志位和夫 日本共産党

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演説・あいさつ

2022年11月19日(土)

戦争の心配のないアジア、核兵器のない世界をめざして

アジア政党国際会議 志位委員長の発言


 18日にトルコのイスタンブールで開会したアジア政党国際会議(ICAPP)第11回総会で、日本共産党の志位委員長は第1セッションの2番目に英語で次のスピーチを行いました。


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(写真)18日、トルコ・イスタンブールで開かれたICAPP総会で発言する日本共産党の志位和夫委員長(鎌塚由美撮影)

 尊敬する議長、親愛な友人のみなさん。

 総会開会を歓迎します。私は日本共産党を代表し、「戦争の心配のないアジア、核兵器のない世界をめざして」と題して発言いたします。

国連憲章の擁護、対話と交渉による平和的解決の声を

 友人のみなさん。

 今回の総会は、この美しい黒海の北で戦争が続く中で開かれています。10月12日に開催された国連総会の緊急特別会合は、ロシアによる併合決定の撤回、ロシア軍の即時・完全・無条件撤退を求める決議を、143カ国の圧倒的多数で採択しました。私はこの決議を心から歓迎するとともに、ロシア政府がこの決議に従うことを強く求めます。

 国連総会決議が、戦争のエスカレートを抑えるために、対話と交渉など平和的手段による平和的解決を呼びかけたことは、きわめて重要です。

 イスタンブールの地から、アジアの政党の総意として、国連憲章の擁護、対話と交渉による平和的解決の声を、国際社会に発信しようではありませんか。

ASEAN――平和への希望ある流れ

 友人のみなさん。

 それでは、いかにして戦争の心配のないアジアをつくるか。

 私たちの住むアジア大陸にも、さまざまな緊張や紛争の火種が存在しています。しかし、平和への希望ある流れも起こっています。ASEANの取り組みです。

 ASEANは、紛争の平和解決を義務づけた東南アジア友好協力条約(TAC)を土台に、徹底した対話の積み重ねによって、東南アジアを平和の共同体に変えました。そして、平和の流れをASEAN域外にも広げてきました。

ASEANインド太平洋構想(AOIP)――排他的枠組みでなく、包摂的な平和の枠組み

 その最新の到達点として、私たちが注目しているのは、2019年のASEAN首脳会議で採択された「ASEANインド太平洋構想(AOIP)」です。この構想は、TACを指針として、対抗でなく対話と協力を推進し、東アジアサミット(EAS)を平和と協力の機構として強化し、ゆくゆくは東アジア規模の友好協力条約を展望しようという壮大な構想です。

 私たちは、この構想に全面的に賛成するものです。私たちは、この構想の何よりもの重要な意義は、あれこれの国を排除して包囲するという排他的枠組みでなく、地域のすべての国を包み込む包摂的な平和の枠組みをつくるところにあると考えています。

 友人のみなさんに訴えます。ASEANと協力し、AOIPを推進し、アジアを戦争の心配のない地域にしていくために、力をつくそうではありませんか。

核兵器禁止条約へのICAPPの貢献――「核兵器のない世界」をつくろう

 友人のみなさん。

 最後に訴えたいのは核兵器の問題です。これまでICAPPは、アスタナ、プノンペン、コロンボなど一連の総会で、「核兵器のない世界」の実現を世界に呼びかけてきました。

 こうしたICAPPの努力が核兵器禁止条約の成立への一つの貢献になったことを、私は、参加された多くの友人とともに喜びたいと思います。

 総会の総意として、核兵器禁止条約への歓迎と、「核兵器のない世界」に向けた決意を、世界に発信することを呼びかけて、発言とします。

 ご清聴ありがとうございました。


総会宣言案への日本共産党代表団の提案

 アジア政党国際会議(ICAPP)第11回総会の「総会宣言」についての日本共産党代表団の提案は次の通りです。

 総会宣言でとりあげ、反映していただきたいと考える点を提案します。

 1、ウクライナの事態を深く憂慮し、総会は、国連憲章の諸原則に従い、国際的に認められたウクライナ国境内でのウクライナの主権と領土保全を尊重しつつ、政治的対話、交渉、調停およびその他の平和的手段による平和的解決をはかることを要請する。

 2、総会は、アジアで戦争を決して起こしてはならず、国連憲章および国際法の諸原則に従い、紛争を平和的・政治的に解決する決意を表明する。東南アジア諸国連合(ASEAN)が2019年の首脳会議で採択した「ASEANインド太平洋構想(AOIP)」を支持する。東アジアサミット(EAS)を、地域のすべての国を包摂する平和の枠組みとして強化し、ゆくゆくは東アジア規模の友好協力条約を展望することが、戦争の心配のないアジアをきずく道である。

 3、総会は、核兵器の使用がもたらす壊滅的な人道的結末への深い懸念をもち、核兵器の使用は絶対に回避されるべきであると訴える。総会は、核兵器禁止条約の発効とその第1回締約国会議の開催を歓迎し、これまでのICAPP総会で繰り返し確認されてきた「核兵器のない世界」の実現に向けて、いっそうの努力と決意を表明する。