2016年7月9日(土)
共産党に1票、平和の選択
参院選 9条改憲が大争点に
日本の命運のかかった歴史的な参院選が大詰めとなる中、憲法問題が大争点となっています。アベノミクス一本でやり過ごそうとした安倍晋三首相の思惑はくずれ、“改憲勢力が(改憲の発議が可能となる)3分の2を占めることになったら大変だ”と、有権者の間に危機感も広がっています。
安倍首相は、公示直前の党首討論で、日本共産党の志位和夫委員長に「9条に手をつけないと言えるのか」と問われ、否定しませんでした(6月21日、日テレ系番組)。9条が改憲の本丸であることが浮き彫りになりました。安倍首相は「次の国会から憲法審査会を動かしていきたい」(同16日、ネット党首討論)とものべました。
街頭で口にせず
ところが安倍首相は、6月22日の公示日以降8日まで、街頭演説で憲法問題を一言も口にしていません。党首討論の開催も拒否し続ける無責任な姿勢です。
一方、自民党は同党改憲案の立憲主義破壊の内容を批判されると、「あれはたたき台」(谷垣禎一幹事長、3日、NHK番組)などと言い訳。公明党は公示前・序盤は「改憲は争点ではない」などとしていましたが、改憲が大争点として注目を浴びる中、終盤になって「公明党は改憲勢力ではない」「自民党とは違う。草案はつくっていない」などと弁明をはじめています。
しかし、自民党改憲案は「改憲」を党是とする自民党の世界観を示すもの。戦力不保持と交戦権の否認を定めた9条2項を削除し、「国防軍」の創設などを明記しています。自民党の京都選挙区の候補者はメディアのアンケートに改憲案の通り「国防軍」創設と回答しています。人ごとのようないいわけは通用しません。
公明党も自らの立場を「憲法改正だ。はっきりしている」と幹部が語っています。何より、選挙協力で自民党を勝たせるために全力を挙げているのが公明党で、改憲の推進力としての姿は明確です。
次世代に渡す
こうした中、日本共産党の志位和夫委員長は、「戦後、憲法9条のもとで、自衛隊が一人の外国人も殺さず、一人の戦死者も出してこなかった平和の歩みを、ここで断ち切っていいのかが問われています」と訴え。投票先を迷っている有権者に「戦争法と9条改憲で日本を『海外で戦争をする国』にしていいのか。投票を決めていない皆さん、どうか投票所に足を運んでいただき、危険な道を許さない審判を下してください。憲法9条を次の世代に手渡したいと願っているすべてのみなさん、どうか日本共産党に1票投じていただき、平和の選択をしてください」と呼びかけています。
危険高まる南スーダン
「(改憲を)在任中に成し遂げたい」と明言してきた安倍首相の自民党総裁任期は、2018年9月までです。秋の臨時国会で改憲論議を本格化させ、来年(17年中)には「どの条文をどう変えるか」を絞り込む動き。18年夏までに改憲の国会発議を行い、国民投票に踏み切る狙いが秘められています。
立憲主義破壊
安倍首相は、参院選公示前の党首討論で「憲法改正を目指していくことを選挙公約にちゃんと書いている」とも述べました。選挙が終われば、「公約に示していた」と言いだすことは確実です。首相の腹心、自民党の稲田朋美政調会長も、「私たちは憲法から逃げていない。争点にしていないわけではなくて、(改憲の)考えのない人とは議論ができない」(5日、長野市)と述べています。
戦争法で立憲主義を破壊した安倍政権に憲法を触らせるほど危険なことはありません。
戦争法は3月29日に施行されました。いつでも具体的に発動できる状態です。中でも、南スーダンに派遣されている自衛隊の危険は重大です。
安倍政権は、選挙が終われば南スーダンPKOへ派遣される自衛隊(第11次隊)に、「駆けつけ警護」や「住民保護」などの新任務を付与する狙いです。新任務に付随し武器の使用基準が、「任務遂行・妨害粉砕型」に緩和・拡大されます。
南スーダン中部のワーウで6月24日から激しい戦闘が起き、40人以上が死亡と政府が発表(同28日)しました。国連保護施設には1万人以上が逃げ込んでいるとされます。自衛隊が派遣されている首都ジュバにも国連保護施設はあり、「住民保護」のために武装勢力と交戦状態になる危険があります。
大規模な衝突
2月に北部のマラカルで起きた大規模な武力衝突(少なくとも30人以上が死亡、123人が負傷)について、国連本部に出された直近の報告では、武力行使の基準を定めた交戦規則(ROE)について「理解の欠如があった」とされます。さらに、今後、現地に展開する自衛隊も含め、民間人保護のための武力行使にためらうことなく踏み切るよう強い圧力がかかっているといいます。
現地の自衛隊が「殺し、殺される」状況に追い込まれる危険の強まりを示しています。