志位和夫 日本共産党

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2021年4月17日(土)

中国問題

国際法に基づく冷静な批判こそ重要

『文芸春秋』志位氏インタビューに反響


 『文芸春秋』5月号(4月9日発売)が掲載した「日本共産党委員長 中国共産党を批判する」と題する志位和夫委員長のインタビュー記事が大きな反響を呼んでいます。

 同誌は、中国による沖縄・尖閣諸島周辺での領海侵犯や、中国海警局に武器使用権限を与えた海警法施行に、日本共産党が断固抗議していることに保守派からも賛同の声が上がっているとして、「同じ『共産党』の名を掲げながら、なぜ中国共産党を批判するのか? 中国政府の弱点はどこにあるのか?」と問題提起。志位氏がこれに答え、縦横に語っています。

 志位氏は、中国問題への対応で何よりも重視しているのが国際法に基づく批判だとして「これはわが党が中国共産党と長年にわたってむきあう中から体験的に導き出した方法論でもあります」と強調。海警法については、国連海洋法条約をはじめとした国際法に明白に違反していることを理詰めで徹底的に批判し、国際社会に発信することが重要だと提起しています。

半世紀以上の歴史と体験を踏まえて

 志位氏は、日本共産党が昨年1月の第28回党大会で行った綱領一部改定で、中国について「社会主義を目指す新しい探究が開始され」ている国との規定を削除したことについて、「これは半世紀以上の歴史と体験を踏まえた重い決定で、一朝一夕の判断ではありません」と述べ、歴史的経緯を語りました。

 チベットでの騒乱の拡大と制圧行動(2008年)に続いて、著作家・劉暁波氏がノーベル平和賞を受賞した際に中国政府が強く抗議(10年)し、中国の人権問題に国際的注目が集まったさいに、日本共産党が、中国政府自身が賛成した人権保障の国際的な取り決め(世界人権宣言、国際人権規約、ウィーン宣言)を具体的に挙げ、「中国がこれらの国際的到達点に立ち、人権と自由の問題に対して国際社会の理解と信頼を高める対応を取ることを強く望む」という党の公式の表明を行ったと紹介。人権問題について中国側が必ず「内政干渉」と反論してくるからこそ、「これは内政問題ではなく、国際問題だ」という理論を構築し、中国側に提起したと説明しました。

 尖閣問題でも、日本共産党が10年に歴史文献も総ざらいして検討し、日本の尖閣領有は歴史的にも国際法上も正当なものだという詳細な見解を発表し、中国に「冷静な言動や対応を行うこと」を求めてきたと紹介しました。

 そのうえで、16年のアジア政党国際会議総会で、中国共産党代表団が、核兵器禁止条約の国際交渉に反対して覇権主義的なふるまいをした経過もへて、綱領で中国の記述を改定したと述べました。

大国主義・覇権主義の伝統、民主主義の歴史的弱点

 志位氏は、中国に伝統的にあった大国主義・覇権主義の弱点が表面化し、噴き出しつつあるとの見立てを述べ、かつて中国指導部がその弱点を自戒していたと指摘。「人民日報」編集部の論文(1956年発表)で「大国主義の傾向は、努力して防がないなら重大な危険となるだろう」との自戒の言葉を述べていたが、大国主義・覇権主義が文字通り「重大な危険」となっていると告発しました。

 民主主義の弱点についても、「文化大革命」を総括した中央委員会の決定文書(81年)で「封建的専制主義の思想・政治面における害毒は、簡単に一掃しうるものではなかった」と反省を記していたことを紹介。ただ、革命後も民主主義を制度化する努力がされなかったことが今日のさまざまな人権抑圧へとつながっていると指摘しました。

 中国の覇権主義と人権侵害の行動は「社会主義」とは無縁のものであり「共産党」の名に値しないと述べた志位氏は、中国の覇権主義や人権侵害を厳しく批判するが、中国の「脅威」を利用して軍事力増強をはかる動きには断固反対すると表明。軍事的対応の強化は、「中国の思う壺(つぼ)」であり、「際限のない軍拡競争を引き起こす非常に危険な道だ」と警告しています。

「国連憲章と国際法を守れ」という国際世論で包囲していく

 そのうえで、台頭する中国に国際社会がどう向きあうかについて、国際法に基づいた冷静な理論によって問題点を明らかにされることが中国の政権党にとって一番痛いと指摘し、「国際法に基づいてその誤りを説いて明らかにし、『国連憲章と国際法を守れ』という国際世論で包囲していくことが最も効果的だ」と提起しています。

 また志位氏は、米国政府も中国の覇権主義的行動や人権問題に対し、国際法に基づく批判ができないでいると強調。海警法に関して米政府高官が「領土海洋紛争をエスカレートさせる」などと批判はするものの、国際法違反と断じることは避けていること、米国自身が国連海洋法条約に署名していないことを指摘。「だいたいアメリカは世界最大の覇権主義国であり、中国を覇権主義と批判すると自分にはね返ってくることになる。だから本質的批判ができない」と喝破しました。

 人権問題でも、米国務省が発表している各国の人権問題に関する報告書は、最新版で中国の人権問題について145ページもさいているが国際法との関係を論じた部分は存在しないと指摘。「米国の外交政策目的に適合する場合にしか国連の人権システムに従わないことが米国政府の立場だが、これでは中国の人権問題への本質的批判はできない」と断じています。

社会主義・共産主義への見晴らしがよくなった

 最後に志位氏は、綱領見直しが、中国に向き合う確固たる土台を築いただけでなく「社会主義・共産主義への見晴らしがよくなった」と手ごたえを述べ、「資本主義の発達の中で生産力が発展し、人間の個性も発展する、これらを受け継いで新しい社会をつくっていく」との展望を語っています。