志位和夫 日本共産党

力をあわせて一緒に政治を変えましょう

演説・あいさつ

2017年6月26日朝9時から

東京都議選 志位和夫委員長の激励あいさつ


 親愛な東京の同志のみなさん。全国からのオルグとしてがんばっている同志のみなさん。おはようございます。

 連日の奮闘に心からの敬意を申し上げます。

 私は、東京各地をまわりまして、東京都党組織のみなさんの大奮闘はたいへんなものだと感じております。これまでにない力が発揮されつつあると思います。組織戦でも宣伝戦でも、前回の選挙に比べますと、明らかに大きな力が発揮されつつあります。

 同時に、都委員長の報告でも言われたように、勝利のためには、「活動の規模と速度を倍加」する必要があります。この「倍加」ということを掛け値なしにやりきってこそ、勝利への道が開かれます。

 選挙戦は、残り1週間です。今日、いろいろな世論調査の結果が出ております。ここで一番注目すべきは、「投票先を決めていない」という人が57%と、多数であるということです。まさにこれからのがんばりが勝敗を分けることになる。今日からの1週間は、歴史的な1週間になると思います。

 私は、みなさんとともに最後までがんばりぬく決意を込めて、残る1週間、どういう構えでたたかうかについて発言をしたいと思います。

党の活動が、いま情勢の激変にふさわしいものになっているか

 どういう構えでこの1週間をたたかい抜くか。私たちの活動をはかる基準として、2つのことを訴えたいと思います。

 第1は、党の活動が、いまの情勢の激変にふさわしいものになっているか――情勢の激変をくみつくすものとなっているかという問題です。

 安倍内閣支持率の急落がおこっています。今日、発表された各紙の調査でも、「読売」の調査(東京都内)で、支持率が39%(マイナス9ポイント)、不支持率は50%です。「朝日」の調査でも支持率は40%(マイナス12ポイント)、不支持率は50%です。そして、首相自身が、選挙戦が始まって3日たちましたが、街頭で訴えられません。安倍政権による国政の私物化、憲法を壊す暴走に対する国民の怒りが噴き上がっています。

 こういう変化のなかで大事なことは、いまの選挙戦で、安倍自公政権への正面からの批判をやっている最も有力な政党が日本共産党だということです。選挙戦のなかで、自民党も公明党も、いっさい国政を語れません。「都民ファーストの会」も語れない。有力な政党のなかで正面から立ち向かっているのは日本共産党なのです。そういうもとで、安倍自公政権への批判の声を託しうる政党は日本共産党だという流れが起こる可能性が生まれているということが言えると思います。

 情勢の激変と言いましたが、それはたいへんに深く、広いものです。東京各地からの声を聞きますと、「これまで自民党を支持してきたけれども愛想がつきたから共産党を支持する」という声がずいぶん広がっています。

 ただ、自民党への批判はもっと広いところからも生まれている。自民党支持者が、「自民党に間違いを気づかせるには共産党を応援するしかない」、「今度ばかりは自民党にお灸をすえるために共産党に入れる」、こういう広がりもたくさん報告されています。

 「しんぶん赤旗」の6月25日付で紹介されていますが、足立区で、壮年の男性が、告示前に鈴木けんいちさんの事務所に勢いよく入ってきて、いきなり「今度の選挙は共産党は何と書けばいいんだろう」とたずねました。驚いた党後援会員が事情を聞くと、男性は「自民党に間違いを気づかせるためには共産党を応援するしかないと思っている」、「自分が好きな自民党は、右から左までいろんな考えを持った人がいて、行き過ぎがあればいさめる人もいた。しかし、いまは安倍首相をいさめる人もいない。自分が好きだった懐の深い保守本流の自民党ではなくなってしまった」と語ったということです。

 この人はまだ、自民党への思いを持っているわけです。思いを持っていながら、いまの自民党をただすには共産党に入れるしかないと、お灸をすえたいということですね。お灸というのは健康にするためにすえるわけですから(笑い)。そういう方も含めて、いま変化が起こっています。これはたいへんに深く、広い変化だと思うのです。

