志位和夫 日本共産党

力をあわせて一緒に政治を変えましょう

党の会議での報告

2022年4月9日(土)

全国都道府県委員長会議

志位委員長 討論のまとめ


 日本共産党の志位和夫委員長が7日の全国都道府県委員長会議で行った討論のまとめは次のとおりです。


写真

(写真)討論のまとめを述べる志位和夫委員長=7日、党本部

 討論のまとめを行います。討論では21人の同志が発言をしました。全国の幹部会報告の視聴者数は党内通信で1万1209人という報告です。それにくわえてユーチューブの視聴があります。あわせるとかなりの数になると思われます。

 感想文もたくさん寄せられておりますが、その特徴を一言でいいますと、戦争か平和か、日本の命運がかかった選挙で、党をつくって100年間、反戦平和を貫いてきた日本共産党のまさに頑張りどころだという高い使命感と決意があふれるように語られているというのが特徴であります。

 今日の総決起集会の開催によって、わが党は、参議院選挙での躍進に向けた大きな政治的なエネルギーを共有することができる状況をつくりました。緊急に呼びかけた総決起集会でありますが、大きな成功をおさめたと思います。

 この幹部会報告の内容を、一刻も早く全支部・全党員のものにする努力を、お互いにつくしたいと思います。そして参議院選挙躍進を目指す諸課題の飛躍を、この4月から力を合わせて、必ずつくりだそうではありませんか。

大激動の情勢――受動的対応か、攻勢的対応かでは、天地の差が出てくる

 今度の参議院選挙というのは、内外の情勢の大激動の下で、日本共産党の情勢に対する基本姿勢が鋭く問われる選挙になっていると思います。このことは、討論でも、多くの同志が強調したことでした。

 つまり受動的に情勢に対応するならば、選挙に勝つことはできない。それは明瞭であります。しかし攻勢的に情勢に対応するならば、必ずや勝機をつかむことはできる。このことも討論をつうじて明らかになりました。

 受動的な対応なのか、攻勢的な対応なのか、ここでまさに天地の差が出てくるというのが、今度の参議院選挙だと思います。

 受け身の対応ということになりますと、結果が厳しいものになることは避けられません。今日の発言の中でも、ロシアのウクライナ侵略という事態を前にして、「ロシアはもともと共産主義だったのではないか」、「憲法9条では平和は守れないのではないか」など、いろいろな疑問が出てきているということが報告されました。なかなか国民の中に足が出ない、重い気分もあるということも率直に出されました。

 こうした気分を残したままでは、勝利をつかむことはできません。幹部会報告でものべたように、「元気の出る政治指導」「元気の出る実践活動」によって、重い気分を吹っ切っていく、みんなが明るく元気いっぱいにたたかえるようにすることが、本当に大事だということを、肝に銘じて頑張りたいと思います。

情勢に攻勢的に対応するならば、必ず勝機をつかむことができる

 同時に、攻勢的に対応するならば、私は、今の情勢は、日本共産党の値打ちが本当に輝く情勢だと思います。これも多くの同志が語った通りであります。

 幹部会報告では、「ロシアのウクライナ侵略と日本共産党の立場」のなかで、四つの点に確信をもってのぞもうということを訴えました。第一は、国連憲章と国際法を基準に対応するという基本姿勢、第二は、核兵器問題への対応、第三は、綱領の世界論に確信を持つ、第四は、覇権主義を許さない日本共産党の歴史と綱領です。

 私が強調したいのは、この四つの点というのは、日本共産党ならではのウクライナ問題での政治的論点だということです。どの点もそうです。たとえば第一の国連憲章と国際法を基準に対応する。当たり前のことを言っているようですけれども、この論点をこれだけ自覚的に訴えている党は、そうはないのです。

 たとえば自民党は、ウクライナ問題をどう訴えているでしょうか。討論のなかで、自民党が、この問題を使って反共攻撃を行っているという報告がありました。この危機を利用した反共攻撃はやっているでしょう。しかし、自民党として、この問題を一体どうとらえ、どう解決するのか。自民党は、まとまって言うべき立場をもっていません。とくに「国連憲章にもとづく平和秩序を回復する」という根本的な解決方向については、いっさい語っていません。

