志位和夫 日本共産党

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演説・あいさつ

2018年1月14日(日)

稲嶺市長の勝利で、新基地許さず、名護市政の発展を

「オール沖縄」市民集会 志位委員長の訴え


 沖縄県名護市で行われた稲嶺ススム名護市長の3選をめざす「オール沖縄」市民集会(12日)での日本共産党の志位和夫委員長の訴えを紹介します。

「オール沖縄」の源流、翁長県政をささえる大黒柱――かけがえない稲嶺市長の存在

写真

(写真)訴える志位和夫委員長=12日、沖縄県名護市

 名護市長選挙が目前に迫りました。稲嶺ススム市長と自民党候補との一騎打ちのたたかいです。このたたかいには名護市と沖縄県の未来がかかっているだけではありません。日本の民主主義はこれでいいのかが問われる選挙になっています。(拍手)

 最大の争点は辺野古新基地の問題です。稲嶺市長は2010年に初当選して以来、「辺野古の海にも陸にも基地を造らせない」という公約を、誠実に一筋に断固として貫いてがんばってこられました(拍手)。稲嶺市長の存在は、名護市民と沖縄県民にとって本当にかけがえのない宝です(拍手)。保守・革新の垣根を越えた「オール沖縄」の源流となったのは、名護のみなさんのたたかいであり、稲嶺ススム市長です。そして、翁長県知事を支える大黒柱としてがんばっているのも稲嶺市長です。(拍手)

 この選挙、絶対に負けるわけにはいきません(「そうだ」の声、拍手)。日本共産党は、党派をこえ、多くの方々と手をしっかり携え、「オール沖縄」の一員として、稲嶺ススム市長の勝利のために全力をあげる決意を申し上げます。(指笛、大きな拍手)

自民候補は「再編交付金」を受け取ると明言――辺野古新基地推進候補に負けられない

 自民党候補は、辺野古新基地について「裁判の行方を見守りたい」としか言わず、辺野古隠しでやり過ごそうとしています。しかし、あんな大きなものを隠し通せるわけがないじゃないですか。(笑い、「そうだ」の声)

 昨年末には官房長官、年明けには自民党幹事長が応援に入って檄(げき)をとばした。頭隠して尻隠さずとは、このことです。辺野古新基地推進の官邸・自民党本部丸抱えの候補に負けるわけにはまいりません。(指笛、拍手)

 だいたい自民党候補は、名護市議会で新基地建設推進の急先鋒(せんぽう)だった人物です。2013年12月13日の市議会で、「私は……現状においては、……唯一の解決策がこの辺野古移設と思っております。……(そのことを)今後も主張していきたい」と稲嶺市長の前で宣言したのが相手候補です。「唯一の解決策」という言葉は、日米両政府の決まり文句ではありませんか。日米両政府の代理人のような人に市長を任せるわけにはいきません。(拍手)

 そして、市長候補になってからも「再編交付金」を受け取ると明言しました。辺野古「移設」を受け入れると言ったにひとしい発言です。この候補者は、縦、横、斜め、どこから見ても辺野古新基地推進候補です。「オール沖縄」の総力を結集して稲嶺ススムさんの勝利を必ず勝ち取ろうではありませんか。(大きな拍手)

米軍機事故が相次ぐ異常事態――安倍首相は米軍全機の飛行中止を米国に求めよ

 この間、沖縄は、米軍機の事故が相次ぐ異常事態となっています。NHKのまとめでは、2016年12月、名護市安部(あぶ)にオスプレイが墜落した後、1年余りで米軍機の事故・トラブルは20件を超えるとのことです。昨年10月には、CH53大型ヘリが東村高江で炎上・大破しました。12月には宜野湾市の緑ケ丘保育園にCH53大型ヘリの部品が落下しました。普天間第二小学校には大型ヘリから8キロもの重さの窓が落下しました。

 私は、きょう保育園と小学校にうかがいました。保育園では約30人の園児がお庭で遊んでいる最中に落ちた。数十センチずれていたら園児が遊んでいる園庭に落ちたということでした。小学校では校庭で2年生と4年生が体育の授業をしている時に、わずか10メートルしか離れていないところに窓が落ちた。背筋が寒くなる思いであります。

 年明けにはUH1Yヘリがうるま市の伊計島に不時着しました。不時着したのは、住宅まで50メートルの浜で、漁や潮干狩りで市民が日常的に利用する浜と聞きました。さらにAH1Zヘリが読谷村に不時着しました。すぐ隣にサトウキビ畑、250メートル先にはリゾートホテルがある。どれもこれも「あわや」という事故が続いている。

