2015年12月1日付「しんぶん赤旗」
『アエラ』野党3党首鼎談から
|
『AERA(アエラ)』(12月7日号)の野党3党首鼎談(ていだん)記事で、日本共産党の志位和夫委員長は「私たちの提案というのは非常にシンプル」として、「国民連合政府」の意義を説明し、「戦争法廃止、立憲主義回復の一点で政権を構成する。現在の非常事態を打開するというのは、これ以上ない憲政上の大義ある課題だと考えています」と述べています。
民主党の岡田克也代表と維新の党の松野頼久代表は、小選挙区で安倍自公政権に勝つためには野党間の協力が必要であるとの認識をそれぞれ表明。一方で「僕たち保守政党にとって共産党は対極の政党ですからアレルギーがある。(政権を共にするのは)ちょっと厳しい」(松野氏)、「国民連合政府は、率直に言ってキツイ」(岡田氏)と語っています。
日本共産党と政権を共にすることが困難とする理由は何か―。
根本問題
岡田氏と松野氏が述べているのは基本政策の違いです。岡田氏は、政権についている間に日本有事などが起きた場合、「きちんと対処できる政府が必要と考えると、民主党と共産党が組む選択はできないと判断しています」と語っています。
これに対して、志位委員長は「野党間で政策的違いがあるというリアルな現実から出発して、どうやって安倍政権を倒すかを考える必要がある」と強調。政策的違いを互いに認めて留保し、個々の政策とは次元の違う「立憲主義の回復」という根本問題で結束し、この任務を実現したあとは解散・総選挙を行うという「国民連合政府」の考え方を示し、「これが一番、現実的で合理的ではないか」と提起しています。「連合政府としては、安保条約に関わる問題は凍結し、これまでの条約と法律の枠内で行動する」という立場も表明しています。
記事は、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設問題や、経済政策=アベノミクスに関する3党首のやりとりも伝えています。
このなかで志位氏が、在日米軍基地問題に関する考え方は民主党と違いがあるとしたうえで、安倍政権が沖縄で民意を無視して力ずくで新基地建設を進めていることをあげ「これはよくないという点で一致するでしょう」と岡田氏に問いかけると、「そこまではね」と応じる様子も紹介しています。
経済認識
また、大企業の内部留保を積みましただけのアベノミクスを転換し、正社員が当たり前の社会とすることや最低賃金の引き上げなどで、大企業のもうけを社会に還元していく方向に進むことの必要性を志位氏が指摘すると、松野氏が「まったく同じ認識です」と表明。岡田氏も「経済政策でいえば、個々に一致できるものはあると思う」と語っています。
志位氏は2017年4月に消費税率を10%に引き上げることについても「いまの経済情勢のもとでは増税しない方向で話し合う余地があるのではないでしょうか」と述べています。
信頼関係
鼎談では、党首間の信頼関係にも話がおよんでいます。
岡田氏は「志位さんとは路線はまったく違うんだけれども、政治家として信頼している」と話し、参院選に向けて話し合いを続けていくと表明。志位氏は「私も同じような信頼を感じています。お互いに信頼感を大事にして一致点を見いだしていきたい」と応じ、松野氏も「今回初めてじっくり話してみて、志位さんという政治家は魅力的だと感じました」と述べ、憲法を踏みにじる安倍政権への危機感は共有していると語りました。
同記事には、吉田徹・北大教授の寄稿文「3党首鼎談を終えて」も合わせて掲載しています。吉田氏は、野党間は競争から協力への転換が求められていると強調。「政治家として尊敬しているという党首同士ならば、この競争から協力への転換はなお進めやすいはずだ」、「問われているのは、野党が民主政治における『道義』を発揮できるかどうかのはずだ」と述べています。