志位和夫 日本共産党

力をあわせて一緒に政治を変えましょう

演説・あいさつ

2017年12月10日(日)

共同、学び、要求実現――民青の魅力輝かせ前進を

日本民主青年同盟第41回全国大会 志位委員長のあいさつ


 8日から静岡県内で開かれている日本民主青年同盟(民青同盟)の第41回全国大会2日目の9日、日本共産党の志位和夫委員長があいさつしました。


いま、民青を急速に大きくする条件は大いにある

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(写真)あいさつする志位和夫委員長=9日、静岡県内

 志位委員長の民青大会参加は12年ぶり。民青の大会決議案が「同盟員の倍加をめざし、この大会から新しい挑戦をはじめます」と述べたことについて「すばらしい」と述べました。その上で、日本共産党の第3回中央委員会総会(3中総)で「全党が総力をあげて、民青同盟を強く、大きくしていく仕事に、民青のみなさんと心を一つにとりくむ」と決めたことを紹介し、「一緒に力をあわせて、『倍加』をやりとげよう」と表明。第27回党大会後、毎月、民青中央と党三役で懇談を続けてきた実感として、「いま民青を急速に大きくする条件は大いにあります」と強調しました。

 志位氏は、メディアなどで「若者は右傾化している」という議論があるが、NHKが2016年参院選後の9月に行った政治意識調査で、若者の政治的関心は高く、「憲法を守りたい」が多数、「9条を守りたい」は絶対多数となっていることを紹介。その理由も「平和憲法として最も大事な条文だから」「海外での武力行使の歯止めがなくなるから」であり、「若者は安倍改憲の本質を見抜いている」として、「民青のみなさんが訴えていることと、多くの若者が考えていることは、同じ方向を向いています」と述べ、「若者のなかで民青を強く大きくする条件は大いにある」と力説しました。

「青年との共同」――若者のなかで共闘をさらに発展させ、民青を大きく 

 どうやって民青同盟を強く大きくしていくか。大会決議案は民青の役割について「『青年との共同』『草の根の行動力』『社会を変革する学び』」だと述べています。志位氏は、「ここで言われている『三つの役割』は、そのまま民青の『三つの魅力』と言い換えても良いのではないでしょうか」と問いかけ、「ここに民青を強く大きくする法則的な道があると思います」と語りました。

 第一は、「青年との共同」にかかわって、市民と野党の共闘を青年のなかで大いに推進し、若者のなかで社会と政治をかえる共同をつくっていくことです。

 志位氏は、3中総で総選挙の教訓と課題について確認した内容について詳しく報告。「これからも市民と野党の共闘をとことん追求し、安倍政権を倒し、野党連合政権ができるまで頑張りたい」と表明しました。その上で、民青が「青年との共同」を大方針にすえて頑張ってきたことが「若者のさまざまな新しい自発的な運動の先駆けとなり、促進する役割を果たしてきた」と強調しました。

 若者のなかで安保法制=戦争法に反対するたたかいの始まりは、14年6月に開かれた若者憲法集会でした。1000人が参加し、NHKニュースでも報道されて社会的注目を集めました。翌15年にSEALDs(シールズ)が結成され、6月には若者憲法集会とシールズがデモを事実上共催。戦争法反対と、野党共闘を求める若者の運動が全国で爆発的に広がりました。

 「『青年との共同』を通じて民青のみなさんは、たくさんの新しい友人を全国につくっていると思います。若者のなかでの共闘――統一戦線をさらに発展させ、そのなかで民青を大きくしよう」と訴えると、大きな拍手がおきました。

「社会を変革する学び」――民青の最大の魅力はここにある

 第二は、「社会を変革する学び」についてです。日本共産党の綱領と科学的社会主義を学び、社会発展の法則にそって社会を変革するなかで一人ひとりが成長していくことは、他の若者団体や組織にはない民青の最大の魅力です。

