志位和夫 日本共産党

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国会質問

2016年6月1日(水)

安倍内閣“五つの大罪”

内閣不信任決議案への 志位委員長の賛成討論

衆院本会議


 日本共産党の志位和夫委員長が31日の衆院本会議で行った安倍内閣不信任決議案に対する賛成討論は次のとおりです。


 日本共産党を代表して、安倍内閣不信任決議案への賛成討論を行います。

 私は、不信任の理由として、安倍政権が、国民多数の民意に背いて、つぎの五つの大罪を犯してきたことを、きびしく指弾するものです。

第一の大罪――

憲法違反の安保法制=戦争法を強行、立憲主義を根底から破壊

写真

(写真)安倍内閣不信任決議案を審議する衆院本会議。賛成討論に立つのは志位和夫委員長=31日

 第一は、憲法違反の安保法制=戦争法を強行し、わが国の立憲主義を根底から破壊しようとしていることです。

 戦争法には、「戦闘地域」での米軍等への兵站(へいたん)の拡大、戦乱が続いている地域での治安活動、地球のどこでも米軍を守るための武器使用、そして集団的自衛権の行使――自衛隊の海外での武力行使を可能にする四つの仕組みが盛り込まれています。そのどれもが、憲法9条を乱暴にじゅうりんするものであることは、すでに明々白々となっています。

 自民党などは、この間、北朝鮮が国連決議を無視した核兵器・ミサイル開発の暴挙を行ったことを利用して、「集団的自衛権を備えないと、北朝鮮の脅威から国を守れない」などと言い募っています。しかし、北朝鮮問題に対応するのに、どうして集団的自衛権が必要か。集団的自衛権の行使とは、日本に対して武力攻撃をしていない国に対して、日本の側から武力の行使をするということです。それは、相手国から見れば、事実の問題として、日本による先制攻撃となります。それは、相手国に、日本を攻撃する大義名分を与えることになります。国民の命を守るのでなく、国民を進んで危険にさらす――ここにこそ集団的自衛権の本質がある。それはすでに国会審議で浮き彫りにされたことではありませんか。北朝鮮問題を利用して戦争法を合理化するなど、論理的に成り立つものではありません。

 戦争法が3月に施行され、日本の自衛隊が、戦後初めて外国人を殺し、戦死者を出す、差し迫った危険が生まれています。わが党は、この間の国会論戦で、南スーダンのPKO(国連平和維持活動)に派兵されている自衛隊の任務拡大、過激武装組織ISに対する軍事作戦への自衛隊の参加、アフガニスタンの治安部隊を支援する多国籍部隊への自衛隊の参加などが、最初の「殺し、殺される」ケースになりかねないことを強く警告してきました。政府はどのケースについてもその危険を否定できなかったではありませんか。日本を再び「殺し、殺される」国にしてはなりません。憲法違反の安保法制=戦争法は、きっぱり廃止すべきです。

 安倍政権が、安保法制=戦争法強行にさいして、「憲法9条のもとでは集団的自衛権は行使できない」という戦後60年余にわたる政府の憲法解釈を、一内閣の専断で百八十度覆すという、立憲主義を乱暴に破壊するやり方をとったことが、日本の法治国家としての土台を根底から危うくしています。野党が憲法53条に基づいて行った臨時国会召集要求を握りつぶす。「放送局の電波を停止できる」などという憲法破りの発言を行った閣僚を、内閣あげて擁護する。安倍総理とその内閣には、自分たちが憲法によって縛られているという自覚がまったくありません。このような内閣に国政を担う資格は断じてありません。

 さらに、総理は、「憲法を改正していく」、きたるべき国政選挙で「自民党改憲案」を「お示ししていきたい」と公言しています。「自民党改憲案」は、憲法9条2項を削除し、「国防軍」の創設を明記し、海外での武力行使を無条件で可能にするものとなっています。「緊急事態条項」という事実上の「戒厳令」に道を開く“毒薬”が盛り込まれています。「公益及び公の秩序」の名で基本的人権を制約するものとなっています。「憲法を憲法でなくしてしまう」――「憲法によって権力を縛る」のではなくて、「憲法によって国民を縛る」ものへと大変質させる安倍政権による憲法改定の野望を、絶対に認めるわけにはいきません。

第二の大罪――

「アベノミクス」が破綻、日本経済と国民生活を危機に

 第二は、3年半にわたる「アベノミクス」が破綻し、日本経済と国民生活を深刻な危機に陥れていることであります。

 総理は、「世界で一番、企業が活躍しやすい国をめざす」と宣言し、まず大企業を応援し、大企業がもうけをあげれば、いずれは家計に回ってくると言い続けてきました。しかし、現実は、それが妄想だったことを証明しました。大企業は史上最高の利益をあげましたが、労働者の実質賃金は5年連続マイナス、5%も目減りしました。

 消費税大増税路線が、大きな破綻に陥っています。消費税8%への増税にさいして、わが党は「景気悪化の悪循環の引き金を引く」と強く警告し、中止を求めましたが、総理は「影響は一時的」と言い張って、増税を強行しました。その結果はどうですか。日本経済の6割を占める個人消費は、増税実施から2年以上たっても冷え込み続けているではありませんか。2014年度、15年度と、個人消費は2年連続マイナスとなりましたが、これは戦後初めての異常事態にほかなりません。

 追い詰められた総理は、来年4月からの消費税10%への引き上げについて、2年半先送りする方針を示しました。これは、「アベノミクス」の破綻、消費税大増税路線の破綻を示すものにほかなりません。にもかかわらず総理は、自らの失政の責任を認めず、先送りの理由を「世界経済」に転嫁し、破綻した路線にしがみついています。

