志位和夫 日本共産党

力をあわせて一緒に政治を変えましょう

TV発言

2022年2月21日(月)

BSテレ東「NIKKEI 日曜サロン」

志位委員長の発言


 20日放送のBSテレ東番組「日曜サロン」での日本共産党の志位和夫委員長の発言は次の通りです。聞き手は芹川洋一・日本経済新聞論説フェロー、榎戸教子キャスターです。


ソーラーシェアリング、若者が気候危機で行動

 榎戸 志位さん、今日はどうぞよろしくお願いします。

 志位 こんにちは。

 芹川 最近うれしい出来事があったらしいですけど、なんですか。

 志位 (神奈川県)小田原にソーラーシェアリングをやっている方がいて、太陽光パネルで電気を作って農業をしています。耕作放棄地だったところをよみがえらせ、素晴らしい価値を生み出しています。

 そこにうかがったんですけど、耕作放棄地をミカン畑にする取り組みに、若い女性のボランティアの方がいっぱい参加しているんですよ。一緒に記念撮影したんですけど、若い方がいまの気候危機を“何とかしないといけない”“自分で何かしたい”と行動していると思って、とてもうれしい思いでした。

ワクチン接種遅れへの無反省と病床削減――姿勢をあらためよ

 榎戸 新型コロナウイルス対策についてうかがいます。まん延防止等重点措置は一部の地域で解除の動きもありますが、まだ多くの地域で延長の動きもあります。政府の対策、対応についてはどのように考えていますか。

 志位 まん延防止等重点措置について説明した2月17日の岸田文雄首相の会見を見ましたが、反省が全くないということを感じました。

 例えば、3回目のワクチン接種(ブースター接種)はまだ全人口の12%、高齢者も3割です。遅れに遅れている。接種間隔を原則8カ月(以上)に決めてしまったことで、遅れてしまったわけです。

 ところが、記者が遅れた責任を問うても、岸田首相は、1回目、2回目(のワクチン接種)が遅かったんだから遅れて当たり前だという調子です。8カ月(以上)という間隔を決めてしまったことで、たいへんな遅れを生み、多くの犠牲が出ています。これを反省しないといけない。間違いは間違いとして認めて、対応を改めていかなければならないということを言いたい。

 もう一つ感じたのは、(首相は)「病床確保」と言うけれども、現場で何が起こっているか知っていますかということです。東京では、2月16日に都議会に都立病院条例の廃止案が出ています。都立病院を廃止し、独立行政法人にするものです。大阪では、急性期病床を2020年度で229床も削りました。21年度はもっと削ろうとしている。こういう急性期病床のカットがやられています。

 これの大本に何があるのかというと、消費税を財源にして急性期のベッドを20万床削る地域医療構想があります。これをやっているのが岸田政権なんですね。一方で「病床確保」と言いながら、他方で病床を削っている。これをコロナのまっただなかにやるというのは、おかしな話じゃないですか。東京、大阪でそういうことが起こっています。ですから根本から姿勢を改めてほしいということを強く言いたいです。

 いまやるべきことは明瞭で、ワクチン、検査、医療、暮らしの支援です。これをやる上でも、いま言ったことを改めてほしいと思います。

「敵基地攻撃論」の危険――9条生かした外交ビジョン示す

 芹川 岸田政権の動きを見ていると変わり身が早いというか、対応を結構変えますよね。これは野党からすると攻めにくいんじゃないですか。

 志位 私は、そういうことは感じていません。よく動きを見て、私たちはそれにかみ合った問題提起をしています。

 岸田政権は、安倍政権、菅政権でもできなかったような危険な道に踏み出そうという動きがはっきりしてきました。

 例えば、「敵基地攻撃論」です。この前、岸信夫防衛相が国会の答弁で、相手国の領空に入って爆弾を落とすことも「自衛の範囲」としてあり得るとはっきり認めました。相手国の領空に入って爆弾を落とすといったら戦争じゃないですか。これは憲法9条の下で絶対に許されないことですけれども、こういう危険な道に踏み出そうとしています。

 私たちは、これをどうしても止めなければならない。憲法9条を変えることも一体で狙われています。みんなで力を合わせて止めていきたいと思います。9条を持つ国として、外交の力で日本の平和、東アジアの平和をつくっていくという外交ビジョンも示しています。そういう取り組みが大事だと思います。

