志位和夫 日本共産党

力をあわせて一緒に政治を変えましょう

TV発言

2021年10月17日(日)

日本テレビ「news zero」党首討論

志位委員長の発言


 15日夜放送の日本テレビの番組「news zero」で行われた与野党9党による党首討論では、男女の賃金格差問題の是正や介護・福祉・保育などケア労働の賃金引き上げ、富裕層や大企業への課税問題が中心テーマになりました。日本共産党の志位和夫委員長が具体的数値を挙げて打開策を示したのに対し、岸田文雄首相(自民党総裁)は具体的な言及を避けました。司会進行は有働由美子メインキャスター。

男女の賃金格差―企業に格差の把握・公表の義務付けを

 冒頭、各党首が賃金と生活支援給付について○×で回答。「次の4年間で現在の平均給与をいまより30万円上げられる?」「男女の給与格差はいまおよそ240万円。これを4年間でせめて半分以下にできる?」「コロナで苦しむ人たちへの給付、対象は年収で制限する?」の3問について志位氏はいずれも「○」をあげました。

 有働氏が岸田首相に男女の賃金格差をどう縮めるのかと質問すると、岸田首相は「正社員化をしっかり進めていくことがまず基本。そのうえで同一労働同一賃金を進めていく。看護、介護、保育の分野においても、女性の割合が多いので、こうした政策を動員することによって格差を縮めていく」と発言。有働氏は志位氏に「共産党は、女性が多く働く介護、福祉、保育などケア労働の賃金引き上げを掲げています。自民党の岸田さんも保育士や看護師など賃金引き上げ訴えていらっしゃいますが、それとはどう違うんですか」と質問しました。

 志位 私たちは(ケア労働の待遇改善で)10万円の引き上げという具体的な提案をずっとやってきました。

 それからこの男女の賃金格差の解消の最大のカギは、企業に男女の賃金格差の実態を把握して公表する、これを義務付ける。つまり「見える」ようにする。これが一番のカギだと思うんです。

 有働 それは全社(全ての会社)?

 志位 企業ですね。そして、これはEU(欧州連合)でもそういう透明化によって格差を解消することに乗り出しています。

 ところが、国会での代表質問で私はこのことを提案したんですが、総理の方から「情報公開の対象にしない」と(答弁された)。つまり「見える化」どころか、格差を隠すと。この姿勢を改めていかないと解消にならないということを強く言いたいですね。

 有働氏に、ケア労働での賃上げについて「志位さんは10万円といったが」と具体的数値を聞かれた岸田首相は、「現実の中でどれだけ引き上げるか、これはしっかり議論しなければならない」とあいまい。さらに有働氏が「どれくらいかと気になると思うんですよね、有権者にとって」とただすと、岸田首相は所信表明で設置を表明した公的価格評価検討委員会で「議論」するとして、「私がこの参会(党首討論)で数字を申し上げるというのは弊害になってしまう」と具体的な言及を避けました。

コロナ危機の家計支援―低所得者に加え中間層も対象に「暮らし応援給付金」を提案

 コロナ危機で収入が減った家計への支援をどうするか。有働氏は志位氏に「共産党は年収1000万円未満ぐらいの人までが対象で、給付をいますぐやりましょうとおっしゃっていましたけれども、所得制限をつけると早く手元に届かないということはありませんか」と質問。志位氏は次のように答えました。

 志位 これはだいたいコロナを体験してどれぐらい収入が減っているか、みんなわかっているわけですから、すぐできると思うのですね。

 私たちは、生活に困窮している低所得者の方々に加えて、中間層も含めて―中間層の方、年収700万、800万円の方でも、かなりボーナスが減ったり賃金が減ったりしています―、そういう中間層も含めて、コロナで収入が減った方々を広く対象にして、1人10万円を基本にして「暮らし応援給付金」を支給すると(提案しています)。だいたい5兆円から6兆円の規模で制度設計を考えたいと思っています。

 他の野党は「住民税がかからない世帯ぐらいまでの線で12万円の支給をしたい」(立憲民主党の枝野幸男代表)、「所得連動型でまず全員に配る」(国民民主党の玉木雄一郎代表)などと発言。岸田首相は公明党と調整したうえで「具体的な支給を確定したい」と、ここでも具体的な内容に触れずじまいでした。

富裕層・大企業の優遇税制―「分配」というなら、ぐずぐず言わず米大統領を見習え

 給付金支給にかかわって議論のテーマは財源問題に。「金融所得課税の引き上げは(首相)在任中にはやるんですか、やらないんですか」と問われた岸田首相は「順番を間違えてはならない。まずは賃金を引き上げるところから始めて、その進み具合も見ながらこの(金融所得課税の見直し)選択肢も考えていく」と発言。所得税の最高税率の引き上げについても「いろんな方策、選択肢はあると思うが、申し上げているような順番で物事を進めていきたい」と具体策を示しませんでした。志位氏は岸田首相の発言をふまえ次のように述べました。

 志位 “1億円の壁”という問題がありますね。所得1億円を超えますと、逆に税の負担率が下がってしまうと。この(富裕層優遇の)金融所得課税の見直し、これはもうすぐにやるべきですね。

 そして、もう一つ、大企業よりも中小企業の方が、かえって法人税の負担率が高いという問題もある。不公平税制ですから、これもただす必要がある。

 それから、税率の話を言われましたけれども、所得税・住民税の最高税率は(現行の55%から)65%まで引き上げる。そして法人税は、大企業については28%に戻す。安倍政権で23%にまで下げてしまった。これを28%にまで戻す。

 バイデン米大統領は4月の議会演説で、“1%の富裕層と米財界に公平な負担を求めるべきだ”“これに反対するんだったら、一体どこから税金をとってくるのか”というふうに言いましたよね。やはり、岸田さんね、「分配」と言うんだったら、バイデンさんを見習ったらどうかと思うんですよ。ぐずぐず言わないで、やった方がいい。

 岸田氏はなおも「財源はもちろん大事だが、増税あるいは財源の問題に手を付けてしまうと、経済そのものを壊してしまうことにもなりかねない」と不公平な税制に何ら着手する姿勢を見せませんでした。

若い人たちへのアピール―「気候危機を止めるため行動に立ち上がろう」

 討論の最後に、前回2017年の衆院選で10代から30代までの投票率が低くなったことが取り上げられ、有働氏は各党首に「この人たちが選挙に行った方がいいと思えるアピールを」と問いかけ。志位氏は次のように述べました。

 志位 気候危機が非常事態です。これをこのままにしたら、若いみなさんの未来が奪われてしまいます。これを止めるために、世界中で若者が立ち上がっています。日本でも、どうか行動に立ち上がってほしい。投票に行ってほしいと訴えたいと思います。