2016年2月7日(日)
戦争法 一刻たりとも放置できない 「殺し、殺される」現実の危険を突く
衆院予算委 志位委員長の基本的質疑
日本共産党の志位和夫委員長が4日の衆院予算委員会で行った基本的質疑は次の通りです。
甘利前大臣の「口利き疑惑」を問う
志位 「政治資金として届け出をしていれば潔白になる」という認識か
首相 甘利前大臣自身は「口利き」には関与していない
志位 告発者は「口利き」の依頼をしたと証言している
志位和夫委員長 私は、日本共産党を代表して、安倍総理に質問いたします。
冒頭、甘利前経済再生大臣の「政治とカネ」の疑惑について、総理の姿勢をただしたいと思います。
政治資金として届け出を行っても、「口利き」をしていれば罪に問われる
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志位 総理は、甘利前大臣が疑惑について弁明し、辞職を表明した記者会見について、(1月)28日夜、記者団が、「甘利大臣は十分に説明責任を果たしたか」とただしたのに対して、「(甘利氏は)自らのことについて丁寧に詳細に説明していた」とお述べになりました。総理にうかがいます。あの記者会見での弁明で、甘利氏本人については疑惑が晴れたというご認識でしょうか。
安倍晋三首相 あの1時間にわたる記者会見においてですね、甘利大臣ご自身の事柄につきましてはですね、詳細に説明をしておられたと、このように思うところでございます。
志位 甘利氏本人については疑惑が晴れたかのようなご発言でしたが、具体的にうかがいたいと思います。
甘利氏は、記者会見で、2回にわたって50万円の金銭を直接受け取ったことを認めたうえで、「政治資金として届け出」をしていたから問題はないと弁明しました。しかし、問題は、甘利氏が「口利き」をしたかどうかにあるわけです。「口利き」をしたかどうかは、甘利氏本人の言明と告発者――すなわち建設会社の総務担当者の言明に食い違いがあり、ここを解明しなければ潔白とはならないはずであります。総理にうかがいます。総理は、「政治資金として届け出ていれば問題はない、潔白になる」というご認識でしょうか。
首相 甘利大臣ご自身はですね、いわゆる「口利き」そのものには関与していないということでございます。その上で申し上げればですね、政治資金規正法にのっとって正しく対応することがいずれにせよ求められているんだろうと、このように思います。
志位 甘利氏本人は「口利き」に関与はしていないということをご発言されましたが、そこが問題になっているわけですよ。告発者は、甘利氏に2度目の現金を渡したさいに、建設会社とUR(都市再生機構)とのトラブルについて、「口利き」の依頼をしたとはっきり証言しているわけです。証言のこの部分について、甘利氏は会見の中でも否定されていないわけです。たとえ、政治資金として届け出を行っても、それで潔白とはなりません。「口利き」をしていれば罪に問われることになるわけです。
常識からかけ離れた異常な金銭感覚―異常といえない首相も異常
志位 もう一問、総理の基本的ご認識をうかがいたいんですが、世間の常識からかけ離れた金銭感覚の問題です。「紙袋に入ったのし袋」「菓子折りの入った紙袋と封筒」という形で、多額のカネを、よく知らない相手から受け取っておいて、金額はいくらかを問うこともしない。どういう趣旨かを確かめることもしない。「適切に処理しておいて」の一言で済ませてしまう。これはそうした処理が日常茶飯事であることを、十分うかがわせるものであります。総理、これは、あまりに異常な金銭感覚だと考えますが、いかがでしょう。異常だと考えませんか。
首相 私自身はですね、そういう形でお金を寄付されたことはございませんが、基本的にはですね、個々のこの出来事についていまコメントをすることは差し控えさせていただきたいと、このように思いますが、いずれにいたしましても、政治資金につきましては、政治資金規正法にのっとって処理されるべきものだと、このように思います。
志位 私は、異常な金銭感覚でないかと聞いたんですね。誰がみても異常ですよ。この異常なことを異常と言えないというのは、総理自身の金銭感覚も異常と言わなければなりません。
真相と責任の徹底究明、企業・団体献金の全面禁止を求める
志位 総理は、自ら任命された閣僚の重大疑惑が持ち上がったら、自ら真相究明に乗り出すべきなのに、一貫して甘利氏本人まかせの姿勢をとり続けました。さらに、甘利氏が調査を踏まえた記者会見をしていない段階で、「重要な職務に引き続きまい進してもらいたい」と続投をさせる考えを繰り返しました。さらに、甘利氏が総理に辞任を報告したさいに、慰留までしました。あまりに、疑惑の深刻さについての認識がない。「政治とカネ」の問題についての感覚まひとしかいいようのない態度であります。
総理は、「任命責任がある」と繰り返しておられますが、本当にそう考えるのならば、こうした態度をあらためて、総理自らが真相解明に主導的役割を果たすべきであります。
甘利氏の大臣辞任で「幕引き」とするわけには絶対いきません。わが党は、甘利氏本人、甘利氏の秘書、建設会社の総務担当者ら関係者の証人喚問を行い、真相と責任を徹底的に究明することを強く求めます。
日本共産党は、パーティー券を含めた企業・団体献金の全面禁止法案を、昨年4月、提出しておりますが、この法案は今国会に継続となっております。議論を尽くし、今国会を、企業・団体献金禁止を実現する国会とすべきであります。
委員長、関係者の国会招致の件、検討していただきたい。
竹下亘予算委員長 後刻、理事会で検討いたします。
南スーダンPKOの自衛隊の任務拡大を問う
志位 今日は、安保法制――私たちは戦争法と考えておりますが、この問題についてただしていきたいと思います。
安倍政権は、昨年9月19日、国民多数の反対の声を踏みつけにして、安保法制=戦争法を強行しました。わが党は、この法律ばかりは、「数の暴力」で成立させられたからといって、それを許したままにしておくことは決してできないと考えております。
安保法制=戦争法の強行によって、日本の自衛隊が、戦後初めて外国人を殺し、戦死者を出すという現実的な危険が生まれております。
多くの危険がありますが、私は、差し迫った重大な危険として、二つの問題について総理の見解をこれからただしていきたいと思います。
志位 南スーダンに派兵されている自衛隊の任務拡大を検討しているのか
首相 この(新たな)任務の付与について検討している
志位 第1の問題は、南スーダンPKO――UNMISS(国連南スーダン共和国ミッション)に派兵されている自衛隊の任務拡大の問題です。
自衛隊が、現在、海外に部隊を展開しているのは南スーダンだけ
志位 南スーダンは、アフリカ大陸のほぼ中央に位置する国で、2011年7月にスーダンから分離・独立しました。そのさいに、国連安保理は、スーダンの平和と安全の定着などを目的に南スーダンPKO――UNMISSを設立しました。
自衛隊は、2012年1月に、最初の部隊をUNMISSに派兵して以降、今日まで9次にわたって部隊の派兵を続けています。自衛隊が、現在、海外に部隊を展開しているのは、この南スーダンだけであります。
そこでまず、内閣府に確認したいと思います。現在、UNMISSに派遣されている各国の軍事要員の総数は何名で、そのうち派遣自衛隊員数は何名ですか。
宮島昭夫内閣府国際平和協力本部事務局長 UNMISSには、昨年12月現在、1万1892名の軍事要員が派遣されておりまして、それから、わが国自衛隊につきましては、司令部要員4名、施設部隊要員353名が派遣されております。
志位 パネルをごらんください(パネル1)。国連南スーダン共和国ミッション――UNMISSに参加している軍事要員は総数で1万1892人、派遣自衛隊員数は353人とのことでありました。
南スーダンの現状はどうなっているのか。安保法制=戦争法によって、南スーダンPKOに派兵されている自衛隊の任務はどう変わるのか。昨年の通常国会では、安倍政権が、「平和安全法制」として11本の法案を一括して強行するという乱暴な国会運営を行ったもとで、これらの問題についての国会での質疑はほとんど行われておりません。そこで、この問題について今日は突っ込んでただしていきたいと思います。
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「改定PKO法」では、「安全確保業務」「任務遂行のための武器使用」などが可能に
志位 次のパネルをごらんください(パネル2)。安保法制=戦争法のうちの一つ、改定されたPKO法――「改定国連平和協力法」では、自衛隊の任務が大きく拡大されました。
簡単な表にしてありますが、第一に、自衛隊の業務内容を拡大し、「安全確保業務」「駆け付け警護」という二つの活動が新たにできるようになりました。第二に、武器使用基準を拡大し、自己保存のための武器使用だけでなく、任務遂行のための武器使用――「業務を妨害する行為を排除」するための武器使用もできるようなりました。
総理にうかがいます。私は、本会議の代表質問で、「PKOに参加する自衛隊にこうした任務の追加を行うことを検討しているのか」とただしました。それに対して総理は、「南スーダンに派遣している自衛隊にいかなる業務を付与するかについては、今後慎重な検討が必要であると考える」と答弁されました。総理、自衛隊のこうした任務拡大を検討の対象としているということですね。
首相 あの、御党の場合は、PKOそのものも、戦争法といって反対しておられましたから、まあ、現在も派兵と言っておられる。考え方は変わっておられないんだろうと、こう思うわけでございますが、昨年のPKO法の改正によりですね、いわゆる安全確保業務を実施するうえで必要不可欠な権限として、いわゆる任務遂行型の武器使用が認められているわけでありまして、いわゆる安全確保業務とは、たとえば防護を必要とする住民、被災民など生命・身体および財産に対する危害の防止等を行うものであります。この業務の実施に当たっては、いわゆる自己保存のための武器使用権限のみならず、他人の生命・身体や財産を守るため、またはその業務を妨害する行為を排除するためにやむをえない場合の武器使用権限、すなわち、いわゆる任務遂行型の武器使用権限が認められなければ、十分に対応を行うことができないわけであります。