 こういう情勢の激変が起こっているときに、党の活動がそれにふさわしいものになっているか。激変を汲みつくすものになっているか。激変への対応の立ち遅れがないか。ここを私たちの活動をはかる基準としてしっかりとすえて、何としても活動の飛躍をかちとろうではないかということを、訴えたいのであります。

 さきほど、安倍自公政権への批判を託しうる政党は日本共産党だという流れが起こる可能性が生まれていると言いました。これはあくまでまだ可能性です。この可能性を現実のものにできるかどうかは、これからの1週間にかかっています。

 これまで党と接点のなかった人々、縁遠かった人々をふくめて、文字通り、全有権者の規模で、私たちの声をとどけきる。宣伝戦でも、組織戦でも、とどけきる。それをやりぬくならば、いまの情勢の激変のもとで、日本共産党が、安倍政権の暴政への国民の怒りの文字通りの「受け皿」となり、躍進をかちとることは可能です。そういう活動を残る1週間やりぬこうではないか。情勢の激変がはらむ可能性を現実のものとするために、いまここで、私たちの活動の水準を、量質ともに何としても飛躍させる。そのために全力をあげようではありませんか。(拍手)

自民党と公明党の必死さを凌駕する構えになっているか

 第2は、そういう情勢だけに、自民党と公明党には死に物狂いの必死さがあります。政権党――権力をもっている政党の必死さですから、それを打ち破って勝利することは並大抵のことではありません。文字通り、党の総力をあげなかったらできません。自民党と公明党の必死さを凌駕する構えになっているかどうか。これがもう一つの私たちの構えで大事な点だと思います。

 自民党は組織の徹底した締め付けをやっています。猛烈な締め付けです。産経新聞が書いています。「首相ら 街頭立たず 組織票固め 徹底構え」。「力を入れるのは組織票固めだ。選対幹部は『徹底的に組織を固めるしか勝つ方法はない』と語る」。

 安倍首相は電話かけを一生懸命やっているようです。JA全中が22日に開いた所信説明会で、JA東京中央会の須藤会長がこう語った。「昨夕、突然、携帯電話に『安倍晋三です』という電話があった。『須藤 全中の会長候補 頑張れよ』という話ではなく、実は明日から東京都議選ということで『ぜひ農業団体をまとめて頼むよ』という話だった。まさか首相から電話がくるとは思わなかったが、独り勝ちだった安倍政権もここにきてほころびがある。森友学園や加計学園の問題がある中での東京都議選なので、そういうことがあったと思う」。

 二階幹事長は第一声でこう言いました。「私ども党本部も、少しでもお知り合いということで、日本全国に号令をかけてお知り合いをご紹介いただき、また、都連を通じてみなさまにこれを連絡する、今までにないような選挙を戦っております」。普通はこういうことは第一声でいうことではありません。党内の訴えで話すような中身ですが、全国であらゆる業界団体を締め付けて、票を搾り出そうとしている。こうした組織の締め付けを、ものすごい執念で彼らはいまやっていると思います。

 最近、私が報告を受けたことですが、各地の民医連の診療所にも自民党が訪問してきたということです。自民党の衆院議員やその秘書などが突然訪問し、「都議選がありますのでよろしくお願いします」と、パンフレットなど一式を持ってきた。民医連について、分かってやっているのかどうかはわかりません。見境なくやっているのかもしれません。ともかく民医連の診療所にまできているぐらい、危機感にかられて、ありとあらゆる団体に支持依頼をやっているわけです。

 それから公明党は、共産党攻撃に「活路」を見出そうとしています。異常な攻撃を繰り返しています。たいへんに品のないツイートも問題になっています。公明新聞を見てみますと「共産猛追」と。「共産」という文字が、「赤旗」でも使ったことがないぐらい巨大な活字で踊っておりますが(笑い)、公明党もまた追い詰められているのです。政治的には活路がないのです。国政では逆風です。都政では、小池知事の後ろに隠れてなんとかやりすごすという作戦ですけれど、深刻な矛盾がある。それをなんとか、反共のバネで乗り切ろう。ただ、この執念はものすごいものです。

