志位和夫 日本共産党

力をあわせて一緒に政治を変えましょう

演説・あいさつ

2020年1月5日(日)

安倍政権を「終わり」にし野党連合政権に道開く年に

党旗びらき 志位委員長のあいさつ


 日本共産党の志位和夫委員長が4日、党本部で開かれた2020年党旗びらきで行ったあいさつは次の通りです。


写真

(写真)あいさつする志位和夫委員長=4日、党本部

 2020年、あけましておめでとうございます(「おめでとうございます」の声)。インターネット中継をご覧の全国のみなさんにも、今年がみなさんお一人お一人にとってよい年になることを願って、心からのあいさつを送ります。(拍手)

トランプ米政権による国連憲章を無視した軍事的挑発行為を厳しく非難する

 昨日、トランプ米大統領の指示により、米軍が、イラクのバグダッド空港で、イラン革命防衛隊幹部を空爆によって殺害するという事態が引き起こされました。

 日本共産党は、トランプ政権による国連憲章を無視した先制攻撃――軍事的挑発行為を厳しく非難します。緊張の激化とエスカレーションを深く懸念し、すべての関係者に自制を求めます。トランプ政権に対し、軍事的挑発をただちにやめ、イラン核合意に復帰することを強く求めるものです。

「党勢拡大大運動」の到達点――目標総達成に向け力つくそう

 第28回党大会が目前に迫りました。まず報告したいのは、「第28回党大会成功をめざす党勢拡大大運動」についてであります。

 昨年12月は、全党の大奮闘で、777人の新しい党員を迎え、「大運動」の4カ月通算で新入党員は2392人となりました。私は、わが党の一員となり、新しい人生の一歩を踏み出した全国の仲間のみなさんに、心からの祝福と歓迎のメッセージを送ります。(拍手)

 昨年12月の「しんぶん赤旗」の読者の拡大は、日刊紙794人、日曜版1869人、電子版79人、あわせて2742人の前進となりました。9月、10月、11月、12月と、4カ月連続で前進をかちとり、「大運動」の通算では、日刊紙1865人、日曜版8464人、電子版317人、あわせて1万646人の増加となっています。前進に転じたことは、全国のみなさんの大奮闘のたまものであります。「しんぶん赤旗」を支え、広げていただいている全国の読者、後援会員、党員のみなさんに、心からの感謝を申し上げます。(拍手)

 全党のみなさん。歴史的党大会成功のために、「大運動」の目標総達成に向けて頑張り抜く決意を、年頭にあたってお互いに固めあおうではありませんか。(拍手)

共闘が質的に大きく前進――野党連合政権に道を開く年に

お互いに支援しあう共闘へ本格的に踏み出した――信頼の絆が広がる

 昨年・2019年は、市民と野党の共闘が質的に大きく前進した年になりました。

 一つは、この共闘が、お互いに支援しあう共闘へと、本格的に踏み出したということです。昨年の参議院選挙は、32の1人区のすべてで野党統一候補を実現するとともに、3選挙区5県で共産党候補で一本化が実現し、相互乗り入れで応援を行いました。

 この流れが、その後、埼玉と岩手での県知事選挙での勝利、そして高知の県知事選挙で共産党県委員の松本顕治さんを「オール野党」の候補者としてたたかい、全体で4割の支持、若い世代では過半数の支持を獲得する大善戦・大健闘へとつながりました。

 またこの流れは、国会共闘の画期的前進にもおよび、「桜を見る会」疑惑では、野党一体となって「追及本部」を立ち上げての追及によって、安倍首相を断崖絶壁まで追い詰めるなど、大きな力を発揮しています。

 私は、こうした共闘の質的発展のなかで、信頼の絆がさまざまな形で広がっていることを実感しています。昨年、たいへんに印象深く残っているのは、11月の参議院予算委員会で、安倍首相が、立憲民主党の杉尾秀哉議員の質疑のさいに、「共産党!」と自席でヤジを飛ばしたときの出来事であります。首相の言語道断のヤジはその場でも大問題になりましたが、精神科医の香山リカさんが、「#共産党は私だ というタグ作りたい気持ち」とツイッターに投稿し、それが大きな反響を広げていきました。社民党新潟県連合が「#共産党は仲間だ」と投稿し、これも広がっていきました。