 志位氏は、党綱領を学ぶ意味、楽しさについて、綱領が明らかにしている民主主義革命論、世界論、未来社会論の三つの角度から話を進めました。

民主主義革命論―「なぜ」「どうすれば」「だれが」がわかる

 一つ目は、民主主義革命論にかかわる楽しさです。綱領を学ぶことで、社会のいろいろな不合理がどうして起こるのか――「なぜ」がわかります。

 志位氏は、ブラック企業がはびこる理由は個々の企業が悪いだけではなく、政府と財界が一体となって進めている労働法制の規制緩和が原因だと指摘。若者の2人に1人が非正規雇用とされ、いくらでも「使い捨て」できる働き方にした「財界中心政治」が根本にあると述べ、「『なぜ』がわかると霧が晴れたようになります」と強調しました。

 さらに「どうすれば」がわかる――社会を変える展望がつかめることです。米軍基地問題や、核兵器禁止条約に日本政府が背を向けている問題の根本には、あまりにひどい「米国いいなり政治」があり、その中心に日米安保条約があります。

 志位氏は、安保条約10条が「(日米の)どちらか一方が通告すれば、1年後にはなくなる」としており、日本国民の意見がまとまれば安保条約を廃棄できると強調。党の北東アジア平和協力構想を紹介し、「東南アジアではASEAN(東南アジア諸国連合)という地域の平和共同体があります。TAC(東南アジア友好協力条約)という友好協力条約を結んで、あらゆることを話し合いで解決する枠組みであり、こういう地域の平和共同体を北東アジアでもつくろう」と呼びかけました。

 さらに、綱領を学ぶことで「だれが」社会を変えるのか――主権者である国民のたたかいこそが社会を変える力であることがわかります。

 志位氏は、民主主義革命を進めるためには、国民多数のなかで合意をつくってこそ現実のものになるという「多数者革命論」について述べ、それを進めるのは「統一戦線」だと指摘。「市民と野党の共闘は、『統一戦線』が日本の歴史のなかで初めて本格的に始まったという胸がおどるような出来事です」と力説しました。

世界論―本流と逆流を見定めてこそ、日本の運動も確信をもって進められる

 二つ目は、世界論を学ぶ意味についてです。何が世界の本流で、逆流かを見定めてこそ、日本の運動も確信をもって進めることができます。

 巨大メディアの報道では、世界は混とんとして危険なことばかりのようになってしまいます。しかし、綱領の立場で世界を見ると、20世紀に世界の構造変化が起こり、植民地体制が崩壊して100を超える主権国家が生まれ、21世紀は、一握りの大国中心ではなく、国の大小を問わず全ての国が世界政治を動かす主人公になる新しい時代が到来しています。

 核兵器禁止条約の国連会議では、そうした21世紀の新しい姿が示されました。志位氏は、核兵器大国の妨害をはねのけて「小さな国」が大きな存在感を発揮し、堂々と国連会議を成功させたと強調。核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)がノーベル平和賞を受賞し、授賞式で被爆者サーロー節子さんが演説することや、被爆者の和田征子さんがローマ法王と会見し、「ヒバクシャ国際署名」にバチカンの首脳が署名したことなどをあげ、「どんなに妨害しても、この流れを止めることはできない」と力を込めました。

 さらに、今月4日の国連総会で、オーストリアが提出した核兵器禁止条約に署名・批准を呼びかける決議が賛成125で採択され、ブラジルが提出した禁止条約を歓迎する決議は賛成149カ国で採択されました。核兵器禁止条約の賛成国は当初の122カ国から広がりを見せており、核大国による激しい妨害工作をはねのけて進んでいると述べ、「圧倒的多数の国ぐにとともに、被爆者を先頭とする市民社会の役割がいよいよ世界で重みを増してきています」と強調しました。

