2015年4月7日(火)
安倍暴走政治ストップ、橋下・維新政治退場
日本共産党の躍進で二つの審判を
大阪市での 志位委員長の訴え
日本共産党の志位和夫委員長が5日、大阪市内の街頭で行った訴えの要旨は次のとおりです。
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いっせい地方選挙は、大阪の進路、日本の未来がかかった大事な選挙になっています。日本共産党の躍進で、大阪から二つの審判を下していただきたい。一つは、安倍暴走政治ストップの審判であります。もう一つは、橋下・維新政治への退場の審判です。(「おー」の歓声、拍手)
「戦争立法」ストップ――「改憲タッグ」にノーの審判を
まず訴えたいのは、「海外で戦争する国」への暴走ストップということです。
安倍政権は、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」を具体化する「戦争立法」を、5月の連休明けに国会に提出し、力ずくで押し通そうとしています。二つの大問題が、浮かびあがってきました。
第一は、アメリカが世界のどこであれ戦争に乗り出したさいに、自衛隊が従来の「戦闘地域」まで行って軍事支援をすることになるということです。
これまでもアフガニスタン戦争、イラク戦争などで、自衛隊の海外派兵が行われました。しかし、これまでは「戦闘地域に行ってはならない」という「歯止め」がともかくもかかっていました。ところが、「戦争立法」ではこの「歯止め」を外して、「戦闘地域」にまで自衛隊を出そうというものとなっている。「戦闘地域」にまで行きましたら、相手から攻撃されることになります。“攻撃されたらどうするのか”と共産党が国会で追及しますと、安倍首相は、“そのときには逃げます”(笑い)という。しかし逃げたら、ますます攻撃されますね。“そんないいかげんなことではだめですよ”とさらに追及しますと、安倍首相は「武器の使用をする」といいました。憲法9条が禁止した「武力の行使」そのものではありませんか(「そうだ」の声)。自衛隊を「戦地」に派兵し、自衛隊員を「殺し、殺される」ところに送り込む――こんな道は断じて許すわけにはまいりません。(「そうだ」の声、大きな拍手)
第二に、日本が攻撃されていなくても、集団的自衛権を発動して、自衛隊が海外での武力行使に乗り出そうとしていることです。
どういう場合に発動するのか。これが問題です。時の政権の裁量に委ねられていて、無制限に広がっていくことになります。私は、衆議院の代表質問で、安倍首相を追及しました。“アメリカが先制攻撃の戦争を行った場合でも、集団的自衛権を発動するんですか”。首相の答弁はそれを否定せず、“個別具体的、総合的に判断します”でした。しかし、先制攻撃というのは、国際法違反の侵略行為です。そしてアメリカが、ベトナム侵略戦争、イラク侵略戦争、先制攻撃の常習犯であることは、歴史が証明しているではありませんか(「そのとおり」の声、拍手)。そんな無法な戦争に、アメリカが乗り出したときに、自衛隊が一緒になって戦争する。こうなってきますと、「集団的自衛」ではないですね。「集団的侵略」になるではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
自衛隊ができて60年がたちました。これまでのところ自衛隊員のなかから戦死者は出ていません。しかし自衛隊員に犠牲者がいなかったということではありません。アフガン戦争、イラク戦争に、自衛隊を派兵した。帰国した自衛隊員のなかで、恐怖と緊張から、精神に不調をきたすなどで、自ら命を絶った人が40人もいる。戦争でまっさきに犠牲にされるのは、未来ある若者です。若者を戦争に送るな――この声をあげようではありませんか。(歓声、大きな拍手)
憲法9条を壊す動きに対して、維新の党はどういう姿勢でしょうか。安倍首相は、今年の1月、関西テレビのインタビューで、「大阪都」構想に賛意を示したうえで、憲法改定への協力を求めました。橋下市長は、「憲法改正は絶対必要。できることは何でもしたい」と応じました。「大阪都」構想の住民投票は、憲法改定国民投票の「予行練習ですよ」とまで言った。憲法改悪の別動隊そのものではありませんか(「そうだ」の声、拍手)。安倍・自民党と橋下・維新の党の「改憲タッグ」に厳しいノーの審判を下そうではありませんか。(歓声、大きな拍手)
