレンマ」が生まれてしまう。地域の平和と安定を脅かすという点でもきわめて重大な逆行だ。

 日本共産党は、暮らしを壊し、憲法を壊し、平和を壊す大軍拡・大増税に断固反対するという立場でこの逆流に立ち向かう。多くの国民の皆さんと手をたずさえてこの逆流を打ち破るために全力をあげる決意だ。

国内外で大軍拡を許さない共同を大いに広げたい  

 日本共産党は憲法9条を生かして東アジアに平和を創出する「外交ビジョン」を提起している。

 わが党は、11月に開催されたアジア政党国際会議(ICAPP)でも、「外交ビジョン」の方向を提起し、この方向は、アジアの政党の総意として「イスタンブール宣言」で確認された。この対案を掲げて、国内外で奮闘したい。

 もう一点、報告したいのは、12月9~11日にオーストリアのウィーンで開催される欧州左翼党の第7回大会に、日本共産党は招待を受け、緒方靖夫副委員長・国際委員会責任者を団長とする代表団を派遣し、交流する予定になっている。

 わが党は、欧州の左翼・進歩諸党と、ロシアのウクライナ侵略を利用した軍事ブロック強化と大軍拡の逆流が、ユーラシア大陸の東西で起こっているもとで、これを許さない連帯と協力の関係を強めていきたい。

 何よりも国内で、「大軍拡・大増税を断固許さない」の一点での共同のたたかいを大いに発展させていきたいと決意している。