志位和夫 日本共産党

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演説・あいさつ

2021年12月25日(土)

「赤旗」新入局員の党学校

志位委員長 党綱領の全体を縦横に語る(後半)


 「しんぶん赤旗」の新入局員を対象とした党学校は24日、党本部で開かれ、最終講義として志位和夫委員長が党綱領について講義しました。日本の民主的改革の内容や、社会主義・共産主義の展望など綱領の真髄を縦横に語りました。

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(写真)講義する志位和夫委員長=24日、党本部

世界資本主義の矛盾

格差拡大、環境破壊、アメリカをどうみるか

 党綱領は、21世紀の世界をどうとらえるかについて、「世界の構造変化が生きた力を発揮しはじめている」という角度とともに、「資本主義の経済的・政治的矛盾の深まり」という角度から明らかにしています。志位氏の後半の講義は、第二の角度の資本主義の矛盾から始まりました。

 志位氏は、綱領一部改定で、格差拡大、環境破壊を「資本主義体制が21世紀に生き残る資格を問う問題」と特記したが、新型コロナパンデミックはこの二つの矛盾がいかに深刻かを明るみにだしたとし、貧富の格差の拡大、地球規模での環境破壊のさまざまな形での進行、新たな感染症の多発などの具体例をあげて告発しました。

 また、世界資本主義の政治的矛盾の問題では、アメリカ帝国主義の侵略性をどうみるのかについて、綱領一部改定でより普遍的な形で整理を行ったことを説明。「世界の構造変化」をふまえた党の弾力的なアメリカ論の発展を振り返り、その有効性を語りました。バイデン政権が「先制攻撃戦略」「地球規模での軍事基地網」という帝国主義的侵略性において変わらないものの、パリ協定・WHO(世界保健機関)への復帰などの前向きの動きや、国内政治でも前向きの変化も起こりつつあると指摘しました。

国際連帯の課題

どんな国であれ覇権主義を許さず、平和の国際秩序をつくる

 さらに志位氏は、綱領一部改定で明記された国際連帯の課題として、「どんな国であれ覇権主義を許さず、平和の国際秩序をつくる」ことについて言及しました。

 「それは可能か」と問いかけた志位氏は、核兵器禁止条約やASEAN(東南アジア諸国連合)を中心にした平和の地域協力の前進を紹介し、「世界の構造変化」のもとで、その条件と可能性が存在していることを明らかにしました。

多数者の合意で社会発展の階段を上る

現在から将来にいたる一貫した方針

 第4章「民主主義革命と民主連合政府」では、志位氏は民主主義革命という路線の先駆的な意義を強調するとともに、段階的発展、多数者革命、統一戦線という党の革命論を貫く基本的立場は一体のもので、現在から民主主義革命、社会主義的変革にいたるまでの一貫した立場であることを詳しく解説。「最初は閣外でも共産党をいったん政権に加えたら、旧ソ連、中国のような独裁になる」などの反共攻撃がいかに間違っているかを明らかにしました。

安保、自衛隊、天皇の制度

攻撃にかみあって綱領を語る

 綱領は、現在、日本社会が必要としている変革は、異常な対米従属と大企業・財界の横暴な支配―「二つの異常」を打破する民主主義革命だと規定しています。

 異常な対米従属をどう打破するか―志位氏は、安保法制廃止、辺野古新基地建設反対、日米地位協定の抜本見直しなど緊急の課題での一致点での共同にとりくみつつ、日米安保条約を廃棄する多数派をつくるという「二重の取り組み」が重要になっていることを、この間の市民と野党の共闘の発展とのかかわりにも言及して明らかにしました。

 とくに、国民の疑問や不安にかみあっての“そもそも”論的な日米安保体制の解明が重要になってくるとし、その内容を詳しく示しました。

 自衛隊問題の段階的解決をはかる日本共産党の政策的到達点、天皇の制度と日本共産党の立場について、支配勢力の攻撃、それとの論戦を紹介しつつ、詳しく解明し、野党連合政権でこれらの諸問題にどう対応するかについても解明しました。

大企業の民主的規制

マルクス『資本論』とのかかわりでその意義を語る

 民主的改革のもう一つの柱は、大企業・財界の横暴な支配を打破し、「ルールある経済社会」を築くことです。この問題で志位氏は、大企業の民主的規制という方針のもつ合理性と必然性を、マルクス『資本論』からも深くつかんで、たたかいに生かすことをよびかけました。

