志位和夫 日本共産党

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演説・あいさつ

2022年3月3日(木)

春闘勝利・中央総決起集会

志位委員長の情勢報告


 日本共産党の志位和夫委員長が2日の「春闘勝利・中央総決起集会」で行った情勢報告は次の通りです。


 春闘勝利・中央総決起集会にお集まりのみなさん、インターネット中継をご覧の全国の仲間のみなさん、ご紹介いただきました日本共産党の志位和夫です。心からの連帯のごあいさつを送ります。(拍手)

核兵器で世界を恫喝することは、それ自体が国連憲章に違反する暴挙

 まず、私は、みなさんとともに、ロシア・プーチン政権によるウクライナ侵略に対して深い憤りをもって糾弾し、ロシアの軍事行動をただちに中止することを強く求めたいと思います。(拍手)

 国連憲章では、「主権の尊重」、「領土の保全」、「武力行使の禁止」などを加盟国に義務づけており、ロシアの行動がどこから見ても国連憲章違反の侵略であることは明瞭です。

 プーチン大統領は、侵略を合理化しようとあれこれ言っています。「NATO(北大西洋条約機構)の脅威」への対抗だということも言っていますが、どんな理由をもってしても、国連憲章をじゅうりんすることは許されるものではありません。

 とりわけ、プーチン大統領が、核兵器による威嚇を行い、核戦力「特別態勢」の命令を発したことは、それ自体が国連憲章に違反する暴挙です。核兵器で世界を恫喝(どうかつ)する、こんなことは絶対に許してはならないという声を、被爆国・日本からあげようじゃないですか。(拍手)

侵略を抑える力は世界の平和世論の結集にある

 それでは、ロシアの侵略をどうやって抑えていくか。経済制裁はもちろん必要です。同時に、私は、一番大事なのは国際世論だと思います。国際世論で抑えられるのかという声もあるかもしれない。しかし今、世界で「戦争反対」の声が広がっているじゃないですか。ロシアでも広がっている。この日本でも広がっています。

 この声を一つに集め、ウクライナでたたかっている人たちと連帯して、プーチン政権を包囲する。「ロシア・プーチン政権は侵略をやめろ」「国連憲章を守れ」――この一点で団結して、この声を世界中に広げる。これが侵略を止める一番の道じゃないでしょうか。みなさんといっしょに、無法な侵略を止め、平和の国際秩序をつくるために頑張り抜きたい。この決意を申し上げたいと思います。(拍手)

この機に乗じた「核共有」の議論をきっぱり退け、核兵器禁止条約に参加を

 私が許せないのは、この機に乗じて、「9条を変えろ」「核兵器を持とう」――こういう議論が起こっていることです。

 安倍晋三元首相と自民党の一部、維新の会などは、アメリカの核兵器を日本に配備して、日米両方で管理・運用する「核共有」の議論が必要だと言い始めました。

 みなさん、核兵器の脅威に核兵器で対抗したらどうなるでしょうか。世界中の国がこんな議論を始めたら、人類はまさに破滅のふちに追いやられてしまうじゃありませんか。ましてや、非核三原則を国是とする唯一の戦争被爆国・日本でこんな議論をするなど、絶対に許すわけにいきません。

 私は、核兵器の脅威をなくす唯一の方法は、核兵器の廃絶にあると思います。どうか皆さん、この機に乗じた「核共有」などというとんでもない議論をきっぱり退けて、核兵器禁止条約に日本は参加せよ――この声こそ広げようじゃありませんか。(拍手)

賃上げのために政治の責任で何がやれるか――大企業の内部留保課税の提案

 さてみなさん、今日は、大幅賃上げを求める集会です。みなさんは全国で賃上げ闘争の真っただ中だと思います。私たちは、政治の立場に身を置くものとして、政治の責任でどうやって賃上げを進めるか。ずっと政策を発展させてまいりました。

 一つ目は、非正規で働く方を正社員にする。

 二つ目は、最低賃金を大幅に引き上げる。

 三つ目は、男女の賃金格差をなくす。

 四つ目は、ケア労働者の賃金――国が決めている賃金ですから、大幅に引き上げる。

 それにくわえて、大企業がため込んでいる内部留保が、何とかならないものか。労働者のみなさんは、「内部留保を賃上げにまわせ」と主張してたたかっています。それでは政治の責任で何ができるか。いろいろ考えまして、内部留保に課税しようという提案を、この間、行っているのです。

 どういうことかと申しますと、アベノミクスの8年間で、資本金10億円以上の大企業の内部留保が130兆円も増えまして、466兆円まで積み上がっている。何でこんなに積み上がっているか。一つの原因としてあげられるのは、大企業に対する減税をやりすぎたということです。法人税率を28%から23%に下げてしまった。大企業優遇税制を拡大していった。その結果、この期間に40兆円も大企業への減税がやられて、それがかなり内部留保にまわった。

 そこで私たちの提案なんですけども、アベノミクスで増えた内部留保に課税をする。具体的には、税率2%で2兆円、5年間で10兆円の課税をしよう。これが私たちの提案ですが、いかがでしょうか。(拍手)

「一石三鳥」――大企業でも中小企業でも賃上げが進み、「グリーン投資」も進む

 これは、みなさん、「一石三鳥」になります。

 一つは、この課税によって、ゆきすぎた大企業優遇の減税の一部をとり戻すわけですから、税の不公平をただすことになりますね。

 二つ目に、この課税をやるときには適切な控除をもうけます。一つは、「賃上げ」をやった場合は税金を払わなくてよいですよ。もう一つは、「グリーン投資」に使った場合も税金を払わなくてよいですよ。この二つの控除を設けることで、「賃上げ」と「グリーン投資」にお金がまわるようにする。

 そして三つ目に、税収が10兆円ほど出てきます。この10兆円で、最低賃金を時給1500円にするための――みなさんのマスクにある「1500円」――この1500円にするための中小企業への支援をやる。

 「一石三鳥」です。

 これを実現しましたら、大企業に勤めている方も、中小企業に勤めている方も賃上げになりますし、グリーン投資も進みます。ぜひこれをやりたいと思います。いかがでしょうか。(拍手)

 ぜひみなさんと力を合わせて大幅賃上げをかちとっていきたい。

 平和の問題でも、暮らしの問題でも、私たちは、みなさんと力を合わせて希望ある未来が開けますように頑張り抜きます。ともに頑張りましょう。(拍手)