志位和夫 日本共産党

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談話・記者会見

2022年5月20日(金)

維新の安保政策

“戦争あおる大軍拡政党”に国政まかせられない

志位委員長が記者会見


 日本共産党の志位和夫委員長は19日の国会内での記者会見で、日本維新の会が発表した安全保障政策について「軍事費2倍化、核共有の議論、中距離ミサイルの装備の拡充などを言い、専守防衛を公然と投げ捨てるものとなっている」と厳しく批判しました。

 維新の会が18日に発表した憲法改定の条文イメージでは、9条の2を新設し自衛隊を保持すると明記。維新八策(選挙公約)に盛り込む予定の「積極的防衛能力」整備のための具体策として、(1)GDP(国内総生産)比2%への防衛費の増額(2)中距離ミサイル等新たな装備の拡充(3)核共有を含む拡大抑止に関する議論の開始(4)専守防衛の定義にある「必要最小限に限る」との規定の見直し―などを示しました。

 志位氏は、維新が専守防衛の「必要最小限に限る」との規定を見直すとしたことについて、「これは専守防衛を完全に投げ捨てるということだ」と指摘しました。

 志位氏は、武力行使は必要最小限に限るとの規定は「専守防衛の一番の中心部分だ」と強調。急迫不正の侵害を受けた場合も、日本の武力行使はその侵害を日本の領土・領海・領空から排除するところまでで、これが武力行使の目的で、必要最小限だと政府は説明してきたとして「この規定の見直しは専守防衛を投げ捨てるということだ」と批判しました。

 志位氏は「維新の会は自民党以上の“戦争をあおる大軍拡政党”であり、こういう政党に国政を任せるわけにいかない」と述べました。

北欧2カ国のNATO加盟申請

欧州と異なる条件生かし、東アジアを平和の地域に

 志位和夫委員長は会見で、フィンランドとスウェーデンの2カ国が北大西洋条約機構(NATO)への加盟を申請したことについて問われ、「日本共産党は、軍事同盟は『軍事対軍事』の対抗と悪循環をもたらし平和に逆行すると批判し、党綱領に明記しているとおり軍事同盟のない世界を目指している。この立場からNATOの拡大に反対してきた。その立場は変わらない」と語りました。

 その上で、志位氏は「今回の二つの国の加盟申請をもって『日米軍事同盟の強化』に結びつけようという議論には厳しく反対する」と表明。欧州と東アジアには「大きな条件の違いがある」として、「東アジアにはNATOのような多国間の軍事同盟は存在しない。その代わりに東南アジア諸国連合(ASEAN)という非同盟の国々から構成された地域の平和共同体が存在している」と指摘しました。

 志位氏は、ASEAN10カ国プラス日米中など8カ国で構成される東アジアサミット(EAS)という平和の枠組みがつくられていることを指摘し、「ASEANはEASを強化し、ゆくゆくは東アジア規模での友好協力条約を展望しよう―東アジア全体をASEANのような平和の地域にしていこうという大構想をもっている」と強調。「これは欧州にない条件だ。この条件を生かして東アジアを戦争の心配のない平和の地域にしていくための9条を生かした外交努力こそすべきだ」と述べました。

海洋放出方針 「撤回するべきだ」

 志位和夫委員長は会見で、東京電力福島第1原発事故に伴う汚染水(アルプス処理水)を海洋放出する東電の計画を原子力規制委員会が了承した問題について問われ、「漁業関係者の声を無視して海洋放出を進める方針は撤回するべきだ」と述べました。

 志位氏は、これまで福島をはじめとする漁業関係者とオンライン懇談をしてきたなかで、「海洋放出に強い反対、危惧の念を持たれている」と強調。国と東電は、福島県の漁業関係者と「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」と約束しているが、「いま理解など得られていないことは明らかだ」と批判しました。

 その上で、志位氏は、汚染水の処理方法は海洋放出以外のさまざまな方式が科学者からも提案されているとして、「どう処理するかは、科学的知見を集め、最も合理的な方法を確立することが政治の責任だ。合意のないもとでの放出方針は撤回すべきだ」と重ねて強調しました。

 さらに志位氏は、汚染水はいまも増え続けているのに、「海洋放出を前提にしているために、増え続ける汚染水を止めるための真剣な手だてがとられていない」として、汚染水がこれ以上増えないようにする手だてを緊急にとることの重要性を訴えました。