しかし、この武器使用権限においても、武器の使用は厳格な警察比例の原則に基づくものであり、また相手に危害を与える射撃が認められるのは正当防衛、または緊急避難に該当する場合に限られています。
また、この業務を行うに当たっては、(PKO)参加5原則が満たされており、かつ派遣先国および紛争当事者の受け入れ同意がわが国の業務が行われる期間を通じて安定的に維持されると認められる必要があるわけでありまして、すなわち、国家または国家に準ずる組織が敵対するものとして登場しないことが前提となっております。
このため、いわゆる任務遂行型の武器使用を認めたとしても、自衛隊員が武力の行使を行ったと評価されることはないわけでございます。
いままでこの法案について、このように説明をしてきたところでございますが、そうしてですね、今回の、この南スーダンに派遣している自衛隊に対してですね、この任務を付与するかどうかということでございますが、当然、この新たな任務を付与する上においてはですね、しっかりとした準備、または訓練が必要となるということでございます。
志位 (任務拡大を)検討の対象としているかどうか聞いたんです。その一点、はっきり答えてください。
首相 この、当然ですね、この新たな法律が通ったわけでございますから、この任務の付与については、検討していると。しかし実際に付与する上においてはですね、しっかりした準備と訓練が必要であると、こういうことでございます。
志位 検討の対象にされているというご答弁でした。
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志位 今日の国連PKOは、憲法9条をもつ日本がいよいよ参加できないものに変化
首相 あくまで「参加5原則」にのっとって判断する
志位 現実はかけ離れたものとなっている
国連PKOの大きな変化―停戦監視から、武力を行使しての「住民保護」へ
志位 そうした自衛隊の任務拡大が何をもたらすか。その危険性を考えるうえで、国連PKOの任務がこの20年間余で大きく変化していることについて、総理がどういう認識をもっているかについて、次にただしていきたいと思います。
かつての国連PKO――1990年代前半ぐらいまでのPKOは、国連の大原則である内政不干渉、中立性を尊重した活動を行っていました。すなわち、内戦が終結して停戦合意がされている国に、紛争当事者すべての合意を得て、中立の存在としてPKOが展開する。いざ停戦が破れて内戦が起こったら撤退する。これが基本でした。主要任務――筆頭マンデートは、停戦合意を監視することにおかれていました。1992年にカンボジアに展開したPKOは、そうしたPKOの典型だと思います。
ところが、この任務に大激変が起こります。契機となったのは、1994年、アフリカ・ルワンダで内戦が勃発し、政権側が主導する形で引き起こされた大虐殺でした。この事件を契機として、「保護する責任」という考え方が出てきます。ある国で、重大な人権侵害が起こった場合に、その国の政府が何もしない、あるいは政府が人権侵害を引き起こすような場合には、国連は中立性を失おうとも、内政干渉になろうとも、そして武力を行使してでも住民を保護すべきだという考え方です。
こうした流れのなかで、1999年8月、当時のアナン国連事務総長が、“これからの国連PKOは国際人道法――武力紛争法を順守せよ”という告示をPKO要員に発します。すなわち、“これから先は、任務遂行のために、国連PKO自身が武力紛争法で定義される「交戦主体」――紛争当事者となって、軍事紛争に積極的に関与する覚悟をもて”というものであります。
こうして徐々に、武力を行使しての「住民保護」がPKOの主要任務――筆頭マンデートになってきます。
パネルをごらんください(パネル3)。21世紀に入って創設され、現在活動中の国連PKOは九つありますが、そのうちアフリカに展開する八つのPKO――リベリア、コートジボワール、ダルフール、コンゴ、アビエ、南スーダン、マリ、中央アフリカのPKOは、そのすべてで武力を行使しての「文民保護」が任務――マンデートに位置づけられております。停戦が破れて戦闘状態になっても、PKOは撤退しません。国連自身が「交戦主体」となって、「住民の保護」のために武力の行使をする、これが今日のPKOの主流になっております。
総理に基本的認識をうかがいます。国連PKOの活動が、こうした方向に大きく変わっている――かつての停戦監視から、武力を行使しての「住民保護」へと大きな変化が起こっているという認識はありますか。
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首相 いまの質問にお答えをする前に、さきほどの答弁をちょっと補足させていただきたいと思うんですが、南スーダンのPKO、わが国のPKO部隊に新たな任務を付与するかということについては、いずれにせよ、しっかりと任務を遂行していくための訓練等の準備、能力を高めていく必要がありますが、また改正PKO法の施行後、南スーダンに派遣している自衛隊にいかなる業務を新たに付与するかについては、政府部内で慎重に検討を進めていく必要があると考えておりますので、その意味で検討を進めていくと、こう申し上げていたのでございますが、現時点では南スーダンPKOでの自衛隊の任務拡大については、その要否も含め、具体的な方針は決まっていないということは、申し添えておきたいと思います。
そこで、近年の国連PKOの変化でございますが、国連PKOが対応を迫られる紛争は、かつては伝統的な国家間の紛争でありましたが、近年は国内における衝突や国家間の武力紛争と国内における衝突の混合型に変化をし、かつ期間が長期化する傾向があるわけであります。それにともない、国連PKOの任務は、伝統的な停戦監視等の業務から多様化しつつあり、近年は平和構築の活動の促進、人道支援等の主体との調整、さらには文民の保護といった任務が重要性を増しています。とくに、文民の保護については2000年以降に設立された国連ミッションの九つのすべてがそのマンデートを有しています。このような国連PKOの変化を踏まえて、わが国として、国際社会の平和と安定のために一層取り組んでいくため、先般、PKO法の改定を行ったものであります。
他方ですね、実際にPKOに参加するかいなか、また、いかなる任務を付与するかについては、個々のPKOのマンデートや、あるいは、現地情勢等を総合的に判断することとしておりまして、憲法のもとですね、PKO参加5原則を堅持します。わが国のPKO5原則を、当然、これを堅持をするというのは、これはもう当然のことでありまして、それが満たされる範囲でのみ参加をし、貢献をしていくということは言うまでもないことであります。
よろしいですか? そういうことでございますので、いわばわれわれは主体的に5原則にのっとって判断していく、こういうことでございます。
志位 いろいろおっしゃいましたけれども、「文民の保護」などを重要任務にするものに変化があるということはお認めになりました。
東ティモール、コンゴ――“好戦化”する国連PKOの実態
志位 ここで私が、さらに言いたいのは、武力を行使しての「住民保護」というのは生やさしい話ではないという問題です。
私は、先日、国連PKO幹部として東ティモール、シエラレオネ、アフガニスタンなど世界各地で武装解除などに携わってきた東京外国語大学教授の伊勢崎賢治氏に話をうかがいました。伊勢崎氏によると、1999年にアナン事務総長が出した告示は、PKOの現場に大きな影響を与えたといいます。その後、PKO部隊が“好戦的”になっていったとして、2000年当時の自らの経験を次のように語っておられます。ちょっと紹介いたします。
「僕はインドネシアから独立した東ティモールの暫定知事を務めて、PKF(平和維持軍)を統括していたことがあります。そのとき、反独立派の住民によってPKFの一員であるニュージーランド軍の兵士が殺されました。彼は首が掻(か)き切られて耳がそぎ落とされた遺体で見つかりました。見せしめであることは明白でした。
その時、僕らは復讐(ふくしゅう)に駆られてしまった。ニュージーランド軍司令官の求めに応じて、僕は武器使用基準を緩めました。敵を目視したら警告なしで発砲していいと。法の裁きを受けさせるために犯人を拘束するという警察行動ではありません。敵の殲滅(せんめつ)が目的です。現場はどんどん『復讐戦』の様相を呈してきました。僕自身も、です。
結果、全軍、武装ヘリまで動員して追い詰めていったのです。民家などをしらみつぶしにして、十数名の敵を皆殺しにした。全員射殺したので、そのなかに民間人がいたかどうかは分かりません」
伊勢崎氏は、民兵の射殺は、国際法上、違法ではないこととはいえ、「それでも胸の中に、ある後ろめたさ、重苦しさを抱え込みました」と率直に語っておられます。
いま一つ、伊勢崎氏が、PKO部隊が“好戦的”になっていることを示す典型例としてあげたのが、南スーダンの隣国・コンゴ民主共和国で、2010年から活動している国連コンゴ安定化ミッションであります。コンゴPKOは、主要任務――筆頭マンデートに「住民保護」を掲げるとともに、3000人からなる攻撃型部隊「介入旅団」を設置、その任務を「武装勢力の無害化」としています。「武装勢力の無害化」とは何か。コンゴPKOのトップ、マーティン・コブラー事務総長特別代表は、「無害化とは、最終的に武装勢力(の脅威)を消すということだ。投降に応じなければ、攻撃を加える。これが基本方針だ」と明言しています。あらかじめ対象とする武装勢力を指定し、住民や国連に対する攻撃がなくても、投降に応じなければ攻撃を加え、「武装勢力を無害化」――殲滅する。事実上の先制攻撃の権利が与えられています。
総理にうかがいます。これが国連PKOの現実です。もちろん、このコンゴのPKOには日本は参加しておりませんが、現在のPKOは、事実上の先制攻撃の権利まで与えられるようになっている。総理は、こうした実態をご存じでしょうか。
