志位和夫 日本共産党

力をあわせて一緒に政治を変えましょう

党の会議での報告

2022年8月4日(木)

第6回中央委員会総会

志位委員長の結語


 日本共産党の志位和夫委員長が第6回中央委員会総会で2日行った討論の結語は次のとおりです。


写真

(写真)結語を述べる志位和夫委員長=2日、党本部

試練をのりこえ、新しい前進の道を指し示す総会となった

 みなさん、2日間の会議、お疲れさまでした。

 私は、幹部会を代表して、討論の結語を行います。

 2日間で60人の同志が発言をしました。全国での党内通信・ユーチューブでのリアルタイム視聴は4万8439人となりました。5中総を上回る、たいへんに大きな規模となり、この総会への期待と注目の大きさを示したと思います。全国から621人の同志から感想が寄せられています。

 発言でも、全国からの感想でも、幹部会報告は、全体としてきわめて積極的に受け止められ、深められました。

 第6回中央委員会総会は、試練をのりこえて、わが党の新しい前進の道を指し示す総会として大きく成功したといってよいのではないでしょうか。

 討論のなかで、中央への要望も出されました。常任幹部会の責任で、最大限受け止めて今後の活動に生かすことをお約束したいと思います。

「二重の大逆流」を全党の大奮闘によって押し返してきた意義が深められた

 幹部会報告では、参議院選挙の結果を、「二重の大逆流」を全党の大奮闘によって押し返す過程での一断面ととらえることを強調しました。この解明は、全国のみなさんのたたかいの実感ともぴったり一致する解明として、深く受け止められました。とくに幹部会報告が、全国のみなさんの大奮闘を、「時流に決して屈しない、流されない、日本共産党ならではの不屈性が発揮されたもの」とのべたことに対し、全国からの感想でも、自らのたたかいがもつ意義に「感動した」という声が多数寄せられています。

 政治論戦における全党の勇気ある大奮闘が、世界と日本の平和にとっていかに大きな意義を持つかについて、深く確信を持つことは、“がっかり感”を“元気”に変え、今後のたたかいに意気高くのぞむうえできわめて重要であります。6中総の最大の政治的肝はここにあることは、討論をつうじても浮き彫りになったのではないでしょうか。

 幹部会報告の政治論戦に関する解明は、討論で、さまざまな角度から深められました。4点ほどのべておきたいと思います。

わが党の論戦が、現実に日本の情勢を変え、いまも生きて力を発揮している

 第一に、討論のなかで、わが党の論戦が、現実に日本の情勢を変えていったことが語られました。討論でも紹介されましたが、選挙戦が進むにつれて、一般メディアの社説でも、岸田政権の軍事一辺倒の対応に、これでは「安全保障のジレンマ」に陥るのではないかという議論もあらわれました。選挙戦のなかで行われた世論調査で、税金の優先的な使い方として、「暮らし」が「防衛費」を大きく上回った結果も報道されました。

 選挙後も、この流れは続いています。7月31日に発表された日本世論調査会の「平和世論調査」では、「戦争を回避するために、あなたが最も重要と思うことは何ですか」という設問に対して、「安保条約を堅持」と「軍備を大幅に増強」と答えた人はあわせて23%にすぎず、「戦争放棄を掲げた日本国憲法を順守する」「平和に向け外交に力を注ぐ」と答えた人はあわせて56%に達しました。

 「大軍拡でなく、外交で東アジアに平和を」という訴えは、当初は日本共産党だけの主張でしたが、全党の奮闘が国民世論を変え、今も生きて力を発揮していることを、大いにみんなの確信にしていこうではありませんか。

「正しい論戦はその後の政治に必ず生きてくる。正しい論戦が組織を強くする」

 第二に、より大局的な問題として、討論のなかで、参院選の投票日の前にある政界の重鎮の方から寄せられた声が紹介されました。この方は、「共産党は、先の戦争に唯一反対した政党なのだから、その政党として9条を胸をはって語れるし、その資格のある政党だと思っている」と激励してくださった方ですが、こう語ったとのことでした。