 安倍首相がなぜ「共産党!」と言ったのかは不明でありますが、「共産党」とレッテルを貼れば異論が封じ込めるとでも考えたのでしょうか。野党を分断できるとでも考えたのでしょうか。しかし、この発言に対して、共産党員でない方々や他の野党の中から、「#共産党は私だ」「#共産党は仲間だ」という声が広がった。安倍首相による低劣で愚劣な共産党攻撃を、日本の民主主義への攻撃をとらえて、共同の力ではね返した。これは、市民と野党の共闘の中から生まれている信頼の絆の強まりを示した、胸が熱くなる出来事ではないでしょうか。

政権の問題が共闘の大きな焦点に――国民が希望をもてる政権の選択肢をともに

 いま一つは、政権の問題が、共闘の大きな焦点となったということです。

 参議院選挙の成果を踏まえて、わが党は8月8日、党創立97周年記念講演会で、野党連合政権に向けた話し合いを始めることを呼びかけました。国政選挙での3回にわたる共闘は、一定の確かな成果をあげました。しかし、ここで共闘の力を一段とバージョンアップし、国民に魅力ある力強い選択肢を示すためには、野党が政権構想を共同してつくりあげることが、どうしても必要だと考えたからです。

 その後、わが党は、立憲民主党、国民民主党、社民党、れいわ新選組と党首会談を重ねてきました。合意した内容はそれぞれですが、「安倍政権を倒し、政権を代え、立憲主義を取り戻す」という方向では一致が確認できたと思います。

 そして、大会の第一決議案に明記した安倍政治からの転換の三つの方向――(1)憲法にもとづき、立憲主義、民主主義、平和主義を回復する、(2)格差をただし、暮らし・家計応援第一の政治にきりかえる、(3)多様性を大切にし、個人の尊厳を尊重する政治を築く――この三つが、野党の共通の認識となっていることも浮き彫りになってきたと思います。

 私は、「しんぶん赤旗」の「新春対談」で、上智大学教授・「市民連合」メンバーの中野晃一さんと話し合いをする機会がありましたが、中野さんが、この三つの転換の方向について、「市民連合と野党との13項目の政策合意のエッセンスがそこにある」「『だれもが自分らしく暮らせる明日へ』という13項目に込めた思いとつながるものだ」「(野党が)政権構想を提示し、有権者が希望を持てるような選択肢を提示していくことは十分可能だ」と言われたことは、たいへんに心強いものでした。

 「立憲主義」「格差是正」「多様性」――この三つは当たり前のことをのべているようですが、どれも安倍政治にはないものです。正確に言えば、どれもが安倍政治が破壊してきたものであります。それを豊かな形でとりもどす。そのことを共闘の理念にすえ、政権をともにつくる意思を確認し、政権が実行する政策を練り上げる。不一致点に政権としてどう対応するかもきちんと話し合う。その努力を、誠実に積み重ねるならば、野党連合政権の立派な合意をつくりあげることは可能であります。これは、この問題に取り組んできた私たちの実感でもあります。

 私は、ともにたたかってきた市民と野党のみなさんに、年頭にあたって心から呼びかけます。総選挙にむけて、国民が明日に希望をもてるような政権の選択肢をつくるために、知恵と力をあわせようではありませんか。その力で、総選挙に必ず勝利し、安倍政治を終わらせ、新しい政治をつくろうではありませんか。(拍手)

安倍政権の「終わり」が見えてきた――国民のたたかいで包囲、打倒しよう

 昨年・2019年のもう一つの特徴は、安倍政権の「終わり」がいよいよ見えてきたということです。

「桜」疑惑、カジノ汚職――真実を追及し、安倍首相に今度こそ引導渡そう 

 政治のモラル破壊が行き着くところまできました。「桜を見る会」疑惑に続いて、カジノ汚職が発覚し、底知れない疑獄事件に発展する様相を呈し、どちらも安倍首相を直撃する大問題に発展しています。

 「桜を見る会」疑惑に対して、一部のメディアは、「野党はいつまでやってんだ。もっと大事なことがあるだろう」といいます。もちろん、私たちは内政・外交、国の進路をめぐる大問題を大いに論じていきます。しかし、一国の為政者が、国民の血税を使って有権者を公然と買収し、数々の違法行為を行い、データを闇に葬り、平然とウソをつく――この疑惑がいったいささいなことでしょうか。こんなことが放置されたら、日本の民主主義は根から腐り果て、日本は法治国家ではなくなってしまうではありませんか。