 今日、私は、緑ケ丘保育園の父母会のみなさんから、保育園の上空の飛行中止を求める嘆願書を受け取りました。「最初に報告を受けた時は、ふるえて涙が出ました。娘を見て安心してまた涙が出そうになりました。方法はなんでもいい!! ただただ子供達を守ってほしい。ただそれだけ」。あるお母さんの訴えです。多くの方々が、事故に遭遇して「体の震えが止まらなかった」と嘆願書につづっています。ただただ子どもたちを守ってほしい――これは沖縄県民の共通の強い思いではないでしょうか。(大きな拍手)

 許しがたいのは、事故のたびに県や市町村が抗議し、安全が確認できるまで全機種の飛行停止を求めますが、米軍はそれを無視し、何事もなかったかのように、すぐに飛行を再開していることです。読谷村にヘリが不時着したのは、8日でしたが、翌9日には普天間基地に所属する全ての機種が訓練を再開しました。不時着したヘリまで飛行を再開しました。

 さらに許しがたいのは、日本政府がこれまでただの一度も、米軍機の飛行停止を求めず、米軍の言い分をうのみにして飛行再開を容認してきたことです。これで主権国家の政府と言えますか。安倍首相は口を開けば「国民の命と平和な暮らしを守る」と言いますが、沖縄県民の「命と暮らし」はどうなってもいいのか(「許せない」の声)。安倍首相は、この恥ずかしい米軍追従姿勢をあらためて、沖縄の全ての米軍機の飛行停止を米国に要求するべきです。(「そうだ」の声、大きな拍手)

米軍機事故は、政府の新基地建設合理化論が全く偽りであることを明るみに出した

 同時に、一連の事故は重大な真実を明るみに出しました。政府は、これまで新基地建設を合理化するためにこう言ってきました。「普天間基地は市街地の真ん中にあるから危険だ、海辺の辺野古に移せば安全だ」。これが全くの偽りだということが、はっきりしたのではないでしょうか。

 米軍機の事故は沖縄全域におよんでいます。16年12月の名護市安部のオスプレイ墜落後の主な事故をみますと、久米島、伊江島、石垣島、東村高江、宜野湾市、伊計島、読谷村、文字通り、全域におよんでいる。

 そして、事故を起こした米軍機は、全て普天間基地所属の海兵隊機です。普天間基地を根城に沖縄全域をわが物顔で飛び、沖縄全域で事故を起こしている。この事実は、普天間基地を辺野古に移したところで、危険な基地が沖縄にある限り危険は変わらない、ということを示しているのではないでしょうか。(大きな拍手)

 それどころか、辺野古新基地には、普天間基地の4倍の100機ものオスプレイが配備される。名護市民はもとより、沖縄県民全体にとって危険はいよいよ深刻になることは火を見るより明らかではないでしょうか。

 普天間基地は無条件に撤去する、稲嶺市長が一貫して訴えてきたように「辺野古の海にも陸にも基地は造らせない」、そして海兵隊は沖縄から撤退させる(拍手)。県民の命と安全を真剣に守ろうと考えれば、これ以外に道はありません。

 稲嶺ススムさん勝利を目指すたたかいは、沖縄のすべての県民の命と安全を守る大義あるたたかいです。必ず勝とうではありませんか。(大きな拍手)

新基地建設反対を貫く翁長知事と稲嶺市長がいる限り、絶対に基地を造ることはできない

 それでは辺野古新基地を止めることができるでしょうか。政府は、県民の繰り返しの選挙での審判を踏みつけにし、強権と無法なやり方で、基地建設を強行しています。ここには「既成事実をつくれば県民は諦めるだろう」という、卑劣な打算があります。しかし工事が進んだのは、護岸総延長のわずか4%にすぎません。進んだように見せかけているだけです。

 相手陣営は、「名護市長には、辺野古の問題を左右する権限がない、だからこの問題は争点にならない」といっています。冗談ではありません。名護市長には、新基地建設を阻止する強大な法的権限があります。二つだけ紹介させていただきたいと思います。

 一つは、美謝川(みじゃがわ)の水路切り替えに関する権限です。美謝川は、大浦湾側の埋め立て予定区域のど真ん中に注ぎ込んでいます。この川が大浦湾に流れ込む水路を変えない限り、埋め立て工事は始められません。水路切り替えは埋め立て工事に着手する大前提なのです。この権限を持っているのは名護市長です。

