志位和夫 日本共産党

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主な活動

2014年3月23日付「しんぶん赤旗」

浮かび上がった“自共対決”

前半国会終わる


 2014年度予算の成立(20日)を受け、後半国会は重要法案の審議に入ります。前半国会では、各党の立ち位置が鮮明になり、経済・雇用、改憲、歴史認識などさまざまなテーマで、日本共産党と安倍政権との対決―“自共対決”の構図が浮かび上がりました。

経済

首相 “おこぼれ”政策固執

共産党  賃上げを世論に

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(写真)質問する小池晃議員=4日、参院予算委

 安倍政権は、大企業の利益が拡大すれば、そのおこぼれで庶民の懐も潤うという、破たんした“トリクルダウン”政策を続けています。そのため、本格的な賃上げ機運はいつまでたっても起こらず、中小企業で働く人や非正規労働者の賃金は低迷したまま。4月からの消費税増税が実施されれば、景気の腰折れがいっそう激しくなることは明らかです。

 こうした安倍政権の経済政策に対し、日本共産党は真っ向対決。「最低賃金の大幅引き上げは、必ず消費に結びつき、内需の活性化に最も効果的な景気対策だ。企業の経済活動にもプラスに働く」(小池晃副委員長、4日)。「残業時間の上限を法定化する法改正を一日も早く行うべきだ」(吉良よし子参院議員、11日)など、経済の“好循環”につながる施策を具体的に提案してきました。

 衆院予算委員会の中央公聴会(2月25日)でも「国民生活重視の成長戦略に転換する必要がある」(桜美林大学の藤田実教授)など政府の経済政策の転換を求める声が続出。与党議員からも「景気が良くなったから賃金を上げるのではなく、賃金を上げなくては景気がよくならない」(石破茂幹事長、1月28日の本会議)と日本共産党が主張してきた“賃上げ”を公然と言いだすようになりました。

 全国紙の社説(13日付)でも、大手企業のベースアップ回答を受け、「本物の賃上げを目指せ」(「東京」)「賃上げを一過性に終わらせないために」(「日経」)など、持続的で裾野の広い賃上げの実現を求める論陣を張っています。

集団的自衛権

首相 解釈改憲に前のめり

共産党 問題の核心つく論戦

 予算委の質疑で安倍晋三首相が前のめりの姿勢を示してきたのが、海外での武力行使に道を開く集団的自衛権行使容認のための憲法解釈の変更です。(2面図参照)

 首相は前半国会を通し、憲法9条の事実上の削除となる大転換を「政府が新解釈を明らかにすることで可能」(2月5日)との答弁を皮切りに、「最高責任者は私だ」(同12日)などと政府が勝手に解釈変更できるかのように答弁。与党内からも反発の声が広がりました。

 首相の暴走に対し、「一内閣で(変更が)成り立つなら議会制民主主義とは何だ」(阪田雅裕元内閣法制局長官)と危ぶむ声が国会内外で広がりました。一方、ブレーキとしての役割を完全に放棄したのが、維新の会、みんなの党の野党です。

 維新は、集団的自衛権行使を認めない現在の政府の憲法解釈について「正常化させることが急務だ」と“異常”扱い(18日)。みんなは「ぶれずに、曲げずにやっていただきたい」(20日)と首相をたきつけ、民主党は慎重論を唱える一方、「(与党内協議に)早急に決着をつけるべき」(18日)だとあおりました。

 日本共産党は、集団的自衛権の議論の核心が、日本が攻撃を受けていないにもかかわらず海外での武力行使を可能にし、日本を「戦争する国」へつくりかえる点にあると指摘(4日、小池晃副委員長)。首相も「可能になるものがあるか議論されている」と認めました。

 さらに、解釈変更による行使容認は、立憲主義の立場からも許されないとして立場の違いを超えた共同をよびかけてきました。

 ここへきて、自民党内から異論や慎重論が噴出。公明党も「現在の政府見解は妥当だ」(18日)との立場を国会で表明するなど矛盾が拡大しています。

歴史改ざん

維新 「河野談話」見直し迫る

共産党  不当な攻撃に反論

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(写真)「河野談話」と日本軍「慰安婦」問題での見解を発表し、会場からの質問を受ける志位和夫委員長=14日、参院議員会館

 歴史認識は国政の重大問題となっています。

 「捏造(ねつぞう)」「いわれのない汚辱」(山田宏衆院議員)―。こういって旧日本軍「慰安婦」問題を葬り去って、軍の関与を認めた「河野洋平官房長官談話」(1993年)の見直しを迫ったのが維新です。「談話」にかかわった石原信雄元官房副長官を参考人として国会に呼びつけ、作成経過を執ように問いただしました。(2月20日、衆院予算委)

 安倍首相はこれに反論するどころか、逆に「世論調査で河野談話(見直し)賛成が約6割だった。山田さんのおかげだ」(同24日)などと謝意をのべ、呼応・迎合。菅義偉官房長官も「政府の中に秘密のチームをつくって、もう一度掌握する」(同28日)として、元「慰安婦」の証言を検証する方針を示しました。

 一部政党やメディアがあおりたて、安倍内閣が歴史改ざんの流れをつくるもとで、これに正面から反論を加えたのが日本共産党です。志位和夫委員長が14日に発表した、「河野談話」への不当な攻撃に反論し「慰安婦」問題の真実を明らかにした見解は、民主党の現職国会議員、自民党の元大物議員からも「いいものを出してもらった」と歓迎の声が上がっています。

 同日、首相は、「河野談話」について「安倍内閣で見直すことは考えていない」と言明しました。志位委員長は「本当に『見直さない』というのであれば、『検証』などというのはやめる。『河野談話』見直し派の攻撃にたいして、正面から、公式に、明確に反論するのが、政府が本来やることです」と指摘しています。