志位和夫 日本共産党

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2019年1月6日(日)

「歴史」への誠意がカギ

(4)平和と歴史への責任 いま北東アジアで


写真

(写真)韓国大統領府で日韓議連代表団と会談した文在寅大統領(右から9人目)、志位委員長(左から6人目)=2018年12月14日(大統領府のフェイスブックから)

 「被害者個人の請求権を消滅させることはないということは、日本政府も最近も国会答弁で公式に表明している」「被害者の名誉と尊厳の回復にむけた前向きの解決がはかられるよう日韓の冷静な話し合いが必要だ」
 日本共産党の志位和夫委員長は昨年12月14日、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領を前にこう述べました。元徴用工問題と日韓請求権協定をめぐる発言です。「日韓パートナーシップ宣言」20周年を機に日韓議連代表団がソウル・青瓦台(大統領府)を訪問したときの会談の席上で促されての発言でした。志位氏に続いて額賀福志郎議連会長(自民党衆院議員)も「個人の請求権については消滅していない」と明言しました。

局面開く

 文大統領は、志位、額賀両氏に謝意を表明し、「個人の請求権が消滅していないという立場に立てば、円満な解決が図られるのではないか」と述べました。
 昨年10月30日に韓国大法院が、新日鉄住金に対し元徴用工への慰謝料の支払いを命ずる判決を下して以来、日韓では激しい議論の応酬もありましたが、問題の冷静な解決へ新たな局面が切り開かれました。
 一方、大法院(最高裁)判決は元徴用工の請求について「朝鮮半島に対する不法な植民地支配および侵略戦争遂行と直結した日本企業の反人道的な不法行為を前提とする慰謝料請求権」だと指摘。請求権協定の締結時において日本政府は、植民地支配の不法性を一切認めてこなかったのであり、植民地支配下での強制動員に対する慰謝料請求権は、同協定によって消滅させる対象に含まれていなかったと判断しました。朝鮮半島に対する植民地支配の不法性という根本問題を改めて提起したのです。
 一橋大学の加藤圭木准教授(朝鮮近代史)は「朝鮮は自主的な近代国家形成を進めていたにもかかわらず、それを日本国家は強圧と暴力によって数多くの人々を殺りくしながら押しつぶした。こうした植民地支配がなければ朝鮮は分割占領されることもなかった。この点で日本側の責任は大きい」と指摘します。また加藤氏は「日本は、冷戦体制のなかで米韓日軍事同盟を結び、朝鮮民主主義人民共和国との敵対政策をとって分断を固定化してきたことの責任もある」と語ります。

世界でも

 植民地支配を含むこうした歴史的責任に向き合ってこそ、日本は平和プロセスの中でアジア諸国と心を開いた協力関係を結べます。
 いま、植民地支配の中で起きた人権侵害を一つ一つ掘り下げ清算しながら、被支配国の市民と支配国の市民が未来へむけ協力を進める流れが世界で起きつつあります。徴用工問題や日本軍「慰安婦」問題での対話を進めることが、日韓協力を進める最大のカギです。(つづく)