 マルクスは『資本論』のなかで、労働日の非人間的な延長、それとのたたかい、イギリスでの「工場法」の成立史などを描きながら、社会発展のうえで「工場法」のもつ意義をさまざまな角度から解明しています。

 志位氏はその論究をたどりながら、資本主義という経済社会のまともな発展のためにも民主的規制が避けられないこと、それは労働者のたたかいが生み出すもので、自らを守る「社会的バリケード」としてかちとらなければならないこと、「工場法」による労働時間の短縮はイギリス産業の大繁栄をもたらしたこと、「工場法」の一般化は「新しい社会の形成要素と古い社会の変革契機」を成熟させ、資本主義から社会主義に進むうえでも大きな意義をもつこと―などを詳しく語りました。

支配勢力の妨害や抵抗を打ち破る

「新たなステージ」の攻撃に立ち向かう

 綱領は民主主義革命の道筋にかかわって、民主連合政府の樹立は、支配勢力の妨害や抵抗を打ち破るたたかいを通じて達成できるとしています。

 志位氏は、総選挙での反共攻撃は、日本共産党が政権に挑戦するという「新たなステージ」での攻撃だとして、支配勢力が攻撃の焦点としている問題で党綱領の立場を丁寧に理解してもらう活動、統一戦線を大切にする立場を貫いていることを伝えていくことが大切だと述べました。

社会主義的変革の中心

「生産手段の社会化」を二つの角度からとらえる

 第5章「社会主義・共産主義の社会をめざして」では、「社会主義的変革の中心は、…生産手段の社会化である」としていますが、23回大会の綱領改定報告では、「生産手段の社会化」を、(1)利潤第一主義の資本主義の矛盾を乗り越えるための必然的で法則的な社会変革(2)人間社会の本来の姿を取り戻す、人類史的な意義を持つ―という二つの角度からとらえることの重要性を強調しています。

 志位氏は、マルクスの論究を紹介しつつ、二つの角度からの生産手段の社会化の意義を丁寧に語りました。さらに、生産手段の社会化によって、どんな新しい社会が生まれるかを、綱領に即して解明しました。

社会主義・共産主義の最大の特質

「人間の自由で全面的な発展」

 志位氏は、そうやってつくった社会主義・共産主義の最大の特質は「人間の自由で全面的な発展」を特徴とする社会であり、ここに党綱領の未来社会論の核心があると述べました。そして、これがマルクス、エンゲルスのもともとの立場であったこと、「人間の自由で全面的な発展」の保障は労働時間の抜本的短縮にあることを、『資本論』を紹介してくわしく明らかにしました。

 さらに、社会主義・共産主義への「過渡期」についての綱領の立場を、マルクスの論考を紹介しつつ解明しました。

発達した資本主義国での社会変革は、社会主義・共産主義の大道

 志位氏は、綱領一部改定が党綱領の未来社会のもう一つの新しい「核」となる内容をつけくわえたと指摘。「発達した資本主義国での社会変革は、社会主義・共産主義への大道」であり、これまで人類が体験したことのない豊かで壮大な可能性を持っていることを明らかにしました。

 改定綱領で明らかにした(1)資本主義のもとでつくりだされた高度な生産力(2)経済を社会的に規制・管理するしくみ(3)国民の生活と権利を守るルール(4)自由と民主主義の諸制度と国民のたたかいの歴史的経験(5)人間の豊かな個性―について解明。資本主義の高度な発展がつくりだした内容を「五つの要素」にまとめたことによって、発達した資本主義国における未来社会のイメージ、「豊かで壮大な可能性」がより具体的につかめるようになったと強調しました。

 今、全国各地、職場や地域、学園で、労働時間の短縮をめざすたたかい、人間らしい働き方を求めるたたかい、社会保障の充実をめざすたたかい、ジェンダー平等社会のためのたたかいなど、さまざまなたたかいが行われています。志位氏は「今のたたかいは、今の生活や権利をよりよくするためのものですが、同時にすべてが未来社会へと地続きでつながっています。すべてが未来社会を豊かに準備することにもつながってきます。そういう大きな展望をもって、力をつくしましょう」と呼びかけました。