 「軍拡・改憲の激流の中で、共産党は見事にぶれずに、政治の役割は戦争を起こさせないことと、軍拡に反対し、日本にとっての9条の大切さを訴え続けた。本当は保守の政治家がやらなければいけないことを共産党のみなさんがやってくれた。選挙結果は厳しいものになるかもしれないが、そこでがっかりしてはだめだ。政治にとって一番大事なのは重要な局面でどのような主張、論戦をしたかだ。正確な論戦なしには、いくら組織を固めてもだめだ。同時に、正しい論戦をしたからといって選挙結果にすぐあらわれるとも限らない。しかし、この正しい論戦はその後の政治に必ず生きてくる。正しい論戦が組織を強くする」

 たいへんに心強い評価ではないでしょうか。

 討論では、この間のわが党の政治論戦における全党の奮闘の意義を、わが党の戦前のたたかいに重ねて語った発言も出されました。戦前、激しい迫害の下で、私たちの先輩は、「侵略戦争反対」、「国民主権」を掲げた不屈の奮闘を行いました。わが党の活動は、権力によって弾圧されましたが、戦後、見事にその真実性は証明されました。今回の参院選におけるわが党の論戦、全党の奮闘も、今後の政治に必ず生きてくるし、すでに現に生きているという大局的な確信を持って奮闘しようではありませんか。

日本共産党の主張が、世界の良識の声とも響きあい、世界に通用することを示した

 第三に、討論の中で、日本共産党の主張が世界の良識と共鳴しあっていることが語られました。

 バイデン米大統領が、3月の一般教書演説のなかで「民主主義対専制主義のたたかい」というスローガンを打ち出したことに対して、日本共産党は、4月に行われた参議院選挙予定候補者会議や「大学人と日本共産党のつどい」で、特定の「価値観」で世界を二分する軍事ブロック的対応の有害性を厳しく批判しました。

 こうした批判は、やがて世界の良識ある方々から共通して語られるようになっていきました。5中総で紹介した5月中旬に来日したシンガポールのリー・シェンロン首相の発言に続いて、今回の幹部会報告で紹介した7月のニュージーランドのアーダーン首相の発言でも「民主主義対専制主義のたたかい」というスローガンが批判され拒否されました。

 これらは党綱領に基づく世界論、党綱領に明記した「国連憲章に基づく平和秩序」という国際連帯の大方向が、世界の良識の声とも響きあい、世界に通用することを示すものではないでしょうか。

大逆流に一歩も引かない大奮闘こそが、山添拓候補の勝利の根本の力となった

 第四に、討論のなかで、東京選挙区での勝利の教訓が深められました。

 幹部会報告でのべた教訓にくわえて、東京都の田辺都委員長が発言で、「都党組織がウクライナ侵略にかかわる大逆流を押し返すたたかいに取り組まなかったら、決して勝利することはできなかった」と語ったことは重要であります。

 田辺同志の発言では、2月24日、ロシアの侵略開始直後には、東京都の渋谷区の区議団から「支部の人たちが打って出られなくなっている」という報告が寄せられ、その後、それが東京中に広がったこと、こういう大逆流に対する都党組織の大奮闘によって最後は渋谷区の区議団からも「出される質問には一つ残らず答えられる。ほぼ100%わかってもらえるようになっている」と大きな変化が起こったことが報告されました。

 首都・東京は、巨大メディアなどの影響が最も強くあらわれる、政治対決のまさに中心点に位置しています。そこでは、ロシアの蛮行にともなう大逆流の影響も最も深刻にあらわれたと思います。そういう首都・東京で、この問題での大逆流に一歩も引かない大奮闘こそが、山添拓候補の勝利の道を開いた根本の力となったことも、東京の教訓として確認したいと思います。

 「二重の大逆流」とのたたかいの先駆的意義――全国のみなさんの大奮闘の意義を、さまざまな角度からみんなで深くつかんで、さらに深めていただいて、今後のたたかいに意気高くのぞむことを、重ねて訴えたいと思います。

