志位和夫 日本共産党

力をあわせて一緒に政治を変えましょう

TV発言

2021年10月16日(土)

テレビ朝日「報道ステーション」党首討論

志位委員長の発言


 日本共産党の志位和夫委員長は14日夜、テレビ朝日番組「報道ステーション」に出演し、総選挙での争点や立憲民主党との政権協力の合意、経済・財政問題などについて各党党首と討論しました。司会進行は大越健介キャスター。

政権交代を実現し、国民の声が生きる新しい政権を

 冒頭、各党首が総選挙に向け最も訴えたいことをフリップに書き説明。志位氏は次のように発言しました。

 志位 「政権交代を実現し、国民の声が生きる新しい政権を」。こういう選挙にしていきたいと思っています。

 岸田新政権が発足して、代表質問で政治姿勢についてただしましたけれど、率直に言って、これまでの政治に対する反省の言葉が一言もなかった。森友疑惑など国政私物化疑惑についても、コロナで医療崩壊を起こして多くの方々の命を損なったことについても、それから「アベノミクス」によって、格差と貧困を広げたことについても反省がなかった。

 反省がないということは、これまでの安倍・菅政治が表紙だけを替えて続くことになります。

 ですから、いま日本の政治を変えようとすれば、自公政治そのものを終わらせる政権交代が必要だと(思います)。

 そのためにも日本共産党を躍進させていただきたい。ブレずに、誠実に、野党共闘を進めてきた日本共産党を躍進させていただきたい。これを訴えてたたかいたい。

立民との政権協力――共通政策を実行する閣外協力で

 「衆議院選挙は政権の枠組みを決めていく選挙でもある」と強調した大越氏は、立憲民主党の枝野幸男代表に「与党に対して野党ができるだけまとまってたたかっていこうと打ち出した。進みましたか」と質問。立民と日本共産党の共闘についてやりとりがありました。

 枝野 いま220ぐらいの小選挙区は事実上、自公との一騎打ちの構造ができたというふうに思っております。したがっていまの現行制度を前提とする場合での、最大野党としての役割を果たすことができたし、政権の選択肢を示すことができた。これに他の野党のみなさんのご協力をいただいていることには感謝申し上げたい。

 大越 そこで共産党の志位さんは先ほど、「政権交代」とおっしゃいました。立憲民主党などと協定、政策合意をして政権を取りに行くという立場になりましたよね。具体的に野党政権ができたらどうやって協力するんですか。

 志位 私たちとしては、新しい政権ができた場合は、閣外からの協力を行うと。

 大越 内閣の外?

 志位 外。限定的な課題でやっていくと。この限定的な課題でという言い方をしているのは、市民連合と私たち4野党が合意した共通政策を実行すると(いうことです)。これ(共通政策に)は20項目ありまして、平和の問題、暮らしの問題、ジェンダー平等、あるいは民主主義、これまで続いてきた自公の政治をチェンジしていく要になる大事な合意をしています。この問題について、しっかり新政権をサポートしていこうという協力になります。

 大越 共産党としてはかなり思い切った方針と言えますか。

 志位 はい、そうです。私たちは、閣外協力、しかも閣外協力の中でも、いま言った大事な問題にしぼっての閣外協力ということで枝野さんと合意しました。これは非常に大事なステップで、このもとで選挙協力についても、いまお話があったように200を超えるところで、事実上の一本化ができましたので、ぜひ力を合わせていい結果を出したいと思っています。

コロナ禍の暮らし・営業――「暮らし応援給付金」、最賃1500円、消費税減税

 コロナ禍での暮らし、雇用、医療体制をどう支援していくかが議論のテーマになりました。岸田文雄首相(自民党総裁)、公明党の山口那津男代表は自らの政権で招いたコロナ対策の大失政の反省はまったくなく、「コロナ禍で国民に協力していただくためにしっかり経済対策をつくっていきたい」などと発言しました。立民・枝野氏は、持続化給付金、家賃支援給付金の再支給などを野党が提案してきたのに「自民党の審議拒否にあって国会で審議をしていただけなかった」と批判。志位氏は次のように述べました。

