2020年12月16日(水)
日本共産党第2回中央委員会総会
新しい日本をつくる五つの提案
第2回中央委員会総会で志位和夫委員長が提起した「新しい日本をつくる五つの提案」は次の通りです。
提案1 新自由主義から転換し、格差をただし、暮らし・家計応援第一の政治をつくる
第一の提案は、新自由主義から転換し、格差をただし、暮らし・家計応援第一の政治をつくることです。
新型コロナ危機をつうじて、新自由主義の破綻が、世界でも日本でも明瞭になりました。この路線を根本から転換することは急務となっています。
●ケアに手厚い社会をつくります。政府の責任で、医療・介護・障害福祉・保育など、ケア労働に携わる人々の待遇の抜本改善をはかります。公立・公的病院の統廃合、75歳以上の医療費値上げなど窓口負担増、年金削減など、社会保障削減政策を中止し、拡充への抜本的な転換をはかります。
●人間らしい雇用のルールをつくります。コロナ危機で最も深刻な打撃を受けているのは、非正規雇用労働者、フリーランスの人々、とりわけ女性と若者です。労働法制の規制緩和路線を抜本的に転換し、最低賃金を時給1500円に引き上げ、8時間働けばふつうに暮らせる社会をつくります。
●疲弊した地方経済の立て直しの柱に中小企業と農林水産業の振興を位置づけます。コロナに乗じて中小企業を「淘汰(とうた)」する暴政をやめさせ、中小企業を日本経済の根幹に位置づけ振興をはかります。農林水産業を基幹的な生産部門と位置づけ、歯止めない自由化路線を見直し、所得・価格保障によって自給率を50%を目標に引き上げます。
●コロナのもと、多くの学生の陥っている深刻な困窮は、政治の恥ずべき責任です。大学等の学費を半減し、本格的な給付奨学金を創設します。
●消費税を緊急に5%に減税し、経営の苦しい中小企業に対して2019年度・20年度分の納税を免除します。コロナ禍のもと空前の資産を増やしている富裕層、大企業に応分の負担を求める税制改革を行います。
●被災した住宅への支援金を500万円に引き上げるなど、被災者の生活再建を復興の柱にすえるとともに、災害に強いまちづくりを進めます。
提案2 憲法を守り、立憲主義・民主主義・平和主義を回復する
第二の提案は、憲法を守り、立憲主義・民主主義・平和主義を回復することです。
安倍・菅政権によって破壊された立憲主義を再建し、負の遺産を一掃することは、新しい政治がまっさきに取り組むべき課題です。
●安保法制、秘密保護法、共謀罪など、安倍・菅政権による憲法違反の立法を廃止します。集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回します。
●「森友問題」「加計問題」「桜を見る会」の問題など、一連の国政私物化疑惑を徹底的に究明します。内閣人事局を廃止し、日本学術会議の任命拒否を撤回し、「忖度(そんたく)」を生み出す強権政治の根を断ち、透明性ある公正な政治を築きます。
●自民党が進める憲法9条改定に反対し、国民投票法改定案(自民・公明・維新案)を廃案に追い込み、改憲発議を許しません。
提案3 覇権主義への従属・屈従外交から抜け出し、自主・自立の平和外交に転換する
第三の提案は、覇権主義への従属・屈従外交から抜け出し、自主・自立の平和外交に転換することです。
●沖縄県民の民意に背く辺野古新基地建設を中止し、普天間基地の無条件返還を求めます。日米地位協定の抜本的改正に取り組みます。
●米軍への「思いやり予算」を廃止し、米国製の高額武器の「爆買い」、「イージス・アショア」代替案、「敵基地攻撃」能力保有のための武器購入など、大軍拡の危険と浪費にメスを入れます。
●核兵器禁止条約に署名・批准し、唯一の戦争被爆国の政府として「核兵器のない世界」の実現に向け先駆的役割を果たします。
●中国による覇権主義・人権侵害にきっぱり反対し、国連憲章と国際法を順守させる立場で毅然(きぜん)とした外交的対応を行います。
提案4 地球規模の環境破壊を止め、自然と共生する経済社会をつくる
第四の提案は、地球規模の環境破壊を止め、自然と共生する経済社会をつくることです。
気候変動問題でも、感染症のパンデミックの問題でも、地球規模での環境破壊を止めることは、人類の生存にとって急務となっています。
●2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにします。大型石炭火力の建設計画を中止し、既存施設の計画的停止・廃止を実施します。2030年度までに電力の4割以上を再生可能エネルギーでまかない、温室効果ガスの排出を1990年比で40~50%削減する計画を策定・実施します。コロナ危機からの経済社会の回復は、グリーン・リカバリー(環境に配慮した回復)の立場で取り組みます。
●原発の再稼働を中止し、「原発ゼロの日本」を実現します。破たんした核燃料サイクルから撤退します。
●次のパンデミックを防ぐうえで、健全な環境、人間の健康、動物の健康を、一つの健康と考える「ワンヘルス」アプローチが国際的な急務となっています。感染症を拡散する恐れのある野生生物の取引と消費の抑制、森林破壊の防止と土地利用の転換の抑制、自然との調和を欠いた農業や畜産から持続可能な食糧生産への転換などを推進します。
提案5 ジェンダー平等社会の実現、多様性を大切にし、個人の尊厳を尊重する政治を
第五の提案は、ジェンダー平等社会を実現し、多様性を大切にし、個人の尊厳を尊重する政治を築くことです。
●新型コロナ危機のもと、「ジェンダー平等後進国・日本」の矛盾が噴き出しています。多くの女性が職を失い、家事・育児負担の増大、DVなどさまざまな困難に直面し、女性の自殺が増えていることは、きわめて重大です。あらゆる問題に対してジェンダーの視点を貫くとともに、ジェンダー平等社会をめざして以下の課題に取り組みます。
・雇用におけるジェンダー差別をなくします。
・民法を改正し、選択的夫婦別姓制度を実現し、同性婚を認めます。戦前の「家父長制」を引き継いだ「世帯主」の制度を廃止します。
・性暴力根絶をめざし、強制性交等罪の「暴行・脅迫要件」を撤廃し、同意要件を新設するなどの法改正を行います。リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康・権利)を保障する施策を進めます。
・「2030年までに男女半々」をめざし、政治分野など政策・意思決定の場におけるジェンダー平等を推進します。
●外国人労働者への差別をなくし、労働者としての権利を保障します。難民認定制度、入国管理法の抜本改正を行い、人権を蹂躙(じゅうりん)する非人道的な収容をやめます。
●少人数学級の速やかな実現をはかります。子どもたち一人ひとりの多様性を大切にし、一人ひとりを尊重する教育を保障するために、少人数学級は重要な一歩となります。それは過度な競争と管理という教育のあり方を見直すことにもつながる意義をもつものです。
●国費を数千億円単位で投入して「文化・芸術復興基金」を緊急に設立するとともに、国の文化予算の大幅増額をはかり、文化・芸術を人間が生きていくうえで必要不可欠な糧として守り育てる国をつくります。