首相 いま委員もお認めになられましたが、コンゴのPKOには自衛隊は参加しておりません。日本の自衛隊はですね、5原則、参加5原則にのっとって参加をするか否かを判断をしていくわけでございます。
そこでですね、わが国の自衛隊に与えている武器の使用でございますが、それはですね、あくまでもですね、厳格な警察比例の原則に基づくものでありまして、また相手に危害を加えたり、加える危害が認められるのはですね、正当防衛か緊急避難に該当する場合に限られているわけでありまして、いま、委員がおっしゃった殲滅とか、これはまったくかけ離れていることでございまして、そもそも武力の行使ではないわけでございます。あくまでも、与えられている任務のなかにおいて、危害が加えることができるのは、正当防衛および緊急避難であるということを申し上げておきたいと思います。
「憲法9条との整合性は、PKOの変質によって完全に破綻」(元PKO幹部)
志位 日本の参加は「(PKO)参加5原則」に基づいてやるんだと繰り返しておっしゃられます。しかし問題は、世界のPKOの実態が、その「5原則」からかけ離れたものになっているということなんですよ。
パネルをごらんください(パネル4)。これは、2000年以降の国連PKO隊員の犠牲者の数の推移であります。任務拡大の影響もあって、年間100人超の犠牲者を出すことは、1990年代までは4回だったんですが、2000年以降は12回と常態化しつつあります。このグラフでいいますと、赤い線の上です。2015年には121人が犠牲となっています。
政府は、自衛隊が国連PKOに参加するさいには「PKO参加5原則」――すなわち「停戦合意の成立、すべての紛争当事者の受け入れ同意、中立的立場、いずれかが満たされない場合の撤収、武器使用は自己保存型に限定」を順守すると、「憲法9条で禁じた武力行使を行うことはない」としてきました。さきほど総理もそういうご答弁をされました。それに対して、さきほど紹介した伊勢崎賢治氏は、次のように批判しております。
「『PKO5原則があるから、停戦合意が破られたら帰ってくればいい』と言いますが、停戦が破られてもPKOは撤退しません。住民の保護のために武力行使します。停戦合意が破られてから住民保護という本来の任務が始まるのです。『それができないなら、初めからくるな』という世界になっていることに、政府はまったく気づいていない。PKO5原則や憲法9条との整合性は、PKOそのものの変質によって完全に破綻しています。そして20年前の議論をしている政府の認識とPKOの現実がかつてないほど乖離(かいり)している」。
このように述べています。
今日の国連PKOは、憲法9条を持つ日本がとうてい参加できないようなものに変化していると。それを見ずに、政府は20年前の議論をしているという批判であります。長年国連PKOで幹部として活動してきた伊勢崎氏の発言、これは大変重いものがあると思います。この批判にどうお答えになりますか。
首相 20年間の間に、たしかにこの、さきほどご説明をいたしましたように、PKOの実態は、さまざまな変化をしているのは事実であります。その変化のなかにおけるニーズに対してもですね、われわれは対応をしているわけでございます。
ま、しかし、ま、これは繰り返し述べるわけでありますが、私どもは、いま委員がご紹介をいただいた5原則にのっとってですね、参加するかしないかあるいは活動を継続するかどうかを判断するわけであります。1回行ったらと、では帰れないのかということでいえば、そんなことはないわけでありまして、たとえば、ゴラン高原のPKO活動でございますが、これは5原則は維持をされていたわけでありますが、しかし危険が高まったという判断で、わが国はPKO部隊を日本に帰国させたわけでございまして、まさにこれは主体的な判断で帰国をさせたということであります。
そして、PKO派遣部隊を派遣する上においてもですね、当然、私たちの5原則等々については、このPKOの現地で一緒に活動する部隊等々にもですね、当然、これは周知をさせるようにしているわけでございます。そのなかにおいて、私たちができる範囲でしっかりと活動をするということでございます。
志位 (首相は)「PKO(参加)5原則」というのは、停戦が破れたら撤退するというものになっていると、いまおっしゃいました。しかし、伊勢崎氏の批判は、世界のPKOは、停戦が破れても撤退しないで、「住民保護」のために武力の行使をするものになっていると、これは(「PKO参加5原則」と)もうかけ離れていると(いうものです)。現場からの批判を重く受け止めるべきだと思います。
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志位 南スーダンが内戦状態に陥っているという認識はあるか
防衛相 停戦合意がされている
外相 武力紛争が発生していると考えていない
志位 国連報告書には、停戦違反が続き、武力紛争が続いていると明記している
反政府勢力だけでなく、南スーダン政府軍によっても残虐行為が行われている
志位 総理は、「(PKO参加)5原則」ということを繰り返し、繰り返し言われるわけですが、そういう建前が通用するかどうかということを、私は、次に、南スーダンの具体的なPKOに即して聞いていきたいと思います。
自衛隊が参加している南スーダンのPKOの現状は、まさに、まさに「住民保護」のために武力の行使を行うという典型的な事例となっております。
2013年12月以来、南スーダンでは、大統領派と副大統領派の武力衝突が起こり、住民を巻き込んで激しい内戦状態に陥っています。政府軍と反政府軍双方によって数千人が殺害され、240万人が家を追われ、虐殺、レイプ、拷問などの残虐行為が行われ、多数の子どもが少年兵としてたたかうことを強制されています。約18万人を超える民間人が南スーダン各地にある国連施設に逃げ込み、恐怖のあまり外に出ることができない状態です。
ここに私、もってまいりましたが、これは、2015年8月20日に発表された国連報告書――「南スーダンに関する専門家委員会の暫定報告書」でありますが、ここでは「政府軍と関連武装グループによる2015年4~7月のユニティ州攻撃」として次のような事実を告発しております。読み上げます。
「恐るべき人権侵害。本委員会は、政府軍がいわゆる『焦土作戦』をユニティ州全域で実行したことを知った。政府の同盟軍は、村々を破壊し続けた。人が中にいる家屋に火をつけ、家畜その他の金品を略奪し、学校や病院など主要なインフラを襲撃し破壊した。さらに、彼らは民間人を無差別に殺害し、殴打し、拷問にかけた。…子どもたちは特に被害を受けた。…多くの子どもが殺され、7歳の子どもたちを含めレイプされ、拉致あるいは(少年兵として)州内での戦闘を強制された。…本委員会は、少女たちがしばしば両親や地域の人々の前でレイプされ、その後、生きたまま家ごと焼かれた、との証言を聞いた」。
大変深刻なリポートであります。
反政府勢力だけでなく、南スーダン政府軍によってもこうした残虐行為が行われているんです。これが南スーダンの現状です。
政府軍と反政府勢力との間で、複数回、停戦が合意されたものの、そのたびに戦闘が再開されています。昨年8月下旬に「平和合意」が交わされましたが、その後も戦闘が続いています。
総理にうかがいます。私は、本会議の代表質問で、「南スーダンが内戦状態に陥っているという認識はありますか」とただしました。それに対して、総理は、「南スーダンPKOの活動地域において、武力紛争が発生しているとは考えていない」と答弁しました。しかし、南スーダンの現状は、いまお話しした通りであります。国連の報告書です。文字通りの内戦状態が続いているではありませんか。武力紛争が続いているではありませんか。
中谷元・防衛相 防衛省におきましては、毎日のように派遣された隊員のほうから、現地の報告や、また大使館、国連からの情報等を総合的に検証しながら、現地の状況を把握をいたしております。
現状としては、南スーダンにおいては、反政府勢力、これは系統立った組織を有しているとはいえない。また、反政府勢力による支配が確立をされるに至った領域、これがないということ、そして南スーダン政府、反政府勢力双方ともに、国連の安全保障理事会を含む国際社会からの敵対行為の停止を求める働きかけに応じまして、協議を行って、敵対行為の停止について双方が合意に達するなど、以前から事案の平和的解決を求める、こういった意思を有しているということを考えまして、現状におきまして、派遣の前提となる5原則、これは維持をされておりますし、活動しておりますジュバ、こういったジュバの状況におきましては、平穏であるというような報告を受けております。引き続き現地情勢については緊張感をもって把握してまいりたいと思っております。
「和平合意」が守られず、「危機に瀕していることをきわめて憂慮」(アフリカ連合)
志位 これはまったく甘い。現地の状況をまったくつかんでいない認識ですよ。
これは、昨年(2015年)11月23日に発表された「南スーダンミッションの任務見直しに関する国連事務総長の特別報告」です。いま、政府勢力と反政府勢力の間に、いわば「和平合意」が成り立っているかのようなご発言がありましたが、守られておりません。昨年8月下旬の「和平合意」、守られていない。
この国連事務総長報告に何と書いてあるかといいますと、「停戦違反と、和平合意実施の準備段階のために決められた当初期限を当事者たちが守れなかったことは、彼らの和平プロセスへの誓約及び彼らの実施に関わる政治的支持に懸念を持たせる」と厳しく批判しております。そしてこの「特別報告」では、南スーダンで「武力紛争が続き、その結果としてUNMISS、人道関連要員、国内避難民の移動の自由がない状況が続いている」としています。これは去年の11月23日のものですよ。
「和平合意」のあとに発表された国連事務総長報告が、停戦違反が続いていること、当事者たちは平和的解決の意思を持っているかどうか疑わしいこと、そして武力紛争が続いていることを、はっきり述べているじゃありませんか。読んでいないんですか。