 わが党は、いま問われていることは国連憲章を守るのか破るのかにあるということを、ズバリと言っています。幹部会報告では、国連総会でのオーストリア大使の発言を紹介しましたけれども、わが党は、世界平和の本流をかたちづくっている多くの国ぐにと共通する立場に立っています。「国連憲章にもとづく平和秩序を回復する」というのは、当たり前のことなのですけれども、日本の政治のなかでは日本共産党ならではの主張なのです。

 核兵器の問題は、わが党が、被爆者を先頭とする市民運動のみなさんとともに、戦後一貫して先駆的に取り組んできた問題です。核兵器禁止条約にしても、世界の国ぐにと市民社会と協力してこの条約の成立に貢献してきたのが日本共産党です。核戦争の危機が現実に生まれるもとで、まさに日本共産党の頑張りどころであります。

 危機は深刻だが歴史は無駄に流れていない、世界の流れを大局的につかもうということは、文字通り日本共産党ならではの世界のとらえかたであります。いま国連総会が非常に重要な議論を行い、重要な結果が出ています。これに対して、日本共産党と「しんぶん赤旗」は、この動きを重視し、また丁寧に報じています。ところが巨大メディアはあまり報じません。「しんぶん赤旗」の報道が、一番本質をよく伝え、また各国の発言も含めて詳細に報道しています。

 覇権主義については、どんな覇権主義に対しても、米国にも、中国にも、ロシアにも、その覇権主義に厳しく反対して、平和の国際秩序をつくるという立場で、不屈にたたかいぬいてきた、日本共産党の値打ちがまさに光っています。わが党の姿は、覇権主義への屈従外交をやってきた自民党とは対照をなしています。

 幹部会報告では、そのうえに立って、平和の問題と経済の問題についても、日本共産党ならではの参院選の争点を提起しています。

 平和の問題では、危機に乗じた憲法9条改定を許さず、9条を生かした外交で東アジアの平和をつくる「外交ビジョン」の意義を明らかにしています。経済の問題では、新自由主義を転換して、「やさしく強い経済」をつくるという政策の意義を明らかにしています。このどちらもわが党ならではのものです。どちらも日本共産党ならではの値打ちが発揮されているものであります。

 ウクライナの問題でも、参院選にむけた平和と経済にかかわる争点でも、わが党ならではの値打ちに自信を持って訴えていけば、必ず世界と日本の現状を憂えている人たち、危機感をもっている人たち、何とかしたいと思っている人たちの気持ちに響くことは間違いありません。

 幹部会報告でも、浜矩子さんと、内田樹さんからの温かいメッセージを紹介しました。「共産党は共産党らしさをどんどん訴えてほしい」という期待が広がっていることを紹介したのですが、討論でも、環境問題に取り組んでいる方から、「今の状況のもとで共産党が頑張ってほしい」という強い期待の声が出されたことが報告されました。

 平和と憲法が危うくなっている情勢だからこそ、共産党に頑張ってほしい、時流に流されないで、平和を貫く、筋を貫く、そういう党が伸びてほしいという期待を寄せてくれている人たちもたくさん出てきていると思うのです。

 ですから、私たちが、情勢に対して本当に攻勢的に構えれば、必ず勝機をつかめる、そういう選挙だと、私は思います。この姿勢を全党にしっかりと確立して、このたたかいに勝ちぬこうではありませんか。

“幹部会報告を身につけることなくして選挙の勝利なし”

 そのうえで、提案ですが、そうなってきますと、幹部会報告を何としても全党の共通のものにしなければなりません。“幹部会報告を身につけることなくして選挙の勝利なし”ということは明らかだと思います。

 そこで、幹部会報告については、指導的同志――都道府県・地区委員会の役員、党支部長、支部委員、地方議員の同志については、1週間以内に最優先の課題で読むようにしたいと思います。つまり4月15日までに読むようにしたい。明日の「しんぶん赤旗」に報告の全文がでます(8日付掲載)。1週間以内に最優先の仕事で読むようにしたいと思います。そのことをまず心から訴えるものであります。