「新自由主義の弊害」というなら姿勢問われる――「やさしく強い経済」を

 榎戸 政策課題についてうかがいます。岸田政権は「新しい資本主義」で成長と分配の好循環を目指すとしていますが、新自由主義からの転換、格差是正、賃上げなど、共産党から見て評価できる点などはありますか。

 志位 経済政策の根本では、評価点はないですね。

 ただ、岸田首相は、「新自由主義の弊害」を乗り越えると言葉ではおっしゃった。そうしますと矛盾が出てくるわけですよ。じゃあその弊害の中身は一体何なのか、弊害をつくったのは誰か、誰の責任か、弊害を転換する気があるのか、このあたり問題が出てきますよね。私は、この前の代表質問で聞きましたが、一つも答えがない。

 新自由主義の転換と言うんだったら、働く人の4割を派遣・パートなどの非正規雇用に変えてしまった労働法制の規制緩和、医療・介護・年金などあらゆる分野で社会保障をぼろぼろにしてしまった削減路線、富裕層や大企業に減税をやって消費税を連続的に上げてきたことなど、こういうやり方は、みんな新自由主義の政策ですよね。これが日本の経済を「もろく弱い」ものにしてしまった。そして、日本を「冷たい社会」にしてしまった。この転換がやれるかどうかが試されると思うんですよ。

 私たちはいま言った三つの問題を大転換して、(1)政治の責任による賃金の引き上げ(2)社会保障と教育予算を経済力にふさわしく充実(3)富裕層・大企業への応分の負担と消費税5%への減税、(4)気候危機打開の本気の取り組み(5)ジェンダー平等の視点を貫く――という五つのパッケージを提案し、「やさしく強い経済」に切り替えようと訴えています。それはいまの政権にはできません。やはり新しい政権が必要になってきます。それを目指して頑張りたいと思います。

 芹川 基本的にはやっぱり相いれないということですね。

 志位 そうですね。ただ、岸田首相が「新自由主義の弊害」と言ったのは、コロナの感染拡大により、世界的規模で、弱肉強食の新自由主義はもうだめだという流れが起こるなかで、押されていったわけですよね。そこからいろんな矛盾が噴き出している。弊害を乗り越えると言うのなら、この矛盾をどうするのか。そういうことを私たちは投げかけています。

党の綱領を示す「はてな」リーフを大々的に活用

 芹川 新しいリーフ(「はてな」リーフ)を最近出されましたね。非常にわかりやすく作ってあります。その中で「自衛隊」のページでは、「共産党は、いますぐ自衛隊をなくそうなどと考えていません」というくだりがあったり、「天皇の制度」のページでは、「与党になったら天皇制は廃止?そんなことは絶対にしません」というくだりもありますね。まず、なぜこういうものを作ったのか。それと、「天皇の制度」のところは、綱領の基本的な考え方とちょっと違うんじゃないかと思ったんですが、そのあたりはいかがでしょうか。

 志位 これをつくった理由は、この前の総選挙では、自民党の側から共産党に対してずいぶん攻撃をされました。その攻撃の焦点になったのはおもに四つで、安保条約、自衛隊、天皇の制度、社会主義・共産主義です。共産党が言うことは「現実離れ」しているという調子で悪口を言われた。私たちはそうじゃない。現実にしっかり立って、改革の方策を示していますということを、そもそも論から知っていただきたいということで、いま印刷をして活用を大々的に始めているところです。

 芹川 何部ですか。

 志位 1千万部。

 芹川 結構、お金がかかっているじゃないですか。

 志位 かかりますけど、何とか工面してやっています。

天皇の制度――現在も、将来も、憲法にのっとって対応していく

 志位 「天皇の制度」については、これは綱領の立場をわかりやすく書いたものなんです。私たちは綱領で、天皇の制度については、いま重要なのは、憲法に書いてある「(天皇は)国政に関する権能を有しない」、政治利用をしちゃいけない、これをきちんと守るということが一番だとしています。憲法を守るということですね。