今度の選挙で、自民党、公明党、維新の党への一票は、「戦争への一票」になります。日本共産党への一票は、「平和への確かな一票」になります(「そうだ」の声、拍手)。「戦争立法」ストップの声は、党をつくって93年、命がけで反戦・平和を貫いてきた日本共産党にお寄せください。(大きな拍手)
格差拡大の「アベノミクス」――「暮らし破壊タッグ」にノーの審判を
いま一つ訴えたいのは、「世界で一番企業が活躍しやすい国」への暴走ストップということです。安倍首相はこのスローガンを連呼し、「大企業がもうかれば、その恩恵がいずれは庶民の暮らしに回ってくる」と繰り返しております。「回ってくる」といいますが、回ってきていますか(「回ってこない」の声)。待てども、待てども、回ってこないではありませんか。
円安と株高で、大企業は空前のもうけをあげ、285兆円もの内部留保を積み上げています。しかし、働く人の実質賃金は22カ月連続マイナスです。年収200万円以下の「働く貧困層」といわれる方々が1120万人と史上最多になっています。「アベノミクス」がもたらしたものは、「一握りの巨大企業栄えて、民滅ぶ」――格差拡大だけだったではありませんか。(「そうだ」の声、大きな拍手)
日本共産党は、三つの転換ということを訴えております。
第一は、消費税10%への増税を中止し、「消費税に頼らない別の道」――大もうけしている富裕層や大企業に応分の負担を求める別の道への切り替えを行うということであります。(拍手)
第二は、社会保障の切り捨てから充実への転換です。「社会保障のため」といって、消費税の大増税をやっておいて、介護報酬の大幅引き下げ、年金の連続削減、医療の負担増。今年度だけで、制度改変による社会保障費削減は3900億円にものぼります。
一方で、大企業には2年間で1兆6000億円もの減税をばらまこうとしています。もっぱら大企業にしか使えない研究開発減税で、トヨタ1社だけで1200億円も減税をしている。介護報酬引き下げによる国庫削減の1130億円より多い。こんなバカな政治はありません。大企業にばらまくお金があるのなら福祉に使えということを、強く訴えたいと思います。(大きな拍手)
第三は、人間らしく働ける雇用のルールをつくることです。安倍政権は、雇用のルールを大本から破壊する二つの重大法案を提出しました。一つは、「正社員ゼロ」に道を開く労働者派遣法大改悪法案です。もう一つは、「残業代ゼロ法案」です。日本全体を「ブラック企業」に変えてしまう雇用大破壊を絶対に許してはなりません(「そうだ」の声、拍手)。「雇用は正社員が当たり前の社会をつくろう」、「『残業代ゼロ』ではなく『過労死ゼロ』の日本をつくろう」――この願いを日本共産党に託してください。(大きな拍手)
この「アベノミクス」に対して、維新の党はどういう態度でしょうか。維新の党は国会質疑のなかで、「力を合わせてアベノミクスを成功させる」とエールを送り、「今国会に上程されている労働規制改革をやりとげていく」。労働者派遣法の改悪をやれと叫んでいる。ここでも安倍政権の暴走の「先兵」になっています。日本共産党への一票で、安倍・自民党と橋下・維新の党の「暮らし破壊タッグ」にノーの審判を突き付けようではありませんか。(歓声、大きな拍手)
「維新政治」に総決算の審判を(1)――「住民福祉の増進」という原点を取り戻そう
さて、大阪の進路をめぐって何が問われているでしょうか。
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橋下・維新の党は、「大阪都」構想が最大の争点だといっています。しかし、私は、その問題の前に、府民がこの選挙で審判を下すべき問題があるということをいいたいと思うのです。2008年以降の7年間の大阪「維新政治」への総決算の審判が必要ではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)
「維新政治」の最大の問題は、「住民福祉の増進」という地方自治の原点が、最も乱暴な形で投げ捨てられてきたことにあると思います。
大阪府政では、6年間で福祉・介護・医療など暮らしにかかわる予算が1770億円も削られました。文字通り府民の命を削ってきたのが「維新政治」ではないでしょうか。(「そのとおり」の声、拍手)