 それから、今回の幹部会報告については、全党員の必読文献にしたいと思います。幹部会の決定は、これまで一般的には、全党員の必読文献というようにはしておりません。しかし、今回の決定――幹部会報告は、これを身につけなければ、選挙をたたかえません。たたかううえで、絶対に必要不可欠な決定だと思いますので、全党員が、最優先の課題として、一刻も早く読むということにしたい。どんなに遅くとも、5中総までには全党員が読むということにしたいと思います。このことも心から訴えたいと思います。

 幹部会報告の読了を最優先課題として取り組み、この決定を文字通りみんなのものにして、みんなの決意にして、選挙に勝ちぬこうではありませんか。

「綱領を学びながらたたかう」という姿勢を最後まで貫いて

 それからもう一点ですが、福岡の内田県委員長も発言で強調していたことですが、「綱領を学びながらたたかう」という姿勢を最後まで貫いて、選挙戦を頑張りぬきたいと思うのです。

 幹部会報告でも強調しましたし、討論でも出されましたけれども、今度の選挙というのは党の理論的、政治的な力量が試される選挙になります。相手の攻撃はある意味では簡単です。“ウクライナを見ろ”と言って、“9条を変えなければだめだ”、“軍事費を増やせ”、“日米同盟を強化せよ”、“敵基地攻撃能力を持て”、“核兵器を持て”、こういう議論です。何の理屈もありません。“ウクライナを見ろ”と言って、この危機に乗じて、かねてからの「戦争する国」づくりの野望を押しつけようというのです。

 その時に、私たちは冷静に、“そうではない”と一つひとつ説いていく必要があります。“そういう道こそが軍事対軍事の悪循環に陥る危険な道だ”、“外交の力で東アジアに平和を築くことこそ大切だ。9条はその一番の羅針盤になる”。そういうことを堂々と言っていく必要があります。

 それでも、幹部会報告でものべたように、“外交だけで国が守れるのか”、“万が一の時にどうするのか”という質問も出てきます。その時には、報告でのべたような、自衛隊問題の段階的解決(自衛隊の段階的解消)という党綱領の方針を話していくことが必要です。万一の時には自衛隊を活用するということもはっきり言っていく必要がありますし、さらに幹部会報告でのべたように、憲法9条は無抵抗主義ではない、憲法9条のもとでも個別的自衛権は存在するというわが党の立場を伝えることも重要であります。

 そうなりますと、やはり学習が必要です。たとえば、自衛隊問題の段階的解決という方針を決めたのは、2000年の第22回党大会ですから、もう22年もたっています。その後、党に入った同志は、くわしく学習されていない方もいると思います。憲法9条と自衛隊の矛盾をどのように解決するのか、万が一、その解決の途上で急迫不正の主権侵害が起こったらどうするのかなどについて、わが党は確固とした方針を持っているわけですが、その方針をしっかり身につけてこそ、国民からの疑問に縦横に答えることができます。「はてな」リーフにも基本的な答えは書いてありますから、これをよく学習することが大切です。さらに『新・綱領教室』では、この問題でも綱領の方針をくわしく解説していますから、活用していただければと思います。

 綱領を学び、理論と政治の力をつけながら、たたかう選挙にしていこうではありませんか。

ますます大きな意義をもつ「憲法署名」――1000万に挑戦しよう

 参議院選挙勝利にむけた実践課題についてですが、討論を踏まえて、若干の点を発言したいと思います。

 一つは、広く国民の中に打って出る活動の重要性は、多くの同志の発言のなかでも強調されました。そのなかで、「憲法署名を位置づけてほしい」という声がありました。これは当然のことです。5月3日までに党として1000万の「憲法署名」を集めるという目標に、ぜひ挑戦したいと思います。

 現在の情勢のもとで、「憲法署名」の意義がますます大きなものとなっていることは明瞭であります。党としては、左手に「憲法署名」を持ち、右手に「はてな」リーフを持って、「第1次折り入って作戦」をやりきるというように位置づけて、この活動を重視していきたいと思います。