 対照的なのは逆流のみじめさです。米国と共同提案となった日本政府の決議案は、核兵器禁止条約について一言も言及せず、核不拡散条約(NPT)6条の核兵器国の核軍備撤廃義務すら削除されており、批判が集中しています。志位氏は、安倍首相が核保有国と非保有国との「橋渡し」を務めると述べていることについて、「何が『橋渡し』か。核保有大国の代弁者、別動隊になっているのが日本政府ではないか。綱領の世界論で見ると安倍外交のみじめさ、ちっぽけさが鮮明になります」と述べました。

未来社会論―若者のいまの切実な願いにつながっている

 三つ目は、未来社会論は遠い先の話でなく、若者の今の切実な願いにつながっているということです。

 志位氏は、資本主義の社会悪の根源には、資本の利潤をひたすら増やすことを生産の推進力―生産の目的・動機とする「利潤第一主義」があると指摘。この害悪を取り除くには、生産手段を資本家の手から社会の手に移すことが必要であり、このことによって生産の推進力――目的・動機が「利潤第一主義」から「社会と人間の発展」へと変わると述べ、これが、「生産手段の社会化」であり、社会主義へ進む変革の中心だと強調しました。

 未来社会の最大の特質は「人間の自由で全面的な発展」にあります。マルクスは、その最大の保障を「労働時間の抜本的短縮」に見いだしました。搾取がなくなり、社会のすべての構成員が生産活動にあたることになれば労働時間は大幅に短縮されます。さらに、経済を「利潤第一主義」の狭い枠組みから解放することによって資本主義につきものの浪費が一掃され、物質的生産力の新たな飛躍的発展の条件がつくりだされ、この点からも自由に使える時間が保障されることになります。

 「いま私たちがとりくんでいる労働時間を短縮するたたかいは、未来社会の最大の特質である『人間の自由で全面的な発展』につながる人類史的意義をもつたたかいです」と強調した志位氏。「(資本主義的生産は)人間、生きた労働の浪費者であり、血と肉の浪費者であるだけでなく、脳髄と神経の浪費者である」とのマルクスの言葉は、「長時間・過密労働で生命と健康がむしばまれ、ブラック企業や不安定雇用で人間の『使い捨て』が横行している現代の日本資本主義に対する痛烈な批判ともなっています」と述べ、「綱領セミナー」でこの言葉を紹介した際、「私たちのことを言っている」という感想がたくさん寄せられたと語りました。

 志位氏は「資本主義につきものの浪費は未来社会では一掃される」として、私たちがめざす未来社会とは、自分の能力を思う存分生かしたいという若者の願いに全面的にこたえる社会であり、「人間の自由で全面的な発展」を最大の特質とする社会だと強調しました。そして、「未来社会論は、いまの若者の苦しみ、願いに直結しています。大いに学び、その魅力を語りましょう」「社会を変革するために“一緒に学ぼう”と大いに訴えて、強く大きな民青をつくってほしい」と呼びかけました。

「草の根の行動力」――「一人ひとりの『やりたいこと』を大切に」 

 第三は、民青の「草の根の行動力」です。

 民青の大会決議案は「青年の要求を掲げ、新しい政治をつくる運動を広げよう」が太い柱となっています。志位氏は、民青同盟の「加盟よびかけ文」に「一人ひとりの『やりたいこと』が出発点」と書かれていることについて、「ここが大切だと思います。一人ひとりの『やりたいこと』を大切にしてこそ、楽しい、魅力ある民青になります」と述べました。

 「一人ひとりの『やりたいこと』」と言った場合に、平和、民主主義、暮らしの願いにこたえた運動はもちろん大切です。とくに、安倍9条改憲を許さないたたかいは最大の焦点であり、9条改憲案の国会発議を阻止するために安倍9条改憲反対の揺るぎない国民的多数派をつくる――「若者のなかでは絶対的多数派をつくってほしい」と訴えました。

