2019年11月13日(水)
性暴力根絶、みんなで
広がるフラワーデモ
性暴力のない社会を求めるフラワーデモが11日、全国各地で行われました。4月にスタートしたフラワーデモは、回を重ねるごとに行動が広がっています。今回は、少なくとも27都市で呼びかけがありました。
刑法改正
東京
東京駅前には、およそ300人が参加。自身や周りの人が経験した性被害についてのスピーチを聞きながら、「みんなで社会を変えていこう」と手に花を持ってアピールしました。
参加者がつぎつぎとスピーチ。性暴力被害の当事者団体「Spring」(スプリング)代表の山本潤さんは、「ここに集まっている声をより多くの人のもとへ発信して、刑法の改正を含め社会を変えていきましょう」と語りました。
ライターの小川たまかさんは、さまざまな場所で「私は痴漢くらい気にしない」と話す人にも出会うけれど、「同時に、『同じ経験は他の人にさせたくない』といいます。性被害への認識や、万が一被害を受けた場合の相談先をもっと広げていきたい」とのべました。
上智大学教授の三浦まりさんは、学内でワークショップを計画するなど、大学での取り組みを紹介しました。学生が加害者になる事件が相ついでいると指摘し、「学生の問題にせず、大学側が真剣に取り組まないといけません。学内でも、できることから変えていきたい」と話しました。
日本共産党の志位和夫委員長、藤野保史衆院議員、吉良よし子、山添拓の両参院議員が参加しました。
体験語る
静岡
静岡市では3回目。一人親の支援活動をしている田中志保さんらがSNSを使って参加を呼びかけています。
青葉公園に約20人が参加。フラワーデモ呼びかけ人の北原みのりさん(作家)も駆け付けました。寒さが身にしみる中、花やプラカードを手に持ち、過去に受けた性暴力を打ち明けました。
女性たちは「満員電車内で痴漢された。被害を受ける女性にも問題があるという風潮があるがおかしい」「中学生ぐらいの男の子に服をハサミで切られた。未来ある若い子までストレスで暴力的になってしまう日本はやばい」「海外のように女性議員が増えて、女性を守るための制度が増えてほしい」などと語りました。
田中さんは「暴力を許さない思いは性別とは関係ない。共感できる男性にも参加してほしい」と話しました。
初の発信
富山
富山市では富山県初の「フラワーデモ」が行われ、雨の中、プラカードや花を手に7人が参加しました。
呼びかけたのは富山県出身で大阪府在住の23歳の女性。進学した大阪で参加し、声を上げることがおかしな実態を変えることにつながると実感しました。一方で、保守的風土の北陸ではなかなか広がらないと思っていたと発言。しかし、家族や友人などが住む富山県でこそ声を上げたいと、デモを呼びかけた思いを語りました。
「就職を控えているが、性暴力やセクハラへの不安もある。性暴力がなくなるようにと思って参加した」という学生や、女性シェルターの運動に取り組んできた女性などが発言して交流しました。
参加者から「富山で呼びかけてもらってうれしい」「行動を起こすことが大事」などの感想も出されました。
世界にも
愛知
名古屋市中区の久屋大通公園には、カラフルな花や「#MeToo」「#WithYou」などのカードを手に50人以上が参加しました。
世界にも発信したいと、留学生らが英語でスピーチ。日本語に同時通訳されました。留学生の女性は「外国でも性暴力を許さないたたかいが広がり、フラワーデモはその素晴らしい場になっている」と発言。名古屋市の女性弁護士が「性犯罪はほかの犯罪に比べ、被害者の意思が反映されにくい。性犯罪は低く扱われている」とスピーチし、英語に同時通訳されました。
小学生のとき父親から性的虐待を受けた40代女性は「あとになっても心を開けず、友人もできなかった。ここに集まったみんなの力で刑法を変えたい」と語りました。
一歩ずつ
大阪
大阪市では80人近くが集まりました。7歳の頃に兄から性暴力を受けた女性(27)=大阪府=は「今まで主張することをあきらめていました。しかし(性暴力事件の)無罪判決が出て『被害者を、社会が踏みにじっているんだ』と思いました。司法に変わってほしいと本当に思います」と話しました。
元交際相手からの性暴力がトラウマとなり、苦しんできた女性(40代)=大阪市=は「被害を受けて23年たつが、たとえ有罪にならなくても相手を訴えればよかったと思います。小さな声でも、一歩ずつでも被害を減らしていきたいです」と語りました。
参加者たちはスピーチの後、「性犯罪者を裁ける法律を」「私は黙らない」など、一人ひとりの思いをシートに書きました。
寄り添う
沖縄
沖縄県では、那覇市の県庁前で45人が花を手に「一人じゃないよ」「私たちもそばにいるよ」と、性暴力や心の傷に苦しむ人たちとの連帯を示し、「尊厳を損なわない社会を目指そう」とアピールしました。
自身も被害にあったという同県宜野湾市在住で初参加の女性(45)はスピーチで「気持ちを共有しますという人が集まって、(沖縄県でフラワーデモが)4回も開かれていることに感動する。場をつくっていることが、すごく希望になる」と訴えました。
67歳の女性は「トラウマを抱えた女性たちを思うと胸が痛む。声を上げなければならないと思った」と、参加の動機を語りました。