党勢拡大で最後に競り勝つ力を――この4月から必ず前進の流れをつくりだそう

 二つ目に、党勢拡大にかかわって、討論のなかで重要だと痛感したのは、中間選挙で勝利を勝ち取ったところの教訓であります。いろいろな教訓はあるが、やはり党勢拡大が教訓だということが強調されました。

 東京都の清瀬市では、定数2の補選でみごとに勝利しました。ウクライナ問題での宣伝を重視したこと、「はてな」リーフを大いに活用したこと、これらの教訓もあるけれども、何といっても清瀬市は、党員でも読者でも東京のなかで最も党勢が分厚い、この力が働いた、という発言でありました。

 長野県の上田市では、4人全員が当選をしました。ここでもさまざまな論戦上の教訓はあるけれども、党員と読者で前回時を維持してたたかったということが大きかった、という発言でありました。やっぱり最後に競り勝つ力は、党の自力であり、党勢であります。ここが重要な教訓として語られました。

 4中総で決めた党勢拡大の目標達成に正面から挑戦しましょう。とくにこの4月から、現勢での後退傾向を食い止めて、党員でも読者でも必ず前進に転ずるという流れを、全党のみんなの力をあわせてつくりだしていこうではありませんか。

どんなに忙しいなかでも「世代的継承」の取り組みを握って離さない

 もう一つ、今日の討論で大事だと思って聞いたのは、「世代的継承」について多くの同志が発言したということです。

 この間、中央は地方のみなさんと一体になって、青年・学生のなかでの取り組み、職場の取り組み、真ん中世代の取り組み、それぞれの努力をしてきて、この三つの分野でいろいろな新しい前進の芽が全国でつくられつつあります。そのことは今日の討論でも豊かに報告されました。

 この問題の位置づけが重要であります。「世代的継承」の取り組みは、参議院選挙勝利にとって大きな力になることは間違いありませんが、同時に、より長い視野に立って党の未来を展望した場合に、どんなに忙しいなかでも、どんなに激しい政治闘争のなかでも、絶対に握って離さない、「世代的継承」は握って離さない。選挙戦のなかでも絶対に握って離さないことが重要であります。

 この事業は、当面の参議院選挙に勝つというだけではなくて、もっと先の日本革命をやっていくうえで絶対に必要な課題であります。ですからどんなに忙しいなかでも絶対に握って離さない。率直にいって、選挙になると横に置いてしまうということを繰り返して後退してきた。そういうことはもう繰り返さない。どんなに忙しくても絶対に横に置かないで、「世代的継承」という、私たちの後継者をつくっていく活動を、みんなの力を総結集してやりぬくということが大事であります。そういう立場からのたくさんの発言があったということは本当にうれしい思いですし、中央としてもさらにこの分野での系統的な努力を強めていくことをお約束したいと思います。

「民青同盟が元気」――若いみなさんを結集する大きな条件が存在する

 そのなかでも、今日の発言で、「民青同盟が元気だ」ということが共通して発言されたということは、本当に心強いことだと思います。

 京都の渡辺府委員長は、発言のなかで、「今回の政治方針は、青年学生を獲得していくうえで決定的な政治方針になると思う。本当に純真無垢(むく)で、ウクライナの事態に心を痛めて、なんとかしたいと模索している姿が新歓の中でもある」とのべました。ウクライナの問題で「純真無垢」という言葉が使われましたけれども、さまざまな偏見が、上のほうの世代に比べると少ないのだと思います。多くの若者は、偏見を持たないで、純粋に、いまの事態に心を痛め、何とかしたい、平和を取り戻したいと願っているのだと思います。そこに、幹部会報告で解明したわが党のウクライナ問題についての四つの点を伝えていけば、若者の心に響くのではないでしょうか。実際にそういう活動を民青のみなさんはやっているのではないかと思います。

 今の情勢というのは、若いみなさんを民青に迎え、党に迎えていくうえでも、たいへんに大きな条件が存在することは間違いないと思います。ぜひこの点でもお互いに努力を重ねたいと思います。

 (志位委員長は、最後に、討論で出された要望についての常任幹部会としての回答をのべ、「幹部会報告で提起した方針で、必ず4月から大きな躍進の流れをつくるために頑張りましょう」と訴えて、まとめの発言を終えました)