志位和夫 日本共産党

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党の会議での報告

2018年3月10日付「しんぶん赤旗」に掲載

全国都道府県委員長会議・分散会での志位和夫委員長の発言(上)

情勢の激変に確信もち、参院比例目標を正面にすえ、元気いっぱい打って出よう


 6日に開かれた全国都道府県委員長会議で志位和夫委員長は、午前の全体会議に続き午後の分散会に出席し、中間発言を行いました。その大要を2回に分けて紹介します。


政権を土台から揺さぶる大激動の情勢

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 常任幹部会の「訴え」は、「安倍政権を土台から揺さぶる情勢の大激動」と、いまの情勢を特徴づけました。安倍政権は、「一強」と言われてきましたが、間違いなくその求心力が弱まってきている。安倍政権を倒す可能性が、現実に生まれてきたと思います。

 安倍首相自身が、通常国会の最大課題は、「働き方改革」関連法を通すことだと言ってきました。法案は、裁量労働制拡大と「高度プロフェッショナル制度」が要ですが、その一つである裁量労働制拡大が削除に追い込まれた。政府の最大の目玉法案で、法案提出前に核心部分を削除に追い込まれるなどということは、これまで記憶にないことです。きっかけになったのは、捏造(ねつぞう)・異常データの問題ですが、こうした事態が起こった根っこには、安倍政権の暴走政治がある。自分たちに都合のよいデータをつくり、都合の悪いデータは隠す。問題の根本には、安倍暴走政治のそういう姿勢があります。

 森友問題で、決裁文書の改ざん疑惑が持ち上がりました。私は、記者会見で、「財務省のこの問題でのこれまでの対応は、ひどいもので、でたらめをやってきたが、今回は次元が違う」と批判しました。今回、改ざんが疑われているのは、森友学園を特別扱いしたという部分です。この問題は、真相究明のたたかいの最中ですが、かりに改ざんが事実とすれば、内閣を揺るがす大問題に発展することは避けられません。

 私たちは、この5年間、安倍政治とたたかってきたわけですが、安倍政権の暴走政治のゆがみが、あらゆる問題でいま噴き出している。まさに「安倍政権を土台から揺さぶる情勢の大激動」が生まれているのです。

 ただ、安倍首相は、憲法9条改定については、執念を持っています。憲法改定という宿願を何としても成し遂げたい、いま彼らが直面しているさまざまな難局も、憲法改定をテコにして反動的に突破していく――これが大戦略であり、いよいよこれを打ち破るたたかいが、重要になってきています。

野党共闘の新たな前進

 それでは野党の側はどうか。昨年の衆議院選挙は突然の逆流が起こるもとで、私たちは果敢な対応をし、野党共闘を守り、発展させてきましたが、それがいま、いろいろな形で力を発揮しています。国会では、6野党が共闘し、国民世論の力ともあいまって、政権を追い詰める大きな力を発揮しています。

 来年の参議院選挙の野党共闘については、党旗びらきで、全国32の1人区での共闘を実現するために、「政策対話と候補者調整」をよびかけました。それを受けて、小池晃書記局長が4野党の幹事長に対して、公式に協議をよびかけました。先日、社民党大会に、5野党党首が集まりました。すべての党首が「1人区では野党を一本化してたたかおう」と発言をしました。ここでも足並みがそろいつつあります。

 原発問題でも、新しい動きがあります。小泉・細川両元総理が顧問をつとめる「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」のみなさんが「原発ゼロ基本法案」を提案した。私たちの立場とまったく同じものです。他の野党のなかからも「原発ゼロ」の法案提出の動きがおこっています。ぜひ共同提案にしていく方向で話し合いたいと思います。4日には「原発ゼロ」をめざす全国集会がありましたが、たいへん明るく元気な集会になりました。ここでも野党共闘の新たな発展の可能性が生まれています。

 沖縄の名護市長選の結果はたいへんに残念でしたが、市長選の最後で、立憲民主党も民進党も、稲嶺進候補を支援しました。共産、社民、自由だけでなく5党が足並みをそろえて、街頭宣伝もやりました。沖縄社会大衆党、そして保守の方々もふくめた大きな共同の流れがつくられました。ぜひ、こうした「オール沖縄」の枠組みを発展させて、県知事選もたたかっていきたい。

 一方で安倍政権のおちいっている深刻な危機、他方で野党共闘の新たな前進、そうしたことの全体を念頭において、常任幹部会の「訴え」では、「安倍政権を土台から揺さぶる大激動」という情勢認識をのべたのです。

 そうした大激動の情勢を主導的に切り開く決定的なポイントとなるのが、来年の参議院選挙、統一地方選挙という二つの選挙で、日本共産党自身が躍進することです。ここで日本共産党が躍進する、同時に、野党共闘も必ず前進させる。そのことができれば、私たちが党大会で掲げた、安倍政権を倒し、自民党政治を終わらせる――野党連合政権に道を開くような激流をつくりうる状況が生まれているのです。

参院比例目標をすえて全党が燃えるとりくみを

 3中総決定は、参院選を前面に、比例代表で「850万票、15%以上」を実現し、さらに選挙区選挙でも現有3議席を絶対に守り、議席を増やす、ここで性根を据えて頑張ることを訴えています。二つの全国選挙が連続しますが、党活動の前面にすえるべきは参院選――とくに比例代表選挙だということを強調したい。ここをすえて、「850万票、15%以上」に本気でとりくみ、党躍進の大きな流れをつくりだす。それと一体に統一地方選の躍進の独自の準備も行う。そうしてこそ連続選挙での勝利の道が開けてくる。この点がどうなっているか。