 こうした自民、公明の必死さ、追い詰められての死に物狂いの必死さに打ち勝とうとすれば、よほどこちらも性根を据えてかからなければできません。

 実際に、2人区、3人区はもとより、4人区、5人区以上も含めて、自民、公明との激しいつばぜり合いになっている。多くの選挙区が、「都民ファースト」などもふくめて、文字通り1票を争う大激戦、大接戦となっています。自民、公明の反動的な執念、反共の執念に打ち勝つたたかいをやりきってこそ、勝利をつかむことができます。

 みなさん。情勢は劇的な変化が起こっている。それにふさわしい構え、それを汲みつくす構えを確立して頑張りぬく。そして、自民、公明の死に物狂いの必死さに負けない構えを確立して頑張りぬく。これを掛け値なしにやりきれば、私は、躍進する条件、可能性は間違いなく存在すると思います。同時に、やりきれなかったらチャンスを逃す。後退する危険もあることを率直にのべなければなりません。やるべきことをやりぬいて、必ず躍進を勝ち取ろうではありませんか。(拍手)

豊洲問題の矛盾に満ちた対応――「都民ファースト」の深刻な弱点への「前向き批判」を

 「都民ファーストの会」について、一言、のべておきたいと思います。

 私たちは、都議選の論戦の基本として、正面の相手は自民、公明だということを、一貫して訴えてきました。「自民・公明対日本共産党」――この対決構図を、私は、最後まで揺るがず貫くことが大事だと思います。この対決構図を最後まで揺るがずに押し出していってこそ、「都民ファーストの会」への批判も説得力を持つ。こういう関係をよくつかんで最後まで論戦を展開したい。

 小池知事が豊洲問題の「基本方針」を出しました。それに対しては、大山とも子都議団幹事長が談話を出し、若林都委員長がインタビューを発表し、私も第一声で基本的立場を話しています。

 小池知事のこの表明については、都民的には、「よくわからない」というのが多数の声だと思います。同時に、日本共産党の主張が伝わると、「よくわかった」ということになります。ここがとても大事な点であります。

 わが党は、今回の小池知事の「基本方針」に対して、まず評価するところは評価しています。「築地を守る」と言明し、「築地に市場機能を残す」と言明した。この一点においては評価しました。ここはとても大事な点であります。評価すべきは評価してこそ、これまでの都民のたたかいに自信がもてるし、今後のたたかいに展望が出てきます。「そう言ったからには、言ったとおりやりなさい」というたたかいができます。

 そして、評価すべき点を評価してこそ、私たちは深刻な二つの問題点――「食の安全・安心」と両立しない、「築地ブランド」を守ることと両立しない、この二つの問題点を厳しく批判していますが、問題点の批判が説得力をもつと思います。すなわち、頭ごなしの批判ではなくて、「前向きの批判」こそ一番力をもつのです。

 この問題で大切なことは、小池知事にとっては、豊洲問題というのは「都政大改革」なるものの最大の目玉だったのです。それに対して、結局、こういう矛盾に満ちた対応しかできなかった。これは「都民ファーストの会」の深刻な弱点となっています。さきほど二つの問題点といいましたが、この問題点を「前向き批判」としてきびしく指摘する。つまり、「食の安全・安心」と言うなら、「築地ブランド」を守ると言うなら、豊洲移転は再検討すべきではないか。築地市場を営業しながら再整備する方途について、市場業者のみなさんと真剣な協議をすべきではないか。こうした「前向き批判」が、「都民ファーストの会」に対する一番的確で、効果的な批判となるのです。

 都政問題のこの最大争点で、「都民ファーストの会」に対しても、大いに攻め込む攻勢的な論戦を展開していこうではありませんか。

全国のみなさんが「わがこと」として都議選をともにたたかっている

 最後に、今日は、全国からのオルグのみなさんも参加されています。全国のみなさんが、「わがこと」として都議選をたたかっていることについて、私は、感謝を込めて報告したいと思います。

 すでに、全国からの選挙オルグのみなさんが東京の同志のみなさんと心一つに奮闘しています。その他にも、団体、分野の自主的援助者がたくさん支援に入っております。それから、35人の衆参国会議員の全員が、都議選のたたかいに、街頭での応援をはじめ入っています。先日、国会議員団と事務局員の全員参加で決起集会をやりましたが、全員ががんばりぬこうという決意を固めていることも報告したいと思います。