岸田文雄外相 昨年8月の合意文書のこの署名以後の動きについてご指摘がありました。それ以後、8月以降の動きにおきましても、わが国としましては、この合意の履行に向けて取り組みは続いていると認識をしております。現に今年1月の段階においても、この合同監視評価委員会が立ち上げられ、そして会合が開催される、こうしたことも報告されています。さらにはですね、合意文書にしたがって、国民統一暫定政府の閣僚ポストの配分、これも決定されております。こうした動きを見る限り、この8月の合意文書の署名以後も、この政府側と反政府側の間でこの合意履行に向けて取り組みが続いていると認識をしております。
志位 この認識はまったくダメですね。いま、暫定政府の閣僚ポストの合意がされたというふうにおっしゃいましたけれども、政府はつくられていないじゃないですか。1月22日の期限につくる予定だった政府はつくられていない。
それから、いま(東アフリカの地域機構)政府間開発機構の声明に即した合意がされたといいますが、その後出された2月2日のアフリカ連合(AU)の声明では、南スーダン「和平合意」が「危機に瀕(ひん)していることをきわめて憂慮している」と、こう述べている。
「情け容赦ない戦闘」が続き、「安全な場所はきわめてわずか」に(国連報告書)
志位 直近のリポートを一つ示しましょう。
今年(2016年)1月21日、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)と南スーダンPKO――UNMISSが発表した報告書「南スーダンの長期化する紛争下での人権状況」は、直近の南スーダンの状況をこう述べております。読み上げます。
「2013年12月の暴力勃発から約2年、情け容赦ない戦闘とその多方面にわたる影響が続いており、民間人全体の人権と生活条件に対する重大な衝撃を与えている。…加えて、国連の要員、施設、人道物資を狙った攻撃が続いており、2013年12月以来、34人の国連要員、3人の現地要員、1人の現地契約者の命が犠牲となった」
「政府軍と反政府軍の2014年1月23日の停戦合意、両者による2014年5月9日の再確認、および(2015年8月下旬の)『和平合意』の実施の一環としての停戦合意にもかかわらず、戦闘は続いている」
「紛争当事者たちは礼拝所や病院といった伝統的な避難場所、そして時として国連の基地まで攻撃しているので、紛争地域で安全な場所はきわめてわずかになった」
これが直近の報告ですよ。これが国連が公式に報告している南スーダンの直近の現状です。「情け容赦ない戦闘」が続き、「停戦合意」が何度も交わされたが繰り返し破られ、国連の要員と基地が攻撃され、「安全な場所はきわめてわずか」になっている。まさに現瞬間も、内戦状態、武力紛争が続いているということじゃないですか。政府はこうした報告書が出ていることを把握してないんですか。この報告書、読んでないんですか。
自衛隊を派兵しておいて、あまりにも無責任な姿勢
外相 政府としましては、さまざまな文書、情報に接し、情報収集、分析に全力で努めております。そして従来から、この実力を用いた争いがPKO法上の武力紛争に該当するか否かについて、この事案の対応、当事者およびその意思等を総合的に勘案して、個別具体的に判断すべきである、こうした考え方を示しております。
先ほど申し上げました、合意文書の署名、8月の合意文書の署名以降の動きももちろんでありますが、政府としましては、この現地に派遣されている要員からの報告、そしてわが方の大使館、そして国連からの情報、こうしたものを総合的に勘案して、この状況を判断しております。その上において、武力紛争が発生しているとは考えていないと申し上げているしだいであります。
志位 (昨年11月23日の)国連事務総長報告が「武力紛争が続いている」とはっきり言い切っているじゃないですか。
これだけ国連の報告書に基づいて明瞭な事実を示しても、南スーダンが内戦状態、武力紛争におちいっているという事実を認めようとしない。自衛隊を派兵しておいて、あまりにも無責任な姿勢というほかありません。
志位 自衛隊の任務拡大となれば、憲法が禁止した武力行使となる
首相 「国家等が敵対的なものとして登場しない」から武力行使にあたらない
志位 南スーダン政府軍によっても、国連PKOに対する攻撃が加えられている
自衛隊が武器を使用すれば、市民に向かって発砲、少年兵を撃ってしまう事態にも
志位 総理に続けてうかがいます。
こうした内戦状態のもとで、南スーダンPKO――UNMISSに、2014年5月以降、主要任務――筆頭マンデートとして「住民保護」が掲げられ、そのために「必要なあらゆる措置をとる権限」――武力行使の権限が与えられております。昨年10月、12月の国連安保理決議では、戦術ヘリコプター、無人機を配備することまで求めております。「住民保護」のために、PKO自らが「交戦主体」――戦争の主体となって武装勢力とたたかう。これが南スーダンPKOの実態となっております。
こうしたもとで、改定PKO法によって自衛隊の任務に「安全確保業務」「駆け付け警護」の任務が新たに付与され、任務遂行のための武器使用が可能になったらどうなるか。
これまではともかくも、PKOにおける自衛隊の武器使用は自己保存のために限定されていました。活動内容も、施設や道路をつくることなどに限定されていました。ですから深刻な内戦下での派兵でしたが、これまでのところ幸いにも、自衛隊は1発の銃弾も撃たず、1人の死者も出さないできました。
しかし、改定PKO法によって任務拡大となれば、自衛隊が武器を使用して、武装勢力とたたかうことになるではありませんか。武装勢力といいましても、政府軍と反政府軍がともに民兵を動員し、さらに武装した住民を含むさまざまな集団が入り交じり、区別がつきません。こういう勢力を相手にして、自衛隊が武器の使用をすれば、市民に向かって発砲する、少年兵を撃ってしまうということになりかねません。すでに南スーダンPKOの要員から36名の死者が出ておりますが、自衛隊員の犠牲者が出るという強い危惧があります。改定PKO法によって任務拡大となれば、自衛隊が戦後初めて「殺し、殺される」という危険が現実のものとなる、私は、このように強く危惧しております。
私は、本会議の代表質問で、南スーダンPKOに派兵されている自衛隊に、改定PKO法にもとづいて「安全確保業務」「駆け付け警護」などの新たな任務を付与し、これらの任務遂行のための武器使用権限を与えたら、憲法9条が禁止した海外での武力行使を行うことになるのではないかとただしました。
それに対して総理は、何の根拠も示さずに、「憲法9条の禁ずる武力の行使を行ったと評価されることはない」と答弁されました。総理にうかがいます。なぜ改定PKO法における任務遂行型の武器使用は、「憲法9条の禁ずる武力の行使を行ったと評価されることはない」のか。その根拠を端的に示していただきたい。
首相 自衛隊が「殺し、殺される」ということはですね、そもそもPKO法が成立をしたときも共産党はそうご主張をしておられましたが、実際はそうなってないということは歴史が証明しているんだろうと、こう思います。昨年のですね、これPKO法の改正によって、いわゆる安全確保業務を実施するうえで必要不可欠な権限としていわゆる任務遂行型の武器使用が認められているわけであります。これはですね、この安全確保業務とはたとえば防護を必要とする住民、被災民などの生命、身体および財産に対する危害の防止等を行うものでございます。この業務の実施にあたっては、いわゆる自己保存のための武器使用権限のみならず、人の、他人の生命、身体や財産を守るため、またはその業務を妨害する行為を排除するため、やむをえない場合の武器使用権限、すなわちいわゆる業務遂行型の武器使用権限が認められなければ十分に対応を行うことができない、こう判断をしたところでございます。これについては、高い評価を海外から得ているということでございます。
しかしこの、武器使用権限においてもですね、武器の使用は厳格な警察比例の原則にもとづくものであり、また、相手に危害を与える射撃が認められるのは、これ相手に危害を与えるという射撃を認められるのはですね、正当防衛または緊急避難に該当する場合に限られているわけであります。また、この業務を行うにあたっては、参加5原則が満たされており、かつ派遣先国及び紛争当事者の受け入れ同意が、わが国の業務が行われる期間を通じて安定的に維持されると認められる必要があります。すなわち、国家または国家に準ずる組織が敵対するものとして登場しないことが前提となっています。このため、いわゆる任務遂行型の武器使用を認めたとしても、自衛隊員が武力の行使を行ったと評価されることはない、このように思っております。なお、業務に応じた武器使用権限を付与することは、業務の円滑な実施のみならず、隊員の安全確保のためにもですね、必要なものであると、このように考えております。
志位 今の総理のご答弁は、結局、(改定PKO法による任務遂行型の武器使用は)「派遣先国及び紛争当事者の受け入れ同意の安定的維持」、「国家又は国家に準ずる組織が敵対的なものとして登場しない」ことを前提にしたものだから、憲法が禁止する武力行使に当たらないとのご答弁でした。
しかし、問題は、南スーダンで、こういう前提が成り立つかということなんですよ。
国連PKOへの危害行為・攻撃の9割は、南スーダン政府軍によるもの
志位 南スーダンPKO――UNMISSに関する国連報告を読んで、私がきわめて深刻だと痛感させられるのは、反政府勢力だけでなく、南スーダン政府軍によっても、UNMISSに対する危害行為・攻撃が加えられていることです。
パネルをごらんください(パネル5)。これは、2015年8月21日に発表された「南スーダンに関する国連事務総長報告」から作成したものであります。2015年4月14日から8月19日までの時期に、南スーダン政府軍によって行われたUNMISSに対する危害行為・攻撃について、報告書では次のように記載しています。
「(この時期における)UNMISSに対する危害行為・攻撃102件のうち92件は、政府軍・治安部隊による」