日本共産党の自衛隊政策――討論での疑問にこたえて

 討論では、日本共産党の自衛隊政策についての疑問が出されました。4月7日の参議院選挙勝利全国総決起集会への幹部会報告で、わが党が参加した民主的政権がつくられた場合、自衛隊と共存している期間の対応として、「急迫不正の主権侵害」などが起こった場合には「自衛隊を活用」すると表明したことについて、「なんで今この瞬間に」「『攻められたらどうする』という議論に乗るものではないか」という趣旨の疑問が出されました。そこでこの問題についてお答えしておきたいと思います。

4月7日の幹部会報告での表明は、大逆流を押し返すうえで重要な力となった

 「万が一、攻められたらどうする」という議論を、わざわざなぜやるのかという疑問ですが、それは国民のなかから――とくにロシアの侵略開始直後の状況の下では――、そうした疑問が出されるからであり、この疑問に答える力をもってこそ、わが党の安全保障政策が本当に力あるものになるからです。

 4月7日の幹部会報告では、9条を生かして東アジアに平和をつくる「外交ビジョン」を抜本的対案として前面に押し出しつつ、「それでも、憲法9条を生かした日本政府のまともな外交努力がないもとで、『外交だけで日本を守れるか』というご心配もあるかもしれません」とのべ、「それに対しては、東アジアに平和な国際環境をつくる外交努力によって、そうした不安をとりのぞくことが何よりも大事だということを、重ねて強調したい」と重ねてのべつつ、「同時に……」と続けて、「万が一、急迫不正の主権侵害が起こった場合」にどう対応するかについてのべています。

 東アジア地域で紛争問題が存在していることとともに、日本政府がそれを解決するまともな外交努力をやっていないもとで、「攻められたらどうする」という疑問は国民から繰り返し出されてきます。それに対して、わが党が、明確に答えてこそ、国民に安心していただけるのではないでしょうか。党員の側も、どんな質問が出ても答えられることになるわけで、「それなら安心して対話に踏み出せる」となるのではないでしょうか。現に、幹部会報告で解明した内容を語り、「それなら安心だ」という反応がたくさん生まれたことも、全国から報告されました。

 私は、4月7日の幹部会報告でのこの表明は、大逆流を押し返すうえで重要な力になったと考えるものであります。

当面の憲法闘争でも、綱領路線実現にとっても、語る力をみんなが身につけよう

 日本共産党の自衛隊政策は、自衛隊と憲法9条をめぐる激しい論戦のなかで練り上げられ、2000年の第22回党大会で決定し、綱領に盛り込まれたものであります。その内容の詳しい解説は、『新・綱領教室』や『ウクライナ侵略と日本共産党の安全保障論』でものべており、ここでは繰り返しません。「自衛隊は憲法違反」という立場を貫きつつ、将来にわたって9条を守り生かすことと、国民の命を守る政治の責任を果たすことを、統一的に追求しようとすれば、この道が、論理的にも、実践的にも、唯一の道理ある道になることを強調したいと思います。この道こそが最も責任ある立場であることに確信をもって、堂々と語っていこうではありませんか。

 もう一つ、強調したいのは、この道でこそ、改憲勢力の激しい攻撃から憲法9条を守り抜けるということであります。改憲勢力は「9条のもとで攻められたらどうするのか」、こう攻撃してきます。それに対して確たる答えを示し得なかったらどうなるでしょうか。「それなら9条を変えるのが一番だ」という攻撃になるのではないでしょうか。そうした攻撃にどうやって反撃できるでしょうか。

 この方針にしっかり立ってこそ、当面の憲法闘争もたたかい抜けるということを、私は、訴えたいのであります。

 日本共産党の自衛隊政策にたいして、広い国民の理解と共感を得ることは、今のべたように当面の憲法闘争でも、さらに綱領路線実現にとっても、避けて通ることはできません。それを語る力を、みんなが身につける、しっかり学んで身につける――このことを心から訴えたいと思います。