 疑惑が持ちあがるたびに安倍首相がとっている態度は、ひたすら逃げに逃げる、そうすれば国民は「慣れてくる」だろう、最後には「あきらめてくれる」だろうという卑劣な打算であります。だから私は言いたい。慣れてはいけない、あきらめてもいけない、今年こそ、こんな政治は終わりにして、とことんウソのない政治をつくろうではありませんか。(拍手)

 野党は、「桜を見る会」疑惑、カジノ汚職の両方について、「追及本部」をつくり、通常国会冒頭から徹底追及することを確認しています。力をあわせて、真実を徹底的に明らかにし、安倍首相に今度こそ引導を渡そうではありませんか。(拍手)

消費税5%、暮らし応援の旗を掲げ、国民的運動を起こそう

 内政・外交の行き詰まりも行き着くところまできました。

 消費税10%が新たな大不況をつくりだしつつあります。増税直後の家計消費、景気動向指数の落ち込みは、8%に引き上げた直後よりもひどい落ち込みとなりました。日銀短観は、6年9カ月ぶりの悪化となりました。中小業者は、増税による消費の落ち込み、大手との値引き競争、複数税率による事務負担の増加、「ポイント還元」の重荷など、三重、四重の打撃をこうむっています。

 こうした危機に直面して、安倍政権は総額26兆円、財政支出13兆円の「経済対策」という、とめどもないバラマキに踏み出しました。そのために19年度補正予算では、4・4兆円もの国債が追加発行されようとしています。4・4兆円といえば10%への増税額とほぼ同額ではありませんか。増税で景気を悪化させ、景気対策でバラマキを行い、財政をさらに悪化させる――安倍政権の経済政策は、出口のない悪循環に陥っています。

 この悪循環を断つ道は明瞭です。消費税を緊急に5%に減税し、社会保障充実・暮らし応援に切り替える。財源は、空前のもうけをあげている富裕層・大企業に応分の負担を求める「消費税に頼らない別の道」でまかなう。この旗を高く掲げて、暮らしと経済を危機から救う国民的運動を起こすことを、年頭にあたって呼びかけるものであります。(拍手)

三つの「覇権主義」への「ペコペコ外交」をやめ、自主自立の外交に切り替えよう

 「安倍外交」の破綻も目を覆うばかりであります。その特徴を一言でいいますと、三つの覇権主義に対する追従外交――「ペコペコ外交」というところにあります。

 【異常な対米従属外交】トランプ大統領言いなりの異常な対米従属外交が、歯止めを失ってしまっています。言われるままに武器を「爆買い」し、言われるままに農産物の市場開放を行い、言われるままに沖縄県民の総意を無視した辺野古新基地建設にしがみついています。こんな売国の政治をこれ以上続けさせるわけにはいきません。

 とくに今年を、沖縄県民のたたかいに固く連帯して、いまや政治的にも技術的にも完全に行き詰まった辺野古新基地建設を止め、普天間基地の無条件撤去、基地のない平和で豊かな沖縄への道を開く年にするために、全国でたたかいを発展させることを心から呼びかけるものであります。(拍手)

 安倍政権が昨年末、トランプ大統領の「有志連合」結成の呼びかけに事実上応える形で、自衛隊の中東沖への派兵を、国会にもはからず、「調査・研究」という脱法的な手法で決定したことは、絶対に容認できません。この決定は、トランプ政権がイランに対する軍事的挑発行動を行い、両国の緊張関係、地域の緊張関係が激化するもとで、いっそう無謀で、危険きわまりないものとなっています。わが党は安倍政権に対し、自衛隊派兵の閣議決定をただちに撤回することを強く求めます(拍手)。いま日本がなすべきは、トランプ大統領に対してイラン核合意への復帰を求める外交努力だということを、声を大にして訴えたいと思います。(拍手)

 【対ロ領土交渉の大破綻】対ロシア外交も、安倍首相は、歯舞、色丹の「2島決着」論という、歴代自民党政権の「4島返還」論さえ覆すとんでもない譲歩のカードを切り、それをも拒否されて大破綻に陥っています。