 沖縄防衛局は、名護市長の権限が及ばないようにいろいろな悪知恵を働かせました。キャンプ・シュワブの内側だけで水路を切り替える計画案をつくって県に提出しましたが、トンネル部分が1キロを超える上に、トンネルの途中で流れを直角に曲げるという常識外れの計画を出したために、提出した防衛局が自ら取り下げざるを得なくなりました。

 名護市長の権限が及ばない水路切り替え案は作れないということを、防衛局みずからが証明したのです。水路切り替えは計画すら立たず、とん挫しています。稲嶺市長が立ちはだかる限り、埋め立てに着手することができないのです。(拍手)

 二つ目は、埋め立てに必要な土砂にかかわる権限です。埋め立てには、2100万立方メートルの土砂が必要になりますが、そのうち200万立方メートルの土砂を辺野古ダム周辺から採取する計画です。ところが当初、運搬手段として計画していたベルトコンベヤーを建設するためには、名護市長の許可が必要なため、防衛局は断念しました。土砂を採取する予定地には名護市の市有地が含まれるため、土砂の確保自体、市長の許可なしにはできません。埋め立て工事にとって肝心かなめの土砂の確保も、運搬も、稲嶺市長が立ちはだかるかぎり、見通しはないのであります(拍手)。政府が、足らない土砂を補てんしようと、県外から運び込む量を増やそうとしても、それには県の承認が必要になります。その時には県と翁長知事が立ちはだかるでしょう。(拍手)

 名護市長の権限にくわえて、県と翁長知事にも強大な権限がたくさんあります。ですから私は、はっきり言いたい。新基地建設反対を貫く翁長知事と稲嶺市長がいる限り、絶対に基地を造ることはできません。(指笛、大きな拍手)

 政府は工事が進んでいるかのようにみせかけていますが、展望も見通しもないところに追い詰められているのは、安倍自公政権の側なのです。(「そうだ」の声、拍手)

 辺野古のテント村には、「勝つ方法はあきらめないこと」と書かれた大きな看板があります。名護市民、沖縄県民が諦めない限り、絶対に基地を造ることはできない。追い込んでいるのは稲嶺市長であり、翁長知事であり、「オール沖縄」の側であることに確信を持って、稲嶺ススム市長の勝利を必ず勝ちとろうではありませんか。(指笛、大きな拍手)

「再編交付金」に頼らず、歳入を増やし、名護市政を立派に前進させてきた

 相手陣営は、稲嶺市長が8年間、「基地再編交付金」を受け取らなかったことで「135億円の損失だ、金がなくて何もできない、閉塞(へいそく)感がひどい」などと悪口を言いたてています。そして相手候補は「再編交付金」を受け取ると公言しています。

 しかし、そもそも「再編交付金」とは何か。新基地建設の協力の「見返り」として交付される金です。稲嶺市長はこう述べておられます。「ただでもらったものは残らない。しかも10年期限。残るのは基地から発生する騒音、墜落、事件・事故だ。それを背負うのは子や孫たち。だから新基地は造らせない。それがおとなの役割だ」(拍手)

 「再編交付金」はよく「アメ」にたとえられますが、私は「アメ」というよりも「麻薬」と言った方がぴったりくると思います(笑い、拍手)。もらった瞬間は楽でも、後には巨大基地という地獄が待っている。一時の金で名護の未来を売るようなことは決してしない。稲嶺ススム市長の姿勢こそ、子や孫に責任を負う、本物の政治家がとるべき姿勢ではないでしょうか。(大きな拍手)

 そして私が強調したいのは、稲嶺市長が「再編交付金」に頼らず名護市政を立派に前進させてきたという事実です。相手陣営は「8年間で135億円の損失」といいますが、稲嶺市政はこの7年間で、歳入を総額で508億円も増やしてきました。

 どうしてこんなことができたのか。国は自治体にいろいろな補助金を出していますが、基地と関係のない補助金は全国平等です。いくら安倍政権でも差別するわけにはいきません。稲嶺市長は役所の人たちと一緒に知恵を絞り、たくさんの補助金の中から、基地と関係のない、市の事業と合う補助金を、調べ、活用することで、歳入を大きく増やしたのです。(拍手)

 稲嶺市長は、拡充した予算で市民の暮らしを良くする素晴らしい実績を次々とあげてきました。県内11市で初めて、子どもの医療費を中学校卒業まで通院・入院ともに実質無料にしました(拍手)。学校の耐震化を進め、2018年度中に100%達成の見込みとのことです(拍手)。保育園を13園、1395人分増やし、今年4月には待機児童ゼロ達成の見込みとのことです(拍手)。国保会計への市の繰り入れは、1人当たりで県内11市で一番多く、世帯当たりの国保税は一番安くなりました(拍手)。建設事業費は64億円から89億円に増額し、使い方も大きく変化しました。稲嶺市長のもとで、市発注の公共事業のほぼ100%が市内の業者に発注されるようになったとうかがいました。(大きな拍手)

