志位和夫 日本共産党

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国会質問

2022年10月7日(金)

志位委員長の代表質問 衆院本会議


 日本共産党の志位和夫委員長が6日の衆院本会議で行った岸田文雄首相の所信表明演説に対する代表質問は次のとおりです。


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(写真)質問する志位和夫委員長=6日、衆院本会議

北朝鮮の弾道ミサイル発射を強く非難、軍事的挑発を抑える外交的対応の強化を

 私は、日本共産党を代表して、岸田総理に質問します。

 冒頭、北朝鮮による弾道ミサイル発射を強く非難するとともに、軍事的挑発を抑えるために、国際社会が協調して外交的対応を強化することを求めるものです。

「国葬」強行――憲法違反の敬意と弔意の強制を問う

 まず私は、総理が、国民の約6割の反対を一顧だにせず、安倍元首相の「国葬」を強行したことに強く抗議します。総理、国民の多数が「国葬」に反対したのはなぜだと考えますか。強行したことへの反省はないのですか。

 強行されたからといって、「国葬」が憲法違反であることは絶対にあいまいにできません。総理は、8月10日の記者会見で、「国葬」を、「故人に対する敬意と弔意を国全体として表す儀式」と明確に定義しています。総理のいう「国全体として」とはどういうことですか。日本の国の主権者は国民であり、「国全体として」とは「国民全体として」ということになるではありませんか。これが憲法19条が保障する思想及び良心の自由を侵害する敬意と弔意の強制になることは明瞭ではありませんか。

 総理は、「一人ひとりに弔意を強制するものではない」と言いました。しかし、実際の「国葬」の場では、総理や菅前総理が、安倍氏を天まで持ち上げる礼賛演説を行い、それをほとんどのテレビ局が生中継しました。中央官庁は職員に黙とうを指示し、ほとんどの都道府県が半旗や弔旗を掲げました。まさに直接・間接に敬意と弔意の強制が行われたではありませんか。答弁を求めます。

政府・自民党と統一協会との癒着問題を問う

統一協会が反社会的団体だという認識を持っているか

 政府・自民党と統一協会との癒着問題について聞きます。

 まず問いたいのは、総理が、統一協会という団体を、どういう団体と認識しているのかという問題です。統一協会は、正体を隠した「伝道」活動、霊感商法や高額献金、当事者の意思を無視した集団結婚など、数々の反社会的行為を行い、そのいずれに対しても違法との判決が確定している団体です。総理は、統一協会について、「社会的に問題が指摘されている団体」と言いますが、問われているのは総理自身の認識です。統一協会が反社会的団体であるという認識をお持ちですか。はっきりお答えいただきたい。

自民党と統一協会の深刻な癒着が被害を拡大してきたことへの反省があるか

 そのうえで問いたいのは、自民党と統一協会との深刻な癒着が、統一協会による被害を拡大してきたことへの反省があるのかという問題です。多くの元信者は、政治家から祝電や祝辞が寄せられるのを見て、「こんなに高名な政治家の方まで支持してくださっているのだから、お父様(文鮮明)の教えは間違いなく正しいんだ」との確信をもったなどと証言しています。総理、自民党の多くの政治家が、統一協会の「広告塔」として利用され、被害を拡大してきたという反省はありますか。お答えください。

「関係を断つ」というなら――五つの問題点を提起する

 総理は、8月31日の記者会見で、統一協会との「関係を断つ」と約束しました。しかしこの約束には行動が伴っていません。

 私は、五つの問題点を提起したいと思います。

議員まかせではなく、党として責任をもって調査せよ

 第一は、自民党の対応が、統一協会との「接点」を、所属国会議員個々人に「自己申告」させるという、議員まかせの対応になっていることです。そのため「集計」結果を発表したのちも、新たな「接点」がつぎつぎに発覚し、追加報告を余儀なくされるという泥沼に陥っています。議員まかせでなく、党として責任をもって国会議員・地方議員の癒着の全容を調査すべきではありませんか。

政府として政務三役などとの関係を調査せよ

 第二は、政府としては、何の対応も行っていないという問題です。第2次岸田政権の大臣、副大臣、政務官、補佐官などの国会議員80人のうち、統一協会と接点や関係があった議員は36人にものぼっています。政府として責任をもって統一協会と政務三役などとの関係を徹底的に調査するべきではありませんか。

行政がゆがめられた疑惑を調査せよ

 第三は、行政がゆがめられた疑惑を放置していることです。統一協会は、1997年、文化庁に名称変更を求めますが、文化庁は「実態が変わっていないのに名前だけ変えることはできない」と名称変更を認めませんでした。それが2015年、突然、名称変更を認めることになりました。なぜ名称変更を認めないという方針が覆されたのか。当時、文部科学審議官だった前川喜平氏は、「下村博文大臣の意思が働いたことは間違いない」と証言していますが、政治家の関与と圧力はなかったのか。総理の責任で調査すべきではありませんか。

安倍元首相の癒着の全貌を調査せよ

 第四は、総理が、安倍元首相の調査について、「限界がある」と背をむけていることです。安倍氏は、統一協会の最大の「広告塔」だった政治家です。参院比例選挙で、統一協会の会員票を差配する役割を担っていたとの証言もあります。故人になったとしても、関係者や関係書類の調査など、意思さえあれば調査はできるはずです。元首相・自民党総裁と統一協会の癒着の全貌について、責任をもって調査すべきではありませんか。

歴史的癒着関係を過去にさかのぼって調査せよ

 第五に、自民党と統一協会とは、1968年、笹川良一ら日本の右翼と岸信介元首相らが発起人となって、統一協会と一体の「勝共連合」を日本で発足させて以来の、歴史的癒着関係があります。半世紀以上にわたって、自民党は統一協会を反共と改憲の先兵として利用し、統一協会は自民党の庇護(ひご)のもとに、反社会的活動を拡大してきました。この歴史的癒着関係の全体を、過去にさかのぼって徹底的に調査し、国民に報告すべきではありませんか。