 志位 私たちとしては、いまお話があった持続化給付金、家賃支援給付金の第2弾の支給を強く求めてきたんですけども、ずっとそれが先送りされている。これはぜひ支給して、コロナ収束まで継続的な支給が必要です。

 それから(日本共産党は)、コロナで家計収入が減った方々を対象に、広く中間層までを対象にして、1人基本10万円の給付金として「暮らし応援給付金」を提案しています。中間層も含めて、ボーナス、賃金が減っています。コロナで本当に暮らしが傷んでいますから。そういう方々にそういう支援が必要だと。

 そして抜本策としては、中小企業の支援をしっかりやりながら、最低賃金を時給1500円に引き上げる。あるいは富裕層・大企業への課税をしっかりやりながら、消費税を5%に下げる。こういう抜本策はしっかりやっていく。

「成長と分配」――「分配」のゆがみをただすことが一番大事

 経済政策で「成長と分配の好循環」と繰り返す岸田首相は、「ぜひ成長を実現したうえで分配」と“成長”の側面を強調。これに関し日本維新の会の松井一郎代表は「成長のためには規制緩和を」と発言しました。大越氏は志位氏に「規制を撤廃していくという話では、基本的なスタンスとしてはあまり共産党からはそんな声を聞いたことはありません。具体的な考え方はありますか」と質問。志位氏は次のように答えました。

 志位 規制緩和ということで、たとえば労働法制の規制緩和をやってきた。その結果、派遣、パート、アルバイト、非正規の働き方をさせられている方が若者では半分ですよ。女性も半分。全体の4割です。こういう労働、働き方の劣化というものをつくっているわけですね。

 いま「分配」と「成長」という話が出てきたので、一言いいたいんだけれども、問題は「分配」の中身がゆがんでいる、ここにあると思うんですよ。つまり、この9年間で日本の大富豪の資産というのは6兆円から24兆円に4倍になった。ところが働く人の実質賃金は22万円減った。大企業や富裕層が「分配」を独り占めしてしまって、庶民のところに「分配」が回っていない。このゆがみが問題です。このゆがんだままでは成長もできない。これがいまの実態だと思うんですね。

 では、どうやってゆがみをただすかといったら、いろいろな方法があるけれども、やっぱり税は一つの大事な方法ですよね。富裕層や大企業からきちんと税金をとって、消費税を減税する。これは再分配になりますよね。ところが、せっかく「金融課税の強化」ということで総理はおっしゃったんだけど、総理になったとたんにトーンダウンしてしまった。そういうことをやらないというのであれば、これは分配のゆがみをただすことになりませんね。これをただすことが一番大事だと思います。

 立民・枝野氏も「負担能力のあるところに負担をしていただく。これがむしろ出発点」と指摘しました。

「10年後の日本」――新自由主義をほんとうに終わりにし命と暮らし最優先の政治へ

 番組では事前に各党党首に「10年後どんな日本にしたいか」と質問。志位氏は「誰もが希望を持ち 自分らしく生きられる社会」と回答。その内容について次のように発言しました。

 志位 私たちは、弱肉強食の新自由主義はほんとうに終わりにして、国民の命と暮らしを最優先にする、そういう政治をつくりたい。

 やはりなぜこんなひどい医療崩壊が起こったかといいますと、40年来、医療・公衆衛生の切り捨てをやってきた。たとえば感染症のベッド、保健所を半分にしてしまった。ですから、ここを拡充に切り替える。お医者さんの数も増員に切り替える。こういうことをやっていきたい。

 そして、この間の新自由主義の結果、働き方がとても壊されてしまっている。約5割の若者と女性が非正規で働いている。ですから、非正規社員から正社員への流れをしっかりつくっていく。こうして新自由主義からほんとうに決別して、命と暮らしを大事にする政治をつくっていきたい。

 そういうなかで、気候危機を打開する。ジェンダー平等、この二つの大問題をしっかり位置づけていきたいと思います。