「4月29日、5月7日、7月27日の3回にわたり、ユニティ州ベンティウのUNMISSの基地と国連の住民保護区のすぐ近くで政府軍が対空射撃を行い、保護を求めてきた住民5人が負傷」
「6月27日、ボルの北21キロで政府軍兵士がUNMISSのはしけに15~20発の砲撃」
「7月5日、2人の政府軍兵士がベンティウの国連の住民保護区に侵入し発砲、1人を殺害」
「7月9日、マラカルの南で政府軍がUNMISSのはしけ船団をロケット弾と重機関銃で攻撃」
これは一断面ですが、南スーダン政府軍によって、さまざまな形で、UNMISSに対する危害行為・攻撃が加えられていることを、生々しく示しております。
改定PKOにおける任務遂行型の武器使用は、「派遣先国及び紛争当事者の受け入れ同意の安定的維持」、「国家又は国家に準ずる組織が敵対するものとして登場しないことを前提」にしたものだから、憲法9条が禁止する武力に当たらないとの先ほどのご答弁でした。しかし、このどちらの条件も、南スーダンには存在してないじゃないですか。南スーダン政府軍が、UNMISSに対して、攻撃しているじゃないですか。「敵対するものとして登場」しているじゃないですか。
南スーダンで、自衛隊に「安全確保業務」――「住民の保護」という新たな任務を付与し、任務遂行のための武器使用を認めたら、自分の身に危険が及ばなくても、住民に銃を向ける相手を殺傷することになるんです。南スーダン政府軍が、住民やそれを防護するUNMISSを攻撃してきたら、自衛隊は南スーダン政府軍と銃火を交えることになるわけであります。これは憲法が禁止する武力行使そのものになるじゃありませんか。先ほどのあなたの論理から言っても、武力行使になるでしょう。こんなことは憲法上許されませんよ。
防衛相 国連決議の2252において言及されている通りですね、UNMISSの要員の移動の制限等の事例が報告をされているということは事実でございます。しかしながら、南スーダン政府等からUNMISSの撤退を要求するような発言等はなされておらず、したがってこのような妨害、これは現場レベルでの偶発的なものであると認識をいたしておりまして、毎日のようにジュバ付近の情勢等を報告を受けておりますけれども、5原則がなくなったとか、情勢がきわめて緊迫したというものではなくて、ジュバは平穏であるという報告を受けております。また、たしかに北部の方では政府と反政府側において、散発的、偶発的に衝突が見られますけれども、南部、南スーダンの南部におきましては、ジュバにおきまして一般的犯罪は増加傾向にありますが、治安はおおむね安定をしておりまして、表面上、平穏を維持しているということであります。また、南スーダン政府の高官からは、わが国のUNMISSへの貢献に対する謝意が示されて、わが国の活動は高く評価をされておりますし、日本以外の国々においてもPKO活動、これは計画に従ってですね、やっておりまして、決して停戦が崩れるというふうな認識はいたしておりません。
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現実に即して質問しているのに武力行使か否かを答えられない―ここに危険性が
志位 聞いていることに答えておりません。偶発的なものだとおっしゃいましたけども、先ほどの国連の報告書というのは限られた期間ですが、102件中92件は(南スーダン)政府軍によるものだといってるわけですよ。92件ですよ。そのうち(南スーダン)政府の側から是正がされたのは、たった1件だと。あとは是正もされていないと。このように国連が報告しているのです。偶発的なものとは言えません。
それから(首都の)ジュバは安定しているというふうにおっしゃったけれども、先ほど私が紹介した1月21日の国連の報告書では、昨年も、ジュバの国連の住民保護サイトのまさに周辺において、政府軍による襲撃があって、そして住民が拉致されて、殺害される。ジュバのど真ん中で起こっている。そういう報告になっている。
私は、これだけ具体的な事実を示して聞いている。私は、事実に即して、南スーダンで現実に起こっている事態に基づいて、自衛隊の任務を拡大し、政府軍と銃火を交える事態になったら、武力の行使になるのか、ならないのかを聞いているのです。武力の行使になるでしょう。国家がまさに敵対するものと登場しているではないですか。
防衛相 先ほどお話ししたとおり南スーダンの政府の高官からは、わが国のUNMISSへの貢献に対する感謝の意が示されておりますし、南スーダンの政府からUNMISSの撤退を要求するような発言はされておらず、こういったご指摘につきましては現場レベルの偶発的なものであると認識しております。
志位 そんな認識で自衛隊を出しているというのは無責任だと思います。南スーダンで内戦状態、武力紛争が続いている。これは国連が認定していることです。そして政府軍がUNMISSや避難民を攻撃している。これも事実です。この現実に即して質問しているのに、武力の行使か否かを答えられない。私は、ここにこの法律の危険性があると思います。
自衛隊の任務に「安全確保業務」を追加し、任務遂行のための武器使用の権限を仮に与えたとすれば、住民への攻撃をしている南スーダン政府軍と自衛隊がたたかうことになる。憲法9条が禁止した武力の行使そのものになります。
日本の貢献は、憲法9条に立った非軍事の人道支援、民生支援に徹するべき
志位 私は、今日、国連PKOが「住民保護」のために断固たる武力行使が求められるPKOへと大きく変化していること、そして南スーダンPKOもその典型的な一つだということを明らかにしてまいりました。今日の国連PKOは、憲法9条を持つ日本の自衛隊が参加できる活動ではいよいよなくなっているということを、強調しなければなりません。
もちろん、住民が深刻な人道的危機にさらされているときに、国際社会がその保護のための責任を果たすことは必要であります。しかし、日本の貢献は、憲法9条に立った非軍事の人道支援、民生支援に徹するべきです。南スーダンでも国連の活動はPKOだけではありません。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国連児童基金(UNICEF)、世界食糧計画(WFP)――いわゆる国連の人道支援の“ご三家”といわれる機関が、各国のNGOと協力して、難民支援、食料支援、医療支援、教育支援、児童保護など、さまざまな人道支援に取り組んでいる。日本は憲法9条をもつ国として、こういう非軍事の人道支援こそ抜本的に強化すべきであります。
私は、安保法制=戦争法の強行によって、日本の自衛隊が戦後初めて、外国人を殺し、戦死者を出すという現実的危険が生まれていると言いましたが、南スーダンPKOに派兵している自衛隊の任務拡大が、最初の「殺し、殺される」ケースになることが強く危惧されます。これまで(武器使用を)自己防護に限っていたから、1人の犠牲者も出さないですんだのです。それを拡大したら、最初のそういう危険なケースになることを強く危惧いたします。戦争法を廃止することは、文字通りの急務であることを強く訴えるものです。
過激武装組織ISに対する軍事作戦への参加を問う
志位 「対IS空爆の強化は、ISを喜ばせるだけ」―この批判にどう答えるか
首相 民間人の犠牲者は胸が痛むが、しっかりと武力行使を含めた対応が必要だ
志位 空爆での民間人の犠牲者を把握すらしていないではないか
アフガニスタン報復戦争を契機に、テロによる犠牲者は10倍に激増した
志位 次に進みます。
第二の問題は、過激武装組織ISに対して、アメリカをはじめとする「有志連合」が行っている軍事作戦に、自衛隊が参加する危険であります。
昨年から今年にかけて、ISによるテロは、シリアでの2人の日本人――後藤健二さん、湯川遥菜さんの殺害、チュニジア、クウェート、トルコ、バングラデシュ、エジプト、レバノン、フランス、パキスタン、インドネシア、アフガニスタンと、世界各地におよんでおります。憎むべきテロを世界からどうやって根絶するかは、国際社会にとって大問題となっております。
ISのような残虐なテロ組織がどうして生まれたか。
きっかけとなったのは2001年のアメリカ等によるアフガニスタン報復戦争でした。「対テロ戦争」は、テロを根絶するどころか、世界中にテロを拡散させる重大な契機となりました。まず外務省に聞きます。世界でのテロによる死者数を、2000年と直近の2014年で示していただきたい。
飯島俊郎外務省大臣官房参事官 お答えいたします。アメリカの国務省が国別テロリズム報告書において引用しておりますメリーランド大学のテロ及びテロ対応研究コンソーシアムが作成しているデータベースによりますと、2000年における全世界のテロ事件による死者の数は4422人、2014年における全世界におけるテロ事件による死者の数は4万3512人となっております。
志位 パネルをご覧ください(パネル6)。今ご答弁いただいた数ですが、10倍に激増しているわけです。アフガニスタン報復戦争は、罪のない多数の市民を犠牲にし、新たな憎しみを生み、テロと戦争の悪循環の引き金を引く結果となりました。
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イラク戦争がIS台頭の原因という見方に「真実が含まれている」(ブレア元英首相)
志位 さらに2003年のアメリカ等によるイラク侵略戦争は、何十万というイラクの民間人の命を奪うとともに、泥沼の内戦をつくりだしました。二つの戦争の混乱の中でISというモンスターのようなテロ組織が生まれ、勢力を拡大していきました。
次のパネルをご覧ください(パネル7)。二つの戦争、とくにイラク戦争がISをつくりだす原因になったということは、戦争を引き起こした当事者であるイギリスのブレア元首相も、最近、認めていることであります。ブレア元首相は、2015年10月25日放送のCNNのインタビューで質問に答えて、次のように述べております。
「CNN 多くの人は、ISの台頭をみた時、イラク侵攻が主要な原因だと指摘した。それについてのコメントはあるか?