 午前中の発言で、埼玉県から、「埼玉では、参院比例目標が『70万票、20%』であり、全国で850万票をやろうとすれば埼玉で70万票をとるのが決定的だと議論しています。それでもまだ『比例選挙が遠い』という気分があります」という率直な発言がありました。統一地方選では、かなりの手ごたえをもって「自分たちの目標になる」。ところが参院比例のほうは「70万票は遠い」となっている。ここをどうするか。

 東京都では、参院比例目標は「110万票、20%」となります。「110万票」の意味をどう支部に語っていくか、これとの関係で統一地方選の政治目標をどう位置づけるかで、苦労しているとのことでした。

 千葉県の発言も、「45万、15%」という参院比例目標がすわっていなかったという率直な発言でした。統一地方選で躍進をめざす。ここにはずいぶん力を入れてきた。ただ、そこが中心になると地域も限られてくる。どうしても狭くなる。本気で千葉県の全体を燃やそうと思ったら、参院比例で躍進することを軸にしなければという発言でした。参院比例で燃えに燃える状況をつくるなかで、いかに県議をとるかを考えないと、後手、後手になってしまう。神奈川も、参院比例で「80万、18%」をすえ、選挙区でどう勝利するか、それを前面にすえて、それと一体に県議選をどう増やすかとならないと、全県が燃えることにはならない。どこでもそうだと思います。

 いま情勢は、あきらかに「潮目の変化」が起こってきている。安倍政権をいよいよ倒すことができる状況が生まれてきている。参院選で野党が勝てば大変動がおこります。そういう大変動のときに、安倍政権は倒れたけれど、自民党の枠内で別の政権になっては仕方がない。野党連合政権をいかにしてつくるかが大きな課題となってきます。そういうことも視野に入れて考えた場合には、共闘を成功させるとともに、日本共産党を躍進させることが、情勢を主導的に切り開くうえで、決定的に重要になっているのです。

比例で勝つことを日常的・意識的に

 ここで3中総決定を読み直していただきたい。3中総決定では、まず総選挙の総括の部分で、「選挙活動をいかにして日常化するか」についてのべています。1カ月足らずの短期では、こうした短期のたたかいだけで勝利に必要な活動をやり抜くことは困難がある。それではどういう教訓を導くか。こういっています。

 「比例代表選挙を選挙戦はもとより、あらゆる党活動発展の軸にすえる」「比例代表選挙で前進をかちとることを、全国どこでも選挙戦の中心にすえる、さらに要求活動、宣伝活動、党勢拡大でも比例代表選挙での前進をかちとることに焦点をあて、そのためにどれだけのとりくみの発展をはかるかの目標と計画をもって日常的に追求する」

 もう1カ所、3中総決定は、「新たな躍進をめざす党活動と党建設」の方針の部分で、七つの活動を提起していますが、その冒頭で次のようにのべています。

 「第一は、生きた政治目標を決めることです。……『わが支部(地区、県)をこう変える』という大志とロマンある、みんながわくわくするような生きた目標をみんなでよく討議して決め、みんなのものにしていくことが大切であります。『850万、15%以上』という参議院選挙の比例代表の全国目標にそくして、都道府県、地区委員会、支部・グループで比例代表の目標を決め、それを達成することをあらゆる党活動発展の軸にすえましょう。要求活動、宣伝活動、選挙活動、党勢拡大など党のあらゆる活動を、比例代表の目標を達成することに焦点をあてて、その達成のために必要な計画をたて、日常的・意識的に追求しましょう」

 つまり、3中総決定では、総選挙総括でも、参院選躍進をめざす方針でも、比例で勝つことを支部にいたるまで自覚的なものにして、日常的・意識的に追求していくことを、繰り返し訴えているのです。

本気で目標をやりぬく構えの確立を

 「850万票、15%以上」という目標を、本気でやりきる立場にたつことが大事です。3中総決定は、「850万票、15%以上」は大きな目標だが、頑張りいかんで実現は可能と述べています。総選挙の結果は党の現状としてリアルに直視しなくてはなりませんが、同時に、かつてのような「共産党排除の壁」に追い詰められての結果ではない。共闘を貫いた党の姿に共感し、新たに支持してくれている方も少なくない。総選挙後も、各界の識者の方々から、党への評価と激励が寄せられている。これらをふまえ、私たちの実感としても、「850万、15%以上」は決して手の届かない目標ではない。本気でやりきる立場にたって、新たな決意で挑戦しようとよびかけています。

 常任幹部会の「訴え」は、第一に「自ら決めた参議院選挙、統一地方選挙躍進をめざす政治目標の達成」をすえて、魂を入れて、本気でやり抜こうと強調しています。「総合計画」、「政策と計画」をつくったのだから、自ら決めた目標をやりきろうということです。たとえば、ある支部では、参院選の比例目標を1000と決めた。総選挙での実績は500だとしたら、倍の票を出さないといけない。だったら総選挙の2倍の活動を、日常不断に、宣伝戦でも組織戦でもやる、そのために党の自力もつける。すべての支部が、「政策と計画」で決めた比例の目標を、本気の目標にして、燃えるようなとりくみをやる。それと一体に党勢拡大をやろうと意思統一することが大事です。

 私たちの活動がそうなっているか。いま自己検討していただきたいのはこの点です。1~2月で、ほとんどの党機関が党会議を行い、ほとんどの支部が総会を行い、「総合計画」、「政策と計画」を決めています。目標は決めているのです。しかし決めているだけではだめです。本気でやる構えを確立する――目標に魂を入れることが必要です。目標に魂を入れることと一体に、党勢拡大を前進させる具体的手だてをとりきる。このとりくみを3月は、ぜひともやろうではありませんか。