 私は昨年12月、「読売」のインタビューで、安倍首相による対ロ交渉の問題点とともに、「全千島列島の返還」を求めるわが党の立場をのべる機会がありました。驚いたのは、私の発言を、ロシア国営テレビ、タス通信をはじめとするロシアのメディアが一斉に報道し、国会議員や識者がコメントを求められる事態となったことです。ビチェスラフ・ボロジン下院議長は、私の主張に対して、「ロシアの領土と主権に対する脅威」「第2次世界大戦の結果を見直す試み」「この国の他の誰よりも反動的な表明」との攻撃を加えました。「他の誰よりも反動的な表明」とは、よくも言ったものであります。

 自らの覇権主義への無反省に立った漫罵にこたえる必要はないと思いますが、こうしたロシア側の反応は、安倍政権がいかにだらしのない、屈辱的な領土交渉をやっているか――ロシアにとって痛くもかゆくもない交渉をやっているかをよく示すものではないでしょうか。(拍手)

 【対中外交の問題点】対中国外交で、安倍首相がとっている立場の問題点は、一言で言って、今年春の習近平主席の国賓での訪日を最優先して、相手が嫌がることは、言うべきことであっても言わないということです。

 昨年末に行われた日中首脳会談で、首相は、尖閣諸島周辺の接続水域等への中国の公船の進入が激増しているにもかかわらず、「中国側の対応を強く求めた」と抽象的に言うだけで、抗議も中止も求めませんでした。香港で深刻化している人権侵害に対しても「憂慮している」と言うだけで、弾圧の中止を求めませんでした。こんなだらしのない外交でいいのか。事実と道理に立って、言うべきことをきちんと言ってこそ、日中両国、日中両国民の真の友好関係を築くことができるということを、私は強調したいと思うのであります。

 対米、対ロ、対中――三つの覇権主義に対しては「ペコペコ外交」。そして自分より「弱い」と見た韓国に対しては、過去の植民地支配に無反省を決め込み、ふんぞり返って居丈高にふるまう。こんな恥ずかしい外交はもう終わりにしようではありませんか(拍手)。どんな国であれ覇権主義は許さない、世界の平和と進歩に貢献する――自主自立の外交に切り替えようではありませんか。日本共産党は、その先頭に立って奮闘する決意を表明するものであります。(拍手)

安倍政権を「終わり」にして、新しい希望ある政治に切り替える年に

 政治のモラル破壊、内政・外交の破綻が行き着くところまできて、八方ふさがりの安倍政権が最後にすがっているのが憲法9条改定です。この間、野党の一致結束したたたかいと国民の世論によって、4国会連続で、安倍首相が狙った自民党改憲案の憲法審査会への提示を阻止してきたことは重要な成果であります。しかし、安倍首相はなおあきらめていません。首相がただ一つブレずに執念を燃やしているのが9条改憲であり、数を頼んでの強行の危険性を私たちは絶対に軽視するわけにいきません。ここで手を緩めず、この企てに終止符を打つために全力をあげようではありませんか。

 あらゆる問題で、国民のたたかいを広げに広げ、安倍政権を包囲し、今年――2020年を、「終わり」が見えてきた安倍政権を本当に終わりにして、新しい希望ある政治に切り替える年にしていこうではありませんか。(拍手)

歴史的党大会の成功、「党勢拡大大運動」の目標の総達成をかちとろう

第28回党大会――きわめて重要な、文字通り歴史的意義をもつ大会

 安倍政権を倒し、野党連合政権をつくっていくうえで、日本共産党が自力をつけ、躍進することは、決定的に重要であります。

 1月14日から始まる第28回党大会は、直面するたたかいの発展にとっても、中長期の展望に立って世界と日本の流れを見定め、党の発展方向を示すうえでも、きわめて重要な、文字通り歴史的意義をもつ大会となります。

 16年ぶりに綱領が改定されます。綱領一部改定案は、世界情勢論を中心に行い、それとの関係で未来社会論の一部を改定するものですが、それは綱領の全体を21世紀の情勢の進展にそくして発展させる大きな意義をもつものとなっています。一部改定案が示した中国に対する判断の見直し、核兵器廃絶、ジェンダー平等、貧富の格差の是正、気候変動の抑制などの現代の焦眉の課題、そして、「発達した資本主義国での社会変革は、社会主義・共産主義への大道」との規定などに、注目と共感が広がっています。綱領一部改定は、綱領の全体に新鮮で豊かな生命力を吹き込むことになるでしょう。

