2021年6月10日(木)
あらゆる力をコロナ収束に
党首討論 志位委員長の発言
日本共産党の志位和夫委員長と菅義偉首相が9日におこなった党首討論でのやりとりは次の通りです。
志位 五輪開催で、三つの点で人の流 れが増える―競技会場、イベント、都会から地方への移動
|
志位 総理はオリンピック・パラリンピックについて、「国民の命と健康を守るのは私の責任だ。守れなければ(オリンピックを)やらないのは当然だ」と答弁されました。そこで聞きます。
政府の分科会の尾身会長は、国会答弁で、たとえオリンピックの競技会場の中での感染拡大が抑えられたとしても、オリンピックを開催することで、国内で次の三つの点で人の流れが増えてしまうということを指摘しています。
第一は、全国からオリンピックの競技会場に観客が移動するということです。緊急事態宣言レベルの制限を行っても、観客数はのべ310万人になるとの試算もあります。
第二は、競技会場の外で行うさまざまなイベントに観客が集まるということです。政府の発表によれば、組織委員会などが主催する「ライブサイト」が19自治体、30会場で計画されています。全国の自治体が主催する「コミュニティ・ライブサイト」が145自治体、227会場で計画されています。それに加えて、団体・組織が主催するパブリックビューイングが無数に開催されます。ここでも大規模な人の流れが起こることは必至であります。
そして第三は、夏の4連休やお盆で、感染を避けようと、都会から地方への人の流れが起こるということです。こうした人の流れで感染が地方で急拡大したということを、私たちは何度も体験していますが、こうした事態が大規模に起こることになります。
志位 尾身会長は、“リスクをゼロにはできない”と言っている。新たな感染拡大が起これば、亡くなる人が増える。そうまでして開催しなければならない理由は何か
首相 理由を示せず
志位 尾身会長は、一昨日の国会答弁で、こう述べました。「オリンピックを開催すれば、今より感染リスクが高くなるのはどう考えても普通だ。開催するというならリスクを最小限にすることが必要だが、ゼロにはできない」
リスクをゼロにはできないということは、オリンピックを開催することで、新たな感染拡大の波が起こる危険があるということです。新たな感染拡大が起これば、それに伴って重症者が増える。そして亡くなる方も増えるんです。
そこで総理に聞きます。そうまでしてオリンピックを開催しなければならない理由は一体何なんでしょうか。私は、国民に長期間の我慢を強いながら、オリンピックを開催することで、新たに亡くなる方が増えるなどということはあってはならないし、そういうオリンピックは開催する意義はないと考えますが、総理は、そうまでしてオリンピックを開催しなければならない理由をどう説明されますか。端的にお答えください。そうまでして開催しなければならない理由です。
菅 尾身先生のお話がありました。尾身先生については分科会の担当の西村大臣、毎日のように緊密に意見交換しており、私も報告を受けております。当然、尾身先生のご意見も参考にして感染対策の詰めというのは、これは行っていく、こういうことになるだろうというふうに思います。いま志位委員長が前提で言われてたことをすべて行うかどうかもまだ決まってないんじゃないでしょうか。
志位 私が聞いたことに答えていない。私が聞いたのは、いま命をリスクにさらしてまでオリンピックを開催しなければならない理由ですよ。感染対策いくらやっても、リスクを下げることはできるかもしれないけれども、ゼロにはできないんです。理由を答えてください。
菅 国民の命と安全を守るのは私の責務ですから、そうでなければできないということを私申し上げてるんじゃないですか。守るのが私の責任であります。守れなくなったらやらないのは、これ当然だと思いますよ。それが前提だということを私、先般申し上げました。
志位 日本国民の命をギャンブルにかけることは絶対にやるべきではない。五輪中止を決断し、コロナ収束に集中を
志位 私は、いまのままやったら明らかにリスクが増えると。これはもう専門家からも明らかになっている。そのときなぜ、そういう状況のもとで、まだオリンピックをやめると言ってないでしょう。それをなぜ、開催するのかの理由を聞いたけど、お答えがない。
埼玉県の大野知事は県内2カ所で予定していたパブリックビューイングの中止を発表しました。「感動の共有」、そして「感染リスク」。これを比較して、中止を判断したわけですけれど、これが当たり前だと思いますよ。
国民の命よりも大事なものはないんです。日本国民の命を、私は、ギャンブルにかけるようなことは、絶対にやるべきじゃない。オリンピック・パラリンピックは中止して、そして、あらゆる力をコロナ収束に集中させるべきだということを求めて終わります。