ブレア その中には真実が含まれていると思う。もちろん、2003年にサダムを排除したわれわれが、2015年の状況について一切の責任がないとはいえないだろう」
こうブレア元首相が発言しています。
総理にうかがいます。ブレア元首相は、イラク侵攻がIS台頭の主要な原因だという見方には、「真実が含まれている」、こう述べているわけです。総理も、この認識は共有されると思うのですが、いかがでしょう。
首相 この国際社会における過激主義の登場はですね、あるいはテロ組織の登場でございますが、そもそもアルカイダという組織があったわけです。このアルカイダとの関係において言えば、いわば米国のアフガン攻撃が原因でアルカイダがおこったわけではなくて、アルカイダがこの9・11のテロを行い、それに対する対応として、米国がアフガンに侵攻したわけでございます。従来、日本も協力をし、テロとのたたかいを続けてきたわけでございます。そして、ISISにつきましては、シリア、あるいはイラクにおけるですね、治安状況の極端な悪化等のなかにおいて、過激な組織としてですね、勢力を広げてきたものだろうと、このように思います。
いずれせよ国際社会が一致協力してですね、こうした過激主義をしっかりと押さえこんでいくことが大切であろうと。また、そうした過激主義を生みだす温床をなくしていくことが大切ではないかと、このように思っております。
志位 もちろん、過激主義のいろいろな温床を取り除いていくことは大事であります。ただ、私が聞いたのは、イラク戦争がIS台頭の主要な原因になっていると、そのこと(見方)については、「真実は含まれている」という、ブレアさんのこの認識、これを総理もお持ちじゃないですかと聞いているんです。イラク戦争について聞いているんです。
首相 私はその、ブレア首相のインタビューについて、承知していないわけでございますが、あの、いわば、ISISの台頭については、これはさまざまな議論があるわけでございます。当然、この台頭については、しっかりと分析をしていく必要もあるんだろうと、こう考えております。
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オバマ米大統領も“イラク戦争によってアルカイダがISに進化した”と発言
志位 はっきりお認めにならないのですが、もう一人証言者がいます。アメリカのオバマ大統領です。2015年8月5日、次のように述べています。
「それから(イラク戦争から)10年以上が経過し、われわれ依然として、イラク侵攻を決定したその結果とともに生きている。…何千という人命が失われ、何万という人々が負傷した。これはイラク国民の死者を計算に入れていないものだ。…今日、イラクは宗派対立にとらわれたままだ。そして、イラクで出現したアルカイダはいまではISIL(IS)へと進化した」
“イラク戦争によって、アルカイダがISに進化した”。こういうことを言われているわけですね。
オバマ大統領、ブレア元首相という、まさに戦争の当事者の双方が、イラク戦争が一つの要因になっているという事実を認めている。これをお認めにならないというのは、米英と比べても、総理の認識は遅れていると言わなければなりません。
ブレア元首相は、同じ発言のなかで、イラク戦争に関わって、「われわれが入手した情報が間違っていた事実については謝罪する」ということも明言しております。「イラクによる大量破壊兵器の保有」という、アメリカ・ブッシュ政権の「間違った情報」をうのみにして、イラク戦争に無条件の支持を与えた自民党政府は、厳しい反省が必要だということも言っておきたいと思います。
空爆の強化は、罪なき多くの人々を犠牲にし、ISの思うつぼになる
志位 戦争でテロをなくすことはできません。テロと戦争の悪循環をもたらし、世界中にテロを拡散し、ついにISというテロ組織をつくりだしました。
この歴史的教訓にてらしても、いま一部の国が行っているISに対する空爆など軍事作戦の強化では、問題は決して解決しないと思います。それは多数の罪なき人々を犠牲にし、憎しみの連鎖をつくりだし、テロと戦争の悪循環をもたらすだけであります。
パリ同時多発テロを受けて、米英仏ロなどは、対IS空爆を強化しています。米国防総省の発表によりますと、米軍を中心にした「有志連合」の空爆は、最近になって1万回を超え、落とした爆弾は3万5千発を超えました。空爆の強化に対して、多くの人々から、強い批判の声が上がっております。
若干紹介したいんですが、IS支配地域に入って取材した初めての西側の記者、ドイツ人ジャーナリストのユルゲン・トーデンヘーファー氏は、イギリスの新聞ガーディアンに寄せた論評「私はIS戦闘員を知っている。ラッカに対する西側の爆弾投下は彼らを歓喜させるだろう」で、次のように述べています。
「パリでの攻撃以降、西側の政治家たちは、テロリストが仕掛けた罠(わな)に目を開いたまま、自ら落ち込んでいる。…爆弾が無実の人々を圧倒的に殺害し、それによってテロの大義に加わる新兵を生みだすのを手助けするからだ。…アラブ世界の大多数はラッカで死んだ子どもたちの写真を見ている。ISはその写真を拡散するために全力を挙げているのだ。そして、子どもが1人殺されるたびに新たなテロリストが生まれる。戦争はブーメランだ。後になってテロの形態をとってわれわれにしっぺ返しがやってくる」
もう一人、ISに人質としてとらわれていたフランス人記者のニコラ・エナン氏は、米国のネットメディア「デモクラシー・ナウ」で次のように語っています。
「シリアでの空爆のされ方は間違いだ。…これら全ての爆撃には重大な副作用がある。われわれはシリアの人々をISの手の中に押し込んでいる。われわれは彼ら(IS)のために働いている。彼らのために新兵募集をしている」
つまり、空爆の強化は、罪なき多くの人々を犠牲にし、それはISを喜ばせるだけだ。ISの思うつぼになる。ISの「新兵募集」になる。総理、こういう批判にどうお答えになりますか。
首相 ISに対する有志連合の武力行使でありますが、この武力行使ですべてが解決するわけではないのは当然のことであります。しかし武力行使をしなければですね、解決するかといえば、これはまさにISがどんどん勢力を拡大していくばかりであります。この勢力の拡大をおしとめているのも、これは空爆等の武力行使であることも厳然たる事実であります。たしかに民間人を含む犠牲者が出ることについては胸が痛くなる思いであります。おそらくこれは有志連合も好んでやっていることではないわけでありますが、ISが、これが理屈が通じてですね、やめてくださいといってやめてくれるのであれば、それに越したことはないのでありますが、残念ながら彼らはシーア派、クルド人、これはもう虐殺をしているわけであります。彼らは、そうした人々を殲滅していくことを、異教徒を殲滅していくことを一つの目的としている以上、しっかりとこれは武力行使も含めた対応をしていかなければならないんだろうと、こう思っています。
そのなかで日本としては、日本が求められている活動をしっかりとやっていきたい。難民支援等、人道的支援も含めて周辺国支援も行っていく、そうした活動をしっかりとやっていく中において、国際社会においてその役割を果たしていかなければならないと考えているところであります。
志位 これは、空爆の強化に対する批判なんですよ。ともかく軍事力の強化によってもっぱら対応するということに対する批判が寄せられている。それは、結局、ISを喜ばせるだけじゃないか、「新兵募集」じゃないかという批判を重く受け止めるべきだと思います。
フランスのドビルパン元首相も、「対テロ戦争」について、「アフガニスタン以降行われてきたこのような戦争についてわれわれが知っているすべてのことは、失敗するということだ」、「ISの大半は、われわれ自身が生み出したということを自覚すべきだ。われわれは悪循環の中に陥っているのだ」と語りました。また、「テロリストと戦争はできない」「戦争しなければならないという考え方こそ、われわれに向けられた罠だ」といっている。こういう指摘も重く受け止めるべきだと思います。
テロ根絶には、軍事的対応の強化ではなく、政治的・外交的対応に知恵と力を
志位 先ほど民間人の犠牲は、胸が痛むということをおっしゃられた。それでは聞きます。日本はアメリカ主導の「有志連合」の一員です。「有志連合」の空爆によって、どれだけの民間人が犠牲になっていると把握していますか。
外相 対ISILの空爆による民間人の犠牲者についてのご質問ですが、この対ISIL連合の空爆による犠牲者を各国政府は公表しておりません。よって、わが国としてこの民間の犠牲者について、正確かつ網羅的に把握することは現状困難だと考えています。
志位 掌握していないんですよ。総理は、「空爆を行っている有志連合を支持する」といわれます。ところが、その空爆で、どれだけの民間人の犠牲者が出ているかは、把握すらしていないという。自分の都合の悪いことには目をふさぐというのは、私は、責任のない態度だと思います。
この犠牲者、いろいろな数字はありますが、米中央軍は「有志連合」の空爆による民間人の犠牲者について、ごくごくわずかしか認めておりません。切れ切れの発表を足し合わせてみても、米中央軍が認めた民間人の犠牲者はわずか21人にすぎません。しかし現実の犠牲者ははるかに多い。イギリスのジャーナリストらが主催する「エアウォー」が、中東を含む報道各社による報道、ネットメディア、フェイスブックなどSNS、ユーチューブへの投稿画像、米軍などの公式発表をもとに推計している民間人の犠牲者数は、米軍が対IS空爆を開始した2014年8月から2016年1月29日までで、2029人から2635人、幅がありますが、それだけの方々が少なくとも亡くなっている。
昨年12月、アムネスティ・インターナショナルは、ロシアが、シリアで、住宅街、寺院、市場、医療施設などを空爆し、市民数百人を殺害した。市場に投下された3発の爆弾で49人の民間人が殺害され、にぎやかな日曜日の市場が一瞬にして修羅場に変わったと告発しています。
残虐な空爆は、罪なき人々の犠牲を生みだし、テロと戦争の悪循環をもたらすだけだと思います。
世界からテロをなくすためには、軍事的対応の強化ではなく、国際社会が一致結束して、テロ組織への資金・人・武器の流れを断ち、貧困・格差・差別などテロの根を断ち、シリアとイラクの内戦を解決し、シリア難民への支援を抜本的に強化するなどの政治的・外交的対応に知恵と力を尽くす――この道しかないということを、私は、強調したいと思います。
志位 対IS軍事作戦への「軍事支援をやらないという政策判断」の理由は何か
首相 (理由を答えられず)
法律上は、日本政府が「政策判断」いかんで軍事支援が可能になる
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志位 そのうえで次の問題に進みます。
安保法制=戦争法との関係で、私が強く危惧するのは、政府がISへの空爆などへの自衛隊の軍事支援について、「政策判断として考えていない」としつつ、「法律的にはありうる」と答弁してきたことです。
安保法制の一つ、自衛隊の海外派兵のいわゆる恒久法=「国際平和支援法」で、武力行使をしている米軍など外国軍に対する「協力支援活動」=兵たん支援について、どういう要件を満たせば可能になるか。パネルをご覧ください(パネル8)。