 じゃあ将来はどうするのか。私たちは、天皇の制度というのは「世襲」ですから、人間の平等と両立しないというふうに考えています。けれども、これをどうするかという方針については、国民の総意にゆだねるというのが綱領に書いてあることなんです。将来、この(制度の)「存廃」については、「国民の総意によって解決」すると、こう書いてあるんですね。「国民の総意によって解決」するというのが私たちの立場ですが、憲法1条には、天皇の地位は「主権の存する日本国民の総意に基く」と書いてある。ですから、まさに現在も、将来も、憲法にのっとってこの問題に対応していくということです。

 芹川 要するに憲法を改正しない限りできないということですね。

 志位 もしなくそうとする場合はそういうことが必要になります。ただ、そういう(性格の)問題であるから、存廃は国民の総意にゆだねるというのが私たちの方針です。

すべての改革を、国民の総意、国民の合意で進める

 志位 つまりこのリーフの大事なところは、いろいろな問題、さっき言った四つの問題の全部で、私たちは方針を持っています。しかし、最終的に決めるのは国民であり、国民の総意にゆだねます。国民の総意、多数の意見を無視してやるようなことはしません。すべて国民の合意で進むということを強調しています。

 芹川 総意というと、それは選挙結果ということになりますよね。

 志位 そうです。選挙で審判された国民の総意に基づいて、あらゆることを進めていく。勝手にやったりはしないということです。

 芹川 いまの総意はある意味、去年の総選挙の結果で、それは従うしかないわけですね。

 志位 これはこれで一つの結果ですから、私たちはしっかり受け止めます。ただそれは不変のものではありません。次の参議院選挙では頑張りたいと考えています。

野党共闘で自民党を追い詰めた――党の力をつけ次にのぞむ

 芹川 選挙の関係でいうと、野党共闘ですね。焦点でしたね。リーフの10ページには、「自公政権を追い詰めました」とありますけど、これはそういう総括なんですか。

 志位 私たちはそう考えています。今度の総選挙というのは、野党4党が20項目の共通政策を確認しました。それから立憲民主党との関係では、どういう政権をつくるのかの姿も確認しました。そしてその上で選挙協力をやったわけです。いわば3点セットがそろってできた。そのことによって、かなり力がでてきて、多くのところで自民党を追い詰めた。

 共闘候補で一本化したところでは59選挙区で勝っています。それプラス33選挙区では僅差まで自民党を追い詰めた。ですから、共闘が効果をあげたことは明らかです。だからこそ相手は、たいへんだと考えて激しい攻撃をやった。その攻撃を乗り越えて、さらに前進していくところまでは残念ながらいかなかった。それはやはり、次の課題にして頑張ろうという総括をしています。

 芹川 小選挙区は確かにそうだと思います。けれど、比例では、特に立憲民主党は選挙総括でも、他党に票が逃げたみたいな書き方をしていると思います。

 志位 比例代表は、それぞれの党が、それぞれの責任でやっているわけですから、私は立憲民主党の総括にあれこれ言う立場ではありません。でも、共産党自身についていえば、リーフで示しているようなことをもっと平素からやって、党の力をつけることが大事だと総括をしています。

 それから、票が逃げるというのは、小選挙区で選挙共闘やったわけですからそこが大事だと思います。先ほど、59選挙区で勝ったと言いました。そのうち、56選挙区はいわゆる共闘効果、つまり野党4党の比例票よりも小選挙区票の方が多かったんです。つまり共闘の力で膨らんだ。そういう面から見ても選挙で協力したから本来くるべき人が離れていったというのは違うと思います。

参議院選挙――日本共産党躍進、野党共闘の成功に力をつくす

 榎戸 ではここからは夏の参議院選挙に向けて、そして、党の今後について聞いていきたいと思います。まずは夏の参議院選挙ですが、比例代表の目標と獲得議席の目標はどこに置いていますか。

 志位 比例代表は、650万で10%、ここまで盛り返したいと思っています。そして、5議席を必ず取りたい。選挙区は現有が東京ですから、必ず守って、おおいに増やしたいと考えています。そして、選挙全体としては、なんとか野党共闘を成功させて、こちらの方でも成果をあげたいと努力しているところです。