 第一決議案(政治任務)は、来たるべき総選挙にむけて、共闘の発展と、日本共産党の躍進という「二つの大仕事」をやり抜く方針を明らかにしています。ここで私が強調したいのは、野党連合政権の実現を掲げて衆議院選挙をたたかうというのは、わが党の98年の歴史にとっても文字通り初めてのことだということです。かつて体験したことのない挑戦を行おう、その大方針を示しているのが第一決議案であります。

 第二決議案(党建設)は、2022年――党創立100周年をめざす党建設の大方針を示しています。党建設をめぐる歴史的情勢を大きくとらえるならば、「日本共産党を除く」の「壁」が崩壊し、後退から前進に転ずる新しい条件が大きく広がっています。党建設の現状は、一方で危機が存在しますが、他方でそれを前向きに打開する大きな可能性が存在しています。第二決議案は、このことを深く解明し、党創立100周年にむけた目標と方針を明らかにしています。党大会決議案で、党建設を別建てにしたのは、わが党の歴史でも初めてのことですが、ここにいまわが党があらゆる知恵と力を集中して突破するべき死活的な課題があります。

 全党の同志のみなさん。日本の前途にとっても、わが党の前途にとっても、文字通り歴史的意義をもつ第28回党大会を、全党の奮闘で必ず大成功させようではありませんか。(拍手)

「“隠れ共産党”宣言」から「日本共産党入党宣言」へ

 大会成功にとって最大のカギとなるのは、「党勢拡大大運動」を、全党みんなが力をあわせて必ず成功させることです。私は、この運動を成功させる条件は大いにあると思います。

 3年前、2017年の党旗びらきで、私は、岡山大学名誉教授の小松泰信さんが、農業協同組合新聞(電子版)のコラムで「“隠れ共産党”宣言」をしたというニュースを紹介しました。その数年前から選挙で共産党に投票していた小松さんが、安保法制やTPP(環太平洋連携協定)を強行する安倍政権に怒りを爆発させ、わが党の綱領をホームページで読んだところ、「農業を基幹的な生産部門として位置づける」と明記されていることを発見し、感動してコラムを執筆したといううれしいニュースでありました。

 その小松さんが昨年8月、日本共産党に入党し、「日本共産党入党宣言」をされました。最後に小松さんの背中を押してくれたのは、小松さんの話に影響を受けた青森県の男性が、自分も「共産党員になって参院選をたたかいたい」と決意したことを伝える「赤旗」記事を見たことにあったといいます。“人さまにこれだけ影響をあたえておいて、自分は入らないではおられない”。こういう思いで入党を決意されたとのことです。そのときに小松さんが詠んだ一首を紹介します。「魂が今だと叫び 背中蹴る 八月二十日 党籍を得る」という短歌ですが、啖呵(たんか)を切ったと申しましょうか(笑い)、すばらしい決意であります。

 今話題のDVDがあります。とことん共産党「隠れ共産党宣言から入党宣言へ」であります。小松さんが「入党宣言」に至るドラマを、ユーモアたっぷりに語ったDVD(22分)です。各地で、「声をあげながら笑いが起こる面白さ」「出されたコーヒーを忘れるほど見入った」など歓迎されております。ぜひごらんいただきたいと思いますが、このDVDを見て39人もの方が新たに入党を決意されたとのことであります。

 とくに共感を呼んでいるのは、小松さんがDVDのなかで、「党に入ることは、組織に縛られることでなく、自分を律すること」と語っていることです。「小松さんの言うように、入党とは拘束されることでなく、羅針盤をもった人生を自ら選びとることだ」――こういう共感が広がり、入党の輪が広がっていることは、本当にうれしいことであります。

 小松さんに、そうした全国の入党の動きをお知らせして、感想をお聞きしたところ、次のようなメッセージを寄せてくれました。ご紹介します。

 「各地の『集い』におじゃました時、職場でいじめられた経験、家族・親族の不理解など、入党をめぐる苦闘について語る方もおられました。入党の重さというか、私もタイミングなどいろいろあって悩みや迷いがなかったかというとウソになるし、一人ひとりにとってためらいを乗り越える、重い決断があったと思います。党員の生き方をつらぬくことの重みを実感しました。そんな中、教員の先輩の党員が、『よく突き抜けてくれたね』と声をかけてくれました。急に出てきた私が『入党宣言』で目立つことになり、申し訳なく思っていましたが、『私たちが突き抜けられなかったことをやってくれてうれしい』と言われた。これはうれしいことでした。