法律では、自衛隊による「協力支援活動」は、次の三つの要件を満たせば可能になるとされています。
第1は、活動の根拠となる国連決議(総会または安保理決議)が存在することです。
第2は、脅威を除去するために国際社会が共同して対処活動を行っているということです。
第3は、わが国がこれに主体的かつ積極的に寄与する必要があると認められることであります。
総理にうかがいます。中谷防衛大臣は、2015年6月2日、参議院外交防衛委員会の答弁で次のように述べております。読み上げます。
「ISILについても(国連)決議が出ておりますが、これについて、安保理決議第2170号及び2199号は、ISILを国際の平和及び安全に対する脅威であると認識する旨の言及があり、かつ加盟国に対してISILに対する措置をとることを求めていることから、これらの安保理決議は同法(国際平和支援法)の3条1項1号のロに規定する決議に該当し得るということでございます」
つまり、第1の要件に該当しうるという答弁を防衛大臣がされておりますが、総理も同じ認識ですね。
防衛相 これは私の答弁でありまして、その6月2日の答弁の中で、その発言の前にですね、前提があります。その前に「いずれの国会決議が国際平和支援法に定める要件を満たすかについては、実際の運用に際して、個別具体的なケースに際して精査されるべきものである」と申し上げたうえで、あくまでも純粋に国連安保理決議2170、2199に示された文言だけを見た場合には国際平和支援法に規定する決議に該当しうる、すなわち、該当する可能性は排除されないという旨を説明したにすぎません。またあの、これも第3条は定義でありまして、文言の定義の中に決議の項目があります。これは支援できる軍隊についての定義においてのこの決議についてでありまして、そういう意味におきまして説明したものにすぎません。
この前提を課している以上ですね、私の答弁は、要件を満たすか否かの判断をしないということを前提としたうえで、仮にある国連決議の文言だけで判断しなければならないなら、同法に規定する国連決議に該当する可能性があるということを言ったわけであります。
志位 大臣は、ずいぶんご自分の答弁を、低く、低く、価値を低めようと一生懸命に答弁されましたが、「該当しうる」とはっきり答えているんです。ですから第1の要件は該当しうるんです。
次に、第2の要件――「脅威を除去するために国際社会が共同して対処活動を行っている」については、「有志連合」が国連決議にもとづいて行動しているということになります。
そうしますと残る第3の要件――「わが国がこれに主体的かつ積極的に寄与する必要があると認められる」と認定をすれば、法律を発動する要件を満たしうるということになります。要は、日本政府の「政策判断」のいかんということになります。すなわち日本政府が「必要だ」という「政策判断」を行えば、対IS軍事作戦への自衛隊の兵たん支援は、法律上は可能になるということになります。
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「軍事支援をやらない理由」を聞いたのに、「非軍事的支援が適切」では答えにならない
志位 そこで次の問題です。
総理は、「政策判断として、ISILに対する軍事作戦に対して後方支援を行うことを全く考えていない」とおっしゃいます。その理由は何でしょうか。
私が、本会議の代表質問で、「そういう『政策判断』をしている理由は何か」とただしたのに対して、総理は、次のように答弁されました。
「わが国は、難民、国内避難民に対する食料、人道支援など、わが国ならではの支援を拡充し、非軍事分野において、国際社会におけるわが国の責任を果たしていくことが適切であると考えている」。
これが答弁なんですね。
私は、「軍事支援をやらないという政策判断」の理由を聞いたのに、総理は、「非軍事的支援が適切と考えている」と答弁される。しかし、これでは答えになってないんですよ。もう一度聞きますよ。「軍事支援をやらないという政策判断」を行っている理由は何ですか。きちんとお答えください。
首相 「軍事支援をやらない」と申し上げている判断はですね、まさに今、志位委員がおっしゃったように、わが国が現在行っているですね、難民、国内避難民に対する食料、人道支援について、これは高く評価されているわけでありまして、わが国ならではの支援を拡充し、非軍事分野において、国際社会におけるわが国の責任を果たしていくことが適切であるとこう考えたわけでございまして、今現在、われわれが後方支援をする、または軍事作戦に参加する、これは政策判断としてとらない。まさに政策判断としてとらないと私が総理大臣としてそう判断したわけでありまして、わが国といたしましては今申し上げた分野で日本ならではの責任を果たしていくべきだと、こう考えたわけであります。
志位 あのね、その「政策判断」をした理由を聞いているんですよ。「非軍事的支援が適切だ」というのを繰り返されるわけですが、それは理由にならないですよ。「軍事支援をやらない」理由を聞いているんです。
「有志連合」による空爆の強化は賛成できないから、日本は軍事支援を行わないという「政策判断」を、あなたがたがやっているというなら、そういう「政策判断」を行っている理由はよくよく理解できますよ。日本は空爆の強化に反対だから、それに対する軍事支援をやらないと言うなら筋が通っている。しかし、総理は、「空爆を行っている有志連合を支持する」とおっしゃる。「支持」しながら、なぜ日本は、「軍事支援をやらないという政策判断」を行っているのかということを聞いているんです。国民が納得のいく、説得力のある説明をしてください。「政策判断」だけじゃすみませんよ、その「政策判断」の根拠を聞いているんですから。
首相 支持するということはですね、自動的に有志連合において空爆をするということではまったくないわけでございます。もちろん、そもそも空爆する能力がわが方にはないのはご承知の通りだと思います。
そこで後方支援をするのかどうかということでございますが、このオペレーションにつきましてはすでに、有志連合は構成されて、主に空爆を行っているという状況にあるわけでございます。そして、また、われわれが今行っている人道的支援がですね、まさにわが方が中心になって、資金的には出しているわけでございます。そして、それに対する評価が高いなかにおいて、当然、政策判断として、どこに力点を置いていくのかというのは当然のことだと思います。
そこで私たちは、人道支援等々に力点を置いていく、そして、それが求められている中においては、それを行っていく、ということでございまして、いずれにせよ、こうした政策判断は主体的にわれわれが政府において判断をする。そして、私がこう申し上げている以上、こういう政策判断をしたわけでございますから、これはこの中において、われわれがこれを変えて、見通しうる将来においてこれを変えて、判断を変えるということはないと、見通しうる将来においてはないということでございます。
志位 私は「軍事支援をやらないという政策判断」の理由をこれだけ聞いたんですが、その理由をはっきり説明できないじゃないですか。「非軍事的支援が適切だ」だけでは説明にならないですよ。非軍事的支援と軍事的支援と両方やることだってある。私たちは反対ですがね。その理由を聞いているわけです。それを説明できない。
志位 米国が日本に軍事支援を要請してきたら拒否できるか
首相 要請があってもお断りする
志位 どういう理由で断るのか
首相 (理由を答えられず)
志位 拒否する理由が示せない。そんなことで実際に拒否できるか
米国が対IS軍事作戦を拡大し、日本に支援要請をしてきた場合に、拒否できるか
志位 そうなりますとね、こういう問題が出てくるんです。アメリカが対IS軍事作戦をエスカレートさせて、日本に支援を要請してきた場合に、拒否できるかという問題です。
イラクには現在、約3500人規模の米兵が軍事顧問団として駐留しています。イラク軍兵士の軍事支援や助言が名目ですが、それだけでなく対IS軍事作戦にも参加してきました。その結果、国防総省の発表でも、この作戦ですでに米兵14人が死亡しております。それに加えて、オバマ政権は新たに200人規模の特殊作戦部隊を派遣しています。
オバマ大統領は、「イラクなどに大規模な米地上部隊を送らない」と繰り返していますが、共和党の有力上院議員のマケイン、グラム両氏などは、イラク駐留米兵を現在の3500人から1万人に増員し、シリアには多国籍部隊の一員として1万人の米兵を派遣すべきだという見解を表明しています。
アメリカが状況いかんで、対IS軍事作戦をエスカレートさせることは、私は、大いにありうることだと思います。そのときに日本に支援を要請してきたら、どうするか。そういう場合にもきっぱり拒否すると明言できますか。
首相 この日本の立場はですね、すでに米側に十分に説明をし、理解をされているわけであります。と同時に、私たちの行っている人道支援は高く評価されている中において、しっかりと人道支援を行ってもらいたいというのが米側の考え方でございます。当然、その中においてわれわれは選択肢として、この人道支援をしっかりと続けていく、同時に選択肢としてこの後方支援はやらない、という判断をしたわけであります。そして、その判断は理解をされているとこのように考えているわけでありまして、わが国が要請を拒否できない、ということは、これは全くあり得ないわけでありまして、あくまでも私たちが主体的に判断をするのは当然のことでございます。
志位 要請を拒否できないということは、全くあり得ないとおっしゃいましたが、じゃあ、そういう要請があったらば、拒否するということですね。明言してください。
首相 まあ、申し上げておりますように、政策的な判断としてはとらないということを明確に申し上げておりますので、要請があってもそれはお断りをすると、まあこういうことでございます。
志位 要請があった場合はお断りをすると。では、もう一つ聞きます。この断る場合にですね、どういう理由で断るんですか。日本はなぜこれを拒否すると。どういう理由で断るんですか。
先ほど私は、「軍事支援をやらない」という理由は何かとあれだけ聞いたけど答えられなかった。アメリカが要求してきたらどうするのか。アメリカが要求してきた場合に、これまでだったら、憲法の制約がある、あるいは法律がない、こういうことで断ることができたかもしれない。しかし、法律をつくっちゃった。憲法の解釈も変えた。そういうもとで、どういう理由でアメリカに断るんですか。
首相 よく誤解をしている人が多いんですが、憲法があるから断れる、あるいは法律があるから断れる、ということではなくて、われわれは政策的な判断でそれは行えませんと言えば、断れるのは当然のことであります。われわれは主権国家でありですね、当然われわれはしっかりと私たちの、それは私の政策判断ですといえば、これはもう了解するわけでございます。
志位 政策的判断というだけで、拒否する理由は示せない。これが問題なんですよ。「軍事支援をやらない」という理由も示せない、拒否する理由も示せない。そんなことで実際に拒否できるかという問題なんです。