 そのための最大の政治的カギは、9条に自衛隊を明記する安倍9条改憲の本質が「海外での武力行使を無制限にするということにあることを広い国民・青年の共通の認識にしていくことです」と強調。「安倍9条改憲NO! 全国市民アクション」が呼びかける3000万署名を集めきり、安倍9条改憲を大失敗に追い込んで、一緒に安倍政権も退陣させようと訴えました。

 同時に、「一人ひとりの『やりたいこと』」はいろいろと多面的で多様です。志位氏は、埼玉の北部地域で、党と民青が協力してバーベキューや数学の勉強会、ボルダリング、フットサルなどの多彩な企画をおこない同盟員を拡大していることを聞いたと述べ、全国各地で、「9条について考えるギョーザパーティー」や「たこ焼きパーティーで歓迎会」などが取り組まれ、「民青は楽しいね」が共通した実感となっていることに言及。「こういう活動はとてもいいですね」と語りました。

 志位氏は、民青の前進である戦前の「共青」(日本共産青年同盟)でも反戦平和の不屈のたたかいとともに、青年の多面的要求に応えてスポーツやピクニックなど実に多彩で楽しい活動に取り組んでいたことを紹介。「これは共青から民青に引き継がれているすばらしい伝統です。どうか一人ひとりの『やりたいこと』を大切にして、楽しい活動を若者とともにとりくみ、そのなかで新しい仲間を迎える活動を進めてほしい」と激励しました。

3中総決定をふまえ民青同盟への援助を党の総力あげて

 志位氏は3中総決定を紹介して、「日本共産党として、民青のみなさんと力をあわせて民青を大きくするために、次の点を心がけて力をつくしたい」と表明しました。

 (1)党と民青との懇談を中央から県、地区にいたるまで系統的に行い、同盟員の拡大と班づくりの目標と計画を具体化しやりとげる(2)『日本共産党綱領セミナー』『マルクスと友達になろう』などを活用して学習の援助をおこなう(3)民青の県委員会が定期に会議を開き、会議を通じて成長していけるよう援助する(4)高校生のなかで同盟員を増やし、民青班をつくる活動にとりくむ。

 「民青を大きくする主役は言うまでもなく民青自身です。私たち党が果たすべき仕事は、その手助けをすることです」と述べ、党の役割は、民青がない地域・職場・学園で党の結びつきを生かして民青を拡大すると同時に、民青が自分の力で同盟員を増やしていけるよう援助し、学習を中心に成長の手助けをすることだと強調。「みなさんと心を一つにして、民青同盟『倍加』という大目標にとりくむことをお約束したい」と語りました。

「未来は青年のもの」「青年動くときすでに勝利の光あり」 

 志位氏はあいさつの結びに、「若いみなさんがどういう時代に生きているか」について話しました。日本の政治はいま、市民と野党の共闘によって日本の政治を変えるという、かつて体験したことのない未踏の領域へと足を踏み入れています。「みなさんは、そういう未踏の領域への歴史的挑戦が始まったその時に、まさに青春時代を生きている。素晴らしいめぐりあわせではないでしょうか」と語りかけました。

 世界を見ればどうか。核兵器禁止条約が示すように、大国中心の時代は終わり、世界のすべての国ぐにの政府と市民社会が、国際政治の主人公になる新しい時代が始まっています。

 志位氏は、世界で平和、人権、社会進歩が勝利をおさめ、資本主義を乗り越えて新しい社会をめざす流れが成長し発展する21世紀の大きな時代的特徴を示しました。その上で、「若いみなさんは、21世紀のそうした希望ある世界を見届けることができるだろうし、そうした変化の担い手となることができます。日本でも、世界でも、新しい時代が始まっているときに、青春時代を生きているみなさんが、新しい日本、新しい世界の創造者として、学び、成長し、仲間を大いに増やすことを強く願ってやみません」と訴え、「未来は青年のもの」「青年動くとき、すでに勝利の光あり」と激励すると、青年たちは大きな拍手で応えました。