 以上五つの点について、「関係を断つ」というのなら、明確に答弁していただきたい。

宗教法人法に基づく解散命令を請求せよ

 最後に、これだけ重大な反社会的行為を続けている統一協会に、宗教法人として税制上の優遇などを続けることにはまったく道理がありません。宗教法人法に基づく解散命令を請求すべきです。総理の見解を問うものです。

物価高騰から暮らしと経営を守るために――二つの緊急提案

「異次元の金融緩和」政策が完全に手詰まりに陥っているという事実を認めるか

 物価高騰が深刻です。暮らしと経営を守るために政治は何をなすべきか。

 まず総理にうかがいたいのは、物価高騰の最大の原因となっている異常円安の問題です。日銀は、9月22日、「異次元の金融緩和」政策の維持を決定しました。異常円安と物価高騰がさらに進むことは分かり切っているのに、やめるにやめられないのです。

 総理、「アベノミクス」による金融政策が完全に手詰まりに陥っているという事実をお認めになりますか。

 そして、なぜ手詰まりに陥ったかといえば、日本が「賃金の上がらない国」から抜け出せないところに、その最大の原因があると考えますが、いかがですか。

中小企業の賃上げへの直接支援の抜本的強化を

 私は、二つの点にしぼって緊急提案を行います。

 第一は、中小企業の賃上げへの直接支援を抜本的に強化することです。

 この10年間、政府が賃上げ政策の柱としてきたのは「賃上げ減税」でした。しかし、もともと黒字の企業しか対象にならないこの制度は、実効ある賃上げ政策にはなりませんでした。そのことは、この10年間、賃上げどころか、実質賃金が年間平均27万円も減少した事実が証明しています。総理、この政策の失敗を直視し、実効ある賃上げ政策への抜本的見直しをはかるべきではありませんか。

 とりわけ、最低賃金1500円の実現に向け、中小企業の賃上げへの直接支援を抜本的に強めることを求めます。多くの都道府県の最低賃金審議会は、政府に対し、中小企業の賃上げに対する社会保険料の減免、新たな助成金の創設など、直接支援の改善・強化を要望しています。総理、この声に全面的にこたえるべきではありませんか。

 日本共産党は、大企業の内部留保の増加分に時限的課税を行い、大企業で働く労働者の賃上げを促進するとともに、10兆円の税収を中小企業の賃上げ支援に使う賃上げ政策を具体的に提案していますが、この提案を真剣に検討すべきではありませんか。答弁を求めます。

消費税を緊急に5%に減税し、医療費の負担増の撤回を

 第二は、消費税を緊急に5%に減税し、医療費の負担増を撤回することです。

 物価高騰は、ほとんどすべての商品とサービスに及んでいます。そして所得の少ない人ほど物価高騰の影響は深刻です。こうしたもと、消費税5%への減税こそ暮らしを守るうえで最も効果的な対策であることは明らかではありませんか。コロナ危機のもとでも空前の利益をあげている富裕層と大企業に応分の負担を求め、消費税減税を決断すべきです。インボイス導入は中止すべきです。

 物価高騰のさなか、年金が減らされ、さらに10月から75歳以上の医療費窓口負担を2倍にするという血も涙もない政策が強行されたことに、強い怒りの声が広がっています。厚生労働省は、負担増での受診控えで給付費を年1050億円も削減できると推計しています。総理、受診控えが健康悪化を招き、逆に医療費の増大につながる悪循環を引き起こす危険をどう考えますか。医療費負担増政策を中止し、軽減へとかじを切るべきではありませんか。答弁を求めます。

新型コロナ――医療へのアクセス制限でなく、医療提供体制の抜本的強化を

 総理が、所信表明で、新型コロナ対応について、「行動制限を行わずに、今年の夏を乗り切れた」と語ったのには驚きました。あなたの目には、「第7波」による死者が1万3千人を超え、最悪となっている現実が見えないのですか。無為無策、なりゆき任せの対応への厳しい反省を強く求めます。

 今、とくに重大なのは、政府が、「ウィズコロナ」への対応として、「療養の考え方の転換」なるものを進めようとしていることです。今後、発熱外来を受診できる対象を、高齢者、基礎疾患のある人、子ども、妊婦に絞り、それ以外の患者は、自己検査を行い、自宅療養を求めるというのです。これでは、今年の冬にかけて、コロナとインフルエンザの同時流行が危惧されるもとで、高熱に苦しむ患者が医療を受けられない事態が、さらに深刻化しかねません。

 総理、医療へのアクセスを制限する制度改変でなく、医療提供体制を抜本的に強化・拡充することこそ政治の責任ではありませんか。答弁を求めます。

沖縄県知事選挙で示された民意をどう受け止めるか

 9月11日投開票された沖縄県知事選挙で、「オール沖縄」の玉城デニー知事が、自公推薦候補に圧勝しました。総理は、この選挙で示された民意をどう受け止めていますか。

 知事選での「オール沖縄」候補の勝利は3回連続ですが、今回は、自公推薦候補が、辺野古新基地建設の加速を公然と公約に掲げ、辺野古問題が明確に争点になったうえでの審判となりました。「辺野古移設は主要な争点ではなかった」などとの言い逃れをする余地はもはやまったくありません。

 総理、知事選で示された民意は、「辺野古新基地建設中止、普天間基地閉鎖・撤去」にあることをはっきり認め、「辺野古が唯一の解決策」などという破綻した理屈は撤回すべきではありませんか。総理の答弁を求めて質問を終わります。