米国からの協力要請について、その有無さえ答えられない
志位 じゃあ具体的にもっと聞いていきますよ。
読売新聞の2014年10月16日付の報道によりますと、オバマ政権が2014年8月8日にイラクでISへの空爆を開始した後、米国政府高官はワシントン市内で日本政府関係者と会談し、「自衛隊による後方支援はできないか」と打診した。しかし、日本側は、「集団的自衛権行使を限定容認する安全保障法制の議論に影響を与えかねない」と米側の非公式打診を断った、という報道があります。この報道は事実ですか。
防衛相 その報道は承知をいたしておりますけれども、当方といたしましては、つねづね米国に対しましては、わが国の立場や考え方、これは説明をいたしておりまして、理解をされていると認識しております。
志位 ですから、この打診はあったんですか。打診の有無について聞いています。
防衛相 はい。日米間では、幅広くですね、常時意見交換を行っているわけでございますが、相手国の発言等につきましては、今後の活動等に支障を及ぼしますので、その点につきましては、お答えは差し控えさせていただきます。
志位 打診の有無さえ答えられないというお話でした。
では、もう一問聞きます。カーター米国防長官は、昨年12月9日の米上院軍事委員会の公聴会で、「有志連合」による対IS軍事作戦に関して、「私は世界の約40カ国に協力要請した」と述べております。偵察のための航空機の派遣や、武器と弾薬の提供を要求したと説明しております。日本はアメリカ主導の「有志連合」65カ国の一員です。防衛大臣、日本に対して協力要請があったのか、協力要請の有無を答弁されたい。
防衛相 はい。日米間におきましては、いろいろと意見交換しておりますけれども、常々わが国は、対ISILの軍事作戦に参加する考えは全くなく、またISILに対する軍事作戦の後方支援、これを行うことは全く考えていないということ。そして、日米間におきましては、ISILへの対応を含めまして、広く中東情勢に関して意見交換を行っておりますが、わが国は、シリア、イラクの難民、また、国内の避難民支援、ヨルダン、レバノンといった周辺国への支援、また、関連国連決議の履行を着実に実施をしてきておりまして、非軍事分野においてわが国の強みを生かした可能な限りの貢献を行っているという考えを持っておりまして、随時、日米間では幅広く意見交換を行って、わが国の考え方、これは説明をしているところでございます。
志位 ですから、カーター長官から協力要請があったのかなかったのか、それを聞いているんです。
防衛相 はい。これは、幅広く日米間で意見交換をいたしておりまして、相手国の発言等につきましては、相手国に立場もございますし、また今後、幅広いかたちで自由に意見交換をする必要がございますので、相手国の発言等につきましては、明らかにするべきではないと考えます。
志位 また答えを言わないわけですよ。要請の有無も言わない。
カーター長官は、1月13日のフォート・キャンベル陸軍基地の演説で、「40カ国以上の私のカウンター・パート、国防大臣」に対して、いっそうの特殊作戦部隊、攻撃・偵察機、武器・弾薬、訓練援助、戦闘支援、戦闘部隊支援を要請したと述べています。先ほどから大臣は、「相手国の立場もあるから」とおっしゃいますが、カーター長官は「私のカウンター・パート、国防大臣に要請した」と言っている。カーター大臣の「カウンター・パート」といえば、中谷大臣のことでしょ。そうですよね。先方がそう言っているのですから、要請があったかどうかぐらい明らかにすべきじゃないですか。何を遠慮しているんですか。
防衛相 相手国の高官の発言等につきましては、これ、当然のことながらですね、申し上げることはできません。ただ、日米間ではさまざまな面で意見交換を行っておりまして、わが国の立場におきましては、先ほどご説明したような非軍事分野で貢献をするという意思は、私の方から伝えているわけでございます。
志位 これ(要請が)、あったということまだ認めないんですか。申し上げることができないって、あったかどうかも認めないんですか。これだけ言われても、要請があったことを認めない。(大臣は)首を(縦に)振ってますが、認めないんですね。どうですか。
防衛相 これは2国間で、さまざまな意見交換を行っているわけでございますが、相手国の言ったことにつきまして、それぞれ信用の問題もありますし、相手の立場もございますので、これは、私は明らかにすべきではないと考えております。
志位 何度聞いても明らかにすることさえしない。要請の有無さえ明らかにしない。
オーストラリアは要請を「公式に拒否」―これが普通の独立国の態度ではないか
志位 それでは、オーストラリアはどういう対応をしているか。オーストラリアのマリス・ペイン国防大臣は、1月13日、「ISとのたたかいに対するオーストラリアの貢献」についての声明を発表しております。その中で次のように述べています。
「米国は、パリでの攻撃(テロ事件)を受け、欧州を含む約40カ国に対し、有志連合への貢献の拡大を検討するよう要請した。オーストラリアは、米国のアシュトン・カーター国防長官からの要請について、われわれがすでに行っているイラク治安部隊の訓練および空爆へのかなりの貢献を考慮しながら、検討してきた。本政府は、カーター長官に対してわれわれの現在の貢献を継続すると通知した」
要するに、現在の貢献を継続する。現状維持と(いうことです)。つまり、「有志連合への貢献」の拡大には応じないということを、はっきりこういう形で明らかにしているわけであります。オーストラリアの新聞「シドニー・モーニング・ヘラルド」1月13日付(電子版)は、マリス・ペイン・オーストラリア国防大臣が、カーター米国防長官の要請を「公式に拒否した」ことを認めたと報じました。AP通信は、「オーストラリア、対IS作戦増強を求める米国の圧力に抵抗」と報じました。
総理に、うかがいます。要請が、あったらあったと言う。拒否したら拒否したと言う。これが普通の独立国の態度じゃないですか。総理。
首相 それは違うと思います。国際社会においてはですね、外交的な信頼関係を維持するうえにおいては、相手方の発言について軽々に外に発表しないというのがこれ常識であって、その中において、お互いがですね、緊密な連携を行うことができるということでございます。そして、その要請についてですね、今さまざまなお話をしておられますが、いずれにせよ、私が先ほど申し上げましたように、このISILに対する空爆等への後方支援はですね、われわれは行わないということを言っているわけでございます。行わないことを決めているわけでありますから、要請があったかないか、これはあまり意味のない話でございまして。その中においてですね、外交的なやりとりをですね、今、今われわれがですね、それ、この支援するかどうか迷っているということであれば、百歩譲って志位さんがそういうことを聞かれるというのはわかりますが、やらないと言っているわけなんですから、これはいちいちですね、そうしたやりとりについてお話しする必要はそもそもないんだろうと。そして大原則としては、相手方の発言については、こちらはクォートしないということではないかと、このように思います。
志位 国際的な外交関係においては、公表しないのが当たり前とおっしゃいますが、アメリカの同盟国であるオーストラリアは、こういうきっぱりした対応とっているんですよ。何にも言わない方が異常なんです。異常なアメリカいいなりなんです。
質疑で明らかになった四つの問題―こんな姿勢でどうして要請が拒否できるか
志位 私は、代表質問で、「米国が、対IS軍事作戦を拡大し、日本に支援要請をしてきた場合に、それを拒否できますか。戦争法がある以上、拒否できず、軍事支援を行うことになるのではありませんか」とただしました。
それに対して総理は、「わが国がいかなる支援を行うかは、わが国が主体的に判断すべきことがらだ。わが国が他国の要請を拒否できず、軍事支援を行うことになるといったご指摘は全くあたらない」と答弁されました。今日もそのことを繰り返し言われました。
しかし、この質疑で明らかになったことは何か。
まず第1に、「国際平和支援法」が示す要件にてらして、日本政府が「必要だ」という「政策判断」を行えば、対IS軍事作戦への自衛隊の兵たん支援は、法律上は可能になるということです。国連決議については、(法律の要件に)該当しうるものが少なくとも二つある。これを認めました。これが第1点。
第2に、総理は、「政策判断として、ISILに対する軍事作戦に対して後方支援を行うことは、全く考えていない」ということを繰り返しますが、私が、じゃあ、なぜ、軍事支援をやらないんですかと、そういった政策判断を行っている理由は何ですかと、あれだけ再三聞いても、説明ができませんでした。非軍事的支援をやっているというだけであって、説明ができない。これが第2点。
第3に、アメリカから支援の要請があった場合に、それを拒否できるかという問いに対して、拒否すると言ったものの、どうやって拒否するのか、どういう理由で拒否するのかという、その拒否の理由が示せなかった。
そして、第4に、アメリカからこれまで支援の要請があったかどうかについて、あれだけ質問しても、「相手があるから」と言って、要請の有無さえ明らかにしませんでした。
こんな姿勢で、どうして「主体的な判断」ができますか。アメリカが、対IS軍事作戦を拡大し、自衛隊の支援を要請してきた場合には、対IS軍事作戦の「後方支援」=兵たん支援に、自衛隊を参加させることになることは、私は明らかだと思います。
(アメリカから)「ショー・ザ・フラッグ」と言われれば、海上自衛隊をインド洋に派遣する。「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」と言われれば、陸上自衛隊をイラクのサマワに派遣する。アメリカの軍事的要求に常に忠実につきしたがってきた自民党に、いざ、アメリカの要求があったときに、どうして拒否ができようか。安保法制=戦争法をつくってしまったもとでは、いよいよもって拒否できません。
志位 憲法違反の戦争法を廃止し、日本の政治に立憲主義と民主主義を取り戻す
志位 日本が、対IS軍事作戦に参加するとなれば、テロと戦争の悪循環、憎しみの連鎖に、日本自身が入り込み、日本国民をテロの危険にさらすことになります。そのような道は断じて認めるわけにはいきません。
世界からテロをなくすという課題との関わりでも、安保法制=戦争法は、それに全く役に立たないどころか、きわめて有害で危険極まりないものであります。戦争法を廃止することは、ここでも急務であることを強く訴えたいと思います。
日本の平和と国民の命を危険にさらし、立憲主義を破壊するこのような法律を一刻たりとも放置するわけにはいきません。
戦争法が強行された後も、国民の半数以上がこれに反対という状況は変わりません。その廃止を求める新しい国民運動、市民運動が力強く広がっています。
私たち日本共産党は、国民の世論と運動とがっちりスクラムを組んで、憲法違反の戦争法を廃止し、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」を撤回し、日本の政治に立憲主義と民主主義を取り戻すために全力をあげる決意を表明しまして、私の質問を終わります。