志位和夫 日本共産党

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談話・記者会見

2020年3月13日(金)

国民生活の緊急防衛、家計・中小企業への強力な支援を

志位和夫


 日本共産党の志位和夫委員長が12日の記者会見で発表した緊急経済提言は以下の通りです。


 日本経済はいま、消費税大増税による打撃に、新型コロナウイルス感染症による打撃が加わって、深刻な大不況に陥りつつある。

 昨年10~12月期のGDP(国内総生産)は、マイナス7・1%となったが、これは新型コロナの影響が出る前の数値であり、今年に入ってからの景気悪化はさらに深刻な落ち込みを示していることは、各種の指標からも明らかである。

 さらに、重大なことは、新型コロナの打撃が世界各国に及び、世界経済が重大な危機に直面していることである。それもリーマン・ショックの時などと違い、金融面だけでなく、実体経済そのものの深刻な後退の危機が起こっていることである。

 こうしたもとで、感染拡大防止によって国民の命と健康を守ることに最大の力をそそぎつつ、現下の経済危機からどうやって国民生活を防衛していくか、政治の責任が厳しく問われている。

 日本共産党は、政府が次の二つの基本姿勢に立って大胆な経済政策をとることを、強く求める。

 1、新型コロナの影響から緊急に国民生活を防衛するあらゆる手だてをとる。

 2、外需依存がいよいよできなくなるもと、内需・家計・中小企業支援に力を集中する。

(1)新型コロナの影響から緊急に国民生活を防衛する

●中小企業をはじめとする企業倒産とリストラ・失業の連鎖を起こさないことを経済政策の大きな目標に据える。

 ――中小企業への無担保・無利子の融資を、当面、リーマン・ショックの時なみの20兆円の枠を確保する。政府の無担保・無利子融資は5000億円であまりに小さい。

 ――雇用調整助成金は最大10分の10の補助にする。現在の助成率は北海道だけ5分の4、あとは平時の3分の2だが、「10分の10」にすべきである。その財源は積立金が十二分にある(1兆4000億円)。

 ――新型コロナを口実にしたリストラ、首切り、内定取り消しなどを行わないよう、指導すること。

●フリーランスをはじめ雇用保険の対象にならずに働いている人への所得補償制度を緊急につくる。

 ――政府の対策は「休校によって仕事に行けなくなった人」だけが対象で、1日4100円にすぎない。対象と額を抜本的に拡大し、フリーランスなどへの休業の所得補償制度を緊急につくる。

●休校要請、イベント自粛要請など、政府の要請にともなって仕事や収入を奪われた人や事業者には、国の責任でそれを補償することを、大原則にすえ実行する。

 ――イベント中止要請が、演劇、芸能、音楽などにもたらした実害は、文化の公共性も重視し、全面的に補償する。

(2)内需・家計・中小企業支援に力を集中する

 これまでのような外需頼みの経済政策は、世界経済全体で実体経済の後退が起こっているもとで、いよいよ成り立たなくなっている。こうしたもと、内需、とりわけ家計と中小企業支援に思い切って力を集中した経済政策が必要である。

●消費税5%への緊急減税を本格的に検討し、実行することを強く求める。

 ――「景気対策のために減税、反対するつもりはない」(麻生財務相)という声が、政府部内からも出ている。現下の大不況の原因をつくったのは消費税増税であり、これを緊急に5%に減税することは、消費を下支えし、国民の所得を増やし、低所得者と中間層への力強い支援策となる。政府が、この経済危機に立ち向かう強い姿勢を示すうえでも、最も有効な対策である。

●国保料をはじめ社会保険料の緊急減免、納税の緊急猶予などの措置をとる。

 ――仕事がなくなり、所得が急減している自営業者やフリーランスへの支援として、災害時に行っているような国保料の緊急減免を行う。自治体の判断で実施し、財源は国が保障する。

 ――中小企業の社会保険料も、同様の考え方で、緊急減免を行う。

 ――社会保険料や所得税・消費税の納税の猶予、延滞料金の減免を行う。

●大企業の内部留保を働く人の賃金、中小企業への単価の引き上げに活用する。

 ――労働界から、「大企業は、将来の危機を理由に、内部留保を積み上げてきた。今回のコロナ拡大という危機にその内部留保を活用すべきだ」(連合会長)などの声が出ているが、当然の声である。

 460兆円にのぼる内部留保をもつ大企業が、コロナ危機を理由に、賃下げ・リストラ・中小企業切り捨てなどを行うことは許されない。巨額の内部留保を、働く人の賃上げ、中小企業への単価の引き上げなどに活用し、庶民の暮らしと営業を守る社会的責任を果たすよう、政府として強く要請を行うことを求める。

(3)「予備費の枠内」でなく、来年度予算の抜本修正によって財源を確保する

 安倍政権が10日に発表した第2次緊急対策は、「予備費の枠内」という大前提でつくられているために、規模があまりに小さく、対応があまりに狭いということに最大の問題がある。

 「予備費の枠内」というのは、まったく合理性がない。予算編成後に起きた緊急事態に対応するのは当然であり、無修正での成立にこだわる理由はどこにもない。

 4月になって、予算案成立後に、補正予算をつくるというのは、あまりに国会を軽視したやり方である。来年度予算の抜本修正によって財源を確保する、大胆な財政的措置を緊急にとるべきである。