 『後悔はないのか』とも聞かれますが、実にさわやかな気分です。『後悔』の文字はありません。ただ、間違いなく言えるのは、一人でも多く党員を増やす必要があるし、日々の『赤旗』をきちんと読む必要があるということです」

 そして、こう結ばれています。「1月から日曜版の配達を開始します。1人の党員として、新しい年、『宣言』した以上のことをやるつもりです」(拍手)

 小松泰信さんは、50代後半から共産党に投票するようになったとのことですが、党との組織的つながりがあった方ではありません。それが情勢の激動の中で党綱領に出あい、「隠れ共産党宣言」を行い、さらに「日本共産党入党宣言」を行い、さらに「赤旗配達宣言」を行った。そのことが、日本共産党に人生の進路を託そうと真剣に考える多くの人々の背中を押し、新たな仲間を広げている。みなさん、このことは、日本共産党がいま大きく前進し、発展し、飛躍する可能性があることを、生きた形で証明しているのではないでしょうか。(拍手)

四国の保育園支部の経験――ともに学び、ともに成長する姿勢で、強く大きな党を

 もう一つ、紹介したいのは、全国各地で、大会の第二決議案が示す法則的な活動によって、「大運動」の目標を達成した支部が次々に生まれていることです。

 四国のある保育園支部は、昨年9月に「赤旗」読者になった20代の職員に働きかけ、12月に党に迎え、目標を達成しました。今大会期、この支部は20代~40代の6人を党に迎え、党員を10人から15人へと1・5倍にしています。この支部では、3年前の2017年に、20代の党員が党も職場もやめてしまったことから党員拡大への自信を失っていたといいます。ところが、県委員会主催の保育関係党員会議で、若い世代を党に迎えてきた別の支部から、「党員を迎えてこそ職場は変わる」「党員拡大に三振はない。信頼関係が深まる」と励まされ、保育や労働組合で頑張り、入党者を広げてきたとのことです。支部で中心になっている方から次のような話が寄せられました。紹介します。

 「大会の第二決議案が提起した『一人ひとりの党員の初心と可能性が生きる党』へ、『楽しく元気の出る支部会議』、とくに元気の出る支部会議の努力を大事にしてきました。そのために、話をよく聞くこと、背中を押して励ますことに心がけています。保育は、命を守り育てる仕事で、しんどいことがたくさんあります。それをさらけ出して話し合い、必ず変えられると励ましあっています。支部は『笑顔』と『元気』がモットーです。学ぶことも、保育士として成長することもあきらめない――そのことを絶えず自分に言い聞かせています」

 第二決議案は、「一人ひとりの党員の初心と可能性が生きる党になろう」「ともに学び、ともに成長する姿勢で、入党を働きかけよう」「『楽しく元気の出る支部会議』の努力を発展させよう」と呼びかけていますが、この精神でコツコツと粘り強く取り組むことこそ、党を大きくする大道であることを、四国の保育園支部の経験は教えているのではないでしょうか。

 「党勢拡大大運動」の期限は1月末です。年始めからスタートダッシュして、すべての支部と党員が立ち上がり、党大会を跳躍台としつつ、1月末までに「大運動」の目標の総達成に挑戦しようではありませんか(拍手)。さらに、2月以降も、支部が主役で、末広がりに運動を発展させ、党員と「しんぶん赤旗」の3割増で党創立100周年を迎えようではありませんか。(拍手)

大激戦の京都市長選挙――全国からの連帯と支援を訴える

 最後に、一言訴えたいのは、党大会直後、1月19日告示、2月2日投票でたたかわれる京都市長選挙で、市民の共同予定候補・福山和人さん勝利をかちとることであります。

 このたたかいは、市民の暮らし第一の京都市政をつくり、まち壊しにストップをかけ京都の歴史と文化を守るたたかいであるとともに、京都から日本の政治を変えるたたかいであります。今年初の全国的意義をもつ重要な選挙になります。大激戦で必ず勝利をかちとるため、全国からの連帯と支援を心から訴えるものであります。(拍手)

 以上をもって年頭にあたってのあいさつといたします。ともに頑張りましょう。(大きな拍手)