 基地に頼らず、自分の足で立ち、市民とともに進む――稲嶺ススム市長でこそ、誇りと尊厳のある名護市をつくることができることは、2期8年間の実績でも明らかではないでしょうか。(指笛、大きな拍手)

温かく誠実、ぶれない強さを持った政治家――稲嶺ススム市長の勝利必ず

 私は、名護市を訪問するたびに、稲嶺市長にお会いし、その人柄に強い感銘を受けてきました。一つは「温かく、誠実な政治家」だということです(拍手)。もう一つは「ぶれない強さを持った政治家」だということです(拍手)。ウチナーグチで言うならば、「ガージューでマクトゥな政治家」(笑い、大きな拍手)。多くの市民のみなさんも感じられていることではないでしょうか。(拍手)

 「温かく、誠実な政治家」ということでは、稲嶺市長は教育長を退任した直後から交通安全指導員として、毎朝、通学路で子どもたちの安全を見守り続けてきました。市長選に出ることが決まった時に、子どもたちに「市長になってもみんなとの約束は守るから」と約束したことを守り続け、8年間、出張など公務がない限り、毎朝、「交通安全おじさん」を続けているとのことです。日本中どこを探しても、こうした市長さんは、なかなかいないのではないでしょうか。(拍手)

 今日、後援会の事務所にうかがうと、小学校1年生の女の子が書いた「ススム市長へのおてがみ」が貼ってありました。「いつもわたしたちをまもってくれてありがとうございます。これからもよろしくおねがいします。にこにこと『いってらっしゃい』といわれると雨の日もげん気になれます。ありがとうございます」(拍手)

 稲嶺市長は「交通安全おじさん」を続けてきた思いについて、「しんぶん赤旗」のインタビューで、「地域のおとなが子どもたちと関わることで信頼関係ができ、子どもたちの地域への理解も深まる。そんな思いからです」と語っています。

 稲嶺市長は今回の選挙で、「子どもの夢 未来 紡ぐ名護のまち」。これを掲げています。稲嶺市長の目線は常に子どもたちと同じ目線に立っており、その目は子どもたちの未来――20年先、30年先をしっかり見据えていると思います(拍手)。稲嶺市長が取り組んできた子どもの医療費無料化、保育園の増設など、子育て支援や教育環境の整備は、すべて、子どもたちの未来に責任を負うという、誠実な温かい心と結びついているのではないでしょうか。(拍手)

 「ブレない強さを持った政治家」という点は、「辺野古の海にも陸にも基地を造らせない」という公約を、1ミリもぶれずに貫いた稲嶺市長の2期8年のがんばりが、それを証明していると思います。(拍手)

 新基地を押し付けるために国が起こした不当な訴訟に対して、翁長知事とともに断固として立ち向かった16年2月の福岡高裁での稲嶺市長の証言の結びの言葉を、私はここで紹介したいと思います。

 「負担軽減というならば、現在の普天間飛行場は即刻閉鎖すべきです。そこに条件をつけるべきではありません。この施設(辺野古新基地)ができるとさらにこれから100年あるいはそれ以上、固定化され、発生する事件、事故を一身に背負わされて生きていかないといけません。それは子どもたち、孫たち、これから生まれてくる世代に引き継がれます。今を生きる責任世代として、これを決して許してはなりません。

 裁判長、裁判所においては、これまで70年間の沖縄の歴史、そしてそこで行われてきた人権をも否定するようなことから、私たちを解放してほしい。そういうことのない世界を実現してほしいという強い願いを持っています。……私たちは普通の人間の普通のまちのなかで生活をしたい。沖縄県民の人権を守ってほしい。守れる社会をつくってほしい。このようにお願いします」(拍手)

 名護市民の生んだ、「ガージューでマクトゥの政治家」――稲嶺ススム市長の3回目の勝利を必ず勝ち取ろうではありませんか。(指笛、大きな拍手)

 大激戦です。相手は官邸と自民党本部です。残る期間、政党・政派の違いを超えて、稲嶺ススムさんへの支持を広げに広げ、稲嶺勝利で辺野古新基地に決着をつけ、基地のない平和で豊かな沖縄、「子どもの夢 未来 紡ぐ名護のまち」をつくろうではありませんか。日本共産党も全力でがんばりぬく決意です。(指笛、歓声、長く続く拍手)