内外情勢と日本共産党の政治任務――討論を踏まえて三つの点について

 幹部会報告がのべた内外情勢と日本共産党の任務についても、討論が活発に行われました。討論を踏まえて、三つの点についてのべます。

岸田政権の危機と行き詰まりは深刻――攻めに攻めて、政治を変える大きなうねりを

 幹部会報告では、内外情勢に立ち向かう基本的観点として、第一に、日本共産党が参院選で公約に掲げたことが、そのまま国政の熱い焦点になっている、第二に、岸田政権は、参院選で多数を得たものの、さまざまな分野で深刻な行き詰まりと危機に直面している――この二つの点をつかんで、「大いに意気高く、攻めに攻めて、政治を変える太い国民的流れをつくろう」と呼びかけました。

 この呼びかけが勇気を広げています。発言でも、全国からの感想でも、「選挙の後、たたかいの方向性を見失っていたが、元気が出た」、「岸田政権の危機、行き詰まりというのは、考えてみればその通りだ」という声がたくさん寄せられました。

 実際、岸田政権の危機と行き詰まりは深刻であります。新型コロナ対応の無策、安倍元首相の「国葬」の強行、旧統一協会との癒着――新たな3点セットが、批判の中心点となっており、内閣支持率が急落する状況も伝えられています。来年度予算の概算要求で、社会保障費の自然増を1000億円削りながら、軍事費は青天井にしようとしていることも、国民の強い批判を呼び起こすことは避けられないでしょう。攻めに攻めて、岸田政権を追い詰め、政治の転換を求める大きなうねりをつくりだそうではありませんか。

NPT再検討会議――どちらが世界の本流に立っているかが明らかに

 幹部会報告では、核兵器問題での日本共産党の基本的立場を表明しました。

 今日(8月2日)午前中、NPT(核不拡散条約)再検討会議に参加している笠井亮党団長から報告が寄せられました。再検討会議の初日の様子です。次のような報告であります。

 「これまで参加してきた再検討会議と異なり、ウクライナ危機などの厳しさとともに核保有国と非保有国の対立のなかではあるが、6月の核兵器禁止条約第1回締約国会議成功の流れが反映して、それをNPT再検討会議の前進に結び付けようという、明るい楽観主義の雰囲気があり、核保有国と『核の傘』のもとにある国々がいっそう追い詰められていることを感じる。このもとで党の要請内容が、きわめてかみあったものになっている」

 そのうえで笠井同志からの報告では、とくに――

 ――ロシアによるウクライナ侵略を批判し、核兵器使用の威嚇に対して、核兵器の非人道性の認識の重要性にふれる発言が目立っていること。

 ――NPT第6条(核軍備撤廃)の重要性と、これまでの第6条を生かした一連の合意にふれ、それを再確認し、実行に移すべきだという発言が相次いでいること。

 この2点が強調されています。この2点は、幹部会報告でも強調した日本共産党のNPT再検討会議への要請の中心点ですが、それと共鳴し合う流れが――初日の動きですが、起こっているという報告が寄せられたことを、みなさんにお伝えしたいと思います。

 岸田首相の演説はこうした流れに全く逆行するものであり、米国の同盟国のなかでも米国追従の異質の姿勢があらわになったものでした。核兵器の被害を受けたフィジーが「いまNPT6条が肝心」と強調した直後に登壇した岸田首相は、「広島出身の首相」と自己紹介しながら、何とNPT6条に一言も触れませんでした。これまでのNPT再検討会議での合意も一切無視しました。中身は空っぽのものでした。

 その後、登場したのがブリンケン米国務長官です。彼は演説の冒頭、「岸田首相は先ほど非常にパワフルなメッセージを送ったことに注目した」と褒めそやしました。核兵器に固執する最大の核兵器大国アメリカに、「パワフル」と褒められるのが、唯一の戦争被爆国の首相であります。

