志位和夫 日本共産党

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談話・記者会見

2022年11月25日(金)

戦争の心配のないアジアか、軍事対軍事の危険な道か――日本は大きな岐路に立っている

志位委員長が会見


 日本共産党の志位和夫委員長は24日、国会内で会見し、18・19両日にトルコ・イスタンブールで開かれたアジア政党国際会議(ICAPP)総会への参加とその成果について、「日本共産党が訴えてきた憲法9条を生かして東アジアに平和を創出する『外交ビジョン』の方向が、アジアの政党の総意として確認されたのが『イスタンブール宣言』だ」と意義を強調しました。


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(写真)記者会見する志位和夫委員長=24日、国会内

 同時に、22日、政府の「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」が発表した報告書について、「愚かで危険な文書」「“戦争国家づくり”の青写真」と厳しく批判。「日本はいま大きな岐路に立っている。地域のすべての国を包摂する平和の枠組みをつくり、戦争の心配のないアジアを進むのか、『ブロック政治』の最悪の形――米国との軍事ブロックを強化し、軍事対軍事の危険な道に突き進むのか、まさに二つの道が問われている」と強調しました。

党「外交ビジョン」の方向こそアジアの平和の本流

 まず志位氏は、ICAPPの成果を報告。事前に鄭(チョン)義溶(ウィヨン)ICAPP議長(前韓国外相)に提出した3点の要請文の内容―(1)ウクライナの主権と領土保全を尊重しつつ、政治的対話による平和的解決を(2)日本共産党が「平和ビジョン」として訴えてきた、東南アジア諸国連合(ASEAN)と協力して、東アジアのすべての国を包摂する平和の枠組みを発展させる(3)核兵器使用の脅しを許さず「核兵器のない世界」を発信する―を紹介しました。

 志位氏は、19日に総会で採択された「イスタンブール宣言」は「日本共産党が要請した中心点が反映されたものとなった」と述べ、とくに、日本共産党の「外交ビジョン」にかかわって、「ブロック政治を回避し、競争より協力を重視する」の一文が盛り込まれたことの重要な意義を詳しく明らかにしました。

 その上で志位氏は、「こういう大事な国際会議に自民党は参加していない。岸田首相は『外交は大事』と口では言うが、実際には軍事ばかりに熱中し、『外交不在』が実態だ」と批判。「日本共産党が主張してきた『外交ビジョン』の方向こそアジアの平和の本流に立ったものだということが明らかになった点でも今度の会議は重要な意義を持つものとなった。この成果を、今後のたたかいに大いに生かしていきたい」と強調しました。

有識者会議報告書――「愚かで危険な文書」

 その上で志位委員長は、トルコからの帰国直後に政府の「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」の報告書を読んだが、「実に愚かで危険な文書」「一言で言えば“戦争国家づくり”の青写真」と痛烈に批判。次の3点にわたって見解を明らかにしました。

 第1点は、報告書が「反撃能力」=敵基地攻撃能力の保有と増強が必要だとして、今後5年を念頭に、同能力を持てるようにするとしている問題です。志位氏は、「(従来の政府憲法解釈を)いとも簡単に変えた。敵基地攻撃能力の保有については、従来の政府の憲法解釈の答弁でも、敵の基地を攻撃すること自体は『法理上は許されないわけではない』としながらも、そういう能力を平素から保有していること――相手国に脅威を与えるような能力を保有することは憲法上できない―これが(政府の)憲法解釈だった。その憲法解釈との整合性をどうとるのかは一切書いていない」と批判しました。

 志位氏はさらに、「敵基地攻撃能力保有の重大な危険は、日本がどこからも攻められていないのに、アメリカが海外で戦争を始めた場合に、日本が安保法制=集団的自衛権を発動し、敵基地攻撃能力=『反撃能力』を使って米軍とともに相手国に攻め込む、ここに重大な危険がある」と指摘。「日本が攻められていないのに、アメリカの戦争に日本が参戦することで、相手国から見れば、事実上の先制攻撃になる。そして日本に戦火を呼び込む。そういう深刻な問題点もこの間の質疑で明らかになってきたが、一切そういう問題を検討した形跡すらない。“反撃能力を持つのは当たり前”と言わんばかりにいとも簡単に書かれていることは大問題だ」と強調しました。

 第2点として志位氏は、大軍拡の財源について報告書は「国民全体で負担する」としているが、「よく読むと、『企業の努力に水を差すことのないよう、議論を深めていくべきだ』という。大企業からは取らずに、国民全体で負担するといったら、消費税ではないか。結局は消費税を上げる道を開き、大軍拡のために大増税するというとんでもない報告書だ。こういう方向は、軍事対軍事の悪循環をつくり出し、日本を危険にさらすだけでなく、国民の暮らしを押しつぶすことになる」と批判しました。

 第3点として、「この文書には外交戦略が一言もなく、軍事のことしか書いていない。まさに外交不在、軍事一辺倒の文書だ」と指摘。「憲法9条に基づく外交戦略こそ、いま強く求められている」と述べた上で、日本共産党は一野党であっても、ICAPPという場で「9条に基づく平和外交」について知恵を絞った取り組みを行い、アジアの政党の前向きの合意をつくるために貢献してきたと強調。ところが「自民党にはどういう外交によって日本の平和を守っていくのかは何もなく、軍事一辺倒しかない」として、「実に愚かしい文書で、危険な文書だと強く言いたい」と述べました。

 さらに志位氏は、同報告書は繰り返し「自分の国は自分で守る」と言っているが、「それはうそだ」とズバリ。ハワイ沖で行われた日米合同軍事演習「リムパック」で、集団的自衛権の行使を前提とした合同演習を行ったと日本政府が発表しているとおり、「アメリカが世界のどこかで戦争を起こしたときに、集団的自衛権を発動して、自衛隊が一緒になって戦争をやる。『自分の国を自分で守る』という話ではない。アメリカを守るために大軍拡をやる、大増税をやる、これがことの本質だ」と訴えました。