 全国から宣伝ボランティアの方々が、宣伝カー、ハンドマイクを持って街の空気を変える活動を展開しています。今日の常任幹部会で確認して、残る1週間の宣伝隊の抜本的な増強をはかりたいと考えております。最後の最後まで、全党の力を集中する活動を強めに強めて、東京のみなさんと一体に必ず勝利をかちとりたい。

 一つ紹介したいのは、47都道府県のうち、党勢の小さい方の栃木県――東京の平均的な地区委員会ぐらいの党勢ですが、110人を超える後援会員のみなさんを、バスを仕立てて、この3日間、東京に送り出してくれました。110人というのは、栃木にとっては、私は画期的だと考えております(拍手)。全国のオルグのみなさん、送り出してくださった全国の党組織のみなさんに、中央委員会を代表して心から感謝を申し上げたいと思います。(大きな拍手)

京都からオルグにきている同志からの手紙

 私は、京都府からオルグにきてくれているある同志から、昨日夜、手紙をいただきました。どういう気持ちで頑張っているかがよく伝わってくるもので、心打たれたものでした。この同志は、5月22日から泊まり込みで頑張っています。昨日、街頭演説が大成功したことを受けての手紙です。みなさんにご紹介したいと思います。

 「志位さん、大げさだと笑わないでください。私の今の気持ちは、『音を立てて歴史が変わる瞬間に立ち会っている』ような気がしています。今日の街頭演説のとき、私はビラ配りをしていましたが、通りかかる市民や観光客の足が止まり、人垣がどんどん膨れ上がりました。普通の人が足を止める、話を聞いてくださる、写メを撮る。街宣の1時間だけで、私は200枚超のビラを受け取ってもらいました。京都の四条河原町交差点でも経験したことがありません」。

 中井作太郎(常任幹部会委員)さんに聞きますと、京都のなかでも四条河原町交差点は一番ビラがはけるところだというんですね。京都というのは、日本一、党の力の強いところですが、そのなかでも一番人通りの多い、四条河原町よりもビラがまけるところが(笑い)、昨日の駅前だった(笑い)。手紙はこう続けています。

 「この歴史的な都議選に直接かかわることができて、心から感謝しています。安倍政治を終わらせるために、首都決戦に自分もかかわっている。必ず勝利、躍進して、総選挙の躍進につなげたい、その一念です。告示前も告示後も、毎日、京都から応援のボランティアの人たちが手弁当できてくれています。みな同じ思いです。安倍政権への怒りは都議選で晴らす。総選挙勝利の流れを東京でつくる、来られない人も同じ思いで、京都から電話かけをしてくれています」。

 こういう手紙をいただいて、胸が熱くなりました。(大きな拍手)

「安倍政権への怒りを都議選で晴らす」「総選挙勝利の流れを東京からつくる」

 みなさん、「安倍政権への怒りを都議選で晴らす」。これは東京のみなさんの思いであるとともに、全国のみなさんの共通した思いではないでしょうか。

 そして、「総選挙勝利の流れを東京からつくる」、これもみんなの共通の思いであると思います。

 私たちが、今年の1月の党大会で決めた大戦略は、きたるべき総選挙では、野党と市民の共闘を必ず成功させ、日本共産党の躍進を勝ち取って、安倍政権を打倒し、野党連合政権への一歩をふみだそう。これが私たちの大戦略であります。この大戦略を、都議選のあと、成し遂げようと考えれば、何としても都議選で共産党が躍進する必要があります。

 2013年の都議選で躍進したことが、参議院選挙、総選挙の躍進とつながり、そして野党と市民の共闘の呼びかけにつながり、去年の参議院選挙では第一歩の成果を得たわけです。総選挙では、その成果にたって、さらに第二歩の大きな成果をつくる。その新たなたたかいを、都議選から始めようではありませんか。

 まず、都議選で勝ち、そして総選挙では、野党と市民の共闘をさらに大きく前進させる。そうしたことを展望しても、日本共産党が、今度の都議選で躍進することは、日本の政治にとっての私たちの重大な責任であると肝に銘じて、何としてもそれをやりぬこうではありませんか。残り1週間悔いなくがんばりぬこうではありませんか。(大きな拍手)