 NPT再検討会議の場でも、日本共産党と日本政府のどちらが世界の本流に立っているかが、明瞭となっているということを、みなさんに報告したいと思います。

共闘の前途をどう開くか――率直な批判をふくめ、大いに公の場で議論していきたい

 幹部会報告では、市民と野党の共闘について、まとまって態度表明を行いました。とくに共闘破壊の攻撃に対して野党はどういう姿勢を取るべきかについて、三つの点を率直に問題提起しました。この提起に対して、総会の発言でも、全国からの感想でも、たいへんに強い共感と歓迎の声が寄せられました。市民と野党の共闘を協力して推進してきたある知識人からは「どれももっともな提起だ」という声が寄せられています。この内容を広く市民のみなさん、野党のみなさんに伝え、国民の前で共闘の前途をどう開くかについて、率直な議論をしていきたいと思います。

 わが党は、これまで、共闘の発展を願う立場から、とくに共闘破壊勢力から共闘を守るという立場から、他の野党の対応にさまざまな問題点があっても、内部的な批判や指摘にとどめ、公にすることを自制してきました。

 しかし、これからは大いに公の場で議論していきたいと思います。一致点で力を合わせることと、率直な批判とは、決して矛盾するものではありません。問題点を率直に批判してこそ、妨害をはねのけて、共闘の道を前進させることができる。この立場で奮闘したいと思います。

 幹部会報告でのべたように、平和と民主主義、暮らしの切実な要求にもとづく国民的なたたかいを発展させることこそ、共闘再構築の最大の力であります。また、強く大きな日本共産党をつくり、日本共産党が国政でも地方政治でも前進・躍進していくことこそ、共闘再構築の推進力となります。この立場をかたく握って頑張りぬこうではありませんか。

「特別期間」を必ず成功させよう――討論を踏まえて五つの点について

 「特別期間」についてのべます。

 「党創立100周年記念、統一地方選挙勝利・党勢拡大特別期間」の呼びかけは、討論でも全国からの感想でも強く歓迎され、「今度こそやりぬこう」との決意がたくさん語られる総会となりました。

 討論を踏まえて、いくつかの点をのべます。

「特別期間」の二つの意義――党づくりの遅れの抜本的打開、統一地方選勝利の土台

 第一は、「特別期間」の意義についてです。幹部会報告では、「特別期間」の意義を二つの点からのべています。

 第一は、わが党の現在と未来にとって死活的課題となっている党づくりの遅れを抜本的に打開することであります。

 第二は、統一地方選挙で必ず勝利・前進する土台をつくることであります。

 第一の意義に、党づくりの遅れの抜本的打開をすえていることを深くつかんでいただきたいと思います。つまり今回の「特別期間」の目的は、目前に迫った統一地方選挙勝利の土台をつくることだけではありません。統一地方選挙の勝利にとっても、さらにその先の総選挙、参議院選挙など国政選挙の勝利にとっても、さらに党綱領路線の実現を展望しても、党づくりの遅れの打開は、党の現在と未来にとって、文字通り死活的課題となっています。それを「特別期間」の第一の意義にすえています。

 そうした意義づけを踏まえて、三つの課題の順番も、第一に党建設をすえ、第二に統一地方選挙勝利をすえ、第三に支部が「政策と計画」を持ち、要求運動・「集い」・学習にとりくむことをすえているわけであります。

なぜ「特別期間」か――課題と目標を設定し、期限を決めてやりぬくことの必要性

 第二は、なぜ「特別期間」かということであります。「特別期間」というのは、課題と目標を設定し、期間を決めてやりぬく運動ということです。なぜそうした「特別期間」が必要かという問題です。それは、党建設の抜本的前進と統一地方選挙の勝利を本気でやりぬこうとすれば、8月から12月という期間に、期限と目標を設定し、それをやりきることがどうしても必要だからであります。

 党建設についていえば、統一地方選挙との関係でも、この時期に、党員拡大で、毎月、現勢での前進をかちとる、読者拡大で大会時回復・突破をやりぬくことは、最小限の目標として必要です。2024年1月の次期党大会を展望しても、私たちが第28回党大会で決めた第二決議――大会決定をやりぬくためには、この時期に、党勢拡大を後退から前進に転ずることがどうしても必要となるのではないでしょうか。

