志位和夫 日本共産党

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2022年4月21日(木)

9条生かした外交で平和をつくりだす

志位委員長 共産党の安全保障論を語る


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(写真)講演する志位和夫委員長=20日、横浜市西区

 日本共産党の志位和夫委員長は20日、横浜市で開かれた党神奈川県委員会の「全県地方議員・予定候補者会議」に参加し、「参院選では、『危機に乗じた憲法9条改憲を許さず、9条を生かした外交で東アジアの平和をつくり出す』ことが熱い焦点になります。この問題での日本共産党の立場をしっかりと身につけ、大いに語っていきましょう」と呼びかけました。

 志位氏は、日本共産党の安全保障論について、「『軍事に対して軍事で対抗する』という立場を厳しく退け、『9条を生かした積極的で能動的な外交の力で東アジアに平和を創出する』―これが私たちの根本的立場です」と強調しました。

 志位氏は「日本にとっての現実的な危険はどこにあるか」と問いかけ、安保法制を発動して集団的自衛権を行使し、自衛隊が米軍と一緒になって「敵基地攻撃」にのりだす、その邪魔になる憲法9条を改定する――「ここに一番の現実的な危険があります」と強調。「絶対に許してはなりません」と訴えました。

 その上で志位氏は、東アジアに平和をつくる日本共産党の「外交ビジョン」として、東アジアサミット(EAS)の枠組みを活用・強化して、東アジア規模の友好協力条約締結を目指し、東アジア全体を「平和と協力の地域」にしていく大構想を紹介。その意義について四つの角度から解明しました。

 第一は、現にある枠組みを生かして平和をつくり出すということです。

 志位氏は、東アジアには東南アジア諸国連合(ASEAN)やEASなど現に存在している地域の平和協力の枠組みがあるとのべ、「ASEANもEASもその重要性を否定する国はどこにもありません」と指摘しました。一方で、「日本政府は口では賛成とは言うけれども、本気で平和をつくる外交努力をやろうとせず、やっていることは軍事一辺倒。こうした政治を切り替えることが必要です」と強調。「現にある枠組みを生かして平和をつくることこそ、現実的で合理的な方策です」と語りました。

 第二は、排他的なアプローチではなく包括的なアプローチだということです。

 志位氏は、私たちが目指しているのは「どこかの国を排除して、仮想敵をつくる、軍事ブロックのような排他的アプローチではなく、全体を包み込んで話し合いで解決しようという包括的なアプローチです」と説明。ある国に対する「包囲網」をつくろうという発想がありますが、これでは「軍事対軍事」の悪循環、「新しい冷戦構造」をアジアにつくることにもなりかねませんと指摘しました。

 第三は、国連憲章の精神に合致し、日本国憲法9条の精神に合致していることです。

 志位氏は「国連憲章は集団的安全保障を基本としています。つまり、外部に敵を設けるのではなく、構成員全体で安全を保障するという考えです」と指摘。「いま私たちが追求しようとしているのは東アジアという地域版の集団安全保障です。これは国連憲章の精神に合致しています」と強調しました。

 また、9条の精神に何よりも合致しているとして、「なぜなら、この構想は『紛争を戦争にしない』――そのための話し合いを徹底的にやろうという構想だからです」と語りました。

 第四は、現実性がある提案だということです。

 志位氏は、二つの点で現実性がある提案だと語りました。

 一つ目として、ASEANが東アジアサミットに参加している全ての国と友好協力条約(TAC)を「バイ(2国間)の形」で結んでいることを指摘。「すでに『バイの形』で平和の規範を結んでいるのですから、これを『マルチの形』で全体の規範にできない道理はありません」とのべました。

 二つ目は、2011年11月にインドネシアで行われたEASの首脳会談で「バリ宣言」が採択されていることです。「この宣言には、TACの内容がすべて入っています。政治宣言まできているのですから、それを条約にすることは意志さえあればできることです」と強調しました。

 志位氏は「日本共産党の提案は、東アジアの地域に平和をつくる唯一の合理的で現実的な処方箋になると責任を持って言いたいと思います。これが私たちの抜本的対案です」と訴えました。

 そのうえで志位氏は、日本共産党が参加する民主的政権ができた場合の安全保障について、「9条を生かした外交で東アジアの平和創出のために力をつくすことによって、日本の平和を確保することが大方針になります。同時に、プロセスが成熟するには一定の時間がかかります」と指摘。「民主的政権として、9条を生かした外交努力をつくしつつ、その途上で、万が一、急迫不正の主権侵害が起こった時には、自衛隊を含めあらゆる手段を行使して命と主権を守るというのが党の方針です」と語りました。

 志位氏は「自衛隊活用」をめぐる疑問に丁寧に答えつつ、「自公政権が仮に安保法制を発動して、集団的自衛権を行使し、自衛隊が米軍と一体に『敵基地攻撃』に乗り出し、その結果、戦火が日本に及んでくる場合は、『急迫不正の主権侵害』にはあたりません。こういうケースは、わが党がのべている『自衛隊活用』論とはまったく別の話です。わが党はこうした道に断固反対します」と強調しました。