 芹川 野党共闘ですが、立憲民主党の泉健太代表がテレビ番組で、白紙に戻すような言い方をしていました。これはどう考えていますか。

 志位 そこはよく話し合っていきたいと思います。立憲民主党と日本共産党の関係では共通政策、あるいは政権協力の合意、これを掲げて選挙をやったわけです。これは公党間の合意で、これを掲げて選挙をやった以上、国民に対する公約にもなります。ですから、私たちとしては、ぜひそれをお互いに守り、さらに発展させていこうということを言っています。協議をした上でいろいろ変えていくということはあると思います。ですが、協議もなしに白紙というのは成り立ちません。そこも含めてよく話し合いをしたい。

 私たちとしてはできるだけ早くに参議院選挙の協力に向けて話し合いに入りたいと思って、1月24日にそういう提案をしています。まだ返事が返ってきていませんが、できるだけ早くにこれが進むようにと思っているところです。

 芹川 要するに去年の合意はまだ生きていて、それを確認、修正するような形の協議を早くやりたいということですか。

 志位 そうですね。生きているし、それにプラスして発展させていきたいという立場です。それについて意見があるというのであれば、協議の中で議論し、一致点を見いだしていくことが大事ではないでしょうか。

 芹川 でも、参議院選挙の1人区の中では、共産党として候補者を決めているところもありますよね。

 志位 もうだいぶ発表しています。私たちは野党の統一を目指しながら、擁立すべきところは立てるということで両方やっています。

 芹川 まとまらなければこのまま行くし、まとまれば降ろすということになるんですか。

 志位 そこらへんはそう単純でもありません。今後の話し合いにかかっていると思います。

 芹川 一応タイムリミットみたいなのは考えていますか。

 志位 もうタイムリミットにほとんどきています。というのも、6年前の参議院選挙を考えると、2月19日には5党首の会談を開き、選挙協力の合意をしています。3年前は1月の下旬にやっている。もう本当にタイムリミットにほとんどきているというのが現状なので、一刻も早く話し合いをしていきたいと思います。

党創立100年――最大のイベントは参院選で勝利すること

 芹川 最後の質問です。7月に共産党は党創立100周年を迎えますね。いまや日本最古の政党として長い歴史を誇っておられます。100周年に向けて、イベントなどは考えていますか。

 志位 最大のイベントは参議院選挙ですね。参議院選挙で勝ってお祝いをしたい。まずは参議院選挙で勝つことが一番だと思います。

 芹川 じゃあ特別なセレモニーみたいなことは今のところ考えてはいない。

 志位 記念講演会はやることになるんじゃないでしょうか。

 日本の政党の中で戦前・戦後で一つの名前を通しているのは共産党だけです。これには理由があります。太平洋戦争に進む時に、共産党以外の全部の政党が党を解散して大政翼賛会に入ってしまい、みんなで戦争を推進した。だから戦後、同じ名前では出られなくなった。みんな名前変えたわけです。

 芹川 非合法政党でしたね。

 志位 日本共産党はその流れにきっぱり対決したわけですね。日本共産党が戦前・戦後一つの名前で通せたのは、命がけで戦争に反対し、民主主義を求めたことの証しです。おおいに自信を持って次の100年に臨みたいと思います。

 芹川 次の100年に向けてこういう点は変えていこうというところはありますか。

 志位 時代の大きな変化、世界や日本の変化、多くの人たちの求めに応じて、原則を守りながら常に自分を変えていく努力は必要だと思います。そういう努力はこれまでもやってきたし、今後もやっていきたいと思っています。

「各党もこういう形で政策示して」

「はてな」リーフ手に芹川洋一氏が感想

 「各党もこういう形でわかりやすく政策を示していただきたい」。芹川洋一・日本経済新聞論説フェローは番組で志位和夫委員長の話を聞いた後に、「はてな」リーフを手にして語りました。

 番組の最後で、榎戸教子キャスターから「今日の志位さんのお話はいかがでしたか」と問われた芹川氏は「共産党のリーフレット。これは、それぞれの政党の立場がありますが、なかなかうまくまとめてある。わかりやすい」と述べ、他党にも作成を促しました。

 志位和夫委員長が出演した「日曜サロン」は、テレ東のニュースサイトにアップされています。以下のリンク先で視聴できます。

NIKKEI 日曜サロン「共闘協議 時間切れ近い」共産党・志位氏