 統一地方選挙との関係でいえば、この選挙でわが党の反転攻勢を実現することは、容易ではないことは、討論でも多くの同志が率直にのべたことであります。「絶対に議席空白にしてはならない」、「絶対に空白を克服する」――こうした決意ものべられました。どんなに遅くても予定候補者を10月末までに決めて打って出るとともに、「折り入って作戦」など勝利に必要な目標を12月末までに掛け値なしにやりぬくことなしに、勝利をかちとることはできません。選挙闘争というのは、期限が決まったたたかいです。それに勝ち抜くためには、期限を決めて、課題と目標を設定し、それをやりぬくことがどうしても必要になります。

 「特別期間」では、二つの意義にてらして、一連の目標を提起していますが、それは、党の現状にてらして、積極的かつ、奮闘いかんでは達成可能な現実的な目標となっています。たとえば、党員拡大では、「党員現勢で毎月前進する」――これが目標です。決して手のとどかない目標ではありません。それぞれの独自の追求を行い、全党の力を結集して、必ずやりぬこうではありませんか。

要求運動を三つ目の課題に――党勢拡大と選挙活動を豊かに発展させる確かな力に

 第三に、「特別期間」を三つの課題――党勢拡大、選挙活動、要求運動などにしたことに対して、討論でも、全国からの感想でも、いまの党の実態に即したものとして、強い歓迎の声が寄せられました。

 もとより、国民要求にもとづく活動は、わが党がどんな時にでもとりくむべきものであり、それ自体が、国民の苦難軽減という党の存在意義に立った、きわめて大きな意義をもつ活動であります。

 同時に、党の現在の状況のもとでは、要求運動・「集い」・学習にとりくむ――ここでもそれぞれについて期限内に達成すべき目標を決めてとりくむことは、党が新しい結びつきを広げ、新鮮な活力をえて前進するうえで、絶対に必要であり、前進をかちとる力の源泉となってきます。それは、第一と第二の課題――党勢拡大と選挙活動を、豊かに発展させる確かな力になってきます。

 三つの課題を一体にとりくみ、楽しく豊かな運動にしていくために、頑張りぬこうではありませんか。

「党大会第二決議」こそ成功の条件――世代的継承の豊かな可能性がたくさん報告された

 第四に、「特別期間」を成功させる条件についても、討論で深められました。

 何よりも幹部会報告が「党大会第二決議(党建設)」の具体化・実践にとりくむことを、太く据えたことが歓迎され、新鮮な決意をよびおこしています。この決定こそ「特別期間」成功の条件だということが、総会の討論を通じて確認されたのではないでしょうか。

 討論では、世代的継承の事業の豊かな可能性がたくさん報告されました。

 とくに民青同盟が、新しい前進を開始していることが多くの同志から報告されました。中央委員会総会で、民青の活動の教訓がこれだけ豊かに語られたことは、ほんとうにうれしい出来事だったのではないでしょうか。埼玉、長野、京都、福岡、東京、愛知、広島をはじめ、全国からの発言は、どれもほんとうに教訓に富んだ発言でありました。

 討論の全体を聞きまして、一言で言いますと、民青同盟は、いま、「法則的な前進」を開始しつつあると思います。すなわち、食料支援など青年の切実な要求にもとづく運動で結びつきを広げ、「オンラインゼミ」などで綱領と科学的社会主義を学習し、班会議を定期的に開き、仲間を増やし、7割以上の班で「変えよう決議」をあげて選挙をともにたたかった。ほんとうに法則的だと思います。討論では、「拡大しようにも、なかなか結びつきがない」という党支部から出された声に対して、「民青同盟は結びつきを持っていないなかで、要求運動にとりくんで、大いに学び、新たに結びつきをつくって、仲間を増やしている。これを見習うべきではないか」という議論をしているという発言がありました。