 総理は、世界の経済は「リーマン・ショックの前の状況に似ている」などと述べていますが、そんなことを言っているのは世界の中でも安倍総理だけです。現に、伊勢志摩サミットでも、総理のそうした主張は受け入れられず、首脳宣言には「世界経済の回復は続いている」と明記されたではありませんか。

 「リーマン・ショック」のような危機というなら、世界経済でなく、日本経済の現状にこそあてはまります。現在の個人消費の落ち込みは、「リーマン・ショック」の時以上に深く、長く、深刻です。「アベノミクス」の失政、消費税大増税の失政、総理の失政が、こういう事態をつくりだしたのです。そのことへの反省もなく、自らの経済失政の責任を「世界経済」に転嫁し、破綻した路線にしがみつく。これはあまりに無責任であり、厚顔無恥ではありませんか。もはや総理に、日本経済のかじ取りをする資格はありません。

 消費税頼みの道は破綻が明瞭となりました。消費税10%への増税は、先送りでなく、きっぱり断念すべきです。富裕層と大企業への優遇税制をただし、応分の負担を求める、「消費税に頼らない別の道」への転換が必要です。経済政策のかじを、財界・大企業応援から、国民の暮らし最優先へと、大きく切り替えることを強く求めるものであります。

第三の大罪――

「国会決議」すら無視したTPP協定の強行をはかる

 第三は、自ら賛成した「国会決議」すら無視したTPP協定を、力ずくで押し通そうとしていることであります。

 わずかな国会審議でも、TPP協定が、2013年の「国会決議」に二重に違反していることが明らかになりました。一つは、「国会決議」が「国民に十分な情報提供」を求めているにもかかわらず、異常な秘密主義で批准を強行しようとしていることです。

 いま一つは、「国会決議」では、農産物の重要5項目――コメ、麦、豚・牛肉、乳製品、砂糖は、関税撤廃を認めない――「除外」「再交渉」としているにもかかわらず、それをじゅうりんしていることです。重要5項目のうち3割の品目で関税が撤廃され、残る7割でも関税率を引き下げるなど「無傷な品目は一つもない」ことが明らかになりました。しかも発効7年後には、日本だけが、残った関税も撤廃に向けた協議が約束させられました。こんな協定に調印して「聖域を守った」などというのは、国民への大ウソではありませんか。

 農林水産業、食の安全、医療、雇用、保険・共済、政府調達など、あらゆる分野で日本の経済主権を米国を中心とする多国籍企業に売り渡す、亡国のTPP協定は撤回すべきです。国民に大ウソをついた安倍政権は退陣すべきです。

第四の大罪――

原発事故が収束しないもとで、原発再稼働と原発輸出への暴走

 第四は、福島原発事故が収束せず、今なお福島県全体で9万人をこえる方々が避難生活を強いられているにもかかわらず、原発再稼働と原発輸出への暴走を行っていることです。

 この暴走は国民多数の声を踏みつけにしたものです。どんな世論調査でも、再稼働反対は5割から6割と揺るがない多数派です。この世論の圧力を受けて、2013年から15年までの約2年間にわたって「稼働原発ゼロ」となりました。日本社会は原発ゼロでも立派にやっていけることが、国民的体験を通じて明らかになったではありませんか。

 この暴走に未来はありません。とりわけ「核のゴミ」=使用済み核燃料の問題は、文字通り八方ふさがりとなっています。原発を再稼働させた場合には、計算上わずか6年ですべての原発の貯蔵プールが満杯になります。再処理した場合には利用目的のないプルトニウムがとめどもなく蓄積されることになります。

 「原発ゼロの日本」の決断こそ必要です。国民の命と安全よりも、原発でもうける巨大企業の利益を優先させる安倍政権に、国政を担う資格はありません。

第五の大罪――

沖縄県民の意思を無視した新基地建設の押しつけ

 第五は、沖縄県民の意思を無視して新基地建設を押しつけてきたことです。

 米元海兵隊員によって引き起こされた卑劣な蛮行に強い憤りをもって抗議します。これは基地があるがゆえの犯罪です。沖縄に基地を押しつけ続けた日米両政府の責任は極めて重大です。日米両政府は、事件が起こるたびに「再発防止」「綱紀粛正」と言ってきましたが、守られたためしがないではありませんか。それならば基地撤去しかないではありませんか。少なくとも、米軍に不当な特権を与え、犯罪の温床となっている日米地位協定を見直すことは、最小限の緊急課題ではありませんか。

 ところが安倍政権の対応はどうか。5月25日の日米首脳会談で、総理は、基地撤去はおろか、日米地位協定の見直しすら提起しませんでした。それどころか、その場で名護市辺野古の新基地建設を「唯一の選択肢」とのべ、その推進を誓約したのです。このどこに「沖縄に寄り添う」心がありますか。米国にものを言えず、沖縄の怒りも痛みもわからない安倍政権には、主権国家の代表者たる資格はありません。

野党と市民の共闘を必ず成功させ、新しい政治をひらくために全力をつくす

 安倍政権の暴走に反対して、戦後かつてない新しい市民運動が豊かに発展し、この運動に背中を押されて野党共闘が大きく前進しています。

 野党と市民の共闘を必ず成功させて、選挙に勝ち、自公を打ち倒し、憲法の平和主義、立憲主義、民主主義を貫く新しい政治を築くために全力をつくす決意を表明し、安倍政権の速やかな退陣を強く求めて、私の賛成討論を終わります。