池田小学校の惨事を踏まえて、府下のすべての小学校に警備員が配置されました。ところが府は、学校警備員の補助をゼロにしてしまいました。
千里救命救急センター、大阪赤十字病院の救命救急センターの補助金も大幅削減・廃止にしてしまいました。第3次救命救急の受け入れ拒否が4年間で1・77倍になっています。
大阪の視覚障害者協会など八つの障害者・福祉団体への補助金を廃止してしまいました。専門職廃止や事務所移転を余儀なくされている団体もあるとうかがいました。
街かどデイハウス補助金を半減し、1万2000人の待機者がいるのに特養ホームへの建設費補助を削減しました。
高すぎる国保料が大問題になっているのに、府は市町村への補助金を3分の1削減してしまいました。
くわえて、大阪市政は、大阪府政と一緒になって住民いじめをしてきました。敬老パスを有料化し、赤バス(コミュニティーバス)を全廃し、住吉市民病院の廃止を決めました――これは市民の運動で廃止を延期させ、せめぎ合いになっていますから、日本共産党を伸ばして必ず存続させようではありませんか(「そうだ」の声、拍手)。さらに国保料を(財政が)黒字なのに値上げをしてきたのが大阪市政です。
あらゆる分野で府民の命を削る暴政を進めてきたのが「維新政治」の7年間だったのではないでしょうか(拍手)。「身を切る改革」といいますが、府民のみなさんの命を削り、暮らしを削ってきたのが「維新政治」ではないですか(「そうだ」の声、拍手)。日本共産党の躍進で、大阪に「住民福祉の増進」という地方自治の原点を取り戻そうではありませんか。(大きな拍手)
「維新政治」に総決算の審判を(2)――大阪に自由と民主主義を取り戻そう
それにくわえて、大阪「維新政治」には、他の県にはない「異質の危険」があるということをいわなければなりません。それは、民主主義を壊す独裁政治を大阪に持ち込んでいるということです。この独裁政治が一番ひどい形で猛威を振るっているのが、教育という分野だということを、私は強く告発しなければなりません。
「維新政治」は、安倍政権の「教育改革」を先取りして、首長が教育に介入する「教育基本条例」を強行しました。全国いっせい学力テストの学校別結果を公表しました。小中学校選択制を持ち込み、公立高校の学区制を撤廃し、大阪の子どもたちを異常な競争に駆り立て、ストレス、「荒れ」をもたらし、子どもたちの成長を脅かしています。
府立高校7校の廃校計画を進め、この3月に、府立池田北高校と咲洲(さきしま)高校の廃止を決め、子どもの学習の場を奪っています。
「国旗・国歌」強制条例を強行しました。ある府立高校では、橋下市長が連れてきた校長が、卒業式・入学式で「君が代」斉唱をやっているかどうか、教職員の“口元チェック”をやっていたことが問題になりました。背筋が寒くなるような光景ではありませんか。 この「民間人」校長は、松井知事が府の教育長に任命しましたが、パワーハラスメント問題を引き起こして、この3月、辞職に追い込まれました。(拍手)
こうした「維新政治」による教育への介入で、最も悪いのは、教育という場に異常な競争と強制を持ち込んだことです。ここが一番罪深い(「そうだ」の声、拍手)。一番反教育的な暴挙だということをいわなければなりません(大きな拍手)。自由な空間でこそ教育は輝くことができます。そういうまっとうな教育を取り戻していこうではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
橋下市長が、大阪市の全職員に対する「思想調査」を行ったことも忘れてはなりません。大阪地裁は、3月30日、職員の憲法上の権利を侵害したとして、これを断罪しました。この司法の判断を市長は重く受け止めよということを、私は強くいいたいと思います。(「がんばって」の声、拍手)
こうして最も野蛮な手法で、民主主義と教育を破壊する暴政を進め、それが破綻しつつあるのが、「維新政治」の7年間ではないでしょうか。日本共産党の躍進で、大阪に自由と民主主義を取り戻そうではありませんか。(「がんばれー」の声援、大きな拍手)
「大阪都」構想――大阪市を廃止・解体し、やりたい放題の独裁体制づくり
それでは、「大阪都」構想とは何か。いまお話ししてきた「維新政治」の暴政に、府民・市民の強い批判が広がりました。追い詰められた維新の党が、その暴政を無理やり押し付けるために、強行突破、イチかバチかの賭けに出たというのが、「都」構想なるものの正体です。それは、追い詰められたもとでの、悪あがきにほかなりません。
