2020年2月12日(水)
『サンデー毎日』 志位委員長インタビュー
改定綱領・連合政権 縦横に語る
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「政局の定点観測子」としてジャーナリストの田原総一朗氏、小沢一郎衆院議員らとともに日本共産党の志位和夫委員長に注目してきた毎日新聞の倉重篤郎専門編集委員が『サンデー毎日』23日号で、新年第1号として再び志位氏にインタビューしています。
倉重氏は「定点観測子」として「立憲民主でも国民民主でもなくなぜ共産党トップなのか」として、共産党が野党共闘の推進路線に大転換し「この5年間三つの国政選挙で野党共闘の軸として存在感を高めてきた」こと、1月の28回党大会で16年ぶりに綱領を改定し、中国について社会主義をめざす国とした規定を削除し、「その大国主義、覇権主義を激しく批判した」ことに注目。「ここでもまた時代環境に対し一歩先んじようという大きな政治判断が行われた、と見られる」と述べています。
思い切った判断
インタビューでは、まず「社会主義をめざす新しい探究が開始され、(中略)二一世紀の世界史の重要な流れの一つとなろうとしている」という綱領の記述を削除したことについてやりとりに。志位氏は、この間、中国による覇権主義や人権侵害などが深刻化したと指摘し、「社会主義とは無縁な行動であり、中国を社会主義を目指す国だと判断する根拠はもはやなくなった」と指摘。「経済規模で米国に並ぼうとしているもう一つの大国・中国で、深刻な大国主義、覇権主義、人権侵害の問題点が噴出しており、世界にとって看過しがたいと考え綱領上明確にした」と述べています。
そのうえで「日本共産党に対する誤解や偏見をなくすことにつながるし、野党共闘にもプラスになる」と強調。「野党の皆さんの評価は?」との問いに、「野党の党首懇親会で概略をお見せしたら『これはいい』と言う声も出た」と答えました。
倉重氏が「結構思い切った判断だ」と述べると、志位氏は「変えて良かった。中国が『社会主義』となると、『中国に比べると欧米の方がまし』ともなり、資本主義の矛盾も社会主義の本来の良さもよく見えてこない」ときっぱり。
「もう半歩」決意
市民と野党の共闘の5年について「どう総括する?」と尋ねられた志位氏は「3回の国政選挙を戦い、参院選1人区では16年に11議席、19年に10議席獲得、改憲勢力を3分の2割れに追い込んだ。これがなければ今ごろ改憲強行という流れになっていたかもしれない」と強調。倉重氏は「選挙協力では実績ありだ」と認めます。
倉重氏が「昨年8月、あなたが話し合いスタートを呼びかけた」と水を向けると、志位氏は、立憲民主党、国民民主党、社会民主党、れいわ新選組の4党党首と会談し、「安倍政権を倒し、政権を代え、立憲主義を取り戻す」という「合意」に至ったことを紹介。「ただ、共産党と政権を共にするという合意には至っていない。政権を一緒に作るという政治的意志の確認が大切だ」と述べ、「この半年で半歩進んだが、もう半歩進めたい」と決意を語りました。
「次の半歩」の一つに7月5日に投票が予想される東京都知事選をあげ、「(不戦敗は)絶対にしない」と明言し、「これできちんとした共闘をやって成果を得られれば、半歩どころか情勢が急変する。勝てば安倍政権はそこで終わる」と指摘しました。
このほか、日米安保改定での「共産党ならではのイニシアチブ」や、志位氏が元自民党竹下派の小沢一郎、中村喜四郎両衆院議員と共闘を通じて交流を深めている「不思議な構図」も話題に。
倉重氏は最後に、当面の最大の政治決戦は東京都知事選になると指摘し、「志位氏の野党共闘束ね役としての真価が、また問われる場面になる」と結んでいます。