2021年8月27日(金)
党創立99周年記念講演会 記者座談会
志位委員長の「パンデミックと日本共産党の真価」を読む(中)
綱領の核心をズバリ押し出す
日本の政治のゆがみの根本にメスを入れる変革の党
A 第二の角度は「日本の政治のゆがみの根本にメスを入れる変革の党」だ。綱領の核心をズバリ押し出す内容だ。
B 昨年の記念講演でも、新型コロナのパンデミックのもとでの新自由主義の破綻を明らかにしたが、その後世界では破綻を直視し転換をはかろうとする動きも始まった。
「最低賃金15ドル」まるで党の主張
C 転換の動きの一つにバイデン米大統領が4月に行った施政方針演説を紹介している。「最低賃金15ドル(1650円)」「週40時間働いても、貧困ライン以下の生活を送る人はいないように」「米財界や1%の富裕層に公平な負担を」「トリクルダウン経済は機能しなかった」。まるで日本共産党の主張だ。
D 法人税の引き下げ競争にストップをかけようという動きがアメリカから起こり、世界に広がっている点も興味深い。
B この世界の動きと対比したとき、日本の「ルールなき資本主義」の異常さは明らかだ。日本経団連も資本主義の「行き詰まり」をいうが、実際はいっそうの新自由主義のオンパレード。その財界いいなりの菅政権は医療破壊法を連発するなど、いっそうの暴走だ。
C 「世界の動きは日本共産党がめざす経済の民主的改革の方向にこそ未来がある」という志位さんの指摘は説得力あるね。
いいなりただす二重のとりくみ
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D 「異常なアメリカいいなり」をただす点では、「二重のとりくみ」の指摘が新鮮だね。
A 米軍の低空飛行や辺野古新基地建設をやめさせるなどの緊急の課題では日米安保条約の賛否を超えて、広く協力する。一方で、日米安保条約を廃棄し、本当の独立国といえる日本をつくるために多数派をつくる―これが「二重のとりくみ」だね。
B この「二重のとりくみ」をやってこそ、「異常なアメリカいいなり」をただすことができるという志位さんの指摘は重要だ。辺野古新基地をやめさせようとすれば、“安保条約絶対派”―安保の現状には指一本触れさせないという勢力の抵抗・妨害を打ち破らないといけない。そのためには、日米安保条約は有害無益だと堂々と主張することが一番の力になるからね。
世界の本流に働きかけ、逆流とたたかう党
A 世界史の大きな流れをどうみるか、深刻の度を増す米中対立についてどうすればいいのか、などが語られたのが第三の角度「世界の本流に働きかけ、逆流とたたかう党」だね。
核兵器を違法化「ある種の革命」
B 核兵器を違法化する核兵器禁止条約が今年1月に発効した時は本当に感慨深かった。講演では、この条約についてオーストリアのハイノッチ大使が「ある種の革命」だったと強調したと紹介された。印象深い言葉だった。
C 昨年の党大会で日本共産党は、植民地体制が崩壊し、多くの独立国が生まれたことが20世紀に起こった「世界の構造変化」で、これが21世紀の今日、平和と社会進歩を促進する「生きた力を発揮しはじめている」との見方を示した。核兵器をめぐる交渉は長らく米ソなど核兵器保有大国が中心だった。その主役が、世界の多数の国ぐにと市民社会に交代したんだね。ハイノッチ大使も「核武装国から、核軍縮の独占権を奪うものとなった」のが禁止条約だといっている。
D その本流をさらに促進するために働きかけてきたのが日本共産党だということに改めて確信をもったよ。
もう一つの変化過去を問う動き
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A 構造変化のもう一つの例として、植民地主義や奴隷貿易の過去を問う動きがドイツ、メキシコ、オランダと相次いでいることが取り上げられた。
B 昨年の講演でも、米国の黒人差別に抗議する「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大事だ)」の運動が影響を与え、植民地主義や奴隷制度を見直す動きが起きていることに触れられたね。
C 出発点は、2001年に南アフリカで開かれた「ダーバン会議」だ。植民地支配と奴隷貿易はいつの時代でも断罪されなければならないとした「宣言」を出した。その動きが昨年以降、一気に加速している感じだね。
B 菅自公政権はいまだに過去の侵略戦争や植民地支配を美化・正当化しているが、世界の流れに逆行して、恥ずかしい限りだ。
D 講演で日本軍「慰安婦」について「植民地支配と一体に進められた戦時性暴力」と喝破しているところも大事な点だね。
A 米中の覇権争いについて講演は「世界にとっての最重要課題の一つ」と位置づけ、解決を図るうえで、「もっとも抑制すべき道」、「もっとも推進すべき道」を示している。こういう問題の立て方は初めてだね。
B 中国の覇権主義的行動や人権侵害は目に余るが、これをやめさせるためにどうするかという点で、能動的に働きかける日本共産党らしい提起だ。
平和共存の方向「推進すべき道」
C 米国やこれに追随する日本政府がやろうとしている日米同盟強化、軍事対応の強化は抑制すべき、「断固拒否しよう」と呼びかけた。そして、国際法という共通のルールにもとづく平和共存の方向を推進すべき道だと指摘した。
D これが本当に実現できるのかという疑問にたいしても、東南アジア諸国連合(ASEAN)の実践を紹介して、「意思さえあれば実現は十分に可能」としている。危機にたいして軍事的対応ばかり強調する傾向が日本では根強いが、真っ向から別の道を堂々と示しているね。
A 中国に対しては、排他的ではなく、中国も包み込む形の地域的な平和秩序をつくる「包括的アプローチ」が大事だという点も新しい提起だ。
B 中国の横暴はひどいが、それを正すために軍事的な包囲網をつくるような「排他的アプローチ」をとったら、新しい「冷戦体制」になりかねないからね。
C 有権者と話していて「中国に対してどうするのか」という疑問が出されることが少なくない。そういう疑問にも正面から答えられるね。(つづく)