それは、「大阪市をなくす」というものです。「大阪都」構想といいますが、住民投票で「賛成」が多数になっても、「大阪都」はできません。大阪市が消滅し、大阪市民もなくなり、五つの「特別区」にバラバラにされるだけです。「大阪市廃止・解体」構想というのが、その正体なのであります。(拍手)
そして、「暮らしをつぶす」というものです。これまでたくさんの府民・市民の命を削る暴政をやってきたけれども、市民のみなさんの運動、市議会の反対で、どうしても強行できなかったことがある。たとえば「地下鉄・市バスの民営化」はできなかった。これを一気に進めてしまおう。市立プール、老人福祉センター、子育てプラザなどの廃止・統合計画も一気に進めてしまおう。これまでやれなかったことを、この仕掛けでやってしまおうというのです。
さらに、「1人の指揮官」のやりたい放題の体制をつくる。五つの「特別区」をつくるといいますが、そこには半人前の権限と財源しか与えられません。権限も財源も「大阪府知事」という「1人の指揮官」に吸い上げられます。
こうやって福祉と暮らしを削り、大阪市から吸い上げたお金を使って何をするのか。関西空港までのたった5分間の時間短縮のために2500億円をかける鉄道・「なにわ筋線」をつくる。3000億円から4000億円をかける高速道路・淀川左岸線の延伸をすすめる。そしてカジノの誘致です。ギャンブル依存症が深刻になっている日本で、カジノを誘致して、大阪をどんな街にするつもりか。こんなものが「成長戦略」だというのは、根本から間違っているということをいわなければなりません。(「そうだ」の声、大きな拍手)
日本共産党の躍進で、こういう独裁体制づくりをストップし、「維新政治」に退場の審判を下そうではありませんか。(歓声、大きな拍手)
日本共産党府議団・市議団のかけがえのない値打ち――対決・対案・共同
こういう政治のもとで、日本共産党の府議団・市議団は、かけがえのない値打ちをもっています。
7年間の「維新政治」に対して、一貫して真正面から対決をしてきたのが、日本共産党であります。7年間、「維新政治」の予算に反対し、組み替え提案など建設的な対案を示してきました。
府民のみなさんと力をあわせて、府政を動かす仕事をやってきたのが、日本共産党です。府営水道料金の値下げを繰り返し提案し、2010年、13年と2回の値下げを実現しました。住民運動と日本共産党との共同の成果であります。
そして、「維新政治」ノーの一点で、保守の方々を含めた幅広い共同のために力をつくしてきたのが、日本共産党です。堺市長選挙での勝利など、大阪市を取り巻く多くの自治体で「維新政治」ノーの声が広がってきているではありませんか。大阪市でも、審判をはっきり下そうではありませんか。(歓声、大きな拍手)
政党助成金廃止、企業・団体献金全面禁止を――維新は「身を肥やす改革」
最後に一つ、言っておきたいことがあります。維新の党が「身を切る改革」といっていることについてです。
日本共産党は、躍進させていただいた衆議院で、政党助成法廃止法案を提出いたしました(拍手)。企業・団体献金全面禁止法案も提出いたしました(拍手)。この二つをセットで実行してこそ政治腐敗はなくなるのではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)
維新の党は、「企業献金を禁止する」といいますが、政治資金パーティーはどんどんやろうという立場です。くわえて、私が驚いたのは、維新の党の議員が、国会質問で、「企業献金をやめる代わりに、政党助成金をもっと増やしてもいいのではないか」と言ったことです(どよめきの声)。これでは「身を切る改革」ではなくて、自分の「身を肥やす改革」になってしまうではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
政治の不当な特権を正すというのなら、年間320億円、憲法違反の政党助成金こそなくすべきではないでしょうか。(歓声、大きな拍手)
「大阪が変われば、日本が変わる」――日本共産党の躍進で、大阪から逆流を一掃し、新しい政治の流れをつくろうではありませんか。(歓声、長く続く大きな拍手)