 私が、あらためて痛感するのは、民青同盟という組織のすばらしさです。日本共産党を相談相手とし、日本共産党綱領と科学的社会主義を学ぶことを基本的性格にすえている大衆組織というのは、民青同盟をおいてほかにありません。ここにこそ民青同盟の先進的輝きがあり、魅力があります。いま開始しつつある民青同盟の「法則的な前進」を、本格的な軌道にのせることができるならば、わが党にとっても巨大な未来が開けてきます。そのために力をつくそうではありませんか。

 真ん中世代のとりくみでも、大阪、岡山、福岡などから、豊かな経験が語られました。発言を聞いて、最大の共通する教訓だと感じたのは、系統的なとりくみであります。大阪府の能勢みどり副委員長は、真ん中世代への援助のとりくみの強化について語りましたが、毎月欠かさず地区援助担当者のオンライン会議を開催して、交流と学習にとりくむなかで活動が豊かに発展し、職場支部や地域支部の活性化にもつながっているとの報告でありました。岡山県からは、真ん中世代の「集い」を毎週開くことを系統的に行うなかで前進がつくられている報告が出されました。やはり活動の粘り強い系統化――これこそが実り豊かな成果をもたらしつつあることが、明らかになったのではないでしょうか。

中央の姿勢――苦労し、困っている問題を、ともに解決するという姿勢を貫く

 第五に、幹部会報告では、中央の姿勢について、現場が一番苦労している問題、困っている問題を、ともに解決していくという姿勢を貫く決意をのべました。これには歓迎の声を寄せていただきました。必ず実行していきたいと思います。

 一つの新しいとりくみとして、私と、小池書記局長も先頭に立ちまして、全国遊説を行っていくさいに、演説で終わりにするのではなくて、党建設のさまざまな困難の打開のための、さまざまな形での懇談などの機会ももうけていただきまして、ともに困難を打開する活動をやっていきたいと思います。遊説と懇談をハイブリッドでやっていきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。

政治と理論に強い党に――綱領、科学的社会主義、党の歴史、6中総決定を学ぼう

 最後に、党創立100周年にかかわって、一言、のべたいと思います。

 それは日本共産党が、革命政党だということです。わが党は、綱領で、国民多数の合意で民主主義革命を実行し、さらに国民多数の合意で社会主義的変革をすすめることを明記している、革命政党であります。ですから、100年の歴史を振り返ってみても、私たちにとって順風満帆な時はひと時としてありません。つねに支配勢力の攻撃とのたたかいの連続であります。それは私たちが、いまの政治の仕組み、社会の仕組みを根本から変革しようという志を持っている集団であることの証しであります。とりわけ発達した資本主義国である日本での革命の事業には「特別の困難性」があることは、2020年の綱領一部改定のさいに綱領にあえて明記したことでした。

 そういう条件のもとで、わが党が前進するためには、政治と理論に強い党になることがどうしても必要です。党綱領と科学的社会主義、党の歴史を学ぼうではありませんか。そして6中総決定を学ぼうではありませんか。

 私は、決定されるであろう中央委員会総会の決定というのは、社会科学の文献でもあるということを強調したいと思います。つまりそれは日本共産党の願望がただ書いてあるものではありません。世界と日本の現状を党綱領と科学的社会主義の立場で分析して、日本の進路、世界の進路を明らかにし、そのなかで党の役割を明らかにした文献が、中央委員会総会の決定なのです。それは党綱領と科学的社会主義に立脚し、集団的英知で練り上げられた社会科学の文献だということを強調したい。

 ですから学ぶことが必要です。長いと言わずに――できるだけこれでも余分なことをはぶいて短くしたわけですので、学ぶことが必要です。

 すべての支部が、お盆までに1回目の支部討議を開始しましょう。遅くとも8月中には全支部がとりくみを具体化し、実践に踏み出すようにしましょう。そして指導的同志は、8月18日までに一人残らず決定を読了し、6中総決定の全党徹底・具体化・実践の先頭に立とうではありませんか。

 以上で、